ウェルビーイングの企業事例9選!実現に向けた取り組みを紹介

2023.09.27
  • 組織・人材開発
    • ウェルビーイング

近年、ビジネスシーンにおいて「ウェルビーイング」という概念が注目を集めており、従業員やその家族、顧客、地域社会など、さまざまな人々のウェルビーイングの実現に取り組む企業も増えています。

本記事では、まずウェルビーイングとは何かについて簡単にわかりやすく説明したうえで、ウェルビーイング経営を実践する日本企業の取り組み事例を紹介します

 

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ウェルビーイングとは

ウェルビーイング(well-being)には、「幸福」や「健全性」の意味があります。決まった定義はありませんが、一時的に幸せな感情が芽生えることや、心身が健康であることを指すのではなく、「肉体的・精神的・社会的に満たされた状態が持続すること」を表す言葉として用いられることが多いです。

ウェルビーイングの概要については、以下の記事で詳しく紹介しています。

ウェルビーイングとは?意味や理論・測定方法を簡単にわかりやすく解説 

経営にかかわるすべてのステークホルダーのウェルビーイングの実現を目指す企業経営は「ウェルビーイング経営」と呼ばれており、近年は特に、従業員のウェルビーイングの実現に取り組む企業が増えています。

ウェルビーイング経営については、以下の記事で詳しく紹介しています。

ウェルビーイング経営とは?取り組むメリットや施策例を紹介

ウェルビーイング経営の事例9選

ここからは、ウェルビーイング経営を実践する日本企業の事例を紹介します。

1.株式会社イトーキ

株式会社イトーキは、ワークプレイス事業、設備機器・パブリック事業、IT・シェアリング事業を展開する企業です。

東京にある本社オフィス「XORK」では、2019年からABW(Activity Based Working)を実践しています。ABWとは、オランダのコンサルティング企業のヴェルデホーエン社が考え出したワークスタイルです。最も生産性が高く働けるように、働く時間や場所、相手を、ワーカー(従業員)自ら選択します。

株式会社イトーキでは、ABWの創始者のヴェルデホーエン社とパートナー契約を結んでおり、ヴェルデホーエン社の知見に基づき、ワーカーの業務内容(活動)を以下の10種類に分類しています。

【1人で行う活動】

  • 高集中
  • コワーク
  • 電話/WEB会議

【2、3人で行う活動】

  • 2人作業
  • 対話

【3人以上で行う活動】

  • アイデア出し
  • 情報整理
  • 知識共有

【その他】

  • リチャージ
  • 専門作業

本社オフィス「XORK」には、専用ブース(1人用・2人用)や、カジュアルなミーティング・打ち合わせに適した空間、仕事から離れてリラックスできるスペースなどが設けられており、さまざまな活動が行いやすいように空間が設計されています。

また、株式会社イトーキは、自社でABWを実践するだけでなく、事業としてABWの導入サポートも行っています。

【補足】ABWとフリーアドレスの違い

近年、フリーアドレスという仕組みを導入する企業が増えています。フリーアドレスは、「オフィス内に従業員の固定席を設けない」というものです。働く場所は従業員自ら選択できますが、範囲は「オフィス内」であり、特別なルールが設けられていない限り、就業時間は決まっています。

一方ABWは、オフィス以外の自宅や外出先も「働く場所」であり、働く時間も従業員自ら選択します。また、業務を「活動」と捉え、どのように環境を整えればスムーズに活動を進められるかを考えるのもABWの特徴です。

フリーアドレスよりもABWは自由度が高く、柔軟性もがありますが、従業員に委ねられる部分が大きいため、従業員同士の信頼関係と、一人ひとりに強い責任感が求められます。

参考:ABWコンサルティングサービス | ITOKI

2.株式会社丸井グループ

株式会社丸井グループは、東京都に本社を置き、小売事業、フィンテック事業などを展開している企業です。

株式会社丸井グループが進めているのは、「活力×基盤のWell-being経営」です。すべてのステークホルダーの「しあわせ」に貢献するためには、ワークエンゲージメントの高い組織をつくることが重要であるとして、従業員のウェルビーイングの向上に取り組んでいます。

