研修内製化とは?メリット・デメリットと成功させるポイントを解説
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大学卒業後、クラシック音楽業界にて制作・マネジメント・プロデュースに従事し、アートと教育の融合をテーマに、「体験を学びとして届ける」手法を追求してきた。
その後、体験型コンテンツ会社を経て、株式会社IKUSAにクリエイティブプロデューサーとして入社。
現在は研修事業部の責任者として、体験型・ゲーム型の社員研修事業を統括している。
ユーザー視点に立ったサービス開発を得意とし、「楽しさが行動変容を生む」という信念のもと新しい研修体験を創出している。
人材育成にはさまざまな手法がありますが、新しい知識やスキルを学んでもらうため、自社の考え方やルールなどを浸透させるために、研修を実施している企業は多いでしょう。近年、研修を内製化することを検討する企業が増えているようです。
本記事では、研修内製化とは何か、内製化するメリット・デメリット、内製と外部委託の使い分け方、研修内製化を成功させるためのポイントを紹介していきます。
研修内製化とは
外部に委託していたものを、社内リソースを使って実施できるようにすることを、「内製化」といいます。研修内製化とは、社内で研修の企画を立て、社内で必要な教材等を準備し、社内講師で実施できるようにすることです。ただ、「内製」に明確な定義があるわけではありません。外部の研修コンテンツを利用して社内講師が研修を行う場合も、内製に含まれるという考え方あります。
日本ではリーマンショック以降、人材育成コストの削減を目的に、研修を内製化する企業が増加しました。その後、景気回復とともに外部委託の形に戻す企業もありましたが、近年は、コスト削減以外のメリットが注目されるようになってきており、再び内製化を検討する企業が増えているようです。
また、新型コロナウイルス感染症が流行して以降、日本でもテレワークが普及し、これに伴い研修もオンライン化が進みました。近年研修の内製化が注目されているのは、コロナ禍以降オンライン研修のニーズが高まっていることも影響しているのかもしれません。
研修を内製化するメリット
では、研修を内製化することで、コスト削減以外にどのようなメリットがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
社内にノウハウを蓄積できる
研修を内製化することで、自社独自のノウハウや、特定の社員だけが持っているナレッジなども、教材にして蓄積していくことができます。
また、効果的な研修を実施するためには、研修に関するノウハウも必要になります。たとえば、プログラムの組み立て方、研修の進め方、受講者のモチベーションの管理の仕方などです。研修の実施を通して、こうしたノウハウを溜めていくことができるというのも、内製化のメリットの1つです。
自社に合った研修を実施できる
企業によって、業務の進め方や抱えている課題は異なります。自社のことを深く理解した社員が教材を作成し、講師になることで、自社の業務や課題にマッチした研修を実施することができます。
最近は、研修内容を企業に合わせてカスタマイズしてくれる研修会社もありますが、その程度はさまざまです。独自のコンテンツが必要な研修は、外部に委託するより内製が向いているといえます。
教える側もスキルアップできる
研修を内製化すると、自社の社員に講師を担当してもらうことになります。講師を担当する社員には、受講者に教えるために、そのテーマについて改めて勉強してもらわなければなりません。このときに、自分が持っている知識やスキルもアップデートすることができます。
また、現場で指導するなら独自の教え方でも構いませんが、研修ではそういうわけにはいきません。きちんとした研修の教え方で指導してもらう必要があるので、講師を担当する社員には、これも学んでもらう必要があります。
このように、研修を内製化することで、研修の受講者だけでなく、講師となる社員のスキルアップも期待できるでしょう。
変更・修正がしやすい
研修を外部に委託する場合は、基本的には委託先の研修プログラムで実施することになります。先ほどお伝えしたように、最近は研修内容をカスタマイズできる研修会社もありますが、一度内容が決まってしまったあとで、変更や修正をお願いするのは難しいでしょう。変更・修正の依頼に対応してくれたとしても、その分の費用は発生しますし、研修会社の担当者とのやり取りなど手間もかかります。
この点、研修を内製化していれば、急に内容を変更する必要が生じたときも、すぐに対応することができます。また、研修を実施する中で、受講者の反応を見て「ここはもっとこうしたほうがいい」ということが見つかれば、次回にはその部分を変更できます。このように、改善がしやすいというのも、内製化メリットの1つです。
研修を内製化するデメリット
コスト削減以外にも、研修を内製化することでさまざまなメリットが期待できることがわかりました。しかし、内製化することによるデメリットもあります。デメリットは、主に以下の2つです。
