ハラスメントとは?防止措置が必要な理由・施策例を紹介

2024.03.27
  • 組織・人材開発

ハラスメントは、相手を深く傷つける許されない行為です。職場で発生すれば、被害を受けた本人はもちろん、それを見ていた周りの従業員も能力を十分に発揮できなくなる、企業イメージが低下するなど、さまざまな悪影響がもたらされる可能性があります。企業として、しっかりハラスメント対策に取り組んでいきましょう。

本記事では、「ハラスメント」とはどのような行為を指すのか、種類ごとに詳しく紹介します。そして、企業がハラスメント対策に取り組むべき理由、ハラスメント防止策の例と、万が一ハラスメントが起きてしまったときの対処法を解説します。

 

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ハラスメントとは

ハラスメントとは、相手に身体的・精神的ダメージを与えるようないじめや迷惑行為のことをいいます。現在、職場におけるさまざまなハラスメントが社会問題になっています。職場のハラスメントについて正しく理解するために、まずは「職場」と「従業員」の範囲を確認しておきましょう。

「職場」とは、事業主が雇用する従業員が、実際に業務を行う場所を指します。通常の就業場所(オフィス、店舗など)だけでなく、取引先と打ち合わせをする場所、さらに新年会や忘年会といった懇親の場や、通勤中など、職務の延長と考えられるものも「職場」に含まれます(※職務との関連性や参加者などを考慮して判断する必要があります)。

そして、「従業員」とは、正規雇用従業員だけでなく、非正規従業員(パートタイム従業員、契約社員、派遣従業員など)を含むすべての従業員を指します。

ハラスメントには、さまざまな種類があります。ここからは、職場で発生する可能性がある主なハラスメントを紹介していきます。

パワーハラスメント

パワーハラスメントは、略して「パワハラ」とも呼ばれているハラスメントです。職場のパワーハラスメントとは、職場において行われるもののうち、以下の3つの要素をすべて満たすものと定義されています

  1. 優越的な関係を背景とした言動
    優越的な関係とは、「上司→部下」のような職務上の地位が高いという場合だけではありません。職務上の地位や年齢は下でも、知識や経験が豊富で、その人がいなければ円滑に業務を進められない場合や、相手が集団で、抵抗または拒絶することが難しい場合なども、これに当てはまります。
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
    社会通念上、明らかに常務上必要のない言動や、業務の目的から大きく逸脱した言動、行為の回数や態様が許容範囲を超えるものなどを指します。
  3. 従業員の就業環境が害されるもの
    従業員に身体的または精神的な苦痛を与え、就業環境を不快にさせ、能力を十分に発揮できなくなるなどの影響を生じさせるものを指します。

セクシュアルハラスメント

セクシュアルハラスメントは、略して「セクハラ」とも呼ばれているハラスメントです。職場のセクシュアルハラスメントとは、職場において行われる、従業員の意に反する性的な言動により、従業員が不利益を受けたり、就業環境が害されたりすることをいいます

【性的な言動の例】

  • 性的な内容のうわさを流す。
  • 性的な冗談を言ったり、からかったりする。
  • 食事やデートにしつこく誘う。
  • 必要ないのに身体に触れる。
  • 性的な関係を迫る。

職場のセクシュアルハラスメントは、取引先や顧客など社外の人が行為者になるケースもあります。また、同性に対する言動もセクシュアルハラスメントに該当します。男性も女性も、行為者と被害者どちらになる可能性もあります。

妊娠・出産・育児休業等ハラスメント

妊娠・出産・育児休業等ハラスメントとは、職場において行われる、妊娠・出産や育児休業、介護休業などの利用に関する上司・同僚からの言動により、就業環境が害されることをいいます。マタニティハラスメント(マタハラ)、パタニティハラスメント(パタハラ)、ケアハラスメント(ケアハラ)という名前で呼ばれることもあります。

【典型的な例】

  • 妊娠したことを上司に報告したら、退職を勧められた。
  • 育児休業の取得を申し出たら、「男のくせになんで休むんだ」と言われた。
  • 同僚から「あなたが短時間勤務をしているから、こっちの負担が増えている」と繰り返し言われ、就業するうえで看過できないほどの支障が生じている。

カスタマーハラスメント

カスタマーハラスメントとは、顧客や取引先から過大な要求をされたり、不当な言いがかりをつけられたりすることをいいます。略して「カスハラ」とも呼ばれています。20242月、東京都が、このカスタマーハラスメントの防止に特化した条例を制定する方針を固めたというニュースも話題になりました。

企業や業界によって、顧客や取引先への対応方法や基準は異なるため、明確に定義するのは難しいですが、次のようなケースは、カスタマーハラスメントに該当すると考えられます。

