職場のコミュニケーションによるストレスを解消する方法

2023.09.27
  • 組織・人材開発
    • コミュニケーション

仕事や職場にストレスを抱えながら、日々業務に取り組んでいる人は少なくありません。ストレスにはさまざまな要因がありますが、なかでも「人間関係」や「コミュニケーション」は大きな割合を占めているようです。

本記事では、職場のストレスに関するデータを紹介し、そもそもストレスとは何か、社員のストレスを放置するとどうなるのか、近年注目を集める「心理的安全性」とストレスの関係、職場のコミュニケーションに関するよくある悩みと解消法、コミュニケーションの促進につながる研修の例を紹介します

 

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職場のストレスの多くはコミュニケーションによるもの

日本労働組合総連合会が実施した「コロナ禍における職業生活のストレスに関する調査2022」によると、74.3%の労働者が、現在仕事や職業生活に関してストレス(強い不安、悩み、ストレス)を感じていることがわかりました。ストレス要因の1位は「職場の人間関係」で、30.9%となっています

また、コロナ禍以降のハラスメント遭遇率は、パワー・ハラスメントが60.2%と最も多く、次いでセクシュアル・ハラスメントが42.8%、カスタマー・ハラスメントが39.4%でした。ハラスメントの多くが、同僚や上司、顧客とのコミュニケーションの中で起こっているのです。

コミュニケーションによるストレスを放置すると、心理面、身体面、行動面に不調が現れ、仕事や日常生活に支障をきたすこともあります。企業は、業務を円滑に進めるため、そして社員の心身の健康を守るために、コミュニケーションに関するストレス要因を減らす工夫をする必要があります。

参考:コロナ禍における職業生活のストレスに関する調査2022 – 日本労働組合総合連合会(PDF)

そもそもストレスとは

ストレスは、もともとは物理学の分野で用いられていた言葉です。外側からの圧力(ストレッサー)により、物体にゆがみが生じた状態のことを指します

心理学の分野では、ストレス要因を「ストレッサー」、それにより心や身体に生じるさまざまな反応を「ストレス反応」といいます。ストレッサーは、主に以下の3種類に分けられます。

  • 物理的ストレッサー……暑さ、寒さ、騒音、混雑 など
  • 化学的ストレッサー……郊外物質、酸素欠乏・過剰、一酸化炭素 など
  • 心理・社会的ストレッサー……人間関係の問題、仕事の問題、家庭の問題 など

職場のコミュニケーションによるストレスは、心理・社会的ストレッサーに当てはまります。

社員のストレスを放置するとどうなるのか

ストレスを受けると、心理面、身体面、行動面にさまざまなストレス反応が現れます。

  • 心理面……活気が低下する、イライラする、不安になる、気分が落ち込む、興味が湧かなくなる など
  • 身体面……頭痛、肩こり、腰痛、目の疲れ、動機、息切れ、不眠、食欲低下 など
  • 行動面……お酒やタバコの量が増える、ミスやヒヤリハット多くなる など

これらを放置すれば、業務の質・効率も下がってしまうでしょう。それだけでなく、心身に不調をきたし、休職や離職につながってしまうこともあるかもしれません。社員のこのような症状に気づいたら、できるだけ早めの対処が必要です。

参考:1 ストレスとは:ストレス軽減ノウハウ|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト – こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

コミュニケーションのストレスを軽減するポイントは「心理的安全性」

チームワークや生産性を高めるためのキーワードとして、近年「心理的安全性」という言葉が注目を集めています。心理的安全性が低い環境では、社員がストレスを感じやすくなるといわれています。ここからは、心理的安全性とは何か、高めるメリット、心理的安全性とコミュニケーションとの関係性を解説します。

心理的安全性とは

心理的安全性とは、チームのほかのメンバーの反応に怯えることなく、自分の意見を言えたり、思ったとおりに行動できたりする状態のことをいいます。1999年にハーバード・ビジネス・スクールのエイミー・C・エドモンドソン教授により提唱された概念で、「psychological safety(サイコロジカル・セーフティ)」という心理学用語を日本語に訳した言葉です。

心理的安全性が高い環境とは、皆が好き勝手に発言できるアットホームな「仲良しグループ」を指すわけではありません。共通の目的のためにメンバーがお互いを高め合い、自分だけが異なる意見を出しても拒否されたり、人間関係が壊れたりすることがなく、話し合いにより全員でより良い結果を出せる、とメンバー全員が思っている状態のことを意味します。逆に、心理的安全性が低い環境では、ほかのメンバーの目や気持ちを気にして、自発的に発言したり行動したりすることを控えるようになります。

参考:「チームが変わり生産性が劇的に上がる!心理的安全性の築き方見るだけノート」(著者:山浦一保 / 出版社:宝島社)

