ポジティブフィードバックとは?ネガティブフィードバックの違いや効果を紹介

  • 組織・人材開発

部下の指導や育成のためには適切なフィードバックが欠かせません。ポジティブフィードバックは部下のモチベーションを高めて成長促進へと繋げられるため、ビジネスシーンでも注目を集めています。

今回は、ポジティブフィードバックとネガティブフィードバックとの違い、ポジティブフィードバックの効果・メリット、種類、フレームワーク、注意点についてそれぞれ紹介します

 

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ポジティブフィードバックとは

ポジティブフィードバックとは、業務中における従業員の良い言動を、ポジティブ(前向き)な表現や言葉で伝えて評価することをいいます。ビジネスシーンにおいては、主に上司・管理職から部下へ、評価を伝える際に用いられています。ボジティブフィードバックでは、上の立場の人が部下の行動をポジティブに評価することにより、部下の成長やモチベーションの向上に繋げることがひとつの目的とされています。

ネガティブフィードバックとの違い

ポジティブフィードバックと対の言葉として「ネガティブフィードバック」があります。ネガティブフィードバックとは、相手の言動における問題点や良くなかった点などを指摘し、言動を改めてもらうことを目的としたフィードバックをいいます

問題点を指摘する行為は、相手のモチベーションを下げてしまう恐れが考えられますが、その一方で、問題点が明確になることで改善点もわかりやすいという特徴があります。ポジティブフィードバックとネガティブフィードバックの特徴を理解し、それら両方のフィードバックを状況に応じて使い分けることが、従業員や部下への適切な評価、指導に繋がるといえるでしょう。

コーチングとの違い

フィードバックと混同しやすい言葉に「コーチング」と呼ばれるものがあります。ビジネスシーンにおけるコーチングとは、主には上司が部下に対して問いかけを行い、部下が問題点や改善点などを自発的に気付けるよう支援する取り組みのことをいいます

一見すると、フィードバックと同じ意味合いで使われる言葉のように捉えられますが、双方ではコミュニケーションの取り方に違いがあります。コーチングは上司と部下との双方のコミュニケーションによって成り立つ一方で、フィードバックは上司から部下へ一方的に評価、指摘を行う点が異なります。

ポジティブフィードバックの種類

ポジティブフィードバックには、相手の言動に応じて評価や承認するための4つ種類があります。ここでは、それぞれの特徴を解説します。

結果承認

「結果承認」は、相手の結果や成果を評価することを目的としたポジティブフィードバックです。例えば、「目標としていた営業数字を達成した」「チームの目標を達成した」といったビジネスシーンで活用ができます。主には、相手の強みや得意なことにフォーカスしたポジティブフィードバックといえます。

行動承認

「行動承認」は、相手の言葉・行動を評価するポジティブフィードバックです。例えば、「目標は達成できなかったが、達成に向けた準備や努力は素晴らしかった」といったような、相手の行動が評価に値するときに活用ができます。行動承認のポジティブフィードバックでは、相手の行動の結果がどうであれ、そこに至るまでのプロセスを評価するのが特徴となっています。

存在承認

「存在承認」は、相手の存在そのものを承認するポジティブフィードバックです。相手に“あなたはチームの大切な一員であること”を認識させたり、こちらから相手へのリスペクトの気持ちを表現したりする際に活用できます。相手の顔を見て「おはよう」「ありがとう」などとしっかりと伝えるだけでも、相手に安心感を与えることに繋がります。

可能性承認

「可能性承認」は、相手の将来の可能性に期待し、評価するポジティブフィードバックです。例えば、「この資料は文字が多くて相手に伝わりにくい。○○さんなら、図やグラフなどを用いてわかりやすく伝えられると思うので、再考してほしい。」というように、相手への指摘と期待を一緒に伝えるのが可能性承認のフィードバックです。

いわゆる、ネガティブフィードバックと同義であり、相手の至らない点に加えて相手に期待している表現を入れることで、相手の将来の可能性を承認し、成長を促すことを目的としています。

ポジティブフィードバックの効果・メリット

ポジティブフィードバックを実施することで得られる効果やメリットを解説します。

部下のモチベーション向上に繋がる

仕事の成果や努力したプロセスをしっかりと評価されることは、ビジネスパーソンであれば誰しもが嬉しいことです。上司から部下へポジティブフィードバックを行うことで、部下に「ちゃんと自分を見ていてくれている」「次も頑張ろう」と思ってもらえるため、結果として仕事のさらなるモチベーション向上に繋がります。

従業員1人ひとりがモチベーションを高く保ち、主体的に業務に取り組んでもらえることが、結果として生産性の向上にも効果が期待できます。

部下の成長を促せる

相手の強みや得意なことに目を向けたポジティブフィードバックを行うことで、部下のさらなる成長につながります。部下のスキルや能力が向上すれば、日々の業務をより効率よく進めることにも繋がり、部下の自発的な行動にも期待ができるでしょう

