リーダーシップに必要なコンピテンシーとは?スキルとの違いや具体例をわかりやすく解説

2023.11.15
  • ビジネススキル
    • リーダーシップ

現代社会は、あらゆる面において、変化のスピードが非常に速まっています。そうしたなかで組織は、多様な価値観やさまざまな消費者のニーズに対応しなければなりません。

このような現代社会に適応した組織を運営するためには、組織をまとめ、メンバーを先導するリーダーの存在が不可欠です。組織を成功へと導くリーダーには、高い能力やリーダーシップスキルに加えてさらに必要とされる力があります。それがコンピテンシーと呼ばれるものです。

優れた成果をあげるための行動特性である「コンピテンシー」を有したリーダーは、自身の持つスキルを有効的に活用し、高いリーダーシップを発揮することができます。

本記事では、コンピテンシーとスキルの違いや、リーダーシップに必要なコンピテンシーの具体例と活用例について解説します

 

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コンピテンシーとは

コンピテンシーとは、「好成績者(ハイパフォーマー)が、継続的に成果を生み出すための行動特性」のことです。このコンピテンシーという概念は、ハーバード大学の心理学者マクライド教授が1970年代に行った研究から生まれたとされています。

ビジネスシーンにおいて、成果をあげる優秀な人間には、何かしらの共通する思考や行動が存在しています。このような、ハイパフォーマーが行動に至るための動機や考え方・性格など、目に見える技術ではなく、可視化されていない行動特性である「コンピテンシー」を一般化することで、より大きな成果をあげる手助けになると期待されています。

しかし、コンピテンシーは、明確化されている知識やスキルなどとは違い、見えづらいものであるため、身に付けることが非常に困難です。また、立場や役割によって必要とされるコンピテンシーは異なるため、自身に必要なコンピテンシーを見極め、習得する必要があります。特に、リーダーシップを発揮しなければならない立場にあるビジネスパーソンにとって、コンピテンシーの習得は不可欠なものであるといえるでしょう。

参考:新しい能力主義としてのコンピテンシーモデルの妥当性と信頼性(PDF)

コンピテンシーとスキルやアビリティの違い

コンピテンシーは、スキルやアビリティと混同されがちですが、これらは全く異なるものです。スキルとは、より専門的な知識や技術そのものを指す言葉であり、アビリティは、スキル程高いレベルではない技術や知識、仕事への姿勢など、総合的な能力を表すときに使われます。

一方で、コンピテンシーは、優れた成果を安定的にあげるための行動特性や思考特性を指しています。つまり、スキルやアビリティを持っているだけではなく、それらを具体的に発揮するための「考え方」や「行動」がコンピテンシーです。そのため、高いスキルやアビリティを有していても、それに伴うだけのコンピテンシーがなければ、自身の持つ能力を最大限に引き出すことができません。

なぜコンピテンシーが必要なのか

以前の日本では、年功序列を基にした職能資格制度が採用されていたため、スキルや知識などの保有自体を重視しており、それらを発揮するための力については認識されていませんでした。しかし、時代が変化することで、従来の職能資格制度では、企業が成果を上げ続けることが困難になり、成果主義への移行が行われました。

成果主義では継続的に成果をあげるための能力が重視されており、ビジネスパーソンは自身の持つスキルや知識を最大限に発揮することが求められます。そのため、成果を上げ続けるための行動特性「コンピテンシー」の必要性が高まりました。このような背景から、企業は、より効果的にスキルや能力を発揮する環境づくりを行うため、従業員のコンピテンシーを評価するなどの、新たな制度の導入に取り組み始めています。

その他にも、コンピテンシーが必要とされる理由として、少子高齢化による労働人口の減少などが挙げられます人材不足が深刻化している現代社会では、少ない人員で最大限の成果をあげなければなりません。そのため、より多くのビジネスパーソンが、コンピテンシーを身に付け、高いパフォーマンスを発揮することが求められています。

参考:日米におけるコンピテンシー概念の生成と混乱(PDF)

リーダーシップに必要なコンピテンシーの具体例

リーダーには、組織を円滑に運営するために必要な、さまざまなリーダーシップスキルを習得していることが求められます。しかし、そのリーダーシップスキルを活用するためには、「リーダーシップコンピテンシー」について理解しておかなければなりません。

「リーダーシップコンピテンシー」とは、優れたリーダーが、高いリーダーシップスキルを発揮するために行っている行動特性であり、組織を導く立場にあるビジネスパーソンにとって不可欠なものです。ここでは、リーダーに必要なコンピテンシーの具体的な例を見ていきましょう。

