あそぶ社員研修 > お役立ち情報 > ビジネススキル > サーバントリーダーシップとは?特徴や10の特性について解説 サーバントリーダーシップとは?特徴や10の特性について解説 2024.10.28 ビジネススキル リーダーシップ リーダーシップには、さまざまな種類が存在しており、その特徴や特性も多岐に渡ります。また、時代の変化に合わせて必要とされるリーダーシップの形も変化しているため、自身に求められているリーダー像を理解しておくことが非常に大切です。リーダー職についている方のなかには、部下への指導やコミュニケーションが上手くいかず、悩んでいる方もいるのではないでしょうか。社会の変化とともに、従来の部下を動かすだけのリーダーシップでは成果が出しにくくなっています。そこで近年、注目を浴びている新しいリーダーシップの一つが、部下への奉仕や導きを優先する「サーバントリーダーシップ」です。本記事では、サーバントリーダーシップの特徴や10の特性、メリット・デメリットについて解説します。 受講者が没入して取り組むアクティビティと専門講師の講義・振り返りをブリッジすることで、翌日から業務で実践できる知識・スキルを習得⇒受講者のスキルアップとチームビルディングをはかる「あそぶ社員研修 総合資料」を無料で受け取る 目次サーバントリーダーシップとは?サーバントリーダーの特徴サーバントリーダーシップが持つべき10の特性サーバントリーダーシップのメリットとデメリット【リーダーシップを基礎から学べる】あそぶ社員研修まとめサーバントリーダーシップとは?サーバントリーダーシップは、1970年にロバート・グリーンリーフによって提唱されたものです。servant(サーバント)とは、英語で「使用人」や「召使い」を意味する言葉であり、サーバントリーダーシップでは、リーダーシップの本質は「奉仕」であると考えられています。グリーンリーフは、サーバントリーダーについて次のように語っています。「サーバント・リーダーはまずサーバントである。それは生まれながらに持つ奉仕したい感情であり、奉仕が第一である。そして意識的に選択してリードしたいと思うようになるのだ。」引用:提唱者について | NPO法人 日本サーバント・リーダーシップ協会 (servantleader.jp)グリーンリーフの考え方からも分かるように、サーバントリーダーシップでは、リーダーはフォロワー(※)に対して、指示や命令を行いません。奉仕のマインドを持ってフォロワーと接することで、相手の能力を肯定し、お互いに信頼関係を築きます。サーバントリーダーは、フォロワーに対して、厳しい態度を取らないようなリーダーかのようにも思えます。しかし、サーバントリーダーは、部下への注意やミスの指摘などを行わないわけではありません。奉仕の精神とは、フォロワーの成長を支援することが目的です。指摘や注意を明確に行うことも、フォロワーの成長を促すための奉仕であるといえるでしょう。※フォロワー……チームにおいて、リーダーを支え補佐する役割を持つ人サーバントリーダーシップと支配型リーダーシップの違い従来のトップダウン方式の組織では、リーダーが全ての決定権を持ち、フォロワーを管理する支配型リーダーシップが主流でした。一方で、フォロワーの支援を目的としたサーバントリーダーシップは、ボトムアップ型の組織での運用に適したリーダーシップであり、支配型リーダーシップとは異なるタイプのリーダーシップです。サーバントリーダーシップと支配型リーダーシップでは、リーダーとフォロワーの行動や思考に次のような違いがあります。サーバントリーダーシップ支配型リーダーシップリーダーの役割フォロワーを支援するフォロワーを管理するリーダーの目的全員の成果とキャリアアップ自身の成果とキャリアアップコミュニケーション方法フォロワーの意見を傾聴するフォロワーに指示や命令を行うミスへの対応互いに失敗からの学びを得る罰を与える影響力の根拠信頼関係立場や権力育成方法自主性を育てるマニュアルに従わせるフォロワーの行動意識やりたい気持ちで業務を行う自分で考え行動する工夫や改善に取り組む自身の業務に集中する業務の目的や目標を理解する互いに協力している意識を持つリーダーへの信頼全員で協力する意識を持つ恐怖や義務感での業務遂行指示を受け行動するマニュアル通りに作業するリーダーの機嫌を伺う業務内容のみを意識するリーダーに従う意思を持つリーダーへの不信感自己中的な意識を持つ この比較からも分かるように、サーバントリーダーシップが発揮されている組織では、「自主性や積極性の向上」「チームの連携強化」「高いモチベーションの維持」「仕事の効率化」など、ポジティブな影響が生まれます。また、ビジネスにおいてフォロワーは、顧客と最も近い関係にあることが少なくありません。フォロワーの意見を取り込み、組織運営を行うサーバントリーダーシップでは、顧客ニーズへの対応力が高い組織になる可能性があります。