基盤

株式会社丸井グループは、活力や「しあわせ」は、心と身体の健康が土台になって芽生えるものであると考えています。まずは、病気ではない・弱っていないというような、基盤を整えることが大切だとして、従業員のヘルスケアに取り組んでいます。

【取り組みの一例】

  • 従業員の禁煙を支援するため、禁煙治療にかかった費用の7割を補助している(上限2万円/年、薬剤費含む)。
  • メタボリックシンドロームに該当する従業員を対象に、独自のメタボ改善プログラム「ヘルスアッププログラム」を実施している。
  • 従業員のヘルスリテラシー向上のために、「日本健康マスター検定」(主催:日本健康生活推進協会)、「女性の健康検定」(主催:女性の健康とメノポーズ協会)などの資格取得を推奨しており、これまでに多くの従業員が合格している。

参考:人と社会のしあわせを共に創る「Well-being経営」 | 重点テーマ2 | サステナビリティ | 丸井グループ-maruigroup website-

活力

株式会社丸井グループは、企業全体の生産性向上、企業価値向上と、社会貢献につなげることを目指し、従業員の活力を高めるためのWell-being活動を進めています。

【取り組みの一例】

  • 新宿マルイ本館「コンセプトショップス」で、女性特有の健康問題を考えるイベントを開催した(2022年)。
  • 経営トップ層(役員、部長、課長)を対象とした研修「レジリエンスプログラム」を実施している。
  • 社内アンケート、ストレスチェック、独自の「組織健康度調査」などのデータを分析し、Well-being活動と組織の活力の関係の可視化を図っている。

参考:人と社会のしあわせを共に創る「Well-being経営」 | 重点テーマ2 | サステナビリティ | 丸井グループ-maruigroup website-

3.ロート製薬株式会社

ロート製薬株式会社は、大阪に本社を置き、医薬品や化粧品、機能性食品などの製造・販売を行っている企業です。

ロート製薬株式会社では、心身の健康だけでなく、情熱を持って日々仕事に取り組むことができる状態を「真の健康」と考えており、自社の従業員から社会、そして次世代に健康の輪を広げていくため、さまざまな健康経営の取り組みを実施してきました。そのなかから、健康社内通貨「ARUCO」と、卒煙推進活動を紹介します。

健康社内通貨「ARUCO」

「ARUCO(アルコ)」は、ロート製薬株式会社が2019年1月に導入した、従業員の健康増進のための独自の社内通貨です。

歩数、早歩き時間、スポーツ、非喫煙など、健康的な生活習慣を実施することで、健康コインが貯まります。貯まった健康コインは、ロート製薬株式会社が運営する飲食店のランチチケット、リラクゼーション施設の体験、健康に関する社内セミナー・研修への参加、心身のリフレッシュのための特別休暇取得など、幅広い用途に利用できるという仕組みです。

参考:独自の社内通貨で従業員の健康づくりをサポート!ロート製薬が健康コイン『ARUCO(アルコ)』を導入 | ロート製薬株式会社

卒煙推進

ロート製薬株式会社では、20年以上前から、受動喫煙対策および従業員の卒煙支援に取り組んできました。

【取り組みの一例】

  • 事業所内の喫煙所をすべて廃止し、事業場内全面禁煙とした(2007年1月~)。
  • 卒煙意向のある従業員が3ヶ月間に渡ってともに卒煙に取り組むプロジェクト「卒煙ダービー」を実施している(2018年~)。
  • 社内通貨「ARUCO」の健康コイン獲得方法として、「ノースモーキング手当」(喫煙していない人に付与)と「卒煙ボーナス」(卒煙に成功した人に付与)を設けている(2019年~)。

