ビジネスマナーとは?基本のマナー、人材育成のポイントを紹介

2023.09.27
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社会に出てまず身につけなくてはいけないのが、ビジネスマナーです。一口にビジネスマナーといっても、身だしなみや挨拶、言葉づかい、電話対応、名刺の渡し方・受け取り方など、さまざまなものがあります。

本記事では、そもそもビジネスマナーとは何か、なぜ必要なのか、身につける方法と、身につけるメリット、日本の基本的なビジネスマナーと、オンラインにおけるビジネスマナーを解説します。さらに、「社員にビジネスマナーを身につけてもらうにはどうすればいいのか」というお悩みを抱えている方に向けて、人材育成のポイントも紹介します。

 

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ビジネスマナーとは

ビジネスマナーとは、仕事をするうえで必要になるマナー全般のことです態度や振る舞いだけでなく、エチケット(礼儀作法)も含まれます

ビジネスマナーが身についていないと、ほかの社員や取引先など、一緒に仕事をする相手に不快な思いをさせてしまうかもしれません。ビジネスマナーは、仕事を円滑に進めていくためのスキルの一つともいえるでしょう。

なぜビジネスマナーが必要なのか

一般社団法人日本能率協会(JMA)が2021年にビジネスパーソン1000人に対して実施した意識調査では、次のような結果が出ています。

  • 8割を超える人が、仕事をスムーズに進めるうえでビジネスマナーが必要だと思っている(「必要」「どちらかといえば必要」の合計)。
  • 5割の人がビジネスマナーで不快な思いをしたことがある

参考:ビジネスパーソン1000人調査【ビジネスマナー編】調査結果 – 一般社団法人日本能率協会(PDF)

どんな仕事も、一人で完結できるものはほとんどありません。ビジネスマナーは、一緒に仕事をする相手と良好な関係を築くために不可欠なものです。また、一人の社員の態度や振る舞い一つで、会社や部署、チーム全体のイメージに悪い影響を与えてしまうこともあります。ビジネスマナーは、組織に属して働くなら最低限身につけておかなければならないものといえるでしょう。

ビジネスマナーを身につけることで、仕事を円滑に進められるようになり、自分にも自信を持てるようになります

ビジネスマナーを身につける方法(検定試験)

前項で紹介した一般社団法人日本能率協会の意識調査で、ビジネスマナーをどのように学んだかという質問に対しては、「上司・先輩から学んだ」という回答が最も多く34.6%、次いで「職場が企画した新入社員研修で学んだ」が34.0%、「職場が企画したマナー研修で学んだ」が20.2%となっています。

また、約3割の人が「特に学んだ機会はない」と回答しています。さらに、ビジネスマナーについて、職場で研修機会があったほうがよいと思うかかどうか、という質問に対しては、7割を超える人が「研修機会があったほうがよい」と回答しています。

参考:ビジネスパーソン1000人調査【ビジネスマナー編】調査結果 – 一般社団法人日本能率協会(PDF)

この結果から、ビジネスマナーを身につけるには研修で学ぶことが一般的であることがわかります

また、ビジネスマナーに関する検定試験を受けるというのも一つの方法です。たとえば、以下のような検定試験があります。

ビジネスマナー検定試験(学校・企業ごとの団体受験が必要)

一般社団法人全国検定教育振興会が実施している検定試験です。階層ごとに、1級~3級の3つの能力基準が設けられています。
参考:ビジネスマナー検定試験 – 一般社団法人全国検定教育振興会

ビジネス実務マナー検定

公益財団法人実務技能検定協会が実施している検定試験です。ビジネスパーソンとしての知識や行動が身についているかどうかを、一定の審査基準で判断します。
参考:ビジネス実務マナー検定とは – ビジネス系検定

オンラインビジネスマナー検定

一般社団法人日本オンライン資格推進機構(JOCP)が実施している検定試験です。受験するには、認定機関の講座を受講する必要があります。
参考:オンラインビジネスマナー検定 | 日本オンライン資格推進機構 | JOCP

