グループワークで喋らない人の心理と対策、活性化する方法をわかりやすく解説
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近年、グループワークを社内研修に取り入れる企業が増えています。グループワークは話を聞くだけの座学形式の研修とは異なり、自分の意見を積極的に発言したり、結論をまとめたりする必要があるので、参加者の主体性を促したいときに効果的です。
その一方で、グループワークに苦手意識を持ち、なかなか自分の意見を言えない人も少なくありません。積極的に議論に参加してもらうにはどうしたらいいのでしょうか。
本記事では、グループワークで喋らない人への対策法をわかりやすく解説します。
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グループワークとは?
グループワークとは、参加者を5〜6人程度のグループに分け、あらかじめ設けられたテーマ(お題)に沿ってディスカッションや共同作業を行い、最終的にプレゼンや成果物を発表するプログラムです。
新卒採用やインターンの選考としてよく用いられていますが、最近では社内研修として、グループワークを取り入れる企業も増えてきました。講師が一方的に講義をし、受講者は話を聞くだけという受身型の学習方法とは違い、参加者が能動的に深い学びを得ることができます。
グループワークには制限時間があり、一般的には30〜40分程度で行うことが多いです。短い時間で効率的にディスカッションを進め、結論を導き出さなくてはならないので、個の力が試されます。
グループワークは、参加者が積極的に自分たちの意見を交わし、思考を重ねながら一つの答えに辿り着く経験を通じて、一人ひとりが成長することを目的として実施されます。
社内研修にグループワークを取り入れるメリット
社内研修にグループワークを取り入れると、次のようなメリットがあります。
協調性やコミュニケーション能力を育成できる
グループワークでは、メンバー同士の密なコミュニケーションが欠かせません。それは企業という組織のなかでも同じです。周囲と協力し、チームプレーを発揮しながら働くことが求められます。グループワークでは目的を持って話し合いや共同作業を行います。それらを通して、社員の協調性を育むことができるでしょう。普段接することのない社員同士が交流を深める機会が得られ、組織全体の結束力向上の効果も期待できます。
課題解決力を育成できる
グループワークでは、課題解決力を磨くこともできます。仕事をしていれば、誰もが常に課題にぶつかるものです。ビジネスにおいては、課題解決のためのプロセスを身に付け、自分の意見や考えを論理的に組み立て表現するスキルを高めることが重要になります。グループワークで与えられるテーマへのアプローチは一つではありません。論点を整理し、優先順位をつけて問題に着手することが求められるため、ワークの経験が実務に活きるでしょう。
また、課題解決力のなかでも、特に以下の力を育成・評価することができます。
自ら考え行動する力
ビジネスシーンでは、上司に指示されなくても自ら率先して行動できる人材が理想的です。グループワークは、主体性や考える力、行動する力を育むのに適しています。講義式の研修とは異なり、参加者本人が自主的に考えて行動しなければなりません。グループワークの機会を提供することで、社員が自分の頭で考え、自発的にアクションする力を身に付けられるよう支援できます。
自分の意見を伝える力
自分の意見を相手に正しく伝えることは意外と難しいものです。まず自分が考えていることを客観的に把握し、それを頭の中でまとめ、さらに言葉にするという作業を経る必要があります。少人数のグループワークでは、一人ひとりの意見をもとに討論や制作を進めなければならないため、それぞれが自分の考えを伝える経験を積むことができます。
グループワークで喋らない人の心理とは?
