ロールプレイングとは?手法・手順についてビジネスマナーを例に解説
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大学卒業後、クラシック音楽業界にて制作・マネジメント・プロデュースに従事し、アートと教育の融合をテーマに、「体験を学びとして届ける」手法を追求してきた。
その後、体験型コンテンツ会社を経て、株式会社IKUSAにクリエイティブプロデューサーとして入社。
現在は研修事業部の責任者として、体験型・ゲーム型の社員研修事業を統括している。
ユーザー視点に立ったサービス開発を得意とし、「楽しさが行動変容を生む」という信念のもと新しい研修体験を創出している。
仕事や職場における人間関係を円滑に進めるために求められるビジネスマナーは、社会人に必須のスキルといえます。ビジネスマナーを身につけるにはさまざまな方法がありますが、なかでも実践的なスキルや知識を学べるロールプレイングがおすすめです。
今回は、ビジネスマナーを身につけるのにロールプレイングが有効な理由とロールプレイングの4つの種類についてお伝えするとともに、効果的なロールプレイングを実施する手順とポイントやロールプレイングの事例について解説します。
ロールプレイングとは
ロールプレイングとは、「role(役割)」と「playing(演じる)」という2つの単語を組み合わせた言葉です。
ビジネスシーンや研修の場面におけるロールプレイングは、実際に起こりえる仕事や業務のシチュエーションを想定します。参加者が役割に分かれて登場人物を演じる実践的な練習方法であるため、座学研修と比べて、実際の現場で必要なスキルや知識を体感的に理解し身につけるのに非常に効果的な方法です。
社会人として求められるビジネスマナーを身につけるのにも最適なため、ロールプレイングはさまざまな企業研修で活用されています。
なぜビジネスマナーを身につけることが大切なのか
ビジネスマナーとは一般的に、挨拶や身だしなみ、言葉使い、名刺交換のやり方などがあげられます。これらのマナーはさまざまなビジネスシーンで求められるため、社会人として最低限、身につけるべきスキルといえるでしょう。ビジネスマナーを身につけておくことで、次のようなメリットを得られます。
- 仕事、職場における信頼関係の構築
- 自社や自分自身の印象アップ
- 社会人としての自覚の醸成
このことからも、ビジネスマナーは年代や立場などを問わず、社会人として仕事を進めるうえで不可欠なスキルといえるでしょう。
ビジネスマナーの習得にロールプレイングが効果的な理由
ビジネスマナーを身につけるために、ロールプレイングが効果的な理由を解説します。
実践的なスキルや知識を習得できる
ロールプレイングでは、座学よりも実践に近いシチュエーションで知識やスキルを習得できます。何度も繰り返してロールプレイングを行うことで、若手社員の自信や経験に繋がるでしょう。ロールプレイングで学んだ内容は実務ですぐに活用できるため、実務ですぐに活用できます。
個々人の弱みや課題を理解できる
ロールプレイング後に他者からのフィードバックを受けることで、自身を客観的に見られるようになるでしょう。弱みや課題を理解し、克服するためのアクションを考えるきっかけになります。課題解決に向けて主体的にアクションを起こすことは、さらなる成長に繋がるでしょう。
ロールプレイング研修を実施する企業としても、社員一人ひとりの強み・弱み、できていること・できないことを把握できるので、各々に合った教育方法やフィードバックを考え、提供することができます。
ノウハウや知恵を共有できる
経験豊富なベテラン社員、営業成績の良い社員などと一緒にロールプレイングを行うことで、彼らの持つノウハウや知恵を共有できます。実際に現場で活躍している社員のロールプレイングを見たり、アドバイスやフィードバックを受けたりすることは、特に現場経験の浅い若手社員にとっては成長の機会になるでしょう。
ビジネスマナーの基本については、以下の記事で詳しく紹介しています。
関連記事:ビジネスマナーとは?基本のマナー、人材育成のポイントを解説
ビジネスマナーを身につけるロールプレイングの種類
ここでは、ビジネスマナーを身につけるためのロールプレイングの種類を解説します。
ケース型ロールプレイング
ケース型ロールプレイングとは、接客や商談、交渉など、特定のケースを想定したロールプレイングです。条件や状況に応じて予想されるトラブル、クレームなどの対応について、実践的に学べます。
グループ型ロールプレイング
グループ型ロールプレイングとは、参加者が複数人のグループに分かれて、グループ内で役割を変えながら繰り返しロールプレイングを行う方法です。繰り返し行うことでそれぞれの役割における視点を学ぶことができ、相互理解の促進も期待できます。
問題解決型ロールプレイング