  • 暴力を振るう。
  • 暴言を浴びせてくる。
  • 土下座を要求する。
  • 商品やサービスに関係ないことを要求してくる。

就活ハラスメント

就活ハラスメントとは、就職活動やインターシップ中の学生に対するさまざまなハラスメント行為の総称です。パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントだけでなく、内々定を出す代わりに、他社の内定を辞退するよう迫る「就活終われハラスメント(就活オワハラ)」も問題となっています。

また、面接などで女性にだけ「結婚や出産をした後も働き続けたいですか?」といった質問を投げかけると、セクシュアルハラスメントになるだけでなく、男女雇用機会均等法違反にもなりますので、注意しましょう。

参考:就ハラ|職場でのハラスメント防止を学ぶ | TOKYOノーハラ企業支援ナビ

その他のハラスメント

ここまでに紹介したハラスメント以外にも、職場で起こる可能性があるハラスメントにはさまざまなものがあります。たとえば、次のようなハラスメントです。

モラルハラスメント
(モラハラ)

無視する、意見や人格を否定するなど、相手に精神的な苦痛を与えるような言動のこと。

ジェンダーハラスメント
(ジェンハラ)

性別を理由に不当に仕事や役割を決めたり、「男は(女は)こうあるべき」などと性差別的な発言をしたりすること。

不機嫌ハラスメント
(フキハラ)

不機嫌な態度をとって、周りに不快な思いをさせたり、過剰に気を使わせたりして精神的な苦痛を与えること。

スメルハラスメント
(スメハラ)

香水や口臭、体臭、たばこなどの臭いにより、周りに不快感を与えること。行為者本人に自覚がないケースが多い。

アルコールハラスメント
(アルハラ)

飲み会で飲酒を強要する、飲めない人に配慮しないなど、飲酒に関する迷惑行為のこと。

リモートハラスメント
(リモハラ)

リモートワーク中に起こるさまざまなハラスメントのこと。監視のために常時カメラをオンにさせる、ビジネスチャットで私的な内容を送るなど。

ハラスメント防止策が必要な理由

相手の尊厳や人格を傷つけることは、人として許されない行為です。また、企業としては、次の2つの理由から、必ずハラスメント防止措置を講ずる必要があります。

法律で義務付けられているため

先ほど紹介したハラスメントのうち、パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等ハラスメントの3つについては、事業主は防止措置を講ずることが以下の法律で義務付けられています。併せて、ハラスメントを受けたことを事業主に相談したこと等を理由に、不利益な取り扱いをすることも禁止されています。

  • パワーハラスメント……労働施策総合推進法(第30条の2
  • セクシュアルハラスメント……男女雇用機会均等法(第11条)
  • 妊娠・出産・育児休業等ハラスメント……男女雇用機会均等法(第11条の3)、育児・介護休業法(第25条)

これらについては、事業主は必ず防止措置を講じなければなりません。

ハラスメントは企業経営に悪影響をもたらすため

ハラスメントが発生すると、企業経営にもさまざまな悪影響がもたらされる可能性があります。たとえば、以下のようなリスクがあります。

  • 法的責任が問われる。
  • 被害にあった従業員がメンタルヘルス不調を引き起こし、休職・退職に追い込まれる。
  • 職場の雰囲気が悪くなり、従業員のモチベーションや作業効率が低下する。
  • 取引先や顧客からの信頼を失う。
  • 企業イメージが低下し、採用活動で応募が集まりにくくなる。

このような事態にならないように、企業としてしっかりとハラスメント対策に取り組んでいきましょう。

職場のハラスメントが起きる原因

ハラスメントが起きる原因にはさまざまなものがありますが、ここでは、よくあるパターンとして、3つの原因を紹介します。

個人の意識や価値観の問題

ハラスメントは、行為者が無自覚であるケースも少なくありません。無自覚なハラスメントは、行為者が価値観をアップデートできていなかったり、「ハラスメントとは何か」を正しく理解できていなかったりするために起きてしまうことが多いです

【無自覚なハラスメントの例】

  • ほかの従業員のためにもなると思ったので、部下の失敗を皆の前で叱った。(パワーハラスメント)
  • コミュニケーションのつもりで、インターンの学生に「付き合っている人はいる?」「どんな人がタイプ?」などと質問してしまった。(就活ハラスメント)
  • 来客のお茶出しは女性のほうが良いと思い、手が空いている男性社員もいたが、女性社員に頼んだ。(ジェンダーハラスメント)

コミュニケーション不足

厚生労働省が公表している、令和2年度「職場のハラスメントに関する実態調査」の報告書を見ると、パワーハラスメント経験者は未経験者よりも、「上司と部下のコミュニケーションがない / 少ない」ことを職場の特徴として挙げた割合が高かったとされています。コミュニケーションが不足すると、上司と部下、同僚同士の間でも、信頼関係を築くことが難しくなります。また、コミュニケーションが少ない職場では、誤解や不満も生じやすくなるため、業務上必要かつ相当な範囲内の言動に対しても、「ハラスメントだ」と感じやすくなるのではないでしょうか