ビジネスマナーを身につけるメリット

次に、ビジネスマナーを身につけることで具体的にどのようなメリットが得られるのかを紹介します。

信頼関係を構築できる

社会人になると、年齢や考え方もさまざまな人とかかわることになります。多様な人と一緒に仕事をしていくためには、信頼関係の構築が欠かせません。ビジネスマナーを身につけることで、相手から信頼を得やすくなり、仕事を円滑に進められるようになります。ビジネスマナーは、「この人は信頼できる人かどうか」を測る一つの基準になるのです。

また、たとえ新入社員であっても、社外の人にとっては「会社の代表」であり、その新入社員に対する印象がイコール会社の印象になることもあります。つまり、一人の社員の信頼は、会社全体への信頼にもつながるのです。ビジネスマナーを身につけることで、企業のイメージアップにも貢献できるでしょう。

自信が持てる

ビジネスマナーは、対人関係における一つのスキルともいえます。ビジネスマナーという武器を身につけることで、仕事が円滑に進められるようになり、自分に自信が持てるようになります。特に新卒の場合は、まだ実践的なスキルが身についていない状態です。ビジネスマナーを学ぶことで、仕事に対する不安も軽減され、社会人としての意識も向上するでしょう。

日本の基本的なビジネスマナー

ここからは、最低限身につけておくべき基本的なビジネスマナーを紹介します。

身だしなみ

初対面の人がいる会議や打ち合わせなどで特に重要なのが、身だしなみです。社会人らしい身だしなみが整っているかどうかで、相手が感じる第一印象が大きく変わります。

相手に好感や安心感を持ってもらえるように、以下の「身だしなみ3大基本原則」を押さえておきましょう。

  1. 清潔第一……不潔な印象を与えないようにする
  2. 個性よりも協調……華やかさよりも好印象を持たれるようにする
  3. 健康管理……体調を管理し、口臭や体臭にも気を使う

指定の制服やユニフォームがあるかどうか、職種や状況によってもふさわしい服装は変わってきますが、以下のようなポイントをチェックしてみましょう。

  • 社会人らしい髪型・髪色か
  • 寝ぐせがついていないか
  • 髪は毎日洗って清潔にしているか(フケがついていないか)
  • スタイリング剤の香りがきつくないか

顔・メイク

  • (男性)ひげは剃っているか
  • (女性)メイクは濃すぎず、ナチュラルで健康的か
  • 香水の香りがきつくないか

服装

  • サイズは身体に合っているか
  • 色・デザインは適切か(スーツ、ネクタイ、シャツ、ブラウス、ベルト、靴、靴下、カバン など)
  • 汚れやしわがないか
  • (男性)ネクタイが曲がっていないか
  • (女性)ストッキングは伝線していないか

爪・ネイル

  • 短くきれいに切りそろえてあるか
  • (女性)マニュキュアOKの場合も、透明または自然な色にする

その他

  • 眼鏡をかける場合、色付きレンズや派手なフレームは避ける
  • 時計はベルトが派手なものやキャラクターものは避ける
  • アクセサリーは原則としてつけない
  • カバンはA4サイズの書類が折らずに入るものを使用する
  • 靴のかかとのすり減りに注意する

時間・期日厳守 

社会人として、当然時間や期日は守らなくてはなりません相手と約束したにもかかわらず、時間や期日を間違えたり、遅れたりすると、信用を失ってしまいます。できれば、時間・期日ピッタリではなく、少し早めの行動、早めの提出を心がけましょう。

万が一遅れてしまいそうなときは、すぐに相手に電話をします。そして、まず「申し訳ありません」と謝罪し、なぜ遅れるのか、いつまでに対応できるのかを明確に伝えましょう。

また、始業時間は出社時間ではなく、勤務開始時間です。遅くとも始業時間の10分前までに会社に着くように家を出るようにしましょう。そして、出社したら今日1日の計画を立て、効率よく仕事をする習慣をつけます。その日にやるべきことはその日の勤務時間内に終わらせられるように努めましょう。

挨拶

明るい笑顔とはっきりとした声で、心を込めて挨拶をしましょう。こうすることで、相手に好印象を持ってもらえるだけでなく、自分自身の心も明るくなり、1日のやる気が湧いてきます。立場にかかわらず、相手より先に挨拶をすることも心がけましょう。

また、「おはようございます」「お疲れ様です」のように言葉を発するものだけでなく、会釈(軽くお辞儀する)ことも、立派な挨拶の一つです。廊下ですれ違ったときや目が合ったときなども、軽く会釈をして挨拶をしましょう。

