新人教育の目的とは?よくある課題や効果を高めるポイントを紹介

  • 組織・人材開発

新人教育とは、新入社員に対して仕事に必要な知識やスキルなどを教え、戦力になってもらえるよう教育していくことです。内容は企業によって異なりますし、新卒採用・中途採用どちらで入社した新入社員に対する教育なのかによっても必要な教育は変わってきます。効果的な教育を行うために、教育担当者が何か意識すべきポイントはあるのでしょうか。

本記事では、新人教育の目的と主な手法、新人教育におけるよくある課題、新人教育の効果を高めるポイントを紹介します

 

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新人教育の目的とは?

なぜ、新人教育に力を入れていくべきなのでしょうか。まずは、新人教育の主な目的を見ていきましょう。

早く戦力になってもらう

一つめの目的は、新入社員に早く戦力になってもらうためです。新入社員が入社した段階では、業務に必要な知識・スキル、マインドなどを、企業が求めるレベルで持っていない場合がほとんどです。新卒採用で入社した新入社員の場合は、ビジネスマナーや社会人としての心構えから身につけてもらわなければなりません。中途採用で入社した新入社員なら、専門的なスキルを持っていたとしても、自社で活躍してもらうには、自社の商品やサービスのこと、ミッション、ビジョン、バリューなどを理解してももらう必要があります。新入社員に対して必要な教育を行わないと、いつまでたっても戦力にはなってもらうことはできません。そのため、新人教育は重要なのです。

また、日本は少子高齢化が進んでおり、多くの業界で人手不足が大きな課題となっています。さらに、現代は環境の変化が激しく、ビジネスにもスピード感が求められる時代になっているため、以前ほど時間をかけて新入社員を教育することも難しくなってきています。そのため、採用と教育を工夫して、人材の早期戦力化を図る企業も増えているようです。

新入社員に定着してもらう

二つめの目的は、新入社員に自社に定着してもらうためです。新人教育を行わないと、新入社員はなかなか自社の業務や職場環境に慣れることができません。すると、会社や仕事に対して不安や不満がたまり、離職につながる可能性も高くなります。

厚生労働省が公表しているデータによると、新規大卒就職者(令和23月卒業者)の就職後3年以内の離職率は、32.3%でした。厚生労働省は、新規学卒就職者の離職状況を毎年公表しています。新規大卒就職者の就職後3年以内の離職率は、ここ10年程は30%台前半で推移しています。

参考:新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)を公表します|厚生労働省

また、近年は主体的なキャリア形成が求められるようになっており、キャリアアップのために転職をする人も増えています。せっかく人材を採用しても、早期に離職されてしまうと、採用にかけたコストが無駄になってしまう可能性があります。きちんと新人教育を行うことで、新入社員は自分に自信を持てるようになり、仕事に対するモチベーションや、帰属意識も高まるでしょう。新人教育は、離職を防ぐためにも重要な取り組みなのです。

 

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新人教育に用いられる主な方法

新人教育の方法にはさまざまなものがありますが、代表的な方法として、「Off-JT」「OJT」「1on1」の三つを紹介します。なお、教育の際はどれか一つの方法を用いるのではなく、複数を組み合わせて教育を設計することが重要です。

Off-JT

Off-JTとは、「Off-The-Job Training」の略称で、職場から離れた場所で行われる研修全般を指す言葉です。たとえば、以下のような研修が該当します。

集合型研修

集合型研修とは、講師と受講者が一つの場所に集まって行われる研修のことです。階層別(例:新人研修、管理職研修)、業務・職種別(例:営業研修、接客研修)、スキル別(例:ロジカルシンキング研修、コミュニケーション研修)など、さまざまなテーマで実施されることがあります。一度に複数の受講者に対して多くの情報を伝えられることや、コミュニケーションがとりやすいことなどが、集合型研修のメリットです。