問題解決型ロールプレイングとは、実際に起きている問題や過去の事例などをもとにロールプレイングを行う方法です。実例をもとにしたシチュエーションであるため、より実践に近い形で学べるほか、ロールプレイングを行うことで問題解決の糸口に繋がることが期待できます。
モデリング型ロールプレイング
モデリング型ロールプレイングとは、代表者が見本として全員の前でロールプレイングを行い、全員がそのロールプレイングを模倣する方法です。上司や先輩社員、成績優秀者などが見本を行うことで、メンバー全員に対するスキルや知識の共有として活用されています。
効果的なロールプレイングを実施する手順・ポイント
ここでは、効果的なロールプレイングを実施する手順とポイントを解説します。ロールプレイングは次のような流れで行います。
- ロールプレイングの目的を明確にする
- 役割を設定する
- シチュエーションを設定する
- 評価ポイントを設定する
それぞれの手順で押さえるべきポイントについて見ていきましょう。
1.ロールプレイングの目的を明確にする
効果的なロールプレイングを実施するには、ロールプレイングを行う目的を明確にすることが大切です。
- 何を、誰に学ばせたいのか
- どのようなスキルや知識を身につけさせたいのか
目的を明確化することで、参加者は目的意識を持ってロールプレイングに取り組めます。また、目的に対して的確な評価・フィードバックができるため、効果的なロールプレイングが実施できるでしょう。
ただし、一度や二度ロールプレイングをしただけでは、スキルや知識を自分のものにすることは難しいかもしれません。実践で扱えるようになるには、まだまだ経験が足りないでしょう。
経験不足を補うためにもロールプレイングは習慣化することが大切です。社内で定期的にロールプレイングを行う機会を作り、習慣化することでスキルや知識はより強固なものになります。実践でも高い効果を発揮できるでしょう。
2.参加者の役割を設定する
続いて、参加者が演じる役割を決めます。例えば、営業訪問であれば「営業役と顧客役」、電話対応であれば「電話をかけた側・受けた側」のように、ロールプレイングで演じる役割を設定します。
ロールプレイングは基本的には2〜3人で実施し、全員が各役割を演じられるようにローテーションすると、それぞれの立場で考える訓練になります。以下を参考にしながら、適切な人数を設定しましょう。
- 2人で行う場合:限られた時間内でロールプレイングの回数を増やせる。
- 3人で行う場合:3人のうちの1人がオブザーバーを担うことで、ロールプレイングを実施した2人に対してより細かなフィードバックができる。
- 人員や時間などに余裕がある場合:ロールプレイングの様子を撮影する人を配置する。
企業研修や社員教育としてロールプレイングを行う場合、上司や同僚、部下など、普段から一緒に仕事をしている人たち同士で行うことになるでしょう。
相手が顔見知りであると、馴れ合いや過度な緊張に繋がることもあるため、各々の演じる役割は明確にし、真剣にロールプレイングに取り組む環境を作ることが大切です。
また、ロールプレイングを撮影することで、参加者は客観的な視点で振り返ることができます。普段では気がつきにくい動作の癖や話し方などが把握できるでしょう。
他者からのフィードバックと合わせて「自分には何ができていて、何が足りないのか」を理解でき、改善に向けたアクションを起こせます。
3.シチュエーションは詳細に設定する
目的や役割を決めたら、ロールプレイングを行うシチュエーションを設定しましょう。例えば「営業訪問」というシチュエーションであれば、次のようなポイントを細かく設定します。
- 訪問の回数(何回目の訪問なのか)
- 営業先の企業の詳細、取り扱っているサービス
- 相手の担当者の特徴、自社との関係性
- 最終的なゴール
シチュエーションを具体的に設定することで、より実践的なスキルや知識を習得することに繋がります。
4.評価ポイントを設定する
目的、役割、シチュエーションを設定し、ロールプレイングを行った後には、必ず適切な評価をしましょう。シチュエーションにもよりますが、ロールプレイングにおける評価ポイントには以下のような項目があげられます。
- 話しの内容
- 声の抑揚
- 目線、表情
- 姿勢、所作
- 事前準備 など
ロールプレイングの目的に沿って評価シートやフィードバックシートなどを作成すると、参加者が自身の評価を客観的に見ることができます。
また、フィードバックでは、「よかった・悪かった」だけではなく、「何が良くて、どの辺りは改善の必要があるのか」を具体的に伝える内容にする必要があります。
ロールプレイングがビジネスマナー習得に役立つ4つのシーン
ビジネスマナーの習得に役立つ4つのロールプレイングを紹介します。
電話対応時
電話対応は、業界・業種を問わずさまざまなビジネスシーンで求められるビジネスマナーの1つです。相手と直接会いに出向くことなく要件を伝えることができる反面、会話だけでコミュニケーションをしなければならないため、会話の丁寧さが求められます。