また、お辞儀にはいくつか種類があります。これを場面に応じて使い分けられるようになることも大切です。

  • 目礼(0~15度)……お互いに気づいたとき、たまたま目があったときなど
  • 会釈(15度)……廊下で人とすれ違うときなど
  • 敬礼(30度)……接客をするとき、取引先を訪問するとき、自己紹介をするとき、感謝を伝えるときなど
  • 最敬礼(45度)……謝罪するとき、深い感謝を伝えるとき、お見送りをするときなど

 

言葉づかい

ビジネスシーンでは、状況に応じて言葉を言い換える必要があります。以下は、基本的なビジネス用語の一例です。

×普段の言葉

〇ビジネス用語

僕、オレ

わたし、わたくし

誰、どなた

どちら様

どこ・ここ・そこ・あそこ

どちら・こちら・そちら・あちら

うちの会社

弊社、小社

そちらの会社

御社(話し言葉)、貴社(書き言葉)

わかりました

かしこまりました、承知いたしました

わかりません

わかりかねます

すみません

申し訳ございません

このほか、敬語を正しく使い分けることも大切です。

敬語の種類

敬語には、「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類があります。違いを理解して、正しく使い分けましょう。

  • 尊敬語
    相手に敬意を示す言葉です。目上の人(上司、先輩、顧客)の動作や状態だけでなく、その人が所有しているものに対しても使うことがあります。
  • 謙譲語
    へりくだった言い回しをして自分のことを低く見せる言葉です。目上の人に対して使います。
  • 丁寧語
    丁寧な言い方で相手を敬う言葉です。

尊敬語

謙譲語

丁寧語

言う

おっしゃる

申す

言います

見る

ご覧になる

拝見する

見ます

聞く

お聞きになる

拝聴する、伺う

聞きます

行く

いらっしゃる

伺う

行きます

来る

いらっしゃる、お越しになる

参る

来ます

食べる

召し上がる

いただく、頂戴する

食べます

整理・整頓

オフィスや作業場が散らかっていると、必要な資料などをすぐ見つけることができず、仕事がはかどりません。自分はその環境で仕事ができていたとしても、ストレスに感じている社員がいる可能性もあります。一緒に働く人たちが気持ちよく仕事ができるように、日頃から整理・整頓を心がけましょう

整理・整頓とは、ただ「ものを片付ける」「ものを出しっぱなしにしない」ということではありません。それぞれ、以下のような意味があります。

  • 整理:要るもの・要らないものを分けて、要らないものを処分すること
  • 整頓:ものの置き場所や置き方を決めてきちんと片付けること

これを意識して、仕事がしやすい空間を保ちましょう。また、整理・整頓と併せて、掃除をしてゴミを取り除くこと、細部まで点検することも大切です。このような美化活動を習慣づけることで、仕事の無駄が減り、やるべきことを効率よく進められるようになります。

名刺交換

名刺交換の際の主なマナーは、以下のとおりです

  • 名刺をスムーズに出せるよう事前に準備しておく
    名刺入れは胸ポケットに入れておきます。名刺を切らすことがないよう、名刺入れの中に十分な枚数の名刺を入れておくことはもちろん、予備も多めにストックしておきましょう。
  • 必ず立って渡す
    テーブルがある場合も、回り込んで相手の正面に立ちましょう。名刺は両手で持ち、胸の高さに持っておきます。
  • 名刺を渡すときはフルネームを伝える
    相手の目を見て、「私、株式会社〇〇、△△部の××××と申します。よろしくお願いします。」とフルネームを伝えて名刺を渡します。
  • 名刺は両手で受け取る
    相手の名刺は必ず両手で受け取って胸の位置に持ち、「頂戴いたします。□□□□様ですね。よろしくお願いします。」と相手の名前を復唱しましょう。
  • 同時に交換するとき
    名刺を同時に交換する場合は、左手で相手の名刺を受け取り、右手で自分の名刺を渡します。
  • 名刺を交換したあと
    名刺交換後に会議や打ち合わせを始める場合、会議や打ち合わせが終わるまで名刺はテーブルの上に置いておきます。置く位置は自分から見て左上です。複数人いる場合は、着席順どおりに並べましょう。

