フォロワーシップとは?具体例や5つのタイプ、高め方までわかりやすく紹介

2024.01.05
  • 組織・人材開発
    • フォロワーシップ

組織やチームが目標を達成するためには、リーダーシップが欠かせません。しかし、実際に業務を遂行するのは、リーダーではなく、リーダーのもとで活動するフォロワーです。フォロワーが「フォロワーシップ」を発揮できるようになると、組織やチーム全体が活性化し、生産性や業績の向上も期待できるでしょう。

今回は、フォロワーシップとは何か、求められる理由や、フォロワーシップを発揮することによる効果、フォロワーシップの5つのスタイルと、社員のフォロワーシップを高める方法を紹介します

 

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フォロワーシップとは

フォロワーシップとは、組織やチームのために自律的・主体的にリーダーを支援することをいいます。ただリーダーに従って行動するのではなく、組織やチームの成果が最大になるように、自分のポジションでできることを積極的に行うことを意味します

フォロワーシップという言葉が広く知られるようになったのは、カーネギーメロン大学のロバート・ケリー教授が1992年に発表した著書『The Power of Followership(指導力革命:リーダーシップからフォロワーシップへ)』のなかで、フォロワーシップを紹介してからだといわれています。

ロバート・ケリー教授が行った調査では、企業の業績に対するリーダーの貢献度は10~20%、フォロワーは80~90%という結果も出ています。企業の成功はフォロワーにより支えられている部分が大きいため、もっとフォロワーシップにも注目すべきだと、ロバート・ケリー教授は述べています。

フォロワーシップに関する研究にはさまざまなものがありますが、本記事では、ロバート・ケリー教授が考えるフォロワーシップについて、詳しく解説していきます。

フォロワーとは

フォロワーとは、リーダーのもとで活動する人のことを指します。こう聞くと、リーダー以外の人(部下やチームメンバーなど)を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、リーダーのポジションに就いている人も、組織全体で見るとフォロワーになります。そのためフォロワーシップは、リーダーを含む全社員が発揮すべきものだといわれています。

社員一人ひとりが、それぞれのポジションでフォロワーシップを発揮できるようになれば、組織が活性化し、団結力も強まります。仕事が円滑に進むようになり、大きな成果につながりやすくなるでしょう。

フォロワーシップの行動の具体例

では、「フォロワーシップを発揮する」とはどういうことなのでしょうか。いくつか、行動の具体例を挙げてみます。

  • リーダーがリーダーの仕事に集中できるよう、自分の担当以外の仕事も積極的に引き受ける
  • リーダーの考えや行動に疑問を感じたときは、自分の意見をはっきりと伝える
  • リーダーの指示をチーム全体に伝え、浸透させる
  • チーム全体にとっての利益を考えて行動する
  • 自分の行動を客観的に検証する
  • 未来思考で考える

このような行動を自然にできている人は、フォロワーシップが高いといえるでしょう。

フォロワーシップとリーダーシップの違い・関係性

リーダーシップとは、組織やチームのメンバーをまとめて、目標達成に向けて導いていく力のことをいいます。リーダーシップとフォロワーシップは、どちらか一方だけでは、あまり大きな影響力にはなりません。双方が発揮されることで、相乗効果が生まれ、成果につながりやすくなります

たとえば、「メンバーをまとめ、同じ方向に向かわせる」ということに関していえば、リーダーシップが「メンバーにビジョンや方向性を示す」であるのに対して、フォロワーシップは「リーダーが示したものを具体化する」ことです。また、リーダーは意思決定を行わなければならない場面が多々ありますが、リーダーシップが「決定する」であるのに対して、フォロワーシップは「提言(健全な批判)をする」こととなります。

なお、リーダーシップに関しては非常に多くの研究や理論があり、定義や考え方もさまざまなものがあります。リーダーシップについては、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

リーダーシップとは?定義や理論をわかりやすく紹介

フォロワーシップが求められる理由

リーダーシップだけでなく、フォロワーシップが求められるようになった理由としては、大きく次の2つが挙げられるでしょう。

まず1つは、リーダーや管理職にかかる負担が増えていること少子高齢化が進む日本では、さまざまな業界・職種で人手不足が深刻化しています。企業においては、現場の業務も担当しつつ、同時に部下をまとめる役割も担う「プレイングマネジャー」が増えているのです。フォロワーシップを発揮できるメンバーがいれば、プレイングマネジャーがマネジメント業務に多くの時間を割けるようになります

もう1つは、ビジネス環境の変化です。新型コロナウイルス感染症の拡大以降、働き方が多様化したことで、リーダーがメンバーを直接マネジメントする時間は少なくなりました。フォロワーシップを強化することで、メンバーは自分から積極的にリーダーとコミュニケーションをとるようになります。このような状況のなかでも、チームで協力して課題を解決していけるようになるでしょう。