部下との関係構築をしやすい

ポジティブフィードバックは、基本的には相手を否定しない形で取り組みます。相手の言動を否定せず、一度受け入れてから評価をすることで、部下から上司に対する安心感や信頼感の醸成に効果が期待できます。

部下へのフィードバックの時間を設けることは、双方のコミュニケーションも促進されるため、上司と部下との関係構築もしやすくなるのが特徴的です

部下の成長・変化を確認できる

フィードバックの機会を定期的に設けることで、部下の成長や変化を日常的に確認できる機会として活用できます。部下の行動が、前回のフィードバック時からどのように変化をしたのかを把握することは、適切な業務配分や人事評価としても参考になるでしょう

業務の進捗・目標達成までのプロセスを把握できる

部下に任せた業務の進捗状況の確認、目標達成までのプロセスなどを、フィードバックの機会に把握できます。その都度、部下からの困りごとや相談などを受けながら適切なフィードバックを行うことで、適切な指導を行うことにも繋がります

また、業務の現状を把握しておくことで、チームにおける今後の戦略の検討や、人事配置などにも活用ができます

職場環境の改善に繋がる

ポジティブフィードバックを活用し、チームメンバー1人ひとりが強みを生かして主体的に動いてもらえることが、結果として職場の雰囲気の改善や生産性の向上に繋がります。部下とのコミュニケーションを図りながら関係構築を行うことで、組織の活性化を目指すことができます

ポジティブフィードバックのやり方

実際にビジネスシーンにてポジティブフィードバックを進める方法を解説します。

目標を設定する

まずは、部下との面談の機会を設定して、今後の目標を決めてもらいます。部下の現状における困りごと、仕事の悩みなどを聞きながら、達成可能な範囲での目標を設定しましょう。併せて、次のフィードバックまでの期間を設定しておくと、部下自身も目標達成に向けた具体的なプロセスを考えられるようになります。

目標達成までのプロセスと結果を評価する

一定期間、部下の仕事への取り組み方や、日々の言動などを見たら、プロセスと結果についてのフィードバックを行いましょう。部下との面談の機会を設定して、どのような言動が良かったのか、成果に繋がった行動は何か、改善すべき点などを、なるべく具体的な表現で伝えます。

前述した4つのポジティブフィードバックを活用すると、相手のどのような点が良かったのかを伝えやすくなります。

今後の展望を設定する

今回フィードバックをした内容をもとに、部下と一緒に今後の展望を設定します。以降も、面談→実践→フィードバックの流れを繰り返すことで、部下のさらなる成長促進に繋がります。

ポジティブフィードバックに活用できるフレームワーク

ポジティブフィードバックに取り組む際には、これから紹介する5つのフレームワークを活用するのがおすすめです。フレームワークに沿って説明することで、相手にフィードバックの内容をより具体的に伝えられるようになります。

SBI

SBI型ポジティブフィードバックは、「Situation(状況)」「Behavior(行動)」「Impact(影響)」の頭文字を取ったフレームワークです。相手がどのような状況で、どのような行動をしたことで、どのような影響を与えたのかを、具体的な表現でフィードバックできます。フィードバックの基本形ともいわれており、さまざまなビジネスシーンで応用できるフレームワークとなっています。

SBI型ポジティブフィードバックの具体例

  • 「今朝のミーティングでの出来事について(Situation・状況)」
  • 「〇〇さんが事前に用意していた資料のおかげで、提案した内容の良さがより明確に伝わりました(behavior・行動)」
  • 「ミーティングもスムーズに進めることができて感謝しています(Impact・影響)」

サンドイッチ型

サンドイッチ型ポジティブフレームワークは、2つのポジティブフィードバックの間にネガティブフィードバックを挟む手法です。ネガティブな指摘を、2つのポジティブな評価で挟み込むことで、相手のモチベーション低下の抑制効果が期待できます。主には、ネガティブフィードバックを行いたい場面で活用できるでしょう。

サンドイッチ型ポジティブフィードバックの具体例

  • 「先日の会議で使用した資料について、グラフや表を用いてデータをわかりやすくまとまっていて、とても見やすかった」
  • 「でも、発表の時間が予定より5分オーバーしていた。説明する内容をもう少し端的にまとめられると、時間内に収まると思う」
  • 「資料の完成度は高かったので、次回からはもう少し時間を意識しながら発表してみてほしい」

FEED

FEED型ポジティブフィードバックは、「Fact(事実)」「Example(例)」「Effect(影響)」「Different(代替案)」の頭文字を取ったフレームワークです。まずは、起こった事実を確認し、なぜその事実をフィードバックの内容として取り上げたのかを相手に説明します。そのうえで、その事実が周りにどのような影響を与えたのかを伝えて、さらなるブラッシュアップへ向けた代替案を具体的に説明する手法です。