電話

電話の際は、お互いの表情や状況が見えない分、対面で話すときよりも丁寧な対応を心がけましょう。電話を受けるとき・かけるときに分けて、電話対応のビジネスマナーを詳しく紹介します。

電話を受けるとき

電話を受けるときは、自分が「会社の代表として電話に出ている」という意識を忘れないようにしましょう。電話をかけてきた人にとっては、電話に出てくれた人の印象がそのまま会社の印象になります。

電話を受けるときの主なビジネスマナーは、以下のとおりです。

相手を待たせない

3コール以内に出るようにしましょう。もし3コールを超えてしまった場合は、「お待たせいたしました」の一言を忘れずに。

明るい声でハキハキと話す

「はい、株式会社〇〇の△△です。」と、まずこちらの名前を伝えます。そして、相手も名前を伝えてくれたら「××会社様の□□様でいらっしゃいますね。」と復唱して確認しましょう。相手が名乗ってくれない場合は、「失礼ですが、どちら様でいらっしゃいますか」と尋ねます。

名前を確認できたら、「いつもお世話になっております」などの簡単な挨拶も添えましょう。

内容を正確に聞き取る

用件はメモを取りながら正確に聞き取ります。

迅速に取り次ぐ

用件を聞いたら、必ず電話を保留にしてから、速やかに担当者につなぎましょう。担当者が不在の場合は、席を外している、出張に出ているなど、不在の理由を簡潔に相手に伝えます。

伝言を受け取る場合や折り返しの場合は、必ずメモを取り、伝えられた内容を復唱して確認しましょう。

最後まで丁寧に

最後は、「私△△が承りました。」「ありがとうございました、失礼いたします。」など、締めの挨拶を忘れずに。

電話を切るときは、相手が受話器を置いたことを確認してからこちらも静かに受話器を置きます。

電話をかけるとき

電話をかけるときの主なビジネスマナーは、以下のとおりです。

時間帯に注意する

就業時間外や昼食時は避けましょう。

事前準備も忘れずに

スマートに内容を伝えられるように、名刺を手元に置いておく、話す内容を整理しておくなど、電話をかける前の準備も大切です。

わかりやすくハキハキと話す

「いつもお世話になっております。株式会社〇〇の私△△と申しますが、××部の□□さんをお願いします」と、名前を伝えて取り次ぎをお願いします。担当者が在籍の場合、改めて名乗りと挨拶を行い、用件はわかりやすく簡潔に伝えましょう。

不在時の対応を考えておく

担当者が不在だった場合にどうするのかをあらかじめ考えておきます。

  • かけなおす場合:「またこちらからお電話いたします」
  • 折り返しを依頼する場合:「折り返しお電話をいただけますでしょうか」
  • 伝言を依頼する場合「:~~と、ご伝言をお願いできますでしょうか」

折り返しや伝言を依頼する場合は、必ず電話に出てくれた人の名前を聞いておきましょう。

最後まで丁寧に

電話を切るときは、2秒ほど置いてから静かに受話器を置きます。

メール

メールは、相手がさっと読んで内容がわかるような簡潔な文章にしましょう。また、電話同様メールも時間帯に注意が必要です。最近では、スマートフォンやタブレッドで社外でもメールをチェックできるようにしている人もいるので、できるだけプライベートの時間を邪魔しないように、よほど重要な用件でなければ就業時間内に送るようにしましょう。

届いたメールに対してはできるだけ早めに、遅くとも1営業日以内に返信します。すぐに回答できないような内容であれば、「確認次第ご連絡いたします」「〇月×日までにご連絡いたします」など、受け取った内容を確認して対応しているということは伝えておきましょう。この返信があるのとないのとでは、かなり印象が変わってきます。

