ジグソーメソッドとは?得られる効果や進め方をわかりやすく紹介

2023.10.10
  • 学習法

ジグソーメソッドとは、学校の授業や企業研修などでも活用されているグループ学習の1つです。アクティブラーニングの技法の1つでもあり、座学のみの学習よりも高い学習効果が期待できるため、近年注目を集めています。

本記事では、ジグソーメソッドとはどんな学習方法なのか、注目されている理由や、基本の進め方を解説します。さらに、修正版のジグソーメソッドや、ジグソーメソッドにより得られる効果、ジグソーメソッドを活用した読書法「アクティブ・ブック・ダイアローグ®」についても紹介します。

 

年間1,000件以上の実績。アクティビティで主体性を高める革新的な研修プログラム

⇒あそぶ社員研修 総合資料を受け取る

 

ジグソーメソッドとは

ジグソーメソッドとは、グループ学習の1つです「ジグソー法」と呼ばれることもあります

進め方はのちほど詳しく解説していますが、まずグループに分かれ、与えられたテーマについて、誰が何を学ぶのかを決めます。そして、今度は同じものを学ぶメンバー同士が集まって資料を読み込み、最後にもう一度もとのグループに戻って、学んだことをお互いに教え合うことで、あるテーマについての学びを深めていくというものです。

ジグソーメソッドを実施することで、自分の考えを他者に明確に伝える力や、他者の考えを正確に理解して学びを得る力、自分の考えと他者の考えを比較して統合する力など、ビジネスに必要なさまざまなスキルを鍛えることができます。

ジグソーメソッドが生まれた背景

ジグソーメソッドを提唱したのは、アメリカの心理学者であるエリオット・アロンソン(Elliot Aronson)という人物です。エリオット・アロンソン氏は、スタンフォード大学で学位を取得し、ハーバード大学、ミネソタ大学、テキサス大学では教鞭を執っていた経験があります。

エリオット・アロンソン氏がジグソーメソッドを考案したのは、テキサス大学に在籍していた1971年のことです。この頃、公立学校は人種で分けられていましたが、この年テキサス州の公立学校で、人種統合が行われました。これにより、黒人の子どもたちが感じていた劣等感や、ステレオタイプ、偏見なども減っていくと思われましたが、実際には教室内で混乱と対立が生まれ、期待した効果は得られなかったのです。そして、市の副教育長から対処法を相談されたエリオット・アロンソン氏が学校現場を観察したところ、子どもたちは、教師から認めてもらう、または褒めてもらうために競い合っているのだと気づきます。マイノリティーの子どもたちは、白人の子どもたちよりも学力が劣っていたため、教師に答えを求められても手を挙げることができず、この競争にいつも負けていました。

そこでエリオット・アロンソン氏は、教室を競争的な環境から協同的な環境に変えるために、グループ全員で協力しなければならないような「ジグソーメソッド」という学習方法を考え出しました。この方法を導入して以降、教室の雰囲気は変わり、子どもたちの自尊心や成績、共感能力も向上したそうです。

ジグソーメソッドが注目されている理由

ジグソーメソッドは、アクティブラーニング(能動的学習)の技法の1つです。文部科学省の用語集によると、アクティブラーニングとは、「教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称」とされています。簡単にいうと、発見学習や問題解決学習、体験学習、調査学習などの「体験」が盛り込まれた学習のことです。具体的な方法としてはグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワークなどが挙げられます。

参考:用語集 – 文部科学省(PDF)

ジグソーメソッドが注目されているのは、近年、学校教育においてアクティブラーニングが重要視されるようになってきたためです。グローバル化や急速な技術革新による社会の変化を見据えて改訂された新しい学習指導要領が、2020年度から始まっています。この新学習指導要領には、アクティブラーニングが「主体的・対話的で深い学び」という表現で盛り込まれているのです。

参考:2020年度、子供の学びが進化します!新しい学習指導要領、スタート! | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン

また、話を聞く以上の「体験」があることで、学びは定着しやすくなるといわれています学習者同士のコミュニケーション活性化にもつながるため、学校の授業だけでなく、社内研修にアクティブラーニングを取り入れる企業も増えています

基本のジグソーメソッドの進め方

ジグソーメソッドは、基本的には以下の3ステップで進めていきます。

  1. ホームグループ
  2. エキスパート活動
  3. ジグソー活動

各ステップの進め方を、詳しく見てみましょう。

1.ホームグループ

まずは、学習者を均等に少人数のグループに分けます。この学習者が所属するグループのことを、「ホームグループ」といいます。「ジグソーグループ」と呼ばれることもあります。学習者は、最終的にはこのホームグループのメンバーとともに、あるテーマについての学習を深めていきます。