新卒採用をしたときのように、新入社員の人数が多い場合は、まずは集合型研修が行われることが多いでしょう。内容は企業によってさまざまですが、企業の概要や理念、社内ルールの説明や、社会人としての心構え、ビジネスマナーについての講義やワーク、さらに、新入社員同士に交流を深めてもらうためにチームビルディングを実施するケースもあります。

eラーニング

eラーニングとは、インターネットとパソコンやスマートフォンを使用した学習方法のことです。学習者は、いつでも、どこからでも学習できるため、効率よく知識を習得することができます。

eラーニングは、実践的なスキルよりも基礎的な知識をインプットするのに向いている学習方法であるため、まずはeラーニングで基礎を学んでおいてもらい、その後集合型研修でアウトプットするというように、複数の研修手法と組み合わせると効果的です。テストやレポートを出題することもできるので、集合型研修後の復習ツールとしても活用できます。

LMS(学習管理システム)を導入すれば、学習コースの作成や、テストやレポートの出題・回収、学習者の進捗状況や成績の把握も簡単に行えるようになります。eラーニングの実施を検討されているなら、LMSを導入されることをおすすめします。

OJT

OJTとは、「On the Job Training」の略称で、職場の中で業務を通して行われる教育のことをいいますShow(やってみせる)→Tell(説明する)→Do(やらせてみる)→Check(評価する)の4ステップで、業務に必要な知識やスキル、ノウハウなどを教えていくというものです。

OJTでは、教育担当者を「トレーナー」、教育対象者を「トレーニー」といいます。基本的にはマンツーマンで行うため、個人に合わせた指導をしやすいというメリットがあります。

新人教育は、まずOff-JTで基本的なことを学び、その後OJTを実施して実践的なスキルを身につけるという流れで行われることが多いでしょう。

OJTを実施するときのポイント

OJTは、新入社員それぞれが配属された職場で行われるものなので、現場任せになりがちです。しかし、現場任せにしてしまうと、トレーナーによって教え方や教える内容が異なるために、新入社員の能力や理解度にも差が生じてしまうことがあります。これが、新人教育が失敗するよくあるパターンの一つです。

OJTを実施するときは、トレーナー独自の教え方にならないように、育成計画をしっかり立てる、マニュアルを整備するなど、ある程度仕組み化しておくことも大切です。ただ、学習のペースや、得意・不得意は人それぞれなので、トレーナーには個人に合わせて指導内容を柔軟に変えていくことも求められます。効果的なOJTを実施できるように、あらかじめトレーナーに対して研修を実施し、コツやポイントも学んでおいてもらっておくとよいでしょう。

1on1

1on1とは、上司と部下による11の面談やミーティングのことをいいます。これを新入社員に対して定期的に実施することで、成長を促すことができるでしょう。実施頻度は企業によってさまざまですが、週1回~月1回といった比較的短いスパンで、1回の面談は30分~1時間程度としているケースが多いようです。

1on1は、一般的な評価目的の面談とは違い、双方向のコミュニケーションにより、部下の成長をサポートします。上司は、一方的に指摘やフィードバックをするのではなく、部下の話にしっかりと耳を傾けなければなりません。1on1が適切に実施されれば、部下と信頼関係も築きやすくなります。その結果として、部下の帰属意識の向上やモチベーションアップにもつながるでしょう。

新人教育におけるよくある課題

新人教育に関する課題を抱えている企業は少なくありません。ここからは、よくある四つの課題を紹介していきます。

1.教育をする時間的余裕がない

新人教育にもっと力を入れるべきだとわかってはいるものの、時間的な余裕がないため実施できていないという企業は多いのではないでしょうか。特にOJTを実施する場合、トレーナーは、自分の業務をこなしながら新人教育をしなければならないことになります。多忙のあまり、どちらかが後回しになってしまったり、トレーナーにストレスがかかりすぎてしまったりすることもあるかもしれません。人事としては、できるだけトレーナーがOJTに集中できる環境を整えてあげることが大切です

また、そもそも教育をする人材自体が不足しているというケースも多いようです。厚生労働省が公表している「令和5年度 能力開発基本調査結果の概要」では、57.1%の事業所が「指導する人材が不足している」を、47.6%の事業所が「人材育成を行う時間がない」を、人材育成に関する問題点として挙げています。

参考:令和5年度 能力開発基本調査結果の概要|厚生労働省(PDF)