研修担当者の負担が増える
研修を内製化すると、外部に委託する場合よりも、研修担当者の負担が増えてしまうことが多いです。
研修を内製化するために必要な準備についてはのちほど詳しく紹介していますが、カリキュラムの構築や講師の育成など、やるべきことが非常に多いため、軌道に乗るまでは特に大きな負担がかかります。また、外部に委託する場合、研修の満足度や効果の測定もあわせて実施してくれることが多いですが、内製化するなら、これらも社内リソースで実施しなければなりません。さらに、法令関係のように頻繁に内容が変わるものもありますし、マネジメント手法などにもトレンドがあります。そのため、研修内容は定期的に見直しをしなくてはなりません。
このように、研修を内製化することで研修担当者の業務が増え、負担が増えるというのが、デメリットの1つです。
外部に委託するよりコストがかかる場合もある
研修を内製化すれば、金銭的なコストを必ず削減できるというわけではありません。研修プログラムの作成、社内講師の育成、必要な設備等の用意などに費用がかかるため、トータルで外部に委託する場合のコストを上回ってしまうこともあります。
また、研修を内製化すると、研修の準備、当日の運営、実施後の評価、改善まですべて社内リソースで行うため、時間的・人的なコストは、外部に委託する場合のコストを上回ってしまうことが多いです。
研修を内製化する場合、これらをしっかり確保できるか、かけるコストに見合うメリットが得られるかどうかも、十分検討しましょう。
研修を内製化するために準備すること
どのような研修を作りたいかによっても準備すべきことは変わってきますが、必ず必要になることとしては、以下の3つが挙げられます。
コンピテンシーを明確にする
コンピテンシーとは、優れた成果を発揮できる人に共通してみられる行動特性のことをいいます。研修を内製化するなら、研修内容に合わせたコンピテンシーを設定して、成果を上げられる人材になるための要素を、受講者に伝えられるようにしておく必要があります。また、コンピテンシーが明確になっていなければ、必要な要素を研修内容に反映させることもできません。効果的な研修を実施するために、まずはコンピテンシーを明確化しましょう。
コンピテンシーは、どのような知識やスキルを持っているかではなく、どのような価値観、思考パターンによりその行動が生まれるかといった点を重視します。社内ですでに活躍しているハイパフォーマーがいれば、その人にヒアリングをして、成果を上げるためにとった行動や思考を分析してみるとよいでしょう。
コンピテンシーは、研修だけでなく、人事評価や採用活動にも役立てることができます。詳しくは、以下の記事でも解説しています。
関連記事:コンピテンシーとは?スキルとの違い・具体例・活用例をわかりやすく解説
研修のカリキュラムを構築する
研修を内製化する場合、当然カリキュラムも一から構築しなければなりません。これが、非常に難しい作業になります。時間も手間もかかりますので、この点は覚悟しておきましょう。
カリキュラムを構築するときは、外部の研修会社が実施している研修のタイムテーブルや、自社の社員が過去に受けた研修のプログラム、テキストなどを参考にしてみるとよいでしょう。ただ、研修にはきちんとしたカリキュラムの「組み立て方」というものがあります。効果的な研修にするためにも、カリキュラムの構築は専門家(外部講師、研修会社など)にアドバイスをもらいながら進めていくことをおすすめします。独自のやり方だと、研修の効果も低くなってしまいやすいです。
また、カリキュラムを構築する際は、まずはゴールを明確にすることも重要です。受講者には研修を通して何を学んでほしいのか、研修を受けたあとどのような行動をとれるようになってほしいのかを明確にしたうえで、カリキュラムを考えましょう。そして、設計の段階から、受講者が「主体的に学べる」研修にすることを意識するのもポイントです。
さらに、研修実施後には効果を測定し、改善につなげていく必要があります。その方法や仕組みも整えておきましょう。
社内講師を育成する
研修を内製化する場合、講師も自社の社員に担当してもらうことになります。講師を担当する社員には、研修テーマに関する知識やスキルはもちろん、講師としてのスキルも身につけてもらわなければなりません。そのために、時間と費用をかけて育成に取り組む必要があります。社内にこれまでに講師経験がある社員がいれば、その社員に対象者を育成してもらってもよいですが、正しい「教え方」を知ってもらうためにも、こちらも専門家の力を借りながら進めていくことをおすすめします。
そして、誰を育成するのか(誰に講師を任せるのか)というのも、重要なポイントです。講師を選出する際は、「研修テーマに関する知識や経験が豊富」「コミュニケーションスキルが高い」「受講者と距離感が違い(年齢・職位など)」といった点を意識してみてください。また、通常の業務をこなしながら研修の講師も担当してもらうとなると、社員の負担が増えてしまいますので、場合によっては、研修専門の人材を新たに採用することも検討してみましょう。
