ヒューマンスキルとは?要素の一覧と高める方法を紹介

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仕事の成果は、社内外の関係者と円滑にコミュニケーションがとれているか、良好な関係が築けているかどうかによっても変わってきます。そのため、ビジネスパーソンとして成長していくためには、技術的な知識やスキルを増やすだけでなく、対人関係についてのスキルである「ヒューマンスキル」も高めていく必要があります。

本記事では、ヒューマンスキルとはどのようなスキルなのか、ヒューマンスキルを構成する要素、ヒューマンスキルを高める方法について、わかりやすく解説していきます

 

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ヒューマンスキルとは

ヒューマンスキルとは、日本語では「対人関係能力」と呼ばれているスキルです。内閣府の資料『管理職に求められる「マネジメント」、管理職が執るべき行動の在り方について』では、ヒューマンスキルとは「他人との対応能力」であると説明されています。具体的には、自分もグループの一員として仕事をこなすことや、チームのメンバーで協力できる場を作ったり、グループ間の関係を構築したりするスキルを意味します。

参考:管理職に求められる「マネジメント」、管理職が執るべき行動の在り方について – 内閣府(PDF)

ヒューマンスキルを構成する要素一覧

ヒューマンスキルは、複数の要素で構成されています。構成要素は資料によっても異なりますが、ヒューマンスキルに含まれるとされることが多い要素としては、以下のようなものが挙げられます。

  1. リーダーシップ
  2. コミュニケーション能力
  3. ネゴシエーション能力
  4. プレゼンテーション能力
  5. コーチング能力
  6. ファシリテーション能力
  7. 向上心

ヒューマンスキルを高めるには、これらの要素を総合的に磨いていくことが大切です。ではここからは、それぞれの要素について、詳しく解説していきます。

1.リーダーシップ

リーダーシップとは、チームのメンバーをまとめて、目標達成まで導いていく能力のことです。「リーダーシップ」と聞くと、カリスマ的な人だけが発揮できるもの、または、リーダーの立場に就いている人が他のメンバーを「引っ張っていく力」のようなイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれません。そのように認識されている時代もありましたが、リーダーシップにはさまざまな定義や理論があり、最近は「すべてのビジネスパーソンが身につけることが可能で、それぞれの立場において発揮するもの」と考えられるようになってきています。

立場上はリーダーではなくても、他のメンバーに目標達成に役立つよい影響を与えることができれば、その人は「リーダーシップを発揮した」といえるでしょう。

参考:01_リーダーシップを発揮しよう テキスト – 厚生労働省(PDF)

2.コミュニケーション能力

コミュニケーション能力とは、他人と円滑なコミュニケーションをとる能力のことをいいます。他人と意思疎通ができるというだけでなく、調和を保てること(協調性)や、自己表現力なども、円滑なコミュニケーションをとるためには必要な要素です。また、会話だけでなく文書でのやりとりもコミュニケーションに含まれますし、ボディランゲージや表情、しぐさなどの非言語のコミュニケーションもあります。

このように、私たちは普段さまざまな方法で周りの人とコミュニケーションをとっています。コミュニケーション能力を高めることで、仕事でかかわるさまざまな人と良好な関係を築けるようになるでしょう。周りと協力して仕事を進めていくために、非常に重要な能力です。

3.ネゴシエーション能力

ネゴシエーション能力とは、交渉や折衝を行う能力のことをいいます。交渉と折衝は、混同しやすい言葉ですが、それぞれ以下のような意味があります。

  • 交渉……お互いが納得できるような答えを出すための話し合いのこと。ビジネスにおいては、Win-Winな結果(お互いにとって良い結果)を出すことが求められる。
  • 折衝……相手と利害が一致しないときに駆け引きをすること。妥協点を見つけて折り合いをつけるというイメージ。

交渉や折衝と聞くと、営業職の人やリーダー・マネジャークラスに必要なスキルというイメージがあるかもしれませんが、部署間で意見が異なるときや、何かを提案するときなど、社内でも交渉や折衝が必要になる場面は多々あります。ネゴシエーション能力を高めることで、仕事がよりスムーズに進むようになるでしょう。

4.プレゼンテーション能力

プレゼンテーション能力とは、効果的なプレゼンテーションを行う能力のことです。具体的には、伝わる構成を考える能力、視覚的にもわかりやすい資料を作成する能力、相手を惹きつけるデリバリースキル(話し方、表現など)などが含まれます。

プレゼンテーション能力を高めることで、プレゼンテーションが成功しやすくなることはもちろん、プレゼンテーション以外の場面でも、自分の意見を的確に相手に伝えられるようになります。関係者と方向性や目標の共有をスムーズに行えるようになり、理解も得やすくなるでしょう。

