マネジメントサイクルとは?PDCAサイクルとその他の手法、回すポイントを紹介

2023.09.29
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業務改善や効率化を図るフレームワーク「PDCAサイクル」は、マネジメントサイクルの代表的な手法の一つでもあります。企業やチームが成果を上げるためには、このマネジメントサイクルをうまく回していくことが大切です。

本記事では、マネジメントサイクルとは何か、代表的な手法であるPDCAサイクルとその他の手法、マネジメントサイクルを回す上で大切なこと、マネジメントサイクルの事例を紹介します

 

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マネジメントサイクルとは

管理(マネジメント)機能をサイクルとして捉えたもののことを、マネジメントサイクルといいます管理機能とは、経営者が出した方向性を、販売や生産、購買などといった各業務の中で具体化して、遂行と管理を行う機能のことです。「管理者の役割」と考えると分かりやすいでしょう。

管理者とは、各業務機能に置かれる職務範囲を限定した責任者のことです(事業部長、部門長、課長など)。管理者には、経営者が提示した戦略や意思決定に基づいて、自身が担当する範囲における戦略の方向性を具体化し、遂行・管理するという役割があります。

マネジメントサイクルの手法については後ほど詳しく紹介しますが、「PDCAサイクル」や「PDSサイクル」などが代表的です。手法によってプロセスは異なりますが、具体的には「計画を立てて実行する」「結果を分析・評価する」「改善を図る」といった一連の流れを繰り返していきます。経営管理だけでなく、生産管理やISO(※)の仕組みにも応用されている手法です。

※ISOとは……International Organization for Standardization(国際標準化機構)の略称。国際的に通用する規格・基準をつくる組織。

マネジメントサイクルが必要な理由

しっかり計画を立てても、いざ実行してみると、内容が適していないことに気づいたり、改善点が見つかったりすることがあります。目的を達成するためには、計画を実行するだけでなく、取り組みの結果を分析してさらに改善を図るといった一連の活動が必要になります。これが、マネジメントサイクルです。

マネジメントサイクルを回すことで、方向性にズレが生じていた場合にも速やかに軌道修正できるようになります。また、回し続けることで改善のノウハウも蓄積できるため、当初の計画を一層レベルアップさせていくことが可能になります。

参考:『「経営学の基本」がすべてわかる本』(著者:土方千代子、椎野裕美子 / 出版社:秀和システム)

代表的なマネジメントサイクル「PDCAサイクル」とは

マネジメントサイクルの代表的な手法に、PDCAサイクルがあります。Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)の4ステップを繰り返し回していくというものです。

  1. Plan(計画)……目標を設定して達成に向けた計画を立てる
  2. Do(実行)……計画のとおり取り組み内容を実行する
  3. Check(評価)……取り組みの結果を分析・評価する
  4. Action(改善)……評価に基づき改善案を検討する

管理者は、計画や評価などをマネジメントして、部下に実行させます。ここからは、PDCAの各ステップで管理者が実施することを、詳しく解説していきます。

1.Plan(計画)

Plan(計画)では、管理者は経営者が出した戦略や意思決定を踏まえて、自身が担当する範囲でいつまでに何をするのかを決めます。具体的には、明確な目標を立て、それを達成するための計画を立てていきます

目標には、定量目標と定性目標があります。定量目標とは、「売上10%アップ」「経費20%削減」のように数値で表した目標のこと。定性目標とは、「お客様に丁寧に接する」「コミュニケーションを活性化させる」のように状態を言葉で表した目標のことです。定性目標だけでは、3つめのステップのCheck(評価)を行うのが難しくなるので、できるだけ定量目標を設定しましょう。

そして、目標には期限も設定し、その目標を期限内に達成できるような計画を立てていきます。

次のDo(実行)ステップで、実際に計画を実行するのは管理者ではなく部下となります。目標や計画をできるだけ明確にすることで、部下は自分のやるべきことを理解しやすくなり、仕事に対するモチベーションを維持しやすくなります。

2.Do(実行)

Do(実行)では、Plan(計画)で決めたことを実行に移しますこのステップでのポイントは、できるだけ活動記録を残しておくこと。実行してみて気づいた課題、計画どおりにいかなかったこと、良かったことや得られた成果も記録しておきます。そうすることで、次のCheck(評価)が進めやすくなります。

また、管理者は部下と積極的にコミュニケーションをとることも大切です。管理者と部下との間でしっかり情報共有ができていないと、PDCAサイクルが円滑に回らなくなります。方向性のズレに気づけず、対処が遅れてしまうこともあるかもしれません。営業支援ツールなどPDCAサイクルを「見える化」するツールを導入するなどして、進捗状況をタイムリーに把握できる仕組みをつくっておくのがおすすめです。

3.Check(評価)