参考:01_リーダーシップを発揮しよう テキスト – 厚生労働省(PDF)リーダーシップの理論・種類については、以下の記事で詳しく紹介しています。リーダーシップの種類と特徴をわかりやすく解説退屈になりがちな研修、あそびで楽しくしませんか?⇒「あそぶ社員研修」の資料を見てみたい サーバントリーダーの特徴サーバントリーダーは、業務を行ううえで、従来のリーダー像とは異なる特徴を持っています。ここでは、サーバントリーダーシップを発揮できるリーダーの特徴について見ていきましょう。自身を支援者と認識するサーバントリーダーシップにおいて、リーダーはあくまでもフォロワーを支えるための支援者です。組織の中心となって、チームメンバーを先導するのではなく、奉仕の精神を持ってフォロワーをサポートし、陰からリードすることで、組織全体にポジティブな影響を与えます。つまりサーバントリーダーは、組織の主役ではなく、縁の下の力持ちのような存在といえるでしょう。常に学習する姿勢を心がけるサーバントリーダーは、フォロワーのミスを学習する機会と捉え、次の業務に活かすように心がけます。従来のリーダーでは、ミスが発生した際に、自身の経験測やスキルによって問題を解決していました。しかし、サーバントリーダーは、フォロワーの意見や考え方などを聞き入れるため、新たな解決の手法を見つけ出すことができます。つまり、サーバントリーダーシップでは、フォロワーのミスはリーダーが新たに学ぶチャンスなのです。このような意識を持ちながら、常に学習する姿勢をリーダーが保つことで、フォロワーの成長を促すことができます。フォロワーの成功を目標とするサーバントリーダーは、自らが高いスキルを持って業務を遂行し、成果をあげる従来のリーダーシップのスタイルではありません。フォロワーの業務遂行をサポートし、フォロワー一人ひとりの目標達成やチーム全体での目標達成が、サーバントリーダーシップにおけるリーダーの目標です。フォロワーの能力が最大限に発揮できる環境を整えるフォロワーの特性や能力に合わせた人材配置を行うことは、フォロワーの能力を最大限に発揮することに繋がります。そのため、リーダーはフォロワーの特性や能力について把握しておく必要があるでしょう。サーバントリーダーシップを発揮するには、普段からしっかりとコミュニケーションをとり、フォロワーについて深く知るための努力が必要です。人材こそが最も価値のある資源と認識するサーバントリーダーは、組織において最も価値のある資源が「人材」であることを忘れてはなりません。従来の組織では、フォロワーは管理すべき対象であり、利益を確保するための資源の一つであるといった考え方でした。しかし、サーバントリーダーシップでは、フォロワーの働きやすい環境づくりに取り組むことが優先されます。グリーンリーフの言葉である「人は仕事のために存在すると同様に仕事は人のために存在する」という意識を持ち、人材を大切にする組織風土を形成することも、サーバントリーダーにとって重要な役割です。参考:サーバント・リーダーシップの諸理論と事例研究(PDF)サーバントリーダーシップが持つべき10の特性サーバントリーダーとして、リーダーシップを発揮するには、いくつかの特性を身に付ける必要があります。ここでは、サーバントリーダーシップの研究者であるラリースピアーズが示した、サーバントリーダーが持つべき10の特性を紹介します。1.傾聴(Listening)サーバントリーダーは、フォロワーの意見をしっかりと聞き入れる姿勢を持たなければなりません。自身の意見をフォロワーに押し付けるのではなく、フォロワーの意見を取り入れることが大切です。まずは、自身がどのようにフォロワーをサポートでき、役立てるのかを考えましょう。また、仕草や態度などから、相手の気持ちを理解し寄り添う姿勢も、傾聴に含まれるサーバントリーダーの特性です。2.共感(Empathy)共感とは、相手の立場に立ち、物事を考えることです。共感力を持つサーバントリーダーは、常にフォロワーの立場から物事を捉えることができ、相手が何を必要としているのかを理解できます。自身の考えを理解してくれるリーダーがいる状況では、フォロワーは安心感を持って業務を遂行できるため、より大きな成果を生み出すことができるでしょう。3.癒し(Healing)チーム単位での業務は、上司からの厳しい指摘やチーム内での意見の相違などによって、メンバーの心を傷つけてしまう可能性があります。そのため、サーバントリーダーは、フォロワーの精神面に気を配り、癒しのスキルを身に付けることが大切です。心の傷をケアすることで、フォロワーは本来の力を取り戻し、業務に専念することができます。4.気づき (Awareness)周囲に気を配り、チーム内の状況や変化への「気づき」を得ることは、リーダーにとって大切な能力です。また、サーバントリーダーは、多角的な視点や公平な思考などに基づいた「気づき」を、フォロワーに与えるべき立場にあります。