また、リーダーの考えや決断が、いつも正しいとは限りません。激しい変化に対応しながら正しい方向に進んでいくためには、リーダーに意見を述べたり、代替案を提示したりできるフォロワーの存在が重要なのです。

フォロワーシップを発揮することによる効果

フォロワーシップが発揮されると、具体的にどのような効果が生まれるのでしょうか。ここからは、期待できる3つのメリットを紹介します。

信頼関係が強化される

フォロワーシップは、「リーダーの目指すものや考えを理解したうえで支援する」というのが重要なポイントです。そうすることで、リーダーとの間に信頼関係が生まれます。このようなフォロワーが増えれば、組織やチームの団結力も強まるでしょう。

また、先ほどお伝えしたように、リーダーシップとフォロワーシップは、双方が発揮されることで、組織やチームに与える影響も大きくなります。リーダーとフォロワーそれぞれがそのことを理解し、お互いに尊重し合うことで、より良い関係を構築できるようになるでしょう。

組織が活性化する

強いリーダーシップを持ったリーダーがいたとしても、それを具現化できるフォロワーがいなければ、どんなに良い戦略やプランも「立てただけ」で終わってしまいますフォロワーシップを発揮できるようになれば、一人ひとりが自律的・主体的に行動するようになるので、戦略やプランをスムーズに実行できるようになるでしょう。

また、フォロワーは、リーダーとメンバーをつなぐ存在ともいえます。フォロワーシップを発揮できるようになれば、リーダーの想いやビジョン、ミッションが組織やチームに浸透しやすくなります。メンバーに疑問や不安が生まれたときも、フォロワーが橋渡しを行うことで、速やかに解消することができるでしょう。その結果として、メンバーのモチベーションの向上も期待できます。

このように、フォロワーシップを発揮できる社員が増えれば、組織全体が活性化します。一人ひとりがいきいきと仕事に取り組めるようになり、生産性の向上や業績アップにもつなげられるかもしれません。

変化やトラブルにも柔軟に対応できる

フォロワーシップを発揮できる人は、リーダーの指示がなくても、自分で考えて判断し、行動ができますリーダーが不在のときでも、このようなフォロワーがいれば、仕事を円滑に進められるでしょう。

また、このようなフォロワーは、予期せぬトラブルやアクシデントが発生したときも、リーダーの指示を待たずに、自ら対策を提案できます。現代はVUCA時代(※)と呼ばれるほど変化の激しい時代となっていますが、フォロワーシップを発揮できる社員が増えれば、変化にも柔軟に対応できるようになるでしょう。

VUCA時代……VUCAは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字です。変化が激しく、将来を予測することが難しい状況であることを表しています。

フォロワーシップの5つのタイプ

ロバート・ケリー教授は、「批判的思考」と「積極的関与」の2軸を設け、フォロワーを5つのタイプに分類しています。

  • 批判的思考(独自のクリティカルシンキング)
    リーダーの発言や行動などについて自分なりに考え、建設的な批判や提言を行う。
  • 積極的関与
    組織の利益のために、積極的に自分の担当以上の仕事をしようとする。

それぞれのフォロワーにどのような特徴があるのか、詳しく見ていきましょう。

1.模範的フォロワー

批判的思考、積極的関与ともに高いのが、模範的フォロワー(Exemplary follower)です2つの軸のバランスが良く、最も理想的なフォロワーですが、このタイプは、フォロワー全体のうち3%程度しかいないとされています。

模範的フォロワーは、独立心が強く、しっかりと自分なりの考えを持っています。また、リーダーに対しても物おじせずに接することができ、リーダーの言動に疑問があれば、建設的な批判を行うことができます。組織のなかに非効率なメンバーがいても、組織の利益を考え、自分の力を惜しまず発揮できるのも特徴です。

2.孤立型フォロワー

批判的思考は高いものの、積極的関与が低いのが、孤立型フォロワー(Alienated follower)です独自のクリティカルシンキングを持っていますが、自分から積極的に役割を果たそうとはしません。周囲から孤立する傾向があり、「一匹狼」「頑固」「チームプレーには向かない」という印象を持たれがちです。

このタイプのフォロワーは、もともとは模範的フォロワーだったものの、組織やリーダーに嫌気がさして、積極的に関与しようとしなくなった人が多いとされています。

先ほどお伝えしたとおり、最も理想的なフォロワーは模範的フォロワーですが、孤立型フォロワーが存在することで、リーダーは誠実さを保つことができるともいわれています。

3.順応型フォロワー

批判的思考は低いものの、積極的関与が高いのが、順応型フォロワー(Conformist follower)です。このタイプのフォロワーは、リーダーを批判することはなく、忠実に従うことが義務だと考えています。リーダーが指示を出したものについては着実にこなしていきますが、「指示待ち」の状態になってしまうことも少なくありません。自分の意見がなく、周囲からは「イエスマン」という印象を持たれることもあります。