この結果、2020年4月30日時点で、喫煙していない従業員が99.9%に到達しました。

参考:喫煙をしていない従業員99.9%に到達 | ロート製薬株式会社

4.株式会社BeBlock

株式会社BeBlock(ビブロック)は、愛知県に本社を置き、アクリルグッズや缶バッジなどのイベントグッズ制作事業、ライセンス事業、大判印刷事業など、幅広い事業を展開している企業です。

経営理念の一つにFor Well-being ―人が幸せであり続けるために―」を掲げており、「人が幸せであり続ける」ための価値をステークホルダーに提供し続けることを、企業のミッションとしています。

従業員のウェルビーイングを実現させるための取り組みの一つが、職場環境づくりです。

【取り組みの一例】

  • 「WEEK40」の実施
    「WEEK40」は、株式会社BeBlock独自のフレックスタイム制です。週40時間以内で自由な働き方ができるという制度で、2021年8月からは「WEEK30」、「WEEK20」も導入しています。
  • 植物プラントの設置
    名古屋オフィスと東京オフィスに植物プラントを設置し、野菜を育てています。野菜はランチタイム時に収穫して食べたり、自宅に持ち帰ったりすることもできます。

ほかにも、健康診断や健康セミナーを実施するなど、従業員が健康でいきいきと働けるよう、さまざまな取り組みを実施しています。

参考:Well-Being | 株式会社BeBlock

5.積水ハウス株式会社

積水ハウス株式会社は、大阪府に本社を置き、賃貸住宅やマンション、都市開発など、住環境づくりに関する事業を幅広く展開している企業です。

積水ハウス株式会社は、“「わが家」を世界一 幸せな場所にする”というグローバルビジョンを掲げており、これを実現するために、まず自社の従業員一人ひとりの幸せの追求に取り組んでいます。

2020年11月には、日本企業で初めて「幸せ度調査」を実施しました。「幸せ度調査」とは、幸福経営学の第一人者、慶應義塾大学大学院の前野隆司教授監修の、職場の幸せを多面的に計測し、可視化するものです。対象は、グループ全従業員約27,000人。調査結果をもとに対話やワークショップを実施するなど、ウェルビーイングを実現するための具体策につなげています。

参考:従業員の幸せ度調査 | 多様な働き方、ワーク・ライフ・バランスの推進 | ダイバーシティ&インクルージョン | 積水ハウス

また、積水ハウス株式会社では、男性の育児休暇取得が当たり前になる社会を目指して、2018年9月から、男性従業員を対象に「特別育児休業制度」を運用しています。子どもが3歳に達する前日までに、1ヶ月以上の育児休業が取得できるという制度です。この制度の運用をはじめ、多様な人材がいきいきと活躍できる職場を目指し、ダイバーシティの推進にも取り組んでいます。

参考:男性の育児休業取得を、よりよい社会づくりのきっかけに | 多様な働き方、ワーク・ライフ・バランスの推進 | ダイバーシティ&インクルージョン | 積水ハウス

6.第一生命ホールディングス株式会社

第一生命ホールディングス株式会社は、東京に本社を置き、生命保険事業およびこれに付帯する関連事業を展開している企業です。

4つの体験価値を提供することで、将来世代を含むすべての人々のwell-being(幸せ)向上に挑戦しています。また、これによりSDGsにも貢献しています。

  1. 保険普及等による生活の安定
    価値観・ライフスタイルの変化により多様化する顧客ニーズに対応できるように、商品・サービスの拡充に取り組んでいます(SDGsの目標8「働きがいも 経済成長も」に貢献)。
  2. 資産寿命の延伸
    老後の資産形成や資産寿命の延伸に関する商品の拡充、顧客とのデジタル接点の強化などに取り組んでいます(SDGsの目標1「貧困をなくそう」に貢献)。
  3. 健康寿命の延伸
    病気発症後の医療費の保障に加え、健康保険組合向けの新サービスの提供など、疾病予防や重症化抑制にも取り組んでいます(SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」に貢献)。
  4. つながり・絆
    全国各地の自治体と包括協定の締結、ウェルビーイングに資するプログラムの開催など「社会とのつながり」の機会の提供に取り組んでいます(SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」に貢献)。