また、「従業員間に冗談、おどかし、からかいが日常的に見られる」という回答割合も、未経験者より経験者が高くなっています。ハラスメントを防ぐために、社内コミュケーションを活性化させることは大切ですが、どのような形のコミュニケーションでも良いというわけではないので、注意しましょう。

失敗が許されない雰囲気がある

前項で紹介した厚生労働省の令和2年度「職場のハラスメントに関する実態調査」の報告書では、職場の特徴として「失敗が許されない/失敗への許容度が低い」という回答割合も、未経験者より経験者が高くなっています。

失敗が許されない雰囲気がある職場では、従業員にかかるストレスや負担も大きくなりやすいといえます。心身に余裕がなくなることで、周りにきつくあたってしまったり、不機嫌な態度をとってしまったりなど、無意識に行為者になってしまう可能性も考えられます。

参考:令和2年度 職場のハラスメントに関する実態調査 報告書(概要版) – 厚生労働省(PDF)

ハラスメント防止策の例

では、ハラスメントを防止するために、具体的にどのような対策をとればよいのでしょうか。ここでは、その一例を紹介します。

企業の方針を周知・啓発する

ハラスメントを防ぐためには、まずは従業員に、企業のハラスメントに関する方針を知ってもらうことが大切です。いかなるハラスメントも決して行ってはならないこと、企業としてハラスメント防止に取り組んでいくことを明確にし、従業員に示しましょう。万が一ハラスメントが発生してしまった場合の行為者に対する措置は、就業規則などの文書に定めておき、従業員に周知・啓発します。

相談窓口を設置する

ハラスメントにいち早く気づくことができるように、従業員がハラスメントについて相談できる窓口を設け、周知しましょう。すでに起きているハラスメントだけでなく、ハラスメントが起きそう、ハラスメントかもしれないという相談にも対応できるようにしておくことが大切です。

研修を行う

先ほどお伝えしたように、ハラスメントは行為者が無自覚なケースも多いです。従業員に対してハラスメント研修を実施して、「ハラスメントとは何か」「発生したらどのような影響があるのか」「なぜ防止対策をとる必要があるのか」など学んでもらうことで、無自覚なハラスメントを防ぐことができるでしょう

また、ハラスメントを防ぐには、「ハラスメント行為をしない・させない」ことが一番大切ですが、無理な要求をされたときなどに、はっきり「No」と断れるようになってもらうために、アサーティブ・コミュニケーション研修を実施するのもおすすめです。アサーティブ・コミュニケーションについては、以下の記事でも解説しています。

アサーティブコミュニケーションとは?メリットやスキルの高め方を紹介

ハラスメントが起きてしまった場合の対応

最後に、職場でハラスメントが起きてしまったときに、企業がとるべき対応について解説します。

まずは、ハラスメントが起きてしまったら、誰がどのような手順で対応するのかを、あらかじめしっかり決めておくことが重要です。ハラスメントが発生してから体制づくりに取り掛かるのでは、対応が遅れてしまいます。

そして、万が一ハラスメントが起きてしまった場合は、次の流れで対応していきます。

1.事実確認

迅速かつ正確に事実関係を確認します。被害者と行為者だけでなく、必要に応じて第三者からも聞き取りを行います。

2.被害者に対する措置

「ハラスメント行為があった」という事実が確認できたら、速やかに被害者に対する配慮の措置を行います(例:行為者との関係改善に向けてのサポート、行為者と距離をとるための配置転換、行為者の謝罪、メンタルヘルス不調の回復のサポートなど)。

3.行為者に対する措置

「ハラスメント行為があった」という事実が確認できたら、速やかに行為者に対しても適正な措置を行います(例:企業が定めたハラスメントに関する規定等に基づく措置、被害者との関係改善に向けてのサポート、被害者と距離をとるための配置転換、謝罪など)。

4.再発防止に向けた取り組み

事実関係が確認できた場合も、できなかった場合も、再発防止に向けた措置を講じます(例:ハラスメントに関する方針を記載した資料等の配布、ハラスメント研修の実施など)。

参考:パンフレット「職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました!~~セクシャルハラスメント対策や妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント対策とともに対応をお願いします~~」|厚生労働省(PDF)

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まとめ

職場でハラスメントが起きると、被害を受けた本人が心に大きなダメージを受けるのはもちろんのこと、企業にもさまざまな悪影響がもたらされる可能性があります。また、パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等ハラスメントは、防止措置を講ずることが事業主の義務となっていますので、早急に対策に取り組みましょう。

参考:ハラスメントの定義|ハラスメント基本情報|あかるい職場応援団 -職場のハラスメント(パワハラ、セクハラ、マタハラ)の予防・解決に向けたポータルサイト-

 

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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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