心理的安全性については、以下の記事で詳しく紹介しています。

心理的安全性とは?作り方・高め方、計測方法、ぬるま湯組織との違いを解説

心理的安全性を高めるメリット

心理的安全性を高めると、エンゲージメントの向上が期待できます。心理的安全性に関する研究は複数ありますが、アイルランドでは、心理的安全性は経営陣やチームメンバーへの信頼から生まれ、それによりエンゲージメント向上が促されるという研究結果が出ています。

参考:ワーク・エンゲージメントの向上を心理的安全性とフォロワーシップから考える – SOMPOインスティチュート・プラス(PDF)

また、株式会社ヒューマネージは、ストレスチェックとエンゲージメントサーベイの結果を分析し、「社員のエンゲージメントを向上させることがストレス反応の軽減につながる」ことを明らかにしました。具体的には、ジョブ・クラフティング(自ら仕事をやりがいのあるものに変えること)が高い人ほどエンゲージメントが高く、心身の状態が良いという結果が出ています。ジョブ・クラフティングは、上司や部下、取引先と良好な関係を構築することでも高められます。

参考:エンゲージメントを高めることが、ストレス反応の軽減につながる。注目が高まる「エンゲージメント」と「ストレス」の関係が明らかに|株式会社ヒューマネージのプレスリリース

これらの研究・調査の結果から、仕事でかかわる人と信頼関係を築けると心理安全性が高まり、エンゲージメント向上、さらにストレス軽減といったメリットも期待できるということがわかります。

コミュニケーションが活発な職場は心理的安全性が高い

前項でもお伝えしたように、心理的安全性は仕事でかかわる人への信頼から生まれます。信頼関係を築くためには、コミュニケーションが欠かせません。企業が社員の心理的安全性を確保するためにできることは、職場のコミュニケーション活性化です

エン・ジャパン株式会社が実施した「職場でのコミュニケーション」に関するアンケート調査では、「職場でのコミュニケーションがとれている」と回答した約6割の人のうち、74%が「心理的安全性がある」と感じていることがわかりました。一方、「職場でのコミュニケーションがとれていない」と回答した人は、そのうち94%が「心理的安全性がない」と答えています。

また、「心理的安全性がある」理由として最も多かったのは、「他愛のない雑談ができるから」(75%)でした。心理的安全性を確保するためには、日頃から気軽なコミュニケーションをとることが大切であることがわかります

参考:8,900人が回答!「職場でのコミュニケーション」調査 ー『エン転職』ユーザーアンケートー6割超が「職場でのコミュニケーションが取れている」と回答。 「心理的安全性がある」と回答したのは全体の45%。 心理的安全性を感じられる理由、第1位は「他愛のない雑談ができるから」。 | エン・ジャパン

職場のコミュニケーションに関するよくある悩みと対処法

では、働く人は具体的にどのようなことにストレスを感じているのでしょうか。もちろん、悩みは人それぞれ違いますが、ここからは、職場のコミュニケーションに関するよくある悩みと、その解消法を紹介します。

コミュニケーションが不足している

先ほど紹介しましたエン・ジャパン株式会社のアンケート調査では、36%が「職場でのコミュニケーションが取れていない・どちらかといえば取れていない」と回答しています。コミュニケーションが取れないことでどのようなことに影響があるかという質問に対しては、「ストレス」という回答が最も多くなりました(20代と30代は67%、40代以上は62%)。具体的には、「意思疎通ができないため業務に支障が出る」「苦痛を感じる」などの声が上がっています。

参考:8,900人が回答!「職場でのコミュニケーション」調査 ー『エン転職』ユーザーアンケートー6割超が「職場でのコミュニケーションが取れている」と回答。 「心理的安全性がある」と回答したのは全体の45%。 心理的安全性を感じられる理由、第1位は「他愛のない雑談ができるから」。 | エン・ジャパン

また、日本労働組合総連合会の調査でも、コロナ前と比べてストレスが増えた人は、コミュニケーション不足を感じている傾向が見られましたリモートワークなどによりほかの社員と顔を合わせる機会が減り、孤独や不安を感じている人も多いようです。

参考:コロナ禍における職業生活のストレスに関する調査2022 – 日本労働組合総合連合会(PDF)

人事担当者が実施できる対処法

職場のコミュニケーションを活性化させる方法にはさまざまなものがあります。飲み会や交流会を開催したり、社内サークルや部活をつくったりするのも一つの方法です。

また、日頃からさまざまな人とかかわる機会をつくるためには、オフィス環境を工夫するのも一案です。具体的なアイデアとしては、社員の固定席を設けないフリーアドレス制を導入する、オフィス内にリフレッシュスペースやミーティングスペースを確保するなどが考えられます。

また、リモートワークやフレックスタイム制などの多様な働き方を用意している企業であれば、チャットや社内SNSなどのコミュニケーションツールを活用すると、電話やメールよりも気軽なコミュニケーションをとりやすくなります。

年上部下にどう接して良いのかわからない

近年は、年齢や勤続年数にとらわれない「成果主義」の人材登用を進める企業も増えています。それに伴い、年上の部下を持つ管理職やリーダーも多くなっています。年上の部下に対する悩みには、たとえば以下のようなものがあります。