内製と外部委託を使い分けよう
研修をすべて内製化するのではなく、テーマや目的に合わせて、内製と外部委託を使い分けるのがおすすめです。そうすることで、コストを抑えながら効果的な研修を実施できるようになります。外部に委託しつつ、内製化も進めていくことで、社内に研修のノウハウも溜めていくことができるでしょう。
ここからは、内製化に適している研修と、外部に委託したほうがよい研修の内容を紹介していきます。
内製化に適している研修
内製化に適しているのは、独自のコンテンツが必要な研修です。たとえば、企業理念や行動規範などを伝えるための新入社員向けの研修や、自社に長年受け継がれてきた技術を習得してもらうための研修、自社が求めるリーダーを育成するための研修などが挙げられます。ただ、業界の知識などについて学んでもらう場合は、外部から講師を招いたほうが、より深い知識を学べる場合もあります。
最近は、研修内容をカスタマイズできる研修会社も多いですが、独自のコンテンツが必要な研修は、内製化したほうが、より伝えたい形で伝えることができるでしょう。
外部に委託したほうがよい研修
ビジネスマナー研修やプレゼンテーション研修、ロジカルシンキング研修といった、一般的な知識やスキルに関する研修は、外部委託が向いています。このような汎用性のある知識・スキルに関する研修は、外部にも良質なものがたくさんあります。高い専門性も求められますので、外部に委託したほうが、より深い学びが得られるでしょう。
また、「チームビルディング研修」あるいは「チームビルディング効果が高い研修」も、外部に委託したほうが、高い効果が期待できます。
そして、自社で実施することが難しいような研修も、外部委託が向いています。たとえば、社内に蓄積されていない専門知識を学んでほしい場合や、最新情報やトレンド、成功事例について学ぶ研修などです。
研修を内製化するときのポイント
最後に、研修内製化を成功させるためのポイントを紹介します。
経営トップを巻き込む
研修を内製化するときは、経営トップを巻き込みながら進めていきましょう。
人事の研修担当者だけで、研修内製化を実現するのは難しいです。研修を内製化するためには、現場や教育関係者にもコミットしてもらう必要があります。そのためには、まず全員に「研修を内製化する必要がある」ということを理解してもらわなければなりません。
特に講師を担当する社員は、通常の業務をこなしながら講師も担当することになるため、負担が増えることになります。講師を担当することを評価する仕組みなどを作らなければ、モチベーションも下がってしまうでしょう。
このように、研修の内製化を進めるためには、社員の意識改革や、人事評価制度の見直しといった取り組みも必要になります。これを行うためには、経営トップの関与が欠かせません。
一気に内製化しない
先ほど紹介したとおり、研修のテーマや目的によっては、外部委託が向いているケースもあります。すべての研修を内製化するのではなく、外部委託とうまく使い分けることを目指しましょう。そして、内製化する研修も、一気に内製に切り替えるのではなく、徐々に内製化を進めていくのがおすすめです。
また、内製化には時間がかかります。一度目から理想の研修を実施するというのは難しく、より良い研修にしていくためには改善を重ねていく必要がありますが、人事異動により取り組みが中途半端に終わってしまうこともあるかもしれません。長期的な取り組みとなりますので、研修に特化した体制を作っておくことも大切です。
外部の力を借りながら進める
効果的な研修を設計・実施するためには、研修に関するノウハウが必要です。研修にはカリキュラムの「組み立て方」や、正しい「教え方」というものがあります。独自のやり方では、せっかく研修を内製化しても、効果が低いものとなってしまう可能性が高いので、外部の専門家の力を借りながら進めていくことをおすすめします。
最近は、研修の内製化を支援するサービスを提供している研修会社もありますので、探してみてはいかがでしょうか。
研修内容は定期的に見直しを
時代が変われば、ビジネスパーソンに求められる知識やスキル、業界のトレンドも変わっていきます。また、法改正も頻繁に行われていますので、自社の研修の内容が適切なものになっているか、定期的に見直しをすることが重要です。
また研修は、ただ知識をインプットするだけでなく、行動変容につながるものでなくてはなりません。実施後は、必ず効果の測定も行いましょう。そして、得られた結果をもとに、より良いものに改善し続けていくことが大切です。
まとめ
研修を内製化することで、コスト削減だけでなく、社内にノウハウを蓄積できる、教える側もスキルアップできるなど、さまざまなメリットが期待できます。ただ、人事の研修担当者や、講師を担当する社員の負担が増えるといったデメリットもありますので、テーマや目的に合わせて、内製と外部委託を使い分けるのがおすすめです。
以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。
1.合意形成研修