Check(評価)では、実行した取り組みの結果を分析・評価します「どうなったか」よりも「どうしてそうなったか」を正しく分析することがポイントです。

たとえば、計画どおりに実行できなかった部分があったなら、それはなぜなのかを分析しましょう。

  • 目標やスケジュールは妥当だったか
  • 取り組んだテーマは適切だったか
  • 実施項目に不足はなかったか
  • どこにどんな負担がかかっていたか

このような視点から、取り組みを振り返ってみます。

また、目標を達成できたなら、それは計画を実行したことによる結果なのかを見極めましょう。うまくいった場合も、うまくいかなかった場合も、その結果に至った経緯を正しく分析して、次のサイクルにつなげていくことが大切です。

4.Action(改善)

Action(改善)では、評価に基づいて今後の取り組みの軌道修正を行います

改善案が複数ある場合は、すべて実行しようとせずに、優先度の高いもの、または高い効果が得られそうなものから次の計画に盛り込むようにしましょう。繰り返しになりますが、計画を実行するのは部下です。一度にあまりに多くの施策を実行しようとすると、部下が混乱してしまう恐れがあります。

また、「改善」とは、課題を解決することだけではありません。さらなるレベルアップを目指すことも「改善」です。うまくいったことは継続する、標準化を目指すなど、得られた成果も次の計画に反映させましょう。

マネジメントサイクルは、「円」というよりも「螺旋」のイメージで回し続けていくことがポイントです。

参考:PDCAサイクルとOODAループ – 厚生労働省(PDF)

マネジメントサイクルのその他の手法

PDCAサイクル以外にも、さまざまなマネジメントサイクルがあります。ここからは、近年注目を集めている5つのマネジメントサイクルを紹介します。

CAPDサイクル

CAPDサイクルとは、PDCAの順番を変えて、最初のステップにCheck(評価)を持ってきたものです。「CAPDo」と書いて「キャップ・ドゥ」と呼ばれることもあります。

  1. Check(評価)……現状の問題点を分析・評価する
  2. Act(改善)……評価に基づき改善案を検討する
  3. Plan(計画)……改善案をもとに具体的な計画を立てる
  4. Do(実行)……計画のとおり取り組む

計画からではなく、まず現状の評価から始まるため、自社の課題や改善点を見つけやすいというのがCAPDサイクルの特徴です。また、PDCAサイクルよりも素早く回せるということと、改善から計画までに連続性があるため、継続してサイクルを回しやすいというメリットもあります。

PDRサイクル

PDRサイクルとは、ハーバードビジネススクール教授のリンダ・ヒル氏により提唱されたものです

  1. Preparation(準備)……これから実行することと、その理由・目的を考える
  2. Do(実行)……準備したことを実行する
  3. Review(評価)……取り組みの結果を振り返り評価する

PDCAサイクルと同じく「P」で始まりますが、PDRサイクルの「P」はPreparation(準備)。しっかりとした計画は立てずに、いきなり行動に向けた準備から始まるのが特徴です。ステップも3つしかなく、スピード重視のマネジメントサイクルであるため、環境の変化にも対応しやすいといわれています。

Review(評価)は、PDCAサイクルのCheck(評価)のように、計画を実行した組織やチームで結果の分析・評価を行うのではなく、第三者から客観的に評価してもらいます。

PDSサイクル

PDSサイクルは、上図のとおり3つのステップを繰り返していくマネジメントサイクルです

  1. Plan(計画)……目標を設定して達成に向けた計画を立てる
  2. Do(実行)……計画のとおり取り組み内容を実行する
  3. See(結果の審査)……取り組みの結果を審査する

PDSサイクルは、基本的な流れはPDCAサイクルと同じですが、PDCAサイクルでいうところのCheck(評価)とAction(改善)がSee(結果の審査)という1つのステップにまとめられているため、PDCAサイクルよりも速いスピードで回せるという特徴があります。

STPDサイクル

STPDサイクルは、上図のとおり4つのステップを繰り返していくマネジメントサイクルです

  1. See (現状を見る)……情報を集めて現状を正しく把握する
  2. Think(考える)……集めた情報から課題やその原因を分析する
  3. Plan(計画する)……課題を解決するための目標と、達成に向けた計画を立てる
  4. Do(実行する)……計画のとおり取り組み内容を実行する

最初のSee(現状を見る)のステップでは、現場調査やアンケート調査などにより情報を集めます。まず現状を把握するところから始まるので、目指す姿と現状とのギャップを把握してから計画を立てることができます。このような特徴があることから、より管理者向けのフレームワークであるといわれています。

OODAループ

OODA(ウーダ)ループは、アメリカ空軍のジョン・ボイド氏が提唱した意思決定のフレームワークです

  • Observe(観察)……周囲の状況を観察して生データ(※)を集める
  • Orient(状況判断)……集めた生データからどんな状況なのかを判断する
  • Decide(意思決定)……状況判断に基づいて実行すべきことを決める
  • Act(行動)……決めたことを計画に沿って実行する
(※)生データとは、たとえば業界のトレンドや新技術に関する情報、客層、顧客の行動に関するデータなどです。