  • 指示どおりに動いてくれない。
  • どのような態度・話し方がベストなのかわからない。
  • 直してほしいところがあっても、アドバイスの仕方がわからない。
  • 報告・連絡・相談(ホウレンソウ)が少ない。

人事担当者が実施できる対処法

一口に「年上部下」といっても、性格や行動特性は人によって異なります。まずは、上司と部下のそれぞれにお互いのこと深く理解してもらい、信頼関係を築いてもらうことが大切です。そのために、「月に1度1on1ミーティングを実施する」など、コミュニケーション活性化につながるようなルールを設けるのも一つの方法です。

また、最近では年上部下を持つ管理職やリーダー向けの研修を提供する企業も増えています。管理職やリーダーにこういった研修を受講してもらい、年上部下に対する接し方や心構えを学んでもらうという方法もあります。

上司・先輩に不満がある

株式会社ジャストイットが2020年に社会人1年目となる男女100人に対して実施した、仕事の悩みについてのインターネット調査では、31人が「人間関係がうまくいかない」、30人が「いつも上司や先輩に怒られる」ことが悩みであると回答しています。具体的には、「上司や先輩によって仕事のやり方が違うのでどれを信じていいかわからない」「ほかの人がいる前できつく怒られた」などの声がありました。

参考:【社会人1年目の仕事の悩みに関するアンケート調査】仕事の悩み第1位は「残業が多い」|株式会社ジャストイットのプレスリリース

人事担当者が実施できる対処法

まず、仕事のやり方については統一すべきです。マニュアルをつくる、新入社員が入社する前に指導法についての研修を行うなどして対応しましょう

そして、「ほかの人がいる前で厳しく叱責する」ことは、ハラスメントに該当する可能性があります。気づかないうちにハラスメントの加害者となっているケースもありますので、社員に対してハラスメントに関する研修を実施し、正しい知識を持ってもらいましょう。

コミュニケーション促進につながる研修の例

職場のコミュニケーションを活性化させるために、社内で研修を実施するのも一つの方法です。最後に、コミュニケーションの促進につながる研修の例を紹介します。

合意形成研修

チーム内で意見が食い違ったときに、多数決などではなく議論により意見を一つにまとめることを「合意形成」といいます。合意形成研修では、その過程を体験することができます。

株式会社IKUSAの「合意形成研修」は、あるシチュエーションにおけるアイテムの優先順位をチームで話し合って決めていきます。まずは個人で考え、そのあと全員で話し合ってチームとしての答えをまとめていきます。ほかのメンバーの価値観や、コミュニケーションの重要性を学ぶことができます。

オンラインでも実施可能なので、リモートワーク体制の企業にもおすすめです。

体験型合戦研修IKUSA

体験型合戦研修IKUSA」は、チャンバラ合戦を取り入れた実践型の研修です。

チャンバラ合戦とは、スポンジの刀で相手の腕についたボールを落とすというアクティビティです。身体を動かすことで緊張がほぐれ、普段はあまり接点がない人や、話しにくい上司や先輩とも、自然とコミュニケーションが活発になるでしょう。また、チームで軍議と合戦を繰り返す中で、PDCAサイクルを体感できます。

チャンバラ合戦は、年齢や性別に関係なく楽しめるアクティビティなので、内定者研修や新人研修、リーダーシップ研修、チームビルディング研修など、さまざまな研修におすすめできます。

サバ研

サバ研」は、サバイバルゲームを取り入れた体験型の研修です。近年注目を集めている意思決定のフレームワーク「OODAループ」を楽しみながら学ぶことができます。OODAループとは、Observe(みる)・Orient(わかる)・Decide(きめる)・Act(うごく)の4つのステップを高速で回すことで、素早く最適な判断を下せるようになるというものです。

「サバ研」では、チームのメンバー一人ひとりに異なる役割が与えられます。そのため、チームの中に一人でも手を抜くメンバーがいたら勝つことはできません。全員が力を合わせ、自分の役割を果たすために動き続ける必要があります。また、仕事から離れることで、メンバーの新たな一面が見えることもあり、相互理解も深められるでしょう。

まとめ

多くの人が、職場でのコミュニケーションに関してストレスを感じています。ストレスを放置すると、業務効率や生産性に悪い影響が出るだけでなく、心身のバランスが崩れてしまい、休職または離職につながる可能性もあります。社員の健康を守るために、コミュニケーションの促進につながる研修を実施する、オフィス環境を工夫する、コミュニケーションツールを導入するなどして、コミュニケーションの活性化を図りましょう。

 

アイスブレイクとアクティビティでコミュニケーションを促進させる「あそぶ社員研修」は、受講者全員の主体性を高め、置いていかれる社員を作らない研修プログラムです。講義による学びの定着を促し、翌日からの業務に役立てることができます。

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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。
不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。
猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

あらたこまち

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