自身とフォロワーの両方を正しく知り、倫理観や価値観の向上に努めましょう。特に、サーバントリーダーにとって、「自分への気づき(self-awareness)」は、リーダーシップを発揮するためには欠かせません。5.説得(Persuasion)サーバントリーダーは、フォロワーとのコンセンサス(合意)を意識しなければなりません。リーダー権限による指示や命令ではなく相手の意見を尊重するサーバントリーダーは、互いの意見が一致する、最適な答えを導きだす必要があります。服従や強制ではなく、互いが納得できる答えに基づいた説得を行いましょう。6.概念化 (Conceptualization)サーバントリーダーには、チーム全体での「大きな夢」や「目標」を明確に示す力と、正確に伝える力が必要です。共通の夢や目標を持つチームは、一体感を持って、業務に取り組むことができるため、大きな成果をあげやすい傾向にあります。次のようなグリーンリーフの言葉にもあるように、サーバントリーダーシップには「夢」の存在が非常に重要です。夢を持たなければ何も起こらない。何か偉大なことがおきるには、そこに夢がなければならない。 偉大なことの背景には偉大な夢をもった夢見る人がいる。参照:提唱者について | NPO法人 日本サーバント・リーダーシップ協会 (servantleader.jp)7.先見力、予見力(Foresight)「先見力・予見力」とは、過去の事例や現状などに基づいて、未来の出来事を予測する能力です。リーダーがチームに起こる将来的なリスクを把握しておくことで、被害を最小限に抑えることができます。さまざまなリスクからフォロワーを守るためにも、サーバントリーダーには先見力や予見力が必要です。8.執事役 (Stewardship)執事役とは、「大切なものを任せても信頼できると思われるような人」を指す言葉です。サーバントリーダーは、自身が利益を得ることよりも、フォロワーに利益を与えることに喜びを覚えます。そのため、信頼関係を獲得し、フォロワーにとっての執事役になることが、サーバントリーダーの目的ともいえるでしょう。9.人々の成長に関わる (Commitment to the Growth of people)サーバントリーダーは、フォロワーが成長するために、自身がサポートできることを常に考え、行動していく必要があります。フォロワー一人ひとりの資質や特性を把握し、それを活かす教育に取り組むことが、サーバントリーダーの役割です。フォロワーとのコミュニケーションによって、個性や能力を見極め、一人ひとりの成長を促すことにコミットします。10.コミュニティづくり (Building community)同じチームのメンバーが信頼関係を築き、互いに成長できるコミュニティ環境を形成することも、サーバントリーダーの役割です。リーダーのみが配慮をしている組織では、メンバーの連携力は高まりません。次世代のサーバントリーダーを育成するためにも、メンバー間で配慮し協力できる環境のコミュニティ形成は不可欠です。参照:スピアーズによるサーバント・リーダーの属性 | NPO法人 日本サーバント・リーダーシップ協会 (servantleader.jp)サーバントリーダーシップのメリットとデメリット部下への奉仕を優先するサーバントリーダーシップには、その性質上メリットとデメリットが存在しています。サーバントリーダーシップを活用するためにも、メリットとデメリットをしっかり理解しておきましょう。サーバントリーダーシップのメリットサーバントリーダーがリーダーシップを発揮することで、組織は以下のようなメリットを得られます。フォロワーの自主性が育まれるサーバントリーダーの基では、フォロワーの意見や考えが組織運営に反映されます。そのため、フォロワーは指示を受けて行動するのではなく、自身の意思によって業務を遂行するようになります。積極性の高いフォロワーで構成された組織は、より大きな成果を生み出すでしょう。フォロワーのモチベーション向上一人ひとりの個性や能力を理解し、適材適所の配置を行うサーバントリーダーシップでは、フォロワーが高い労働意欲を持って、業務を遂行できます。また、サーバントリーダーシップが発揮されている組織では、ミスに対して処罰などのマイナス行動が取られないため、高いモチベーションを持って、新たな業務にチャレンジすることができます。サーバントリーダーシップのデメリット一見、メリットのみが存在するように思われるサーバントリーダーシップですが、サーバントリーダーシップが向いていない組織では、マイナスの効果が生まれてしまう可能性もあります。フォロワーの経験値が少ない組織では機能しづらいフォロワーの自主性が重要なサーバントリーダーシップでは、フォロワー自体にある程度の経験が求められます。経験が少ないチームに対して、サーバントリーダーシップでの働きかけを行えば、フォロワーが自身の役割を理解できず、業務の遂行が困難になってしまいます。