セルフリーダーシップとは?身につけるメリットや高め方を解説
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大学卒業後、クラシック音楽業界にて制作・マネジメント・プロデュースに従事し、アートと教育の融合をテーマに、「体験を学びとして届ける」手法を追求してきた。
その後、体験型コンテンツ会社を経て、株式会社IKUSAにクリエイティブプロデューサーとして入社。
現在は研修事業部の責任者として、体験型・ゲーム型の社員研修事業を統括している。
ユーザー視点に立ったサービス開発を得意とし、「楽しさが行動変容を生む」という信念のもと新しい研修体験を創出している。
変化の激しい時代の中を勝ち抜いていくために、リーダーシップを発揮できる人材が求められるようになってきています。リーダーシップにはさまざまな理論や種類がありますが、ビジネスパーソンがまず身につけたいリーダーシップの一つが、「セルフリーダーシップ」です。
本記事では、セルフリーダーシップとは何か、セルフマネジメントとの違いや、求められている理由、身につけるメリット、高める方法を、わかりやすく解説します。さらに、組織のリーダーシップ開発に課題を感じている経営陣やマネジメント職、人事担当者に向けて、従業員のセルフリーダーシップを高めるために会社ができることを紹介します。
セルフリーダーシップとは
リーダーシップ(leadership)は、統率力や指導力などの意味を持つ英単語です。リーダーシップにはさまざまな理論や定義がありますが、わかりやすく表すと「組織やチームをまとめ、目標達成に向けて導いていく力」であるといえるでしょう。
そして、セルフリーダーシップとは、英単語のセルフ(self:自分、自己)が意味するように、組織やチームではなく、自分自身を目標達成に導いていく力のことをいいます。
セルフリーダーシップは、1980年代にチャールズ・マンツ氏によって提唱されたものだといわれています。チャールズ・マンツ氏が考えるセルフリーダーシップとは、業績を達成できるように、自分自身に影響を与えたり、方向づけたりする一連のプロセスのことです。セルフリーダーシップ論は、のちほど紹介するセルフマネジメント論の拡大理論として提唱されました。
セルフリーダーシップの具体例
では、セルフリーダーシップが高い人とは、どのような人なのでしょうか。以下は、セルフリーダーシップが高い人が実践している行動の一例です。
- 自分の仕事や人生の目標を持っており、それを見直す習慣がある。
- 自分の行動や発言に責任を持っている。
- 自分の成長のために、批判的な意見もしっかり受け止める。
- 新しいこと(経験、アイデア、機会など)に対して積極的である。
- 周りの人や環境の良い部分を見つけようとする。
- 悲観的にならない。
セルフマネジメントとの違い
マネジメント(management)は、管理という意味を持つ英単語です。セルフリーダーシップとセルフマネジメントは、どちらも自分自身に影響を与えるプロセスに注目したものですが、セルフリーダーシップは、「目標達成に向けて自分自身を導く力」、セルフマネジメントは「目標を達成するために自分自身を管理する力」であると言い換えることができます。
セルフリーダーシップを提唱したチャールズ・マンツ氏は、 “目標によって喚起された「達成すべき」基準との不一致を低減するというプロセス”がセルフマネジメントであると述べています。
参考:階層型組織におけるリーダーシップ開発に対するセルフリーダーシップ論の貢献(森永雄太) – 立教大学学術リポジトリ
セルフリーダーシップ、セルフマネジメントとも、さまざまな理論や定義がありますが、セルフリーダーシップは「主体的に判断・行動する力」、セルフマネジメントは「自身の心身の状態やモチベーションを管理する力」であり、セルフマネジメントはセルフリーダーシップの一部であると整理されることが多いとされています。
セルフリーダーシップが求められている理由
近年、セルフリーダーシップが注目されるようになっているのは、セルフリーダーシップが、現代のリーダーやマネージャーに欠かせない能力の一つであるためです。
現代社会は「VUCA時代」と呼ばれるほど変化が激しい時代となっており、これまでの経験やノウハウが通用しないケースも増えています。VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取ったもので、環境の変化が激しく、将来を予測することが難しい状況であることを意味しています。IT化やグローバル化などにより目まぐるしく変化し続けるビジネス環境に対応していくために、上に判断を求めるのではなく、自ら考え行動できる力のあるリーダーやマネージャーが求められるようになっているのです。