現場で教えることを減らすために、集合型研修やeラーニングに置き換えられるような部分がないか、検討してみてはいかがでしょうか。

2.教育担当者のスキル・意識が足りない

効果的な教育を実施するためには、教育する側にさまざまなスキルが求められます。たとえば、OJTを実施する場合は、トレーナーには正しい教え方やフィードバックの与え方などを身につけてもらう必要があります。集合型研修を社内講師で実施するなら、講師を担当する社員には、テーマに関する知識を深めてもらうことはもちろん、講師としてのスキルも身につけてもらわなければなりません。効果的な1on1を実施するためには、上司には傾聴力や質問力、承認力などのスキルも求められます。

まずは教育する側に対して研修などを実施して、必要な知識やスキルを身につけてもらいましょう。あわせて、教育する側のモチベーション維持のために、評価制度や報酬制度を整えておくことも重要です。

3.教育を体系化できていない

「教育を体系化できていない」とは、人材育成に関する方針や計画がなかったり、研修を不定期・単発で実施していたりするようなケースです。方針や計画がないまま教育を進めても、高い効果は期待できません。企業としてどのような人材を求めているのか、そのためにどのような教育を行っていくのかを示さないと、新入社員も何を頑張ってどこを目指せばいいのかわからず、困ってしまうでしょう。さらに、教育の全体像が見えないと、「この会社で自分は成長できるのだろうか」と不安に感じてしまうこともあるかもしれません。

明確な方針と計画を立て、それに沿って研修等を実施していくことで、効果的な教育を効率よく行えるようになります。現場にとって本当に役に立つ人材を育てるためにも、現場とすり合わせながら計画を立て、教育プログラムを作成していきましょう。

4.新入社員の学びに対する意欲が低い

どれだけ内容の濃い教育プログラムを作っても、教育を受ける側の意欲が低いと、得られるはずの効果も得られません。新入社員の学びに対する意欲を引き出すために、モチベーションを高める工夫も必要です。

たとえば、集合型研修を実施するなら、座学だけだとどうしても受講者が「受け身」になりやすく、集中力も途切れやすいため、体験型のアクティビティを取り入れるのがおすすめです。体験があることで、学習に対する意欲だけでなく、学習効果も高まるといわれています。

また、受講者の意欲を高めるためには、あらかじめ研修の目的や目標を共有しておくことも重要なポイントです。

研修に対するやる気が出ない理由や、受講者をやる気にさせる方法については、こちらの記事も参考にしてみてください。

やる気にさせる研修とは?受講者のやる気が出ない理由と解決策

新人教育の効果を高めるポイント

最後に、新人教育を行う際のポイントを紹介します。

仕事の意味と全体の流れを伝える

数年前から、新卒採用の対象はZ世代となっていますが、この世代は、「意味」を重視する傾向があるといわれています。単純に作業の手順を伝えるだけでなく、何のためにそれをするのか、どのようなメリットがあるのかといったことまで伝えることで、仕事に意欲的になってくれることが期待できるでしょう

また、一つひとつの仕事がどのようにつながっていて、最終的にどのような成果が生まれるのかという全体像を、新入社員のうちに理解してもらうことも大切です。新人教育を行う際は、仕事の意味と、全体の流れも伝えるようにしてみてください。

職場の働きやすさを向上させる

特に新卒で入社した新入社員は、毎日初めてのことだらけで、さまざまなことに不安を感じています。また、知識やスキルは活用できるようになってもらわなければ意味がありません。新入社員に成長してもらうためには、働きやすさを向上させて、新入社員の不安を少しでも減らしてあげること、新入社員が学んだことを実行しやすい環境を作ることも大切です。具体的には、良好な人間関係の構築や、失敗しやすい雰囲気づくりなどの取り組みが求められます。

一人ひとりと向き合う

しっかりと目標と計画を立てて、それに沿って教育していくことはもちろん大切ですが、得意分野、個性、価値観などは人それぞれ違います。一人ひとりが最大限能力を発揮できるよう、個人に合わせた教育を行うことも意識しましょう。

集合型研修では難しいかもしれませんが、OJTは教育のペース、伝え方などを、できるだけ個人に合わせられるとよいでしょう。そのためには、トレーナーはトレーニーとしっかり向き合い、その人の価値観等を把握しておく必要があります。