合意形成研修のアクティビティ「コンセンサスゲーム」では、危機的な状況下でどの物資を優先して確保すべきかをチーム内で議論し、最適な結論を導きます。
学びのポイント
- 各々が個人ワークで考えた答えを聞くことで、チームメンバーの状況に対する認識や物資の重み付けの違いを受講者が理解する
- 話し手は自分の答えにいたった理由を論理的・説得的に説明する
- より良い根拠を導き出すための比較検討をして、チーム全員が納得する結論を出す
2.PDCA研修
PDCA研修のアクティビティ「ロケットPDCAチャレンジ」では、パーツを組み合わせてロケットを制作し打ち上げ結果から原因を考えて、より良く飛ぶロケットに改善していき、目標の達成を目指します。
学びのポイント
- 計画を立ててロケットを飛ばし、その結果から組み合わせの誤り・部品の不足・不良部品の有無を推察し、それを繰り返すことで組み合わせの精度を上げていく
- 資金稼ぎ・パーツの選択・打ち上げの準備を繰り返し、作戦タイム振返りを経て行動を改善していくことで、最適化されていく
3.戦略思考研修
戦略思考研修のアクティビティ「ワールドリーダーズ」では、労働力や資本を使って事業を設立し、利益を稼ぐことを目指します。
学びのポイント
- 不確実な状況のなかで自チームにとって最適な行動方針を考え、実行していく
- 戦略を決めるために与えられた手段のなかでどの情報を取得していくかの優先順位決めが求められる
4.コミュニケーション研修
コミュニケーション研修のアクティビティ「謎解き脱出ゲーム」では、チームでコミュニケーションをとりながら問題に隠された法則を発見する謎解きゲームのクリアを目指します。
学びのポイント
- 受講者が「自分しか見えていない情報・問題・解き方」をチームで共有することでコミュニケーション促進やスキルアップにつながる
- 突飛な発想・ヒラメキをチームのなかで積極的に発言できる心理的安全性の高い環境づくりが求められる
5.ロジカルシンキング研修
ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルティング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します。
学びのポイント
- 小グループで得られた情報を論理的に整理し、確定情報・曖昧情報・不要な情報を選り分ける
- 大グループで全体に必要な情報を論理的に判断・共有することや、自分たちに足りない情報を聞き出すことが求められる
6.クリティカルシンキング研修
クリティカルシンキング研修のアクティビティ「混乱する捜査会議からの脱出」では、推理ゲームで論理的に情報を整理するなかで証拠の違和感に気づき、仮説立てや検証を行って目標を達成します。
学びのポイント
- 証拠品や証言など多くの情報を手分けして読み、組み合わせて論理的に結論を導き出す
- フェーズが進むごとに情報が増え、複雑になっていくなかで必要な情報を取捨選択する
- 出た結論に満足せず、常に新しい情報と照らし合わせて再検証する
7.リーダーシップ研修
リーダーシップ研修のアクティビティ「グレートチーム」では、チームの運営を疑似体験することでリーダーシップやマネジメントを学びます。
学びのポイント
- メンバーのリソース管理や育成、リーダーとしての決断を繰り返すことで、いろいろなリーダーシップの型を知ることができる
- 現代に合わせたリーダーシップの発揮の必要性を知り、自分らしいリーダーシップを学べる
8.ビジネスマナー研修
ビジネスマナー研修のアクティビティ「ビジトレ」では、実践形式・クイズ形式のアクティビティを通して、ビジネスマナーを楽しく学びます。
学びのポイント
- 堅い内容になりがちなビジネスマナー研修にゲーム形式を取り入れることで、受講者が没入して学べる
- 名刺交換や報連相などを実行し、動作・マナーに慣れることで、翌日から実践できるようになる
9.防災研修
防災研修のアクティビティ「先が見えない防災訓練からの脱出」では、チームで協力して、防災のアイテムや知識を使用しながら謎解きゲームのクリアを目指します。
学びのポイント
- 謎解きの答えが災害時のNG行動にまつわる内容となっており、解説時になぜ行なってはいけないかもセットで学ぶ
- 被災時は様々な情報が飛び交うため、情報を取得する際にどのようにすれば惑わされないかを学ぶ
10.OODA LOOP研修
OODA LOOP研修では、瞬間的な判断力が求められる運動系のアクティビティである「サバイバルゲーム」または「チャンバラ合戦」を実施することで、意思決定のフレームワークである「OODA LOOP」を実践的に習得することを目指します。
学びのポイント
- 敵チームをよく観察して作戦を練り、状況に応じた行動を素早く判断しながら、チームで共有して一体となって行動する
- ミッションの勝利条件をもとに、観察、判断、行動を繰り返すことで、本当にすべき行動が何なのか、行動の最適化を行う
この記事の著者
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