5.コーチング能力

コーチング能力とは、効果的なコーチングを行う能力のことです。コーチングとは、相手が自ら目標を達成し、成長できるようサポートするコミュニケーションのとり方をいいます。たとえば、何か問題に直面している部下がいるとします。部下には自分で問題を解決する力がある、または、部下自身のなかにすでに答えがあるのに、本人がそれに気づいていないという場合があります。このようなときに、上司が効果的なコーチングを行うことで、部下の成長を促すことができます。

これに対し、相手に一方的に指示や命令を与えたり、答えを教えたりして指導することを、ティーチングといいます。部下にまだその問題を解決するスキルがない場合や、任せるにはリスクが高いような場合には、ティーチングが向いているでしょう。

コーチング能力は、大きく分けると傾聴スキル、承認スキル、質問スキルの3つで構成されています。傾聴スキルは相手の話にしっかりと耳を傾けて「聴く」スキル、承認スキルは相手を認めて安心感を与えるスキル、質問スキルは相手が自ら答えを導き出せるような質問を投げかけるスキルです。

6.ファシリテーション能力

ファシリテーション能力とは、その名の通りファシリテーションを行う能力のことをいいます。ファシリテーションとは、会議やミーティングなどの活動を円滑に進める技法です。ただ司会・進行をするというだけでなく、メンバーが話しやすい雰囲気を作る、メンバーから意見を引き出す、集まった意見をまとめる、合意形成をサポートするといったことを行います。

考え方や価値観というのは、人それぞれ違います。そのため、話し合いのなかでメンバー同士がぶつかることもあるでしょう。そんなときでもファシリテーション能力が高い人がいれば、話し合いを効率的に進めて、全員が納得できるゴールにたどりつけるようになります。

ファシリテーションスキルは、すべてのビジネスパーソンに求められるスキルですが、多様なメンバーをまとめる立場にあるリーダーや管理職にとって、特に重要なスキルといえるでしょう。

7.向上心

向上心とは、現状からさらによりよい方向に向かおうとする姿勢、またはそのような気持ちを指します。ここまで紹介してきたような「能力」とは少し性質が異なりますが、これもヒューマンスキルを構成する要素とされることが多いでしょう。

向上心が高い人は、目標の達成や自身の成長に向けて、努力をし続けます。そのような姿を見て、周りのメンバーがポジティブな影響を受けることも期待できるでしょう。特にリーダーや管理職は、他のメンバーのよいお手本になることが求められます。そのためにも、向上心は必要な要素といえるでしょう。

管理職にとってのヒューマンスキルの重要性

組織のなかでは、誰か一人だけで完結できる仕事というのはほとんどありません。1つの仕事にはさまざまな人がかかわっているため、コミュニケーションをとりながら進めていかなければ、成果をあげることは難しいでしょう。そのため、ヒューマンスキルはすべてのビジネスパーソンに求められるスキルといえます。そのなかでも、管理職(マネジャー)にとっては特に重要なスキルです。管理職は、メンバーの管理・育成や、関係者や部署の間に入って調整などを行わなくてはならないため、より高いヒューマンスキルが求められます。

アメリカの経営学者であるロバート・カッツ氏が提唱した「カッツモデル」でも、ヒューマンスキルはマネジメント層に求められるスキルの1つとして位置づけられています。カッツモデルとは、マネジャーを3つの層に分け、それぞれに求められるスキルの重要度を示した理論です。

この図が示すように、ヒューマンスキルはどのマネジメント層にとっても重要なスキルとされています。各マネジメント層には、具体的には以下のようなポジションの人たちが含まれます。

  • トップマネジメント……最高経営責任者(CEO)、最高執行責任者(COO)、会長、社長など
  • ミドルマネジメント……部長、課長、エリアマネジャー、支店長など
  • ロワーマネジメント……主任、係長、チーフ、プロジェクトリーダーなど

ここで、ヒューマンスキル以外の2つのスキル、コンセプチュアルスキル、テクニカルスキルがどのようなものなのか、簡単に解説します。

コンセプチュアルスキル

コンセプチュアルスキルは、日本語では「概念化能力」と呼ばれています。一言で説明するのは難しいですが、簡単に表すと「物事の本質を捉え、組織が目指す姿や戦略などを構築するスキル」といえるでしょう。カッツモデルでは、組織の方針や戦略を決めるトップマネジメント層にとって、特に重要なスキルとされています。