また、リーダーシップは「一部のカリスマ的な人物に備わった能力」だと考えられていた時代もありましたが、近年は「誰もが身につけられる能力」「リーダーだけでなくすべてのビジネスパーソンに求められるもの」と考えられるようになってきています。まずは自分自身をコントロールし、リードできるようにならなければ、他者に影響を与える存在になることは難しいでしょう。そのため、リーダーシップを向上させる一つの要素としても注目されているのではないでしょうか。
セルフリーダーシップを身につけるメリット
セルフリーダーシップを身につけることで、次のような効果が期待できます。
1.自分に自信が持てるようになる
セルフリーダーシップは、まず理想の自分と現状とのギャップを分析して、そのギャップを埋めていくことで高めていくことができます。「ギャップを埋めるにはどう行動すれば良いか」を考える習慣がつくと、ものごとを論理的に考えられるようになり、自信をもって自分の意見を伝えられるようになるでしょう。
自分の意見に自信が持てるようになると、行動にもブレがなくなります。時間やタスクを管理するスキルも向上し、仕事をスムーズに進められるようになるでしょう。
2.仕事に対するモチベーションが高まる
セルフリーダーシップを身につけると、業務上の課題を「自分ごと」として捉えられるようになり、自分の発言や行動に対して責任感が芽生えます。すると、おのずと「うまく解決したい」「できるだけ結果を出したい」というような向上心が生まれ、仕事に対するモチベーションも高まります。
さらに、業務上の課題を「自分ごと」として捉えられるようになると、自然と改善案や新しいアイデアも生まれやすくなるでしょう。
3.リーダーシップの向上につながる
厚生労働省は、資料「リーダーシップを発揮しよう」の中で、リーダーシップを「目標達成しようとするグループで、リーダーが目標達成に役立つ影響を与えること」と説明しています。
わかりやすく表すと、リーダーシップとは「他者に良い影響を与える力」と言い換えることができるでしょう。セルフリーダーシップを身につけ、自分自身をコントロールできるようになると、発言や行動が変わり、周りへの影響力も高まります。つまり、セルフリーダーシップを身につけることは、他者をリードするために必要なリーダーシップを鍛えることにもつながるのです。
参考:01_リーダーシップを発揮しよう テキスト – 厚生労働省(PDF)
セルフリーダーシップを高める方法
次に、セルフリーダーシップを高める方法を紹介します。セルフリーダーシップは、以下の4ステップを繰り返し実践してくことで高めることができます。
- 理想の自分をイメージする
「どうありたいのか」を自分自身に問いかけ、何を目指すのか、何を実現したいのか、明確な目標を設定します。 - 理想像と現状のギャップを分析する
どうすれば目標を達成できるのか、今の自分には何が足りないのかなどを紙に書き出して整理し、理想の自分と現状のギャップを分析します。 - 改善策を考え、行動に移す
前のステップで分析した結果をもとに、ギャップを埋めるためには何をすれば良いかを考え、実際に行動に移します。 - 成果を振り返る
行動を起こしたら、成果を振り返ります。どのくらい目標に近づけたか、何が足りなかったかなどを客観的に評価して、次につなげていきましょう。
従業員のセルフリーダーシップを高めるために会社ができること
では、従業員のセルフリーダーシップを高めるために、会社がサポートできることはあるのでしょうか。最後に、具体的な5つのアクションを紹介します。
1.セルフリーダーシップの必要性を伝える
まずは、会社として「従業員のセルフリーダーシップ向上に取り組んでいく」ことを従業員に宣言しましょう。従業員にセルフリーダーシップを身につけてもらいたくても、従業員がそもそも「セルフリーダーシップ」という言葉を聞いたことがない可能性もあります。また、知っていたとしても、先ほどお伝えしたように、セルフリーダーシップにはさまざまな理論や定義があります。そのため、まずは「会社が考えるセルフリーダーシップとは何か」「なぜ必要なのか」を、従業員に明確に伝えるところから始めましょう。
2.「気づき」を与える