1.     傾聴の姿勢

リーダーシップスキルのひとつである「コミュニケーションスキル」を活用するためには、相手の話をしっかりと聞く必要があります。また、「育成スキル」や「モチベーション管理スキル」においても、相手の立場に寄り添った考え方が不可欠といえるでしょう。そのため、リーダーは、傾聴の姿勢を身に付けておくことが大切です。

傾聴とは、「相手の伝えたいことに、深く丁寧に耳を傾けながら、肯定的な関心を寄せることで、共感的理解を示すコミュニケーション方法」です。傾聴の姿勢によって、メンバー一人ひとりの意見を正確に把握し、相手の考え方を理解することで、信頼関係を構築し、チーム全体のモチベーションやパフォーマンスの向上が見込めます。

傾聴の姿勢を身に付けるためには、以下のような行動を、普段の会話から意識しておくことが大切です。

  • 相手の話を途中で遮らず、最後までしっかりと聞くことに集中する
  • 相手の立場や気持ちを考え、共感していることを示す
  • 相談を受ける際は、自身の意見を押し付けるのではなく、相手の意見を尊重する
  • 会話中の適度なリアクションを意識する
  • 相手に興味を示し、話を広げるような質問を行う

2.     誠実さ

リーダーとして成果をあげるためには、メンバーとの信頼関係構築が不可欠ですメンバーから信頼されているリーダーは、効果的にリーダーシップスキルを発揮することができます。メンバーと接する際は、誠実さを心がけましょう。誠実なリーダーになるためには、以下のような意識や行動が求められます。

  • メンバーとの約束は必ず守る。守ることが難しい場合には、明確な理由の説明を行う
  • チーム内の透明性を保ち、メンバー一人ひとりに対して、公平な態度で接する
  • 自身の間違いをしっかりと認め、メンバーの意見を素直に受け入れる
  • 自らが先頭に立ち、手本となる行動を意識する
  • チーム内での問題に対して、率先して取り組む

参考:リーダーの誠実性が部下の組織への帰属意識と仕事意欲に及ぼす影響(PDF)

3.     冷静さ

「リスクマネジメントスキル」や「意思決定スキル」を発揮するためには、常に落ち着き、慎重に物事のメリット・デメリットを考え的確な判断を行うことが大切です。そのため、リーダーは、感情的な行動を控え理性的に動かなければなりません。また、常に冷静さを保つリーダーの下では、メンバーの心理的安全性が確保されるため、働きやすい労働環境を形成することができます。常に冷静な判断を下せるリーダーになるためには、以下のような点を意識しておきましょう。

  • 自身の機嫌や気分によって、態度が変わらないよう、普段から安定した精神性の維持に努める
  • 強いプレッシャーを受けるような状況であっても、公正な判断が下すように意識する
  • 常に物事の本質を捉え、矛盾した行動にならないよう心がける

4.     組織力とチームワーク

チーム内での円滑な業務遂行には、リーダーが組織力の強化やチームワークへの意識を持つ必要があります。チームには、さまざまな意見やスキルを持ったメンバーがおり、一人ひとりのモチベーションや生産性を向上させるためには、チームワークが発揮された強い組織づくりが不可欠です。組織力を向上させ、チームワークを発揮させるためには、リーダーが以下のように行動する必要があります。

  • メンバーの長所や短所を把握し、適材適所の人員配置を行うことで、働きやすい環境の形成に努める
  • 自身の成果を第一に考えるのではなく、メンバーがその能力を最大限に発揮し、より良い成果をあげられるように導く
  • リーダー自らが全ての業務を遂行するのではなく、メンバーと共同で業務を行うよう意識する

5.     主体性

リーダーシップスキルである、「リスク管理スキル」や「課題解決スキル」「意思決定スキル」を活かすためには、積極性を持って、それらに取り組む姿勢が不可欠です。つまり、リーダーには、「自らが当事者である」という認識を持って、業務に取り組む「主体性」が求められます。優れたリーダーは、組織の求めるニーズを察知し、自らの意思で決定を下すことで、高い成果をあげており、このような行動が主体性を持ったリーダーの特徴のひとつであるといえるでしょう。主体性を持って業務に取り組むためには、以下のような点を意識することが大切です。

  • 非効率な業務などを発見した場合は、率先して改善に取り組む
  • チーム内の問題に対して、自身の問題であるとの当事者意識を持って解決に臨む
  • チーム全体での目標達成は、リーダーの使命であると意識する

