チームコミュニケーションとは?活性化の目的・メリットから実践方法まで解説

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この記事の監修者
株式会社IKUSA あそぶ社員研修事業部 責任者
友水 一喜

チームで成果を出すためには、メンバー間の円滑なコミュニケーションが欠かせません。しかし「情報共有がうまくいかない」「メンバー同士の会話が少ない」といった課題を抱える企業も多いのではないでしょうか。

本記事では、チームコミュニケーションの概要、重要な理由、活性化のメリット、不足する原因、具体的な活性化方法について紹介します

チームコミュニケーションとは

チームコミュニケーションとは、企業内の部署やプロジェクトといったチーム内で行われるコミュニケーションのことです。業務に関する情報共有や進捗確認、課題の相談など、チームで仕事を進めるうえで必要なやり取り全般を指します。

プライベートでの会話は「楽しむこと」自体が目的になりやすいですが、チームコミュニケーションはあくまでもビジネス上の目的を達成するための手段です。メンバー同士がおしゃべりをするという意味ではなく、業務上の課題を共有したり、進捗状況を確認したりするために実施されます。

チームコミュニケーションは、チームワークを構成する重要な要素の一つです。チームワークを高めるためには、コミュニケーションの円滑化に加えて、目標やゴールの設定、役割の明確化なども必要になります。これらの要素がそろうことで、メンバーが各々の役割を認識し、チームが目標に向かって共同作業を行う「チームワーク」が成立するのです。

チームコミュニケーションの種類

チームコミュニケーションには、さまざまな種類があります。対面での会話やミーティングといった「言語コミュニケーション」だけでなく、表情やジェスチャーで伝える「非言語コミュニケーション」、メールやチャットを使った「テキストコミュニケーション」なども含まれます。

また、図表やグラフ、プレゼンテーション資料などを用いた「ビジュアルコミュニケーション」や、相手の話を注意深く聞いて理解を示す「アクティブリスニング」も、チームコミュニケーションの重要な要素です。状況に応じて適切なコミュニケーション方法を選択することで、より効果的な情報伝達が可能になります。

チームコミュニケーションとチームワークの関係

チームワークとは、チームのメンバーが共通の目標に向かって協力し、互いの強みを活かしながら成果を出すことを指します。優れたチームワークを発揮するためには、メンバー間の信頼関係が不可欠であり、その土台となるのがチームコミュニケーションです。

日頃からコミュニケーションを取ることで、メンバー同士がお互いの考え方や価値観、得意分野や苦手分野を理解できるようになります。相互理解が深まれば、適材適所の役割分担や、困っているときの助け合いがスムーズに行えるようになるでしょう。このように、チームコミュニケーションの質と量がチームワークの質を左右するといっても過言ではありません。

チームコミュニケーションが重要な理由

近年、働き方の多様化が進んでいます。リモートワークやハイブリッドワークが広がり、オフィスに全員が集まって仕事をする機会が減った企業も多いでしょう。物理的な距離があるなかでチームとして成果を出すためには、意識的にコミュニケーションを取ることがこれまで以上に重要になっています。

また、ビジネス環境の変化が激しい現代においては、チームで情報を共有し、迅速に意思決定を行うことが求められます。一人ひとりが持っている情報やアイデアを共有することで、個人では思いつかなかった解決策が生まれることもあります。複雑な課題に対応するためには、多様な視点や専門性を持つメンバーが協力して取り組むことが不可欠です。

さらに、企業における人材の流動性が高まっていることも、チームコミュニケーションの重要性を高める要因の一つです。新しいメンバーが加わったときに、スムーズに情報共有ができる仕組みが整っていれば、早期に戦力化することができます。逆に、コミュニケーションが不足していると、新メンバーがなかなかチームに馴染めず、パフォーマンスを発揮できないまま離職してしまうこともあります。

チームコミュニケーションが不足すると、さまざまな問題が発生します。たとえば、情報の伝達ミスによる業務上のトラブルや、タスクの重複・抜け漏れが起きやすくなります。また、メンバー同士の信頼関係が築けず、人間関係が悪化することもあるでしょう。こうした状況が続くと、従業員のモチベーションが低下し、最終的には離職につながる可能性もあります。組織全体のパフォーマンスに悪影響を及ぼすため、早期の対策が必要です。

チームコミュニケーションを活性化させるメリット

チームコミュニケーションを活性化させると、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、主なメリットを5つ紹介します。

情報共有が活発になる

チームコミュニケーションが活性化すると、メンバー間での情報共有が活発になります。日頃からコミュニケーションを取っていれば、仕事に関する考え方や得意・不得意なども把握しやすくなるでしょう。お互いのことを理解できていると、共同作業もスムーズに進みます。

また、情報共有が活発になることで、「知らないうちに複数人が同じ業務に取り組んでいた」「誰も取り組んでいる人がいなかった」といったトラブルを防ぐことができます。

業務効率が向上する

コミュニケーションが活発なチームでは、業務の進捗状況をメンバー全員が把握しやすくなります。未着手のタスクが放置されていたり、進行中のタスクが重複していたりする事態に気づきやすくなるため、業務効率の向上につながります。