電話対応のロールプレイングを行う場合には、事前にトークスクリプト(台本)を用意し、電話を受ける側、電話をかける側にそれぞれ分かれて、トークスクリプトに沿ってロールプレイングを演じてもらうのが一般的です。
より実践に近い形でロールプレイングを行う際には、演者同士で別々の部屋に分かれてもらい、実際に携帯電話を使ってロールプレイングをしてもらう方法があります。
電話対応のロールプレイングでは、次のようなシチュエーションを取り入れることで、より実践的なビジネスマナーを習得できます。
- 取り次ぐ社員が不在な場合
- 相手の声が小さい場合
- 伝言を頼まれた場合
- 同じ部署に同姓の人がいる場合
- その場ですぐに対応するのが難しい案件・要望の場合
- 実際にあったクレーム対応の事例
名刺交換時
名刺交換は、初対面の人と行うのがほとんどでしょう。名刺交換時のビジネスマナーをしっかりと身につけることで、相手から好印象を持ってもらえるようになります。名刺交換は、基本的には次の流れで行われます。
- 名刺の準備
- 名刺を渡す
- 名刺を受け取る
- 名刺をしまう(着座の場合は目の前のデスクに置く)
これらの一連の流れは、座学で学ぶよりも体感的に身につけた方が具体的なため、ロールプレイングが効果的でしょう。ロールプレイング時には、2人1組に分かれ、実際に自分の名刺と名刺入れを使って交換してもらいます。
名刺の渡し方・受け取り方の他に、受け取るときに添える言葉、交換をした後の対応など、名刺交換の一連の流れを何度もロールプレイングすることで、体感的に身につけられるでしょう。
加えて、次のようなイレギュラーなシチュエーションでもロールプレイングを行うことで、さまざまなビジネスシーンでも臨機応変に対応できる力が身につきます。
- 名刺を切らしてしまったとき(残りがないとき)
- 相手の名前の読み方がわからないとき
- 名刺交換をする相手が複数人いるとき
- 前の人から受け取った名刺を置く場所
- 名刺をしまう場所やタイミング
来客対応時
顧客や取引先が自社オフィスへ来訪した際の対応について、ロールプレイングを行います。受付係や窓口担当者はもちろんのこと、その場で一時的に来訪者を案内することは誰にでもあります。そのようなときに丁寧かつスムーズに来訪者を案内できれば、相手へ不快感を与えず、さらには自身や自社へのイメージアップに繋がります。
来客対応時は、一般的には次の流れで行います。
- オフィス窓口での受付
- 窓口から部屋までの案内
- お茶出し
- 自身の退室
実際に自社オフィスを使ってロールプレイングを実施できると、より実践的なトレーニングになります。それが難しい場合には、実際の部署や会社受付などを使ってロールプレイングを行いましょう。
ときには、「アポなし訪問の対応」「手土産を受け取った後の対応」などが求められることもあります。実際に起きたシチュエーションなどをもとに、来客時における臨機応変の対応学ぶことで、来客時のビジネスマナーが身につきます。
営業訪問時
顧客や取引先のオフィスへ頻回に訪問する業種・業界にとっては、営業訪問時のビジネスマナーは不可欠です。相手先へ伺ったときに失礼なことをしてしまうと、たとえそれが故意ではなくとも、相手にマイナスな印象を与えてしまいます。
営業先へ訪問する際の対応についてロールプレイングを行う場合には、次の流れに沿って実施しましょう。
- 事前アポイントの取得
- 当日までの資料、商材の準備
- 当日の身だしなみ、持ち物のチェック
- 当日の相手方のオフィスでの受付
- 営業・商談後、退室までの動き
アポイントの時間通りに来訪するのが原則ですが、ときには事故やトラブルに巻き込まれてしまい、アポイントに間に合わないこともあるでしょう。
ロールプレイングでは、「遅刻しそうな場合」「上司が同席する場合」「日時を間違えてしまった場合」など、実際の営業シーンで起こりうるシチュエーションも併せて学ぶことで、営業訪問時のビジネスマナーを習得できます。
まとめ
ロールプレイングは、実践的な研修方法としてビジネスマナー習得にも有効に活用できます。ロールプレイングを行う目的や演じる役割、シチュエーションなどを明確に設定することで、より効果的なロールプレイングが行えます。
また、ロールプレイングを実施する際には、他者からの評価やフィードバックを併せて取り入れることで、スキルや知識の習得に高い効果が期待できるでしょう。
以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。
1.ビジネスマナー研修
ビジネスマナー研修のアクティビティ「ビジトレ」では、実践形式・クイズ形式のアクティビティを通して、ビジネスマナーを楽しく学びます。
学びのポイント