訪問

訪問する際は、自分が「会社の代表として来ている」という意識を持ち、受付から帰るまで気を抜かないことが大切です

訪問時の主なビジネスマナーは、以下のとおりです。↓

訪問前

  • 会社を出る前に、書類・資料など不足がないか確認する。
  • 訪問先に10分前には着くように会社を出る。

訪問先の玄関で

  • 携帯電話はマナーモードに。
  • コートやマフラーは取って片手に持つ。
  • 服装や紙の乱れを整える。

受付

  • 社名と名前、誰と何時に会う約束をしているのか(アポイントを取っていない場合は、なんの用件で来たのか)を伝える。
  • 面会表があれば省略せずに記入する。

応接室・会議室

  • ノックは3回。
  • 訪問先の人に勧められてから着席する。
  • カバンやコートは自分の足元に置く。
  • お茶を出してもらったら、運んでくれた人の目を見てお礼を伝える。お茶は、相手に勧められてから飲む。
  • 約束をしていた相手が入室してきたら起立して挨拶をする。

帰り際

  • 約束をしていた相手だけでなく、受付の人にも挨拶を忘れずに。

報告・連絡・相談

報告・連絡が遅れたり、相談をせずに業務を進めてしまったりすると、間違いに気づくのが遅れて大変な失敗につながってしまうことがあります。報・連・相(ほう・れん・そう)は、ビジネスの基本です

それぞれのポイントは、以下のとおりです。

報告

  • 指示を受けた上司に直接報告する。
  • 結果だけでなく、進捗をこまめに報告する。
  • まずは結果(事実)から述べたあと、時系列で簡潔に説明する。
  • 報告の際は「今お時間よろしいですか?」など相手の都合を確認する。
  • ミスやトラブルはすぐに報告する。

連絡

  • 今後の予定は、曖昧な言葉を使わずにわかりやすく伝える。
  • 関係者全員に迅速に、正確に伝える。変更があればすぐに訂正の連絡を回す。

相談

  • 疑問や心配なことが生まれたら、放置せずにすぐ相談する。
  • まずは直属の上司に相談する。
  • 提案の場合はデータや裏付けを用意しておく。

席次 

席次とは、席順のことです。ビジネスシーンでは、立場が上の人が座る位置を「上座」、立場が低い人が座る位置を「下座」といいます

基本的には、出入口から一番遠い席が上座で、近い席が下座です。1人掛けソファと2~3人掛けソファがある場合は、2~3人掛けソファが上座となります。来客があれば、お客様は上座に案内し、お茶も上座から出しましょう。

ただ、席次は部屋の様式や造りによっても異なります。特にややこしいのが、食事の席次マナーです。和室は床の間の前が上座、円卓(中華)は上座から見て左横に2番目に高い立場の人が、右に3番目に高い立場の人が座るというルールがあります。接待・会食の際は、あらかじめお店にどのような部屋なのか確認しておきましょう。

オンラインにおけるビジネスマナー

近年は働き方も多様化し、ビデオチャットツールを使ってミーティングや打ち合わせ、商談をする機会も増えています。ここからは、オンライン環境におけるビジネスマナーを紹介します。

映像に関するマナー

ビデオチャットツールを使ってミーティングをする際、自分の顔や自宅を映したくないという人もいるかもしれませんが、原則カメラはONにするのがマナーです。顔を見せることでこちらの反応が伝わりやすくなり、相手に安心感を与えることができます。

自宅が映ることに抵抗がある場合は、背景にぼかしを入れたり、バーチャル背景を設定したりすることもできます。バーチャル背景を使う場合は、あまり奇抜なデザインのものを選ぶと、気が散って話が入ってこなくなってしまうので、なるべくシンプルなものを選びましょう。

また、対面だと相手の顔を見て話しますが、オンラインでそれをすると、カメラの位置によっては相手を見下しているように見えることがあります。自分が発言する際は、なるべくカメラを見て話すよう意識しましょう。

音声に関するマナー

周りに人がいる環境でオンラインミーティングに参加するときは、内容が周囲の人に聞こえないようにマイク付きのイヤホンまたはヘッドホンを使用しましょう。こうすることで、自分自身も内容が聞き取りやすくなり、雑音も入りにくくなります。

また、ネットワーク環境や使用機器にもよりますが、オンラインミーティングでは独特な“間”が生まれます。ワンテンポ遅れて前の発言への反応が来ることがあるので、ゆっくり丁寧に話し、話したあとは一呼吸置くように意識しましょう。人数が多い場合は、発言する人以外はミュートにするというルールを設けるのも、ミーティングをスムーズに進める一つの方法です。