参考:第一生命グループが目指すwell-being|第一生命ホールディングス株式会社

7.富士通株式会社

富士通株式会社は、東京都に本社を置き、テクノロジーソリューション、ユビキタスソリューションなどの事業を展開する企業です。

富士通株式会社では、「Fujitsu Way」に基づきサステナビリティ活動を推進しています。「Fujitsu Way」とは、富士通グループのパーパスであり、価値観であり、行動規範です。そして、「グローバルレスポンシブルビジネス」として重要課題7つを設定しており、そのうちの一つにウェルビーイングがあります。

従業員のウェルビーイングの実現に向けて、4つのカテゴリごとに活動を実践しています。

  • Career & Growth Wellbeing
    従業員の成長機会拡充の取り組みです。「ジョブ型人材マネジメント」の考え方に基づく新人事制度の導入、SDGsやウェルビーイングをテーマとした従業員向けのイベントの開催などを行っています。
  • Financial Well-being
    従業員に適正な評価・処遇を与えるための取り組みです。報酬を決定するための基準「FUJITSU Level」や、ライフスタイルに合わせたさまざまな福利厚生制度も整備しています。
  • Social Well-being
    従業員がいきいきと働けるような職場環境を整えるための取り組みです。場所や時間にとらわれない働き方「Work Life Shift」の推進、テレワーク勤務制度の導入などがあります。
  • Health Well-being
    従業員の健康を維持増進するための取り組みです。健康診断の結果などを参照できるシステムの提供、定期的ながん検診の推進、産業保健スタッフによる健康相談やメンタルヘルス教育の実施などがあります。

参考:ウェルビーイング : 富士通

8.株式会社ポーラ

株式会社ポーラは、東京都に本社を置き、エステサービス、百貨店事業など、「美」に関する事業を幅広く展開している企業です。

2021年4月に創設された「幸せ研究所」は、株式会社ポーラの企業理念「美と健康を願う人々および社会の永続的幸福」を追求するための研究所です。幸せに関する意識調査や、幸せ研究に基づくソリューション開発などを行っています。調査研究で得られたことは、ワークショップやセミナーの企画運営、接客コミュニケーション改革などに生かし、さまざまなステークホルダーのウェルビーイング実現に向けた仕組みづくり、啓発を推進していくとしています。

参考:幸せ研究所 | ポーラ公式 エイジングケアと美白・化粧品

9. 株式会社Phone Appli

株式会社Phone Appliは、東京都に本社を置き、クラウドサービスやアプリケーションの開発・販売、ウェルビーイング経営のコンサルティング事業などを展開している企業です。

株式会社Phone Appliでは、2018年から推進してきた健康経営をさらにレベルアップさせるため、2019年からウェルビーイングを中心に据えた企業経営を行っています。

従業員に最高のパフォーマンスを発揮してもらうため、「CaMP(キャンプ)」と名付けられたオフィスには、テントやラウンジ、1on1ブース、リラックススペースなど、さまざまなエリアが設けられています。また、新型コロナウィルス感染症流行後は、働く場所を従業員自らが選択できるワークスタイルを導入。オフィス出社状況をタイムリーに確認できるシステムも開発しています。

このほか、従業員の健康維持・増進、エンゲージメント向上にも取り組んでいます。

参考:ウェルビーイング経営|株式会社PHONE APPLI

まとめ

ウェルビーイング経営は、経営にかかわるすべてのステークホルダーのウェルビーイングの実現を目指す企業経営です。従業員の心身の健康や働きがいを追求することで、一人ひとりが最高のパフォーマンスを発揮できるようになり、その結果、社会全体のウェルビーイングにつながるという考えから、まず従業員のウェルビーイングの実現に取り組む企業が多く見られます。

ウェルビーイングは、SDGsとも深くかかわる概念です。日本ではまだ、ウェルビーイング経営を実践している企業は多くはありませんが、これからどんどん増えていくのではないでしょうか。

 

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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。
不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。
猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

あらたこまち

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