遅れているメンバーがいれば、余裕のあるメンバーがサポートに入ることも可能です。互いに助け合いながら業務を進められるようになると、チーム全体の生産性が高まります。

トラブルを未然に防げる

チームコミュニケーションが活発になると、業務上の課題やトラブルの前兆に気づきやすくなります。小さな問題のうちに対応しておけば、大きなトラブルに発展することを防げるでしょう。

コミュニケーションが不足しているチームでは、「問題が発生したときの対処法がわからず報告が遅れた」「正確なスケジュールを把握していなかったために期日を過ぎていた」といったトラブルが発生しやすくなります。日頃から情報共有ができていれば、こうしたリスクを軽減できます。

新たなアイデアが生まれやすくなる

コミュニケーションが活発に交わされているチームは、メンバーが自由に意見を言いやすい環境です。さまざまな意見やアイデアが集まれば、これまで思いつかなかった新たな発想が生まれるきっかけになるかもしれません。

また、意見が食い違うことがあっても、お互いのことを理解し信頼関係が築けていれば、前向きに解決策を検討しようという姿勢が生まれやすくなります。

離職率の低下につながる

円滑なチームコミュニケーションが行われていれば、従業員の離職率低下につながります。情報共有の活発化、トラブルの未然防止、業務効率の向上、アイデアの創出といったメリットは、チームでの働きやすさに直結するためです。

また、チームコミュニケーションを通じてメンバー同士の信頼関係が構築されると、組織への帰属意識やエンゲージメントが高まります。働きやすく、成果につながる環境が整備されていくことで、従業員の定着率向上が期待できます。

チームコミュニケーションが不足する原因

チームコミュニケーションの重要性は理解していても、実際にはうまくいっていないと感じるケースも少なくありません。ここでは、チームコミュニケーションが不足する主な原因を4つ紹介します。

コミュニケーションの機会が少ない

チームコミュニケーションが不足する原因の一つは、そもそもコミュニケーションを取る機会が少ないことです。日々の業務に追われていると、メンバー同士で会話をする時間を確保するのが難しくなります。

特に、定例ミーティングや1on1などの場が設けられていないチームでは、業務連絡以外のやり取りが生まれにくくなります。意識的にコミュニケーションの機会を設けることが重要です。

心理的安全性が低い

チーム内の心理的安全性が低いと、メンバーは自分の意見や考えを発言することをためらってしまいます。「こんなことを言ったら批判されるのではないか」「的外れな意見だと思われたくない」といった不安があると、本音でのコミュニケーションが難しくなります。

心理的安全性を高めるためには、どんな意見も尊重される雰囲気づくりや、失敗を責めない文化の醸成が必要です。

情報が可視化されていない

業務に関する情報が可視化されていないと、コミュニケーションの土台が整っていない状態になります。誰が何を担当しているのか、プロジェクトがどこまで進んでいるのかがわからなければ、適切なタイミングで必要な情報を共有することができません。

業務の進捗状況やタスクの割り振りを見える化することで、メンバー全員が同じ情報を持った状態でコミュニケーションを図れるようになります。

リモートワークによる物理的な距離

リモートワークが普及したことで、オフィスで顔を合わせる機会が減った企業も多いでしょう。物理的な距離があると、ちょっとした雑談や相談がしにくくなり、コミュニケーションの量が減少しがちです。

オンラインでのコミュニケーションは、対面と比べて非言語的な情報(表情、声のトーンなど)が伝わりにくいという特徴もあります。リモート環境においては、意識的にコミュニケーションの機会を増やす工夫が求められます。

チームコミュニケーションを活性化させる方法

チームコミュニケーションを活性化させるには、どのような取り組みが有効なのでしょうか。ここでは、具体的な方法を5つ紹介します。

コミュニケーションの機会を増やす

チームコミュニケーションを活性化させるためには、まずコミュニケーションの時間や頻度を増やすことが重要です。人は接触回数が多くなるほど相手に好意を抱きやすくなる(ザイオンス効果)といわれています。日頃からメンバー同士が言葉を交わす機会を設けましょう。

具体的には、定例ミーティングの実施、1on1の導入、朝礼や夕礼での情報共有などが挙げられます。1on1とは、上司と部下が11で行う定期的な面談のことで、業務の進捗確認だけでなく、キャリアの相談や悩みの共有など、幅広いテーマについて話し合う機会として活用されています。

業務連絡だけでなく、雑談や相談ができる時間を設けることも効果的です。たとえば、オンラインでのランチ会や、業務時間外のバーチャル懇親会などを開催している企業もあります。こうしたカジュアルなコミュニケーションの場があることで、メンバー同士の距離が縮まり、業務上のコミュニケーションも円滑になります。

情報を可視化して共有する

チームコミュニケーションを活発にするためには、業務に関する情報を可視化して共有することも大切です。それぞれが取り組んでいる業務や進捗状況を見える化することで、チーム全体の状況を把握しやすくなります。

情報が可視化されていれば、特