ホームグループは、人種、性別、成績などの面で多様なメンバーを集めるのが望ましいといわれています。企業などでジグソーメソッドを実施する場合は、研修の目的に応じてメンバー構成を工夫してみてください。たとえば、社内コミュニケーション活性化が目的の場合はできるだけ普段接点がない社員同士、チーム力を高めたいなら同じ部署や部門の社員同士というようにグループ分けをするとよいでしょう。

グループに分かれたら、教員や講師は参加者にテーマを発表します。

2.エキスパート活動

次に、ホームグループのメンバーで役割分担をして、誰が何を学ぶかを決めます。そして、同じ内容を学ぶほかのグループのメンバーと集まって、一緒に資料を読み込み、自分が担当する内容について理解を深めていきます。同じ内容を学ぶメンバーの集まりを、「エキスパートグループ」といいます。

たとえば、テーマが「ある地域について」、その地域に関する資料が「歴史」「環境」「文化」「経済」の4つ用意されているとします。「歴史」を学ぶことになったメンバーは、いったんホームグループを離れ、ほかのグループの「歴史」を学ぶことになったメンバーと集まって、「歴史」について理解を深めます。「環境」「文化」「経済」についても同様です。

3.ジグソー活動

エキスパート活動が終わったら、学習者は、担当する内容のエキスパート(専門家)としてホームグループに戻り、エキスパート活動で学んだことを、お互いに教え合います。そして、ほかのメンバーからの発表と自分が学んだことを、ジグソーパズルを組み立てるように統合していき、1つのテーマについての学びを深めるというのが、基本的なジグソーメソッドです。

ジグソー活動では、プレゼンテーション能力や、ほかのメンバーの考えを聴く力、情報を整理する能力、合意形成をとる能力など、さまざまなビジネススキルが鍛えられるでしょう。

最後に、主催者側で学習者個人を評価し、フィードバックを行います。

ジグソーメソッドにはさまざまな修正版がある

前項で紹介した基本的な進め方以外に、ジグソーメソッドにはさまざま修正版も考案されています。

たとえば、ロバート・スレイビン(Robert Slavin)氏が1986年に考案した、「ジグソーⅡ」があります。基本的なジグソーメソッドでは、ホームグループのメンバーは、それぞれが同じテーマに関する違う資料を読みますが、ジグソーⅡでは、全員が全部の資料を読みます。これは、テーマによっては、学習者が自分の担当する内容だけを理解できるような資料をつくることが難しい場合があるためです。全員が全部の資料を読むので、担当する内容を理解しやすくなりますが、その分「自分がこの部分のエキスパートにならなくては」という責任感は、基本的なジグソーメソッドに比べると低下しやすくなります。また、基本的なジグソーメソッドは、最後に学習者個人を評価しますが、ジグソーⅡでは、グループ全体の評価も行い、優秀なグループには賞が与えるというのも、大きな違いです。

このほかにも、学習者が正しく学んだのかを確かめるために最後にテストや振り返りを行うものや、冒頭に導入が加わった修正版などもあります。

さらに、日本の学校現場で主流となっているのが「知識構成型ジグソー法」です。

「知識構成型ジグソー法」とは

「知識構成型ジグソー法」とは、一般社団法人教育環境デザイン研究所(CoREF)が独自に開発した学習法です。基本的なジグソーメソッドは、学習者同士の関わり合いを深めることが狙いであるのに対し、知識構成型ジグソー法は、関わり合いを通して個人の学びを深めることを狙いとしています。

基本的なジグソーメソッドと知識構成型ジグソー法が大きく違うのは、知識構成型ジグソー法は、明確な「問い(課題)」を設定し、学習者に「答え」を求めるという点です。問いは、複数の部品(資料や知識)を組み合わせることで解けるようなものとします。

知識構成型ジグソー法は、大きく分けて「エキスパート活動」「ジグソー活動」「クロストーク活動」の3ステップで進めていきます。各ステップを、詳しく見てみましょう。

1.エキスパート活動

問いを出されたら、学習者はまず一人でその問いに対する答えを考えます。そのあと、問いの答えを出すために必要な資料を渡されますので、学習者は、同じ資料を渡されたメンバー同士でグループをつくり、資料を一緒に読み、話し合いながら、資料の内容について理解を深めていきます。

2.ジグソー活動

エキスパート活動で自分が渡された資料について理解を深めたら、次は、違う資料を渡されたメンバー同士で「ジグソーグループ」をつくり、問いについての意見を交換します。ジグソーグループは、複数ある資料それぞれを読んだメンバーが一人ずつグループにいるようにする必要があります。このグループでは、自分が持っている資料について理解しているのは自分だけです。学習者は、その資料の専門家として、エキスパート活動で学んだことを、メンバーにわかりやすく説明しなければなりません。