先ほど「セルフリーダーシップを高める方法」で紹介したとおり、セルフリーダーシップを高めるためには、まずは理想の自分をイメージし、明確な目標を設定することが大切です。しかし、誰もが目指すものや実現したいことを持っているとは限りません。従業員の内側にある「理想の自分」を引き出すために、リーダーやマネージャーから「気づき」を与えてみましょう。たとえば、次のような問いかけをしてみるのも一つの方法です。
【問いかけの例】
- この会社でやりたいこと、嫌なことは何か。
- なぜこの会社の、今の仕事を選んだのか。なぜ続けているのか。
- 今の仕事をしていることで、ためになっていることはあるか。
- これまでに経験したことで、仕事に役立っていることはあるか。
- 自分が職場にどんな影響を与えていると感じるか。
または、面談や1on1ミーティングなどで、これまでの経験やスキルなどについての話を聞きながら、従業員の考えを以下の4つに整理しながら、キャリアビジョンを明確にしていくという方法もあります。
- やりたい+できる
- やりたい+できない(できるようになりたい)
- やりたくない+できる
- やりたくない+できない(できるようになりたいとも思わない)
なぜそう思うのか、将来どんな自分になりたいのかなども問いかけながら、従業員のキャリビジョンを具体化していきましょう。
3.個人に対する「会社からの期待」伝える
リーダーやマネージャーから、その従業員に会社が期待していることを伝えることも、セルフリーダーシップを高めるためには重要です。たとえば、以下が挙げられます。
- これまで仕事をする中で素晴らしかったことや、もっと伸ばしてほしいスキル
- これからどんな仕事でどんな経験を積み、どう成長してほしいと考えているか
- その従業員が職場に与えている良い影響
- 期待している成果
これらを伝えることで、従業員は自分がやりたいことと、会社から期待されていることが交差するポイントを探すようになります。
4.コミュニケーションを活性化させる
従業員が本音で話せるような環境がなければ、いくらリーダーやマネージャーが「気づき」を与えたり、期待を伝えたりしても、従業員の考えや思いを聞き出すことは難しいでしょう。
定期的に面談や1on1ミーティングの機会を設けるのももちろん良いですが、一番大切なのは、従業員同士が日頃から本音で話し合えるような職場環境をつくること。そのためには、信頼関係の構築が欠かせません。人事担当者は、現在自社には社内コミュニケーションにどんな課題があり、解決するにはどうすれば良いのかを考えてみてください。
5.セルフリーダーシップ研修を受講してもらう
最近は、セルフリーダーシップを学べる研修を実施している研修会社もあります。内容は研修会社によってさまざまですが、セルフリーダーシップとは何か、発揮するためのポイントなどについての講義だけでなく、具体的にとるべき行動について学べるワークショップや実習を行う研修などもあります。
繰り返しになりますが、セルフリーダーシップにはさまざまな理論や定義があります。セルフリーダーシップの考え方は研修会社によっても異なりますので、まずは経営陣や人事担当者で自社にとってのセルフリーダーシップを定義し、その定義に合った研修を選びましょう。
まとめ
セルフリーダーシップとは、自分自身を目標達成に向けて導いていく力のことです。セルフリーダーシップを身につけることで、自分に自信が持てるようになり、周りの意見や環境に流されることなく、ブレのない行動をとれるようになります。また、業務上の課題を「自分ごと」と捉えられるようになり、仕事に対するモチベーションも高められるでしょう。
セルフリーダーシップは、他者をリードするために必要なリーダーシップにも欠かせない能力の一つです。会社が従業員のセルフリーダーシップ向上を支援することは、組織のリーダーシップを開発することにもつながります。次世代のリーダーやマネージャーの育成に課題を感じているなら、従業員のセルフリーダーシップ向上に取り組んでみてはいかがでしょうか。
以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。
1.リーダーシップ研修
リーダーシップ研修のアクティビティ「グレートチーム」では、チームの運営を疑似体験することでリーダーシップやマネジメントを学びます。
学びのポイント
- メンバーのリソース管理や育成、リーダーとしての決断を繰り返すことで、いろいろなリーダーシップの型を知ることができる
- 現代に合わせたリーダーシップの発揮の必要性を知り、自分らしいリーダーシップを学べる
2.合意形成研修
合意形成研修のアクティビティ「コンセンサスゲーム」では、危機的な状況下でどの物資を優先して確保すべきかをチーム内で議論し、最適な結論を導きます。
