職場コミュニケーションの重要性とは?メリット・施策12選を解説

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ビジネスを円滑に進めるには、職場の良好なコミュニケーションが不可欠です。近年、職場コミュニケーションを重視し、活性化に力を入れる企業が増えています。その一方で、「情報を適切に共有できない」「他部署との連携がうまくいかない」などの課題を抱える企業は少なくありません。職場コミュニケーションが不足すると業務に影響が及ぶため、活性化に向けた取り組みが必要です。

本記事では、職場コミュニケーションが重視される背景や不足する原因、活性化のメリットやポイント、具体的な施策12選を紹介します

 

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職場コミュニケーションとは

職場コミュニケーションとは、従業員同士、または上司や部下と、言語または非言語で意思疎通や情報伝達を行うことを指します。仕事を円滑に遂行するには職場コミュニケーションが欠かせません。業務上のやりとりだけでなく、仕事とは直接関係のない何気ない雑談も、大切な職場コミュニケーションの1つと考えられています。

コミュニケーションには、大きく分けて言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションの2種類があります。言語コミュニケーションは、言葉や文字など言語を使った意思伝達方法です。一方、非言語コミュニケーションは、身振りや手振り、表情、声のトーンなど、言語を用いないコミュニケーション手法のことをいいます。双方を駆使することで、コミュニケーションがよりスムーズになります。

職場コミュニケーションが活性化すれば、円滑な報連相(報告・連絡・相談)によりミスを減らしやすくなったり、ちょっとした会話から新しいアイデアが生まれたりと、組織全体にさまざまな利益がもたらされます。

コミュニーション・スキルの種類

藤本学氏と大坊郁夫氏の研究によると、コミュニケーション・スキルは、6つの要素から構成されています。

自己統制

  • 自分の感情や行動をコントロールする力

表現力

  • 自分の考えや気持ちを表現する力

読解力

  • 相手の考えや気持ちを正しく読み取る力

自己主張

  • 自分の意見や立場を相手に受け入れてもらえるよう適切に表現する力

他者受容

  • 相手の意見や立場を尊重し、受け入れる力

関係調整

  • 周囲に働きかけて良好な人間関係を築けるよう調整する力

参考:コミュニケーション・スキルに関する諸因子の階層構造への統合の試み(藤本 学、大坊 郁夫)|J-STAGE

 

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職場コミュニケーションが重視される背景と不足する原因

職場コミュニケーションが重視される背景と不足する原因を解説します。

市場競争の激化

現代はVUCA時代といわれ、経営環境が短期的に変化する可能性が高くなっています。VUCAとは「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字を取った造語で、先行きが不透明で将来の予測が困難な状況を表す言葉です。変化に伴い激化する市場競争を勝ち抜くには、スムーズな情報共有やタイムリーな意思決定が欠かせません。そのために、組織全体のコミュニケーションを強化し、業務のスピードアップを図ることが求められます。

働き方の多様化

働き方の多様化により、リモートワークやフレックスタイム制を導入する企業が増えています。そのような環境では、ともに働くスタッフ同士が職場で顔を合わせる機会が減るため、離れた場所にいるメンバーとのすれ違いが起きないように相互理解を高める必要があります。従業員の1人ひとりがコミュニケーションの取り方を学び、たとえ距離は離れていても一緒に働いていると感じられるよう、コミュニケーション・スキルを身につけることが大切です。

世代ごとの価値観の変化

近年では、さまざまな文化的背景や価値観を持った従業員が、一緒に働くケースが増えてきました。自己実現や効率的な働き方を重視する従業員は、自分の業務に時間をかけたいと考え、従来よりも他者とコミュニケーションを取る時間が減るかもしれません。それぞれの価値観を尊重し合い、スムーズに業務を進めるために、企業が意識的にコミュニケーションを活性化する必要があるでしょう。

部署間の縦割り意識の強さ

縦割り組織とは、企業が業務内容ごとに部門を分け、縦に細分化された組織形態を指します。日本企業では、それぞれの部署の独立性が高い縦割り組織が多く採用されているのが特徴です。部署を越えて仕事をする機会が少なく、他部署との横のつながりが希薄になりやすい傾向にあります。企業全体の一体感を高めるためには、部署を超えた従業員同士の交流機会を増やし、コミュニケーションを活性化することが重要です。

従業員同士が交流するスペースがない

休憩室は社内の共有スペースであり、スタッフ間のコミュニケーションの場です。休憩中のちょっとした雑談や情報共有が、組織の人間関係や仕事の質に大きな影響を与えることも少なくありません。しかし、社内に充分な休憩スペースやフリースペースがないと、休憩時間に交流するのが難しく、従業員は孤独に過ごしがちです。社内の人たちと話す機会が自然と減り、コミュニケーション不足に陥りやすくなります。