グループワークで喋らない人はどのような心理状態にあるのでしょうか。本人にとって話しづらい環境になっていないか考えてみましょう。
1.緊張している
人は緊張や不安が強い状態では、頭が真っ白になって、何も言えなくなるものです。初対面の人や、普段から話す機会の少ない参加者が出席している場面では、なおさらでしょう。まず参加者の緊張をほぐす工夫をしないと、コミュニケーションがうまくとれず、議論が進まない可能性があります。
2.発言に自信を持てない
日頃からあまり自分の意見を言えないタイプの人は、グループでの話し合いも苦手な傾向にあります。自分の発言に自信がないため「変なことを言って笑われたくない」「間違ったことを言いたくない」という気持ちが無意識に働き、結果として当たり障りのないことしか言えなくなるのです。自分の考えが必要とされていないと初めから諦めているケースも少なくありません。
3.周りに圧倒されて意見を言えない
周りの意見に圧倒されて、自分の意見はなかなか言えない。そんな経験は誰しもあるのではないでしょうか。「声の大きい人」の独壇場になると、他のメンバーはなかなか口を挟めません。反対意見であればなおさらです。まんべんなく意見を引き出せるような場づくりが重要です。
4.グループワークの流れを理解していない
そもそもグループワークの流れを理解していないと、議論についていくのは難しいでしょう。あらかじめ基本的な流れを説明し、何をどのような順番で行うのかを知ってもらうことが大切です。
グループワークで喋らない人への対策法
グループワークにおいて、ほとんど喋らない人、意見を言わない人への対策法を紹介します。
アイスブレイクを実施する
緊張を解きほぐすために、グループワークの冒頭で、アイスブレイクを実施するのも一つの手です。
アイスブレイクとは、その名のとおり、緊張した固い空気や心を氷にたとえてそれを壊す、溶かすことを意味します。会議や研修などの本題に入る前に行う簡単なクイズや運動などを指して使われる言葉です。まだ打ち解けていない人との距離感を縮め、会話のきっかけを作ることで、議論を活性化させる効果があります。
【アイスブレイクの例】
- 他己紹介
初めに2人1組になってインタビューをし合います。インタビューが終わったら、1名ずつ自分のパートナーについて全員の前で発表します。
- Good & New
参加者が1人ずつ24時間以内に起こった「よかったこと(GOOD)」や「新しい発見(NEW)」を1分程度で発表します。話終わったら周りの人は拍手します。
- バースデーライン
制限時間内に誕生日の早い順番から1列に並びます。その際、会話や筆談などのコミュニケーションはNGで、使えるのはジェスチャーのみです。
喋らない人にも役割を与える
グループワークでは、喋らない人も含め、全員に役割を与えることが重要です。メンバーそれぞれの個性に合った役割を与えることで、主体的に議論に取り組んでもらえます。責任がある分、自信にもつながるでしょう。話を切り出すことに苦手意識のある人が、アイデアを出すようになるなど、積極性を発揮しやすい環境を整えることができます。
グループワークの役割には次のようなものがあります。
【グループワークの役割】
- 司会
リーダーとして、議論を進める役割です。メンバー全員が話しやすい場を整えながら、議論の論点がずれた時には軌道修正するなど、効率的に議論を進行させる役割を担います。
- 書記
議論の内容を文字に書き起こす役割です。ただメモするだけでなく、最終的な発表に向けて、話の要点を絞り、わかりやすくまとめることが求められます。
- タイムキーパー
議論における時間管理をする役割です。与えられた時間内に議論が進むよう、時間配分を考えて、定期的に時間の経過をメンバーに伝え、議論の進行をコントロールします。
- 発表者
議論の結果、最終的にまとまった結論を代表して発表する役割です。書記がまとめた内容をベースとしながらも、よりわかりやすく伝える論理的な話し方が求められます。
- アイデアマン
読んで字のごとく、とにかくたくさんのアイデアを出す役割です。限られた時間のなかで、議論が活性化するよう、さまざまな角度からどんどん意見を出します。
- 監視役
議論の方向性がズレないように、監視する役割です。タイムキーパーに役割が似ていますが、広い視野で全体を客観的に見渡し、チームを結論まで導く必要があります。
あまり話すのが得意でない人であれば、書記やタイムキーパーがおすすめです。ただし、どの役割を担当しても、自分の意見や考えをしっかり述べる必要があります。
グループワークの進め方を共有しておく
グループワークでは具体的にどのようなことをするのか、どのような準備をしたらいいのか、不安に思う人も多いでしょう。それが人前で積極的に話せない一因にもなります。議論を円滑に進めるために、冒頭で議論の進め方を共有しておくことが大切です。
【グループワークの大まかな流れ】
- テーマを設定する:グループワークのテーマを設定します。
- 役割分担する:グループ内での役割を決めます。
- 議論をする:設定されたテーマについて議論します。
- 発表する:グループで導き出した結論を代表者が発表します。
グループワークの詳しい進め方については、以下の記事で詳しく紹介しています。
グループワークの進め方や効果的に進めるポイントを解説
アクティビティを取り入れる
グループワークには、大きく分けて「プレゼン型」「作業型」「アクティビティ型」の3種類があります。
- プレゼン型:テーマについてグループで話し合い、結論を資料などにまとめて発表します。
- 作業型:グループで話し合いながら、実際に手を動かして成果物を作成します。
- アクティビティ型:アクティビティ形式で行われるグループワークです。
上記の3つのタイプのうち、最も気軽に参加できるのがアクティビティ型のグループワークです。夢中でアクティビティに取り組むなかで自然と会話が弾み、コミュニケーションが活性化されるでしょう。普段話す機会が少ない社員や他部署の社員と交流を深める機会になります。
グループワークを活性化させるには?