その他のマナー

自宅からオンラインミーティングに参加する場合は特に、服装や身だしなみがラフになりすぎないように注意しましょう。細かい柄や模様の服は画面がちらついて見えることがあるので、避けたほうが無難です。

また、ミーティングに関係ないことには触れないようにしましょう。たとえば、背景に映り込んだものや、服装、化粧などです。相手に不快感を与えると、「リモハラだ!」といわれてしまうかもしれません。

※リモハラとは……リモートワーク中に起こるハラスメント「リモートハラスメント」の略称です。

マナーある社員を育てるための3つのポイント

最後に、社員にビジネスマナーをしっかりと身につけてもらうために、研修や教育の際に意識したい3つのポイントを紹介します。

1.「挨拶」と「返事」の大切さを理解してもらう

「挨拶と返事なんてしなくていい」と思っている人など、恐らくほとんどいないでしょう。しかし、挨拶と返事が「なぜ必要なのか」を新入社員に対して明確に説明できるという人も、意外と少ないのではないでしょうか。挨拶と返事が必要な理由は、良好な人間関係を維持するための基本であるからです

有名なリーダーシップ理論の一つに、三隅二不二氏が提唱した「PM理論」があります。リーダーシップはPerformance(成果を上げる力)とMaintenance(良好な人間関係を維持する力)で構成されており、大きく分けて4タイプのリーダーがいるという考え方です。

高↑

P

↓低

<Pm型>

成果は上げられるが、人間関係を築くのが苦手

<PM型>

高い成果を上げることができ、良好な人間関係を築くこともできる

<pm型>

成果も上げられず、人間関係を築くのも苦手

<pM型>

成果は上げられないが、良好な人間関係を築くことができる

低 ← M → 高

この中で、もっとも理想的なのはPM型とされています。

業務で成果を上げられるようになるには、ある程度経験が必要になりますので、Pは急に伸ばすことはできません。新入社員がまず伸ばすべきなのは、PよりもMなのです。挨拶と返事は、その基本中の基本であるということを、新入社員に理解してもらいましょう。

また、これを研修時に伝えるだけでなく、日頃から上司や先輩が良い模範となり「見せる」ことが大切です。挨拶と返事がおざなりになっていないか、今一度見直してみましょう。

参考:「返事もできない」新人が爆増中!リアル研修なしでも育てる3つの工夫 – ダイヤモンド・オンライン

2.ビジネスマナーの本質は「心」であることを伝える

ビジネスマナーは、一緒に仕事をする相手を不快にさせないために必要なものです。ただ「型」を教えるだけでなく、ビジネスマナーの本質は相手を思いやる「心」であることを、社員に理解してもらいましょう

ビジネスマナーは、まずこの本質を理解しなければ、なかなか身につけることはできません。また、「型」を教えるだけでは応用も利きません。「なぜこのようなマナーがあるのか」「何のためにそうするのか」をしっかり伝えることが大切です。

3.実践の機会を与える

一度研修を実施しただけで、ビジネスマナーを完璧に習得するのは難しいでしょう。ビジネスマナーを身につけてもらうには、実践が一番です。研修後は、学んだことを実践する機会をできるだけ多く与えるようにしましょう。また、ビジネスマナー研修の中にも、実践に役立つようなロールプレイングをプログラムに盛り込むと効果的です。

実践が一番とはいっても、「型」を知らないまま実践させると、失敗体験になってしまう可能性があります。正しい知識と「型」をしっかり研修で教えたあとで実践に移すことが大切です。

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まとめ

ビジネスマナーは、年齢や考え方もさまざまな人たちと一緒に気持ちよく仕事をするために欠かせないものです。ビジネスマナーを身につけることで、仕事が円滑に進められるようになり、自分にも自信が持てるようになります。また、社員一人の態度や振る舞いが、会社全体のイメージに影響を与えることもあります。ビジネスマナーは、組織に属して働くならば最低限身につけておかなければなりません。

ビジネスマナー研修では、正しい知識と「型」だけでなく、本質である「心」をしっかり伝えましょう。そして、教える・伝えるだけでなく、日頃から上司や先輩が良い模範となることも大切です。挨拶や返事をはじめ、基本中の基本がおざなりになっていないか見直してみましょう。

参考:~若年労働者向けガイドブック~就職支援参考書 – 厚生労働省(PDF)

 

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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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