職場コミュニケーションを活性化するメリット

職場コミュニケーションが活性化することで、以下のメリットが期待できます。

1.業務の生産性が向上する

職場コミュニケーションが活発に行われることで、意思疎通の不足によって起こるミスを防ぎ、効率良く業務を進められます。普段のコミュニケーションにより良好な関係を築いていれば、トラブルが発生してもすぐに協力し合って問題の解決を図ることができるでしょう。コミュニケーションが活性化すれば、チーム内の信頼関係が強くなり、アウトプットの質も高まるため、生産性向上・競争力強化につながります。

2.離職防止・社員の定着につながる

従業員間のコミュニケーションが活発になると、人間関係のストレスが減って、前向きに働けるようになります。従業員にとって居心地の良い会社となり、働くモチベーションや満足度も高まるでしょう。結果として、離職の防止や定着率の向上が期待できます。

3.顧客満足度が高まる

円滑なコミュニケーションを実現している職場は、連絡や情報が行き届き、ミスやトラブルが発生しにくい環境であるため、顧客の要望にもスピーディーに対応できます。サービスの質が向上することで顧客満足度が高まり、ひいては企業の信頼度アップにつながるでしょう。

4.新しいアイデアが生まれやすくなる

職場コミュニケーションが活性化すると、新しいアイデアが生まれやすくなることも、企業にもたらされるメリットの1つです。誰もが不安なく、自分の意見を自由に発言できる雰囲気になり、さまざまな意見が飛び交うなかで、これまでになかった新たなビジネスアイデアやイノベーションが生まれやすくなります。つまり、創造的な組織をつくるためには、職場コミュニケーションが不可欠なのです。

職場コミュニケーションを活性化させるポイント

ここからは、職場コミュニケーションを活性化させるポイントについて見ていきましょう。

会社全体で取り組む

職場コミュニケーションの活性化は、会社全体で取り組むことが重要です。一部の人だけではなく、全社的に職場コミュニケーションの重要性や具体的な施策を共有しましょう。会社のトップや管理職が積極的な姿勢を見せれば、その意気込みが部下や一般社員にも伝わり、自発的に行動を起こすことが期待できます。

アサーティブコミュニケーションを社内に取り入れる

アサーティブコミュニケーションとは、相手の気持ちを尊重しながら、自分の意見や思いを率直に表現するコミュニケーションの手法です。1人ひとりがアサーティブコミュニケーションを身につけることによって、お互いにストレスなくコミュニケーションを取ることができます。そのメリットを最大限に享受するためには、より多くの従業員が研修を受講し、アサーティブコミュニケーションを体得することが望ましいでしょう。

アサーティブコミュニケーションについては、以下の記事でも紹介しています。

アサーティブコミュニケーションとは?メリットやスキルの高め方を解説

心理的安全性を確保する

心理的安全性とは、組織やチームのなかで、自分の率直な意見や素朴な質問、違和感の指摘などを、誰に対しても気兼ねなくいえる状態のことです。職場の心理的安全性が低いと、従業員は自分の意見を自由に表明できません。誰もがミスや批判を恐れずに報告できたり、新しいアイデアが歓迎されたりする環境をつくることで、コミュニケーションの活性化を促すことができます。

心理的安全性については、以下の記事でも紹介しています。

心理的安全性とは?作り方・高め方、計測方法、ぬるま湯組織との違いを解説

従業員同士が自然に交流できる環境をつくる

職場コミュニケーションの活性化には、物理・心理の2つの面において障壁となるものを取り除く必要があります。たとえば、会話や状況確認のしづらいオフィスのレイアウトであれば、デスクやパーティションの配置を見直しましょう。雑談しやすいリラックスできる雰囲気のカフェスペースをつくることも有効です。気軽に会話できるスペースを提供することで、従業員同士の心の距離が縮まり、業務上のコミュニケーションも円滑に行われるようになります。

他部署の垣根を超えて研修や交流会を実施する

縦割り組織では、そもそも他部署との情報共有に必要性を感じていないケースも珍しくありません。自部署だけで業務を完結しようとして、必要な情報が伝わっていないことも多々あります。職場コミュニケーションを活性化するには、研修や交流会などの機会を用意し、部署外の人と関わるきっかけをつくることが大切です。

社内コミュニケーションツールを活用する

社内コミュニケーションツールとは、従業員間で情報や意思の伝達をスムーズに行うために活用されるツールを指します。テレワークやリモートワークが普及するにつれ、これらのツールの重要性は増してきました。社内コミュニケーションツールによって、役職や部署、部門の垣根を越えた交流を促進しましょう。情報共有がリアルタイムで行えるようになり、意思決定の迅速化や業務の効率化を図ることができます。

職場コミュニケーションを活性化させる施策12

職場コミュニケーションを活性化させる具体的な施策12選を紹介します。

1.研修の開催

コミュニケーションスキルを高める研修を実施して、職場コミュニケーションの改善を図るのは効果的です。ここでは、受講者が楽しみながら参加できる体験型の研修を紹介します。