学びのポイント
- 各々が個人ワークで考えた答えを聞くことで、チームメンバーの状況に対する認識や物資の重み付けの違いを受講者が理解する
- 話し手は自分の答えにいたった理由を論理的・説得的に説明する
- より良い根拠を導き出すための比較検討をして、チーム全員が納得する結論を出す
3.PDCA研修
PDCA研修のアクティビティ「ロケットPDCAチャレンジ」では、パーツを組み合わせてロケットを制作し打ち上げ結果から原因を考えて、より良く飛ぶロケットに改善していき、目標の達成を目指します。
学びのポイント
- 計画を立ててロケットを飛ばし、その結果から組み合わせの誤り・部品の不足・不良部品の有無を推察し、それを繰り返すことで組み合わせの精度を上げていく
- 資金稼ぎ・パーツの選択・打ち上げの準備を繰り返し、作戦タイム振返りを経て行動を改善していくことで、最適化されていく
4.戦略思考研修
戦略思考研修のアクティビティ「ワールドリーダーズ」では、労働力や資本を使って事業を設立し、利益を稼ぐことを目指します。
学びのポイント
- 不確実な状況のなかで自チームにとって最適な行動方針を考え、実行していく
- 戦略を決めるために与えられた手段のなかでどの情報を取得していくかの優先順位決めが求められる
5.コミュニケーション研修
コミュニケーション研修のアクティビティ「謎解き脱出ゲーム」では、チームでコミュニケーションをとりながら問題に隠された法則を発見する謎解きゲームのクリアを目指します。
学びのポイント
- 受講者が「自分しか見えていない情報・問題・解き方」をチームで共有することでコミュニケーション促進やスキルアップにつながる
- 突飛な発想・ヒラメキをチームのなかで積極的に発言できる心理的安全性の高い環境づくりが求められる
6.ロジカルシンキング研修
ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルディング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します。
学びのポイント
- 小グループで得られた情報を論理的に整理し、確定情報・曖昧情報・不要な情報を選り分ける
- 大グループで全体に必要な情報を論理的に判断・共有することや、自分たちに足りない情報を聞き出すことが求められる
7.クリティカルシンキング研修
クリティカルシンキング研修のアクティビティ「混乱する捜査会議からの脱出」では、推理ゲームで論理的に情報を整理するなかで証拠の違和感に気づき、仮説立てや検証を行って目標を達成します。
学びのポイント
- 証拠品や証言など多くの情報を手分けして読み、組み合わせて論理的に結論を導き出す
- フェーズが進むごとに情報が増え、複雑になっていくなかで必要な情報を取捨選択する
- 出た結論に満足せず、常に新しい情報と照らし合わせて再検証する
8.ビジネスマナー研修
ビジネスマナー研修のアクティビティ「ビジトレ」では、実践形式・クイズ形式のアクティビティを通して、ビジネスマナーを楽しく学びます。
学びのポイント
- 堅い内容になりがちなビジネスマナー研修にゲーム形式を取り入れることで、受講者が没入して学べる
- 名刺交換や報連相などを実行し、動作・マナーに慣れることで、翌日から実践できるようになる
9.防災研修
防災研修のアクティビティ「先が見えない防災訓練からの脱出」では、チームで協力して、防災のアイテムや知識を使用しながら謎解きゲームのクリアを目指します。
学びのポイント
- 謎解きの答えが災害時のNG行動にまつわる内容となっており、解説時になぜ行なってはいけないかもセットで学ぶ
- 被災時は様々な情報が飛び交うため、情報を取得する際にどのようにすれば惑わされないかを学ぶ
10.OODA LOOP研修
OODA LOOP研修では、瞬間的な判断力が求められる運動系のアクティビティである「サバイバルゲーム」または「チャンバラ合戦」を実施することで、意思決定のフレームワークである「OODA LOOP」を実践的に習得することを目指します。
学びのポイント
- 敵チームをよく観察して作戦を練り、状況に応じた行動を素早く判断しながら、チームで共有して一体となって行動する
- ミッションの勝利条件をもとに、観察、判断、行動を繰り返すことで、本当にすべき行動が何なのか、行動の最適化を行う
この記事の著者
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