答えではなくヒントを与える

新入社員には、いずれは自分で考えて行動できる人になってもらわなければなりません。最初のうちは上司から答えを示さないといけないことが多いかもしれませんが、何かに取り組んでもらうときは、答えではなくヒントを与えて、自分で考えてもらうとよいでしょう。そうすることで、主体性を伸ばすことができます。

その際、新入社員が出した答えが間違っていることもあるでしょう。しかし、まずは「考えて答えを出したこと」が重要なので、上司はそれを尊重することを心がけましょう。そのうえで、正しい方向に進めるようフォローすることで、新入社員の成長を促せるとともに、モチベーションアップにもつながります。

定期的にフィードバックをする

フィードバックがないと、新入社員は「合っているのか・間違っているのか」「成長できているのか・いないのか」などがわかりません。これにより、モチベーションが下がってしまうこともあります。上司は、良かった点・悪かった点、目標にどれくらい近づけているかなどを、定期的にフィードバックすることを心がけましょう。

その際は、評価項目と評価基準をまとめたチェックシートを活用するのがおすすめです。新入社員自身が評価を理解しやすくなるだけでなく、上司としても重点的に指導すべきポイントを判断しやすくなります。

新人教育にもおすすめ「あそぶ社員研修」

あそぶ社員研修」は、受講者全員が没入して取り組むアクティビティ・振り返り・講義をブリッジすることで学びを最大化させ、翌日から業務で活かせる知識・スキルが身につく講義・アクティビティ一体型の研修プログラムです

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以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。

1.ビジネスマナー研修

ビジネスマナー研修のアクティビティ「ビジトレ」では、実践形式・クイズ形式のアクティビティを通して、ビジネスマナーを楽しく学びます。

学びのポイント

  • 堅い内容になりがちなビジネスマナー研修にゲーム形式を取り入れることで、受講者が没入して学べる
  • 名刺交換や報連相などを実行し、動作・マナーに慣れることで、翌日から実践できるようになる

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2.コミュニケーション研修

コミュニケーション研修のアクティビティ「謎解き脱出ゲーム」では、チームでコミュニケーションをとりながら問題に隠された法則を発見する謎解きゲームのクリアを目指します。

学びのポイント

  • 受講者が「自分しか見えていない情報・問題・解き方」をチームで共有することでコミュニケーション促進やスキルアップにつながる
  • 突飛な発想・ヒラメキをチームのなかで積極的に発言できる心理的安全性の高い環境づくりが求められる

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3.ロジカルシンキング研修

ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルティング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します。

学びのポイント

  • 小グループで得られた情報を論理的に整理し、確定情報・曖昧情報・不要な情報を選り分ける
  • 大グループで全体に必要な情報を論理的に判断・共有することや、自分たちに足りない情報を聞き出すことが求められる。

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4.PDCA研修

PDCA研修のアクティビティ「ロケットPDCAチャレンジ」では、パーツを組み合わせてロケットを制作し打ち上げ結果から原因を考えて、より良く飛ぶロケットに改善していき、目標の達成を目指します。

学びのポイント

  • 計画を立ててロケットを飛ばし、その結果から組み合わせの誤り・部品の不足・不良部品の有無を推察し、それを繰り返すことで組み合わせの精度を上げていく
  • 資金稼ぎ・パーツの選択・打ち上げの準備を繰り返し、作戦タイム振返りを経て行動を改善していくことで、最適化されていく

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まとめ

新人教育の方法には、Off-JTOJT1on1などがありますが、どれか一つではなく、複数を組み合わせて教育を設計すると、効率よく効果的な教育を行うことができます。

現代の日本は、少子高齢化などの影響で採用が難しい時代となっており、人材育成の重要性が高まっています。新入社員に早く戦力になってもらい、自社で長く活躍してもらうために、新人教育の内容も見直してみてはいかがでしょうか。

 

あそぶ社員研修」は、受講者全員が没入して取り組むアクティビティと専門講師の講義・振り返りをブリッジすることで、翌日から業務で活用できる知識・スキルが身につく研修プログラムです。
アクティビティが受講者の主体性を高めてコミュニケーションを促進させ、スキルアップやチームビルディングをはかれます。
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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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