コミュニケーション研修

コミュニケーション研修は、ビジネスシーンで必要なコミュニケーションの基礎(聴く・伝える)を学ぶ研修です。アクティビティにより、自分のコミュニケーションの取り方が自己流であることに気づき、その後の講義・ワークでより効果的にコミュニケーション・スキルを理解できます。上司・部下間のコミュニケーションに課題を感じている方におすすめです。

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アサーティブコミュニケーション研修

アサーティブコミュニケーション研修は、ロールプレイングを通じて、実際のシチュエーションに近い状況で、アサーティブコミュニケーションのスキルを習得していく研修です。相手との関係を維持しながら、伝えるべきことを伝える方法を学ぶことができます。風通しの良い職場づくりにも有効です。

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2.メンタープログラムの導入

メンタープログラムとは、職場の経験や知識の豊富な先輩社員(メンター)が新入社員や若手社員(メンティ)とペアになってサポート・育成する制度です。職場コミュニケーションの活性化に加えて、若手社員の早期離職の回避やキャリア形成の支援を期待できます。

31on1の実施

1on1とは、上司と部下が定期的に11で行う面談のことです。米国シリコンバレーの企業から始まったとされるマネジメント手法で、現在では日本でも多くの企業が導入しています。1on1は従来の面談のように一方的でなく、双方向のコミュニケーションを通じて行われるのが特徴です。上司・部下間の信頼関係を構築し、部下の心理的安全性を確保するのに役立ちます。

4. 社内報の発行

社内報とは、企業が自社の従業員に向けて定期的に発行する媒体で、一般的には企業理念や経営陣からのメッセージ、事業や新商品の報告、部署や社員の紹介などを掲載します。社内報は社内の情報交換やコミュニケーションの促進に有効です。これまでは紙媒体が主流でしたが、最近ではデジタル化する企業が増えています。

5.社内SNSの導入

社内SNSとは、従業員同士で近況報告やグループチャットができるツールです。設定次第で従業員が自由に発言・閲覧できるので、全社を横断したオープンコミュニケーションに適しています。SNS慣れしている若い世代にも受け入れられやすいでしょう。

6.朝会の実施

朝会を通じて全員が顔を合わせることで、職場コミュニケーションの活性化を図ることができます。リモートワークであっても朝会で顔を合わせる機会をつくると、自宅にいながら出社時のように会話する機会が生まれ、情報共有や意見交換ができるのがメリットです。

7.サンクスカードの活用

サンクスカードは「ありがとうカード」とも呼ばれており、従業員同士が感謝の気持ちを紙やデジタルのカードに書いて送り合う制度です。お互いを認め、気持ちを伝え合うことで、双方の信頼関係が深まり、一体感が生まれます。コミュニケーション活性化の施策として、すでに多くの企業で導入されています。

8.ランチミーティングの実施

ランチミーティングは、昼食を食べながらカジュアルな会議を行う「気軽な意見交換会」です。普段の会議よりもリラックスした雰囲気なので、気軽に話しやすい雰囲気があります。ランチミーティングをきっかけに従業員同士の親睦が深まり、職場コミュニケーションの活性化につながるでしょう。自由闊達な意見交換が可能となり、新しいアイデアも生まれやすくなります。

9.バーチャルオフィスの活用

バーチャルオフィスとは、仮想空間に構築されたオフィスです。バーチャルオフィスを利用することで、離れた場所にいてもあたかも同じ場所で働いているかのような感覚を得られ、リモートワーク下でも従業員のコミュニケーションの活性化を図ることができます。

10.ミーティングスペースの設置

オフィスの一角にオープンなミーティングスペースを設けると、会議室を利用するほどでもない気軽な打ち合わせや相談をしやすく、コミュニケーションの機会が増えます。

11.フリーアドレスの導入

フリーアドレスとは、従業員が固定席を持たず、その日の仕事内容や気分によって自由に座席を選べるワークスタイルです。その日によって隣り合わせる人が異なるため、部署や役職を超えた職場コミュニケーションの活性化が期待できます。

12. カフェスペースの導入

社内に居心地の良いカフェスペースがあると、コーヒーやお茶を飲みながら、集まった従業員同士のコミュニケーションが活発になります。普段の業務では関わりのない他部署の人との偶然の出会いがあり、何気ない会話から新しいビジネスアイデアが生まれるかもしれません。

まとめ

職場コミュニケーションは、企業の成長に欠かせないものです。職場コミュニケーションを活性化することで、生産性の向上やアイデアの創出、社員定着率の向上といった効果が期待できます。職場を取り巻く環境が急激に変わり、従業員同士の交流が減りがちな昨今、コミュニケーション活性化に向けた施策が求められています。今回の記事を参考に、職場コミュニケーションの重要性を改めて見直し、活性化を図るための施策をできるものから取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

ゲーム形式で組織を活性化。チームビルディング効果の高い研修
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この記事の著者

masaki

福岡在住。大学を卒業後、大手食品メーカー勤務を経て、異業種のライターへ転身。求められている情報をわかりやすく伝えることがモットー

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