- 堅い内容になりがちなビジネスマナー研修にゲーム形式を取り入れることで、受講者が没入して学べる
- 名刺交換や報連相などを実行し、動作・マナーに慣れることで、翌日から実践できるようになる
2.合意形成研修
合意形成研修のアクティビティ「コンセンサスゲーム」では、危機的な状況下でどの物資を優先して確保すべきかをチーム内で議論し、最適な結論を導きます。
学びのポイント
- 各々が個人ワークで考えた答えを聞くことで、チームメンバーの状況に対する認識や物資の重み付けの違いを受講者が理解する
- 話し手は自分の答えにいたった理由を論理的・説得的に説明する
- より良い根拠を導き出すための比較検討をして、チーム全員が納得する結論を出す
3.PDCA研修
PDCA研修のアクティビティ「ロケットPDCAチャレンジ」では、パーツを組み合わせてロケットを制作し打ち上げ結果から原因を考えて、より良く飛ぶロケットに改善していき、目標の達成を目指します。
学びのポイント
- 計画を立ててロケットを飛ばし、その結果から組み合わせの誤り・部品の不足・不良部品の有無を推察し、それを繰り返すことで組み合わせの精度を上げていく
- 資金稼ぎ・パーツの選択・打ち上げの準備を繰り返し、作戦タイム振返りを経て行動を改善していくことで、最適化されていく
4.戦略思考研修
戦略思考研修のアクティビティ「ワールドリーダーズ」では、労働力や資本を使って事業を設立し、利益を稼ぐことを目指します。
学びのポイント
- 不確実な状況のなかで自チームにとって最適な行動方針を考え、実行していく
- 戦略を決めるために与えられた手段のなかでどの情報を取得していくかの優先順位決めが求められる
5.コミュニケーション研修
コミュニケーション研修のアクティビティ「謎解き脱出ゲーム」では、チームでコミュニケーションをとりながら問題に隠された法則を発見する謎解きゲームのクリアを目指します。
学びのポイント
- 受講者が「自分しか見えていない情報・問題・解き方」をチームで共有することでコミュニケーション促進やスキルアップにつながる
- 突飛な発想・ヒラメキをチームのなかで積極的に発言できる心理的安全性の高い環境づくりが求められる
6.ロジカルシンキング研修
ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルディング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します。
学びのポイント
- 小グループで得られた情報を論理的に整理し、確定情報・曖昧情報・不要な情報を選り分ける
- 大グループで全体に必要な情報を論理的に判断・共有することや、自分たちに足りない情報を聞き出すことが求められる
7.リーダーシップ研修
リーダーシップ研修のアクティビティ「グレートチーム」では、チームの運営を疑似体験することでリーダーシップやマネジメントを学びます。
学びのポイント
- メンバーのリソース管理や育成、リーダーとしての決断を繰り返すことで、いろいろなリーダーシップの型を知ることができる
- 現代に合わせたリーダーシップの発揮の必要性を知り、自分らしいリーダーシップを学べる
8.クリティカルシンキング研修
クリティカルシンキング研修のアクティビティ「混乱する捜査会議からの脱出」では、推理ゲームで論理的に情報を整理するなかで証拠の違和感に気づき、仮説立てや検証を行って目標を達成します。
学びのポイント
- 証拠品や証言など多くの情報を手分けして読み、組み合わせて論理的に結論を導き出す
- フェーズが進むごとに情報が増え、複雑になっていくなかで必要な情報を取捨選択する
- 出た結論に満足せず、常に新しい情報と照らし合わせて再検証する
9.防災研修
防災研修のアクティビティ「先が見えない防災訓練からの脱出」では、チームで協力して、防災のアイテムや知識を使用しながら謎解きゲームのクリアを目指します。
学びのポイント
- 謎解きの答えが災害時のNG行動にまつわる内容となっており、解説時になぜ行なってはいけないかもセットで学ぶ
- 被災時は様々な情報が飛び交うため、情報を取得する際にどのようにすれば惑わされないかを学ぶ
10.OODA LOOP研修
OODA LOOP研修では、瞬間的な判断力が求められる運動系のアクティビティである「サバイバルゲーム」または「チャンバラ合戦」を実施することで、意思決定のフレームワークである「OODA LOOP」を実践的に習得することを目指します。
学びのポイント
- 敵チームをよく観察して作戦を練り、状況に応じた行動を素早く判断しながら、チームで共有して一体となって行動する
- ミッションの勝利条件をもとに、観察、判断、行動を繰り返すことで、本当にすべき行動が何なのか、行動の最適化を行う
この記事の著者
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