コンセプチュアルスキルは、ロジカルシンキング、クリティカルシンキング、ラテラルシンキング、さらに多面的視野や柔軟性など、さまざまな要素で構成されています。コンセプチュアルスキルを高めたいなら、まずは自分に足りない要素を把握するために、自己分析を行ってみましょう。詳しくは、以下の記事で解説しています。

コンセプチュアルスキルとは?要素の一覧と高め方を紹介

テクニカルスキル

テクニカルスキルは、日本語では「業務遂行能力」と呼ばれています。その名の通り、業務を遂行するために必要な知識やスキルを指します。カッツモデルでは、現場をまとめる立場にあるロワーマネジメント層にとって、特に重要なスキルとされています。

テクニカルスキルは、さまざまな職種で求められる「汎用スキル」、業界や職種によって求められる「専門スキル」、専門スキルよりもさらに高いレベルの「特化スキル」の3種類に分けられます。詳しくは、以下の記事で解説しています。

テクニカルスキルとは?種類・具体例・鍛え方を解説

管理職がヒューマンスキルを高めるメリット

ヒューマンスキルを高めることで、周りの人と良好な関係を築きやすくなります。また、必要な情報の共有や話し合いも、スムーズに行えるようになるでしょう。仕事を円滑に進められるようになり、成果も生まれやすくなります。

また、先ほどお伝えしたように、ヒューマンスキルは管理職にとって特に重要なスキルです。これからキャリアアップするためにも、早くから磨いておきたいスキルといえるでしょう。

企業としては、従業員のヒューマンスキルが高まると、組織全体のコミュニケーションが活性化し、職場環境の改善につながることがあります。また、従業員のヒューマンスキルが高まれば、社外の人とも良好な関係を築けるようになるので、顧客満足度の向上や業績アップといった効果も期待できるでしょう。

ヒューマンスキルを高める方法

では、ヒューマンスキルはどのようにすれば高められるのでしょうか。最後に、その方法を紹介します。

研修やワークショップに参加する

ヒューマンスキルを高めたいなら、ヒューマンスキルに関する研修やワークショップに参加するという方法があります。先ほど紹介したように、ヒューマンスキルは複数の要素で構成されています。まずは自分に何が足りないのか、どの要素を高めたいのかを明確にして、それを学べる研修やワークショップに参加するとよいでしょう。

座学で理論を学ぶだけでなく、ロールプレイングやディスカッションなど、実践につながるアクティビティが取り入れられているプログラムがおすすめです。体験があることで、学びが身につきやすくなります。また、アクティビティを通して他の参加者と交流するなかで、自分とは違う視点や考え方に気づけるというメリットもあります。

企業としては、従業員のヒューマンスキルを高めたいなら、定期的にヒューマンスキルに関する研修やワークショップを開催するとよいでしょう。ただ、教える側にも専門性が求められますので、効果的な学びの機会とするために、外部に委託することも検討してみてはいかがでしょうか。

株式会社IKUSAでも、ヒューマンスキルに関するさまざまな研修を用意しております。たとえば、次のような研修がおすすめです。

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上司からフィードバックをしてもらう

自分のヒューマンスキルが現在どの程度なのかを客観的に把握するために、上司からフィードバックを受けるというのもおすすめです。企業としては、定期的に1on1や面談を実施するなどして、この機会を提供できるとよいでしょう。このような機会を設けることで、フィードバックを受ける側だけでなく、与える側の上司のコーチング能力の向上も期待できます。

そして、ヒューマンスキルを高めるためには、目標を設定することも大切です。「1on1で上司と一緒に現状を確認し、そのうえで目標を設定する → 目標達成に向けて行動する → 1on1で上司と一緒に振り返りを行い、次のアクションを考える」というサイクルを回していくことで、ヒューマンスキルを高めていくことができるでしょう。

まとめ

対人関係に関するスキル、ヒューマンスキルについて解説しました。1つの仕事には、多くの人がかかわっています。ヒューマンスキルは、仕事を円滑に進めていくために、すべてのビジネスパーソンに求められるスキルです。さらに、仕事や人の管理・調整などを行う管理職になると、より高いヒューマンスキルが求められるようになります。ヒューマンスキルを高めることで、周りの人との円滑にコミュニケーションがとれるようになります。仕事がスムーズに進むようになり、成果にもつながりやすくなるでしょう。

また、従業員のヒューマンスキルが高まると、企業としても組織全体のコミュニケーション活性化、顧客満足度向上や業績アップやといったメリットも期待できます。定期的にヒューマンスキルに関する研修やワークショップを開催する、1on1や面談の機会を提供するなどして、従業員のヒューマンスキル向上をサポートしていきましょう。

 

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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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