ロバート・ケリー教授は、世のなかの多くのリーダーが好むのは、この順応型フォロワーであると述べています。

4.消極的フォロワー

批判的思考、積極的関与ともに低いのが、消極的フォロワー(Passive follower)です。模範的フォロワーの真逆のタイプで、リーダーに頼りっぱなしで指示がなければ動くことができず、情熱や積極性、責任感も欠けています。また、自分の担当以上の仕事はしようとしません。周りからは、「主体性がない」「おとなしい」といった印象を持たれることが多いです。

ただ、ロバート・ケリー教授は、このタイプは、単純にフォロワーシップのスキルを開発できていないだけの人が多いと述べています。フォロワーシップの高め方を学んでもらうことで、模範的フォロワーに近づけるかもしれません。本記事の後半でも、社員のフォロワーシップを高める方法を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

5.実務型フォロワー

批判的思考、積極的関与とも偏りがなく、中立的な立場のフォロワーが、実践型フォロワー(Pragmatist follower)です2つの軸のバランスが良く、一定の成果もあげることはできますが、危険を冒してまでチャレンジしようとはせず、失敗を避けたがるという特徴があります

ロバート・ケリー教授は、組織が不安定な状態のときには、フォロワーはこのタイプになることが多いと述べています。

以上が、ロバート・ケリー教授によるフォロワーシップの分類です。模範的フォロワーが最も良いとされていますが、世のなかのすべてのリーダーが模範的フォロワーを望んでいるわけではありません。今後は、これらのタイプの集団における理想的な割合や、リーダーの特徴ごとの理想的なフォロワーのタイプなどに関する研究も行われていくのではないでしょうか。

参考:リーダーシップ・プロセスにおけるフォロワーシップの研究動向 - CORE(PDF)

参考:「日本の組織におけるフォロワーシップ」(著者:西之坊穂 / 出版社:株式会社晃洋書房 / 発売:2021年)

社員のフォロワーシップの高め方

では、社員のフォロワーシップを開発し、高めるために、企業は何ができるのでしょうか。最後に、その方法を紹介します。

クリティカルシンキングを身につけてもらう

クリティカルシンキングとは、あらゆる常識や前提条件を疑い、ものごとの本質を見極めて、正しい理論を導き出そうとする考え方のことです。日本語では、「批判的思考」と呼ばれています。

どんなに優秀なリーダーでも、判断を間違えてしまうことがあります。フォロワーには、リーダーにただ従うのではなく、自分なりの意見を持ち、正しくないと思うことがあれば、リーダーに批判や提言を行うことも求められます。クリティカルシンキングを身につけることで、フォロワーシップの2軸の1つである「批判的思考」も高めることができるでしょう。

なお、クリティカルシンキングとは何か、高め方などについては、以下の記事で詳しく解説しています。

社内コミュニケーションを活性化させる

リーダーは自分の上司である場合も多いため、思っていることがあっても「意見しにくい」と感じる人も少なくありません。社員にフォロワーシップを発揮してもらうためには、社内コミュニケーションを活性化させ、普段から社員全員が本音で話せるような環境をつくっておくことが大切です。

そのために、上司やリーダーは、日頃から自分から積極的にメンバーとコミュニケーションをとることを心がけてください。また、指示を出すだけでなく、メンバーに意見を求め、その意見を受け止める姿勢を持つことも重要です。

フォロワーシップ研修を受けてもらう

そもそも社員が、「フォロワーシップ」という言葉を聞いたことがない、または、言葉は聞いたことがあるけれど、意味はよく知らないという可能性もあります。まず「フォロワーシップとは何か」を理解してもらうために、研修会社が提供するフォロワーシップ研修を受けてもらうのもおすすめです。

内容は研修会社によってさまざまですが、フォロワーシップの基礎や考え方、コミュニケーションスキルなどを講義で学ぶだけでなく、実際に業務のなかでスムーズに具体的な行動に移せるように、ワークや演習が組み込まれている研修もあります。

まとめ

どんなに高いリーダーシップを持つリーダーがいても、リーダーが示したことを具現化できるフォロワーがいなければ、成果を生み出すことは難しいでしょう。ロバート・ケリー教授が行った調査によると、企業の業績に対するフォロワーの貢献度は80%以上と、非常に高くなっています。企業の成功は、リーダーだけでなくフォロワーによって支えられています。リーダーシップだけでなく、社員のフォロワーシップの開発・向上にも取り組んでいきましょう。

 

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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。
不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。
猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

あらたこまち

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