それぞれが持っている情報や知識を組み合わせて全員で理解を深め、最初に提示された問いに対するグループとしての答えを出していきます。

3.クロストーク活動

グループとしての答えがまとまったら、グループごとに発表をします。このとき、答えだけでなく、その根拠も説明しなければなりません。そして、グループごとの発表が終わったらもう一度一人に戻り、再度問いに向き合って、一人で問いに対する答えを書いてまとめます。

このように、学習の最初と最後に個人ワークがあるというのが、知識構成型ジグソー法の特徴です。

参考:知識構成型ジグソー法 – 教育環境デザイン研究所 / CoREF

ジグソーメソッドの効果

ジグソーメソッドは、学校教育だけでなく、企業研修にも活用できます。企業研修でジグソーメソッドを実施することで、具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか。詳しく見てみましょう。

コミュニケーション能力が向上する

ジグソーメソッドは、もともと人種などの違いを越えて学習者同士の関わり合いを深めるために開発されたものです。そのため、メンバー同士がコミュニケーションをしなければ進められないような仕組みになっています。学びを深めるためには、ジグソー活動でしっかり意見を交換し、それぞれが学んだことを統合させなければなりません。

ジグソー活動を通して、自分の意見を明確にわかりやすく伝える力、他者の意見を聴く力など、ビジネスに必要なコミュニケーション能力を鍛えることができるでしょう

リーダーシップやファシリテーション能力を学べる

考え方や価値観は人それぞれ違います。複数人で議論を行えば、当然意見の食い違いや、対立も起きるでしょう。また、誰にでも得手不得手はあります。人と話すのが好きで、自己主張が得意な人もいれば、どうしてもうまく自分の意見を伝えられない、積極的に発言できないという人もいるでしょう。

知識構成型ジグソー法の場合は特に、グループとしての答えを出さなければならないため、異なる意見をまとめたり、メンバーに発言を促したりするリーダーやファシリテーターといった存在が必要になります。ジグソー活動を通して、リーダーシップやファシリテーション能力も鍛えることができるでしょう

思考力や情報分析力が向上する

ジグソーメソッドは、メンバーそれぞれが学んだ知識を持ち寄り、それらをジグソーパズルのように組み立てて学びを深めていくものです。自分がエキスパート活動で得た知識と、ジグソー活動でほかのメンバーから教えてもらったことを統合する過程で、論理的思考力や情報分析力、推理力(仮説思考)といったスキルの向上が期待できます

ジグソーメソッドを活用した読書法「アクティブ・ブック・ダイアローグ®

最後に、ジグソーメソッドを活用した「アクティブ・ブック・ダイアローグ®」という読書法を紹介します。「アクティブ・ブック・ダイアローグ®」は、「NPO法人場とつながりラボHOME’S VI」の正会員である竹ノ内壮太郎氏によって開発された、新しい読書法です。この読書法を実践すれば、読書が苦手な人でも短時間で本の内容を理解することができます。おおまかな流れは、以下のとおりです。

  1. 一冊の本を数人で分担して読み、それぞれが担当した部分の要約文をつくる。
  2. 順番に要約文を発表し、全員で共有する。
  3. 感想を述べたり、疑問を話し合ったりして、理解を深める。

「アクティブ・ブック・ダイアローグ®」を実践することで、ボリュームのある本も短時間で理解できるようになるだけでなく、サマリーが残るため復習にも活用できることや、リーダーシップ開発、コミュニティづくりにも役立つというメリットもあります。

参考:未来型読書法 アクティブ・ブック・ダイアローグ®(ABD)公式サイト

まとめ

ジグソーメソッドとは、それぞれが違う資料を読み、その内容を教え合って学びを深めるというグループ学習です。アクティブラーニングの技法の1つとして、近年注目を集めています。もともとは、1971年にエリオット・アロンソン氏により提唱されたものですが、その後修正版も多数考案されており、日本の学校現場では、一般社団法人教育環境デザイン研究所が開発した、知識構成型ジグソー法が主流となっています。

ジグソーメソッドを実施することで、コミュニケーション能力や思考力、情報分析力、リーダーシップやファシリテーション能力などの向上が期待できます。社員にこれらのスキルを身につけてほしいと考えているなら、企業研修の1つのプログラムとして、ジグソーメソッドの実施を検討してみてはいかがでしょうか。

参考:昭和女子大学学術機関リポジトリ|ジグソー法の背景と思想-学校文化の変容のために-(友野清文)

 

アイスブレイクとアクティビティでコミュニケーションを促進させる「あそぶ社員研修」は、受講者全員の主体性を高め、置いていかれる社員を作らない研修プログラムです。講義による学びの定着を促し、翌日からの業務に役立てることができます。

⇒あそぶ社員研修 総合資料を受け取る

この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。
不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。
猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

あらたこまち

よく読まれている記事