OODAループは、これまでに紹介した他の手法のようにアルファベット順に一方向に回していくのではなく、同時並行的に、時には戻りながらマネジメントしていきます。正確にはマネジメント「サイクル」ではありませんが、PDCAサイクルよりも高速で回せる、環境の変化に対応しやすいというメリットがあり、近年注目されています。

マネジメントサイクルを回す上で大切なこと

マネジメントサイクルをうまく回していくためには、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。ここからは、マネジメントサイクルを回す上で重要な2つのポイントを解説します。

動機づけとコミュニケーション

先ほどもお伝えしたように、計画を実行するのは管理者ではなく部下です。計画どおりに進めていくためには、部下への動機づけとコミュニケーションが欠かせません。

マネジメントサイクルの代表的な手法として紹介したPDCAサイクルは、アメリカの統計学者であるW・エドワーズ・デミング氏が提唱した「デミング・サイクル」という考え方が基になっているといわれています。「デミング・サイクル」は、もともとはマネジメントサイクルではなく、クオリティコントロールとして生まれたものでした。そのためPDCAサイクルには、動機づけやコミュニケーションといった「人」対するステップが足りないといわれています。

PDCAサイクルだけでなく、ここまでに紹介したどのマネジメントサイクルにも「人」に対するステップはありませんが、マネジメントサイクルをうまく回していくためには、実行段階(PDCAサイクルならD)で部下に動機づけを行うこと、管理者から積極的にコミュニケーションをとることが重要です

参考:『(対談)経営の視点からITを考える ~ドラッカーの経営哲学に学ぶIT経営論~』 – 公益財団法人日本生産性本部(PDF)

手法の特徴を理解し使い分ける

紹介したように、マネジメントサイクルにはさまざまな手法があります。それぞれの特徴を理解し、目的や状況に適したものを採用することが大切です。

たとえば、PDCAサイクルには以下のようなメリット・デメリットがあります。

PDCAサイクルは、中長期的な目標に向いているマネジメントサイクルといえます。企業全体の目標や大きなプロジェクトはPDCAサイクルで達成を目指し、チームや個人単位ではPDSサイクルやOODAループで業務効率化や改善を図っていくというように、手法を使い分けることで大きな成果につながりやすくなるでしょう

マネジメントサイクルの事例

最後に、マネジメントサイクルの事例を紹介します。

1.株式会社良品計画

株式会社良品計画が運営する生活雑貨店「無印良品」には、膨大な量のマニュアルがあります。無印良品店舗の業務マニュアルは2000ページ、本社業務のマニュアルは6600ページもあるそうです。

無印良品のマニュアルの特徴は、実際にマニュアルと使う人により更新され続けるボトムアップ型であるという点です。現場でマニュアルを使い、問題点や改善点が見つかれば現場スタッフが改善案を提案します。そして、現場の声を受けてマニュアルは更新され、その都度朝礼で共有するというサイクルが構築されているのです。

以前の無印良品は、各店舗の店長に店づくりが任されていました。スタッフの指導法も店ごとに違ったため、店の雰囲気や接客サービスにバラつきがありましたが、このマニュアルができたことで、業務が円滑に進むようになっただけでなく、どの無印良品に入っても顧客に「無印らしさ」を感じてもらえるようになったそうです。

参考:無印良品は2000+6600ページの「マニュアル」で生き返った | DIAMOND SPECIAL | ダイヤモンド・オンライン

2.株式会社ニトリホールディングス

株式会社ニトリホールディングスには、「観・分・判」というマネジメントサイクルが社内に根付いています。「観・分・判」とは、以下の3つのステップ、観察・分析・判断を略したものです。

  1. 観察……問題点を見つける
  2. 分析……見つけた問題点を分析する
  3. 判断……改善案を考える

株式会社ニトリホールディングスの社員は、社内で週次・月次で「観・分・判」を回しながら、日々業務に取り組んでいます。創業者の似鳥昭雄氏の著書『ニトリの働き方』には、この「観・分・判」を繰り返す社員たちの体験談が記載されています。

参考:【ニトリ創業者が自ら明かす 好業績支える働き方とは】 | NIKKEIリスキリング

まとめ

マネジメントサイクルには、PDCAサイクルをはじめさまざまな手法があります。万能な手法はなく、それぞれにメリット・デメリットがありますので、特徴を理解して目的や状況に応じて使い分けましょう。

また、マネジメントサイクルをうまく回すためには、実際に計画を実行する部下に対して動機づけを行うこと、管理者から積極的にコミュニケーションをとることも大切です。多くのマネジメントサイクルには「人」に対するステップがありませんが、実行段階でこれらをしっかり行うことを心がけましょう。

 

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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。
不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。
猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

あらたこまち

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