グループワークを活性化させるためのポイントを紹介します。
テーマを明確にする
グループワークでは、テーマ(お題)選びが重要です。テーマがぼんやりしていると、議論の方向性が定まらず、結論まで到達できない可能性があります。そのため、テーマは明確にすることが大切です。例えば「裁判員制度についてどう思うか」といった漠然としたテーマだと、議論がまとまりにくく、意見を言い合っているうちに出題者の意図していない方向に進んでしまうかもしれません。「裁判員制度に賛成か反対か」など、意見が出しやすいテーマにするといいでしょう。
グループワークのテーマについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
グループワークのタイプ別テーマ例30選!選び方のポイントや注意点を解説
社員の年代や特徴に合わせたテーマを取り入れる
あまりなじみのない分野に関するテーマだと、どうしても活発な議論が生まれにくくなります。それではグループワークの効果が半減してしまいかねません。例えば、新入社員を対象に「老後にやるべきこと」といったテーマを与えてもまだピンとこない話でしょう。議論を盛り上がりやすくするために、参加者の年代や特徴に合わせたテーマを取り入れることが大切です。
グループワークのユニークなテーマについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
グループワークの面白いテーマ19選!タイプ別に紹介
事前準備をしっかり行う
担当者は、準備から当日の進行までの段取りを事前に確認しておくことで、グループワークを円滑に進めることができます。活発な議論を行うためには、資料などの事前準備が必要です。特に参加者になじみのないテーマを扱う場合は、前もって資料を配布しておきましょう。ギリギリになって慌てずにすむように、早めに準備しておくと安心です。
【講義+アクティビティ一体型】あそぶ社員研修
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研修の特徴
- チームビルディング効果が高いアクティビティを通して受講者のエンゲージメントを向上させられる
- 誰もが没入できる「あそび」を取り入れた体験型アクティビティで受講者の主体性を引き出す
- 複数回のフィードバックによって学びを定着させる
まとめ
グループワークにはさまざまなメリットがあります。チーム全員で1つの目標に向かって協力し合うことで、コミュニケーションが活性化し、メンバー同士の信頼関係が構築されます。しかし、メンバーのなかに喋らない人がいると、活発な議論が生まれにくくなります。そうなると、グループワークの効果も半減してしまいかねません。
グループワークを有意義なものにするために、活発な議論ができる場を整えることが大切です。例えば、チームで力を合わせてクリアを目指す協力型のアクティビティを取り入れると、自然と会話が弾み、お互いに打ち解けやすくなります。今回の記事を参考にして、参加者にとって満足度の高いグループワークを実施しましょう。
「あそぶ社員研修」は、受講者全員が没入して取り組むアクティビティ・振り返り・講義をブリッジすることで学びを最大化させ、翌日から業務で活かせる知識・スキルが身につく講義・アクティビティ一体型の研修プログラムです。
アクティビティが受講者の主体性を高めてコミュニケーションを促進させ、スキルアップやチームビルディングをはかれます。
この記事の著者
福岡在住。大学を卒業後、大手食品メーカー勤務を経て、異業種のライターへ転身。求められている情報をわかりやすく伝えることがモットー