6.     自制の心

リーダーの役割は、個人の成果を上げることではなく、チーム全体で目標を達成することです。そのため、リーダーには、自身の成果に捉われることなく、メンバーの成功を優先し、サポートする姿勢が求められます。自身の感情や欲望を抑え、メンバーへの配慮を優先できるリーダーは、メンバーからの信頼を獲得し、頼られる存在となれるでしょう。リーダーとして、自制心を高めるためには、以下のような方法がおすすめです。

  • リーダーの判断や指示が、メンバーに大きな影響を与えることを理解しておく
  • 自身の感情ではなく、メンバーの感情やモチベーションを優先するように意識する
  • 考え方や価値観の多様性について学ぶことで、偏った判断を行わないよう心がける

リーダーシップコンピテンシーの活用例

リーダーシップコンピテンシーは、リーダーの有するリーダーシップスキルを効果的に発揮できる環境を実現できるため、組織内のさまざまなシーンで役立ちます。ここでは、リーダーシップスキルコンピテンシーを活用できる、3つの例を紹介します。

部下の指導や育成

「傾聴の姿勢」や「誠実さ」「冷静さ」などの、リーダーシップコンピテンシーを有しているリーダーは、メンバーとの堅い信頼関係を構築することができます信頼関係に基づいた、正しいコミュニケーションが行える組織環境では、メンバーがリーダーの意見を受け入れやすいため、より高いレベルのコーチングが行えます。また、ハイパフォーマーの行動特性であるコンピテンシーを有しているリーダーは、メンバー一人ひとりが身に付けなければならない行動や思考を理解できているため、より効率的な育成方法が選択できるといった点も大きな特徴です。

信頼感があり、コーチングスキルが高いリーダーの下では、メンバーのモチベーションが高く保たれ、成長意欲もあるため、良い影響が連鎖していく傾向にあります。その他にも、多くの従業員が、コンピテンシーについて理解を深めることで、生産性が上がるだけでなく、次世代のリーダーが生まれやすい環境になるといった効果も見込めるでしょう。このように、リーダーシップコンピテンシーを有したリーダーは、組織に大きく貢献してくれます。

人事評価

リーダーシップコンピテンシーを有したリーダーは、普段から親密なコミュニケーションを意識し、メンバーの持つスキルや知識などを深く理解できているため、公平で正当な評価が行えます。また、リーダーが優秀なメンバーの行動を知ることで、組織内で明確な評価基準が設定できるなどといった点も、人事評価にリーダーシップコンピテンシーを活用する大きなメリットです。

その他にも、コンピテンシーを理解したリーダーの下では、数字で表れる成果だけでなく、可視化されておらず評価の難しい業務プロセスなどに対しても、正しい評価を付けられるため、メンバーの高いモチベーションを維持することが可能です。

トラブルへの対応

組織内外のトラブルに対しても、リーダーシップコンピテンシーを活用することで、問題を解決することができます。常に冷静な姿勢で物事に対応できるリーダーは、自身の持つ「問題解決スキル」や「意思決定スキル」を最大限に活用できるため、正確なトラブル対応が行えるでしょう。

また、リーダーシップコンピテンシーのひとつである「主体性」を有しているリーダーは、当事者意識を持って問題に向き合うとともに、組織の方向性を明確に示し、メンバーを動かすことができます。そのため、予想外のトラブルが発生したケースでも、迅速に解決へと導くことができるでしょう。

リーダー人材の採用

組織を導く、次世代のリーダーを新たに採用する際にも、リーダーシップコンピテンシーが活用できます。組織内で、リーダーシップを発揮している優秀なリーダーのコンピテンシーを把握し、採用基準に設定することで、組織が求めているリーダー人材かどうかの判断が容易となるでしょう。

面接の際には、「過去の実績内容」や「実績をあげた際の行動理由」など、応募者の思考や行動の傾向を確認できる具体的な質問を行うことで、より組織の求めるリーダー人材に近い人物を、採用することが可能になります。

まとめ

リーダーが組織において、リーダーシップを発揮するためには、スキルや能力だけでなく「リーダーシップコンピテンシー」が不可欠です。また、リーダーのスキルや能力を活かす「リーダーシップコンピテンシー」は、人材育成や人事評価など、リーダーが関わるべきさまざまな分野において活用することができます。

リーダーの立場を担うビジネスパーソンは、リーダーとして必要なコンピテンシーを学び、自身の成長やチームメンバーの成長をサポートすることが大切です。リーダーシップに必要なコンピテンシーをリーダーが理解しておくことで、組織内の生産性やモチベーション向上など、さまざまなメリットが見込めるでしょう。

 

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この記事の著者

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