SBI型と似ているフレームワークですが、FEED型ではフィードバックの最後に代替案を合わせて伝えることで、相手へより具体的な行動変容を促せるのが特徴的です。

FEED型ポジティブフィードバックの具体例

  • 「先日の会議で積極的に発言し、意見や提案を伝えてくれていましたね(Fact・事実)」
  • 「発言の内容も会議の趣旨をしっかりと理解していると思い、感心しました(Example・例)」
  • 「さまざまな提案をしてもらえたおかげで、他のメンバーも新たな視点や発想を身につけるきっかけになりました(Effect・影響)」
  • 「今後も積極的に発言、提案してくれることで、チームの雰囲気もより活発になると思うので、これからもよろしくお願いします(Different・代替案)」

KPT

KPT型ポジティブフィードバックは、「Keep(良かったこと)」「Problem(課題・改善点)」「Try(これからの行動)」の頭文字を取ったフレームワークです。上司からの一方的な評価やフィードバックではなく、上司と部下とで話し合いながら進めていくのがKPT型の特徴です。話の中で、部下自らが改善点に気付き、行動変容を促すことを目的としています。

KPT型ポジティブフィードバックの具体例

  • 上司:「先月の個人営業の売り上げ目標が達成できた。その要因は何だと思いますか?」
  • 部下:「念入りな市場調査と、新規顧客の開拓が要因だと思います」
  • 上司:「個人の目標は達成できたけど、チーム全体の目標としてはどうでしょうか?」
  • 部下:「個人間で目標の達成率にばらつきが出てしまいました。チーム内での情報共有や、成功事例の共有がうまくできなかったと思います」
  • 上司:「個人とチーム、どちらの目標も達成するには、今後はどのようにチームで仕事を進めていきますか?」
  • 部下:「毎週の定例ミーティングにて、個人間での進捗状況の共有、成功事例・ノウハウの共有、10分間のロールプレイングを取り入れようと思います」

ペンドルトン型

ペンドルトン型ポジティブフィードバックは、KPT型と同様に、上司と部下の双方で話し合いながらフィードバックを進めるフレームワークです。最初に「話題」を決めたら双方で話し合い、話題について部下自身に考えさせながら、フィードバックをします。

ペンドルトン型ポジティブフィードバックの具体例

  • 上司:「先日のミーティングで使用した資料について、根拠が明記されていたり、調査結果がしっかりとまとめられていたりしてとてもよかったです。今回作成した資料について、もっと改善した方がいいと思ったことはありますか?」
  • 部下:「資料の作成に時間をかけ過ぎてしまい、提出も期限ギリギリになってしまいました」
  • 上司:「次回以降、どのように改善していきましょうか?」
  • 部下:「資料の作成は早めに着手します。期限の3日前には提出できるようにしたいと思います」
  • 上司:「そうですね、早めに提出してもらえると助かります。資料の内容は素晴らしかったので、今後も期待しています」

ポジティブフィードバックの注意点

ポジティブフィードバックは“ただ褒めればよい”というわけではありません。ここでは、ポジティブフィードバックの注意点を解説します。

主観的な意見・指摘は避ける

フィードバックを行ううえで、上司の主観的な意見や指摘は避けましょう起こった事実と、客観的な指摘が、的確なフィードバックには求められます。上司の私情が入ったフィードバックでは適切な評価ができず、思うような効果も得られないので注意が必要です。

人前ではフィードバックしない

他人の目を気にする人や、人前で褒められることを苦手とする人もいます。特別な理由がない限りは、フィードバックを行う際には、基本的には上司と部下との11で話す場を設けましょう

本人と関係のない事柄は話さない

部下の業務や言動に関係のないこと、関連が薄いことについては、フィードバックの場では話さないようにしましょう。部下に関係のない事柄を話しても、部下の成長には繋がりません。加えて、あまりにも内容がかけ離れていると、かえって上司としての信頼感を失うことにも影響します。

「褒めること」だけで終わらせない

ただ褒めるだけでは部下の成長には繋がりません。部下の良かったこと、改善点を具体的に伝えることが、成長促進に効果的です

なるべく早くフィードバックする

フィードバックを行うタイミングは、その事柄が起きてからなるべく早いタイミングで行いましょう。時間が空いてしまうと、部下もそのときの状況を忘れてしまっていることも考えられるため、適切なフィードバックが行えません。なるべく早くフィードバックをすることで、部下自身も良かった点と改善点をしっかりと振り返ることができます

まとめ

ポジティブフィードバックは部下のモチベーション向上や成長の促進に繋げられるほか、部下の業務の進捗確認の場としても活用できます。ポジティブフィードバックには4つの種類と5つのフレームワークがあり、状況に応じて使い分けることが適切な評価へと繋がります。ポジティブフィードバックによって、部下が主体的にアクションを起こしてくれるようになることで、結果として、生産性の向上や職場の雰囲気改善などに効果が期待できるでしょう。

 

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この記事の著者

あそぶ社員研修編集部

あそぶ社員研修は、企業の研修担当者向けのお役立ち情報を発信するメディアです。研修に関するノウハウ、組織・人材開発の手法、ビジネススキルなどをわかりやすく紹介します。

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