意思決定に時間がかかるサーバントリーダーシップでは、一人ひとりの意見を組織運営に取り入れるため、新たな方針などを決める際に、膨大な時間がかかってしまいます。素早い意思決定が必要なプロジェクトチームなどでは、サーバントリーダーシップが欠点となることがあるでしょう。【リーダーシップを基礎から学べる】あそぶ社員研修「あそぶ社員研修」は、受講者全員が没入して取り組むアクティビティ・振り返り・講義をブリッジすることで学びを最大化させ、翌日から業務で活かせる知識・スキルが身につく講義・アクティビティ一体型の研修プログラムです。⇒あそぶ社員研修の資料を無料で受け取る以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。1.リーダーシップ研修リーダーシップ研修のアクティビティ「グレートチーム」では、チームの運営を疑似体験することでリーダーシップやマネジメントを学びます。学びのポイントメンバーのリソース管理や育成、リーダーとしての決断を繰り返すことで、いろいろなリーダーシップの型を知ることができる現代に合わせたリーダーシップの発揮の必要性を知り、⾃分らしいリーダーシップを学べる⇒リーダーシップ研修の資料を無料で受け取る2.クリティカルシンキング研修クリティカルシンキング研修のアクティビティ「混乱する捜査会議からの脱出」では、推理ゲームで論理的に情報を整理するなかで証拠の違和感に気づき、仮説立てや検証を行って目標を達成します。学びのポイント証拠品や証言など多くの情報を手分けして読み、組み合わせて論理的に結論を導き出すフェーズが進むごとに情報が増え、複雑になっていくなかで必要な情報を取捨選択する出た結論に満足せず、常に新しい情報と照らし合わせて再検証する⇒クリティカルシンキング研修の資料を無料で受け取る3.合意形成・アサーティブコミュニケーション研修合意形成・アサーティブコミュニケーション研修のアクティビティ「コンセンサスゲーム」では、危機的な状況下でどの物資を優先して確保すべきかをチーム内で議論し、最適な結論を導きます。学びのポイント各々が個人ワークで考えた答えを聞くことで、チームメンバーの状況に対する認識や物資の重み付けの違いを受講者が理解する話し手は自分の答えにいたった理由を論理的・説得的に説明するより良い根拠を導き出すための比較検討をして、チーム全員が納得する結論を出す⇒合意形成・アサーティブコミュニケーション研修の資料を無料で受け取る4.OODA LOOP研修OODA LOOP研修では、瞬間的な判断力が求められる運動系のアクティビティである「サバイバルゲーム」または「チャンバラ合戦」を実施することで、意思決定のフレームワークである「OODA LOOP」を実践的に習得することを目指します。学びのポイント敵チームをよく観察して作戦を練り、状況に応じた行動を素早く判断しながら、チームで共有して一体となって行動するミッションの勝利条件をもとに、観察、判断、行動を繰り返すことで、本当にすべき行動が何なのか、行動の最適化を行う⇒OODA LOOP研修の資料を無料で受け取る まとめ時代が変化するにつれて、従来の支配型リーダーシップではない、サーバントリーダーシップが求められつつあります。現代では、一人ひとりの個性や能力を活かす組織づくりが注目されており、サーバントリーダーは、その特徴や特性上、フォロワーからの意見を取り入れるボトムアップ型の組織に向いています。しかし、サーバントリーダーには、メリットだけでなくデメリットも存在しているため、しっかりと理解しておくことが大切です。所属している組織の形を理解し、自身の求められているリーダー像を知っておくことで、リーダーシップを発揮できる貴重な人材になるでしょう。 「あそぶ社員研修」は、受講者全員が没入して取り組むアクティビティと専門講師の講義・振り返りをブリッジすることで、翌日から業務で活用できる知識・スキルが身につく研修プログラムです。アクティビティが受講者の主体性を高めてコミュニケーションを促進させ、スキルアップやチームビルディングをはかれます。⇒あそぶ社員研修 総合資料を受け取る 研修の相談をする この記事の著者 あそぶ社員研修編集部 あそぶ社員研修は、企業の研修担当者向けのお役立ち情報を発信するメディアです。研修に関するノウハウ、組織・人材開発の手法、ビジネススキルなどをわかりやすく紹介します。 ロジカルシンキングを鍛えるグループワーク5選 コミュニケーションプランとは?作成するメリットや作り方を紹介 よく読まれている記事 2023.09.28 エンゲージメントとは?ビジネスにおける意味や重要性を解説 組織・人材開発 2023.09.28 チームビルディングとは?チームづくりのポイントや具体例を含めて網羅的に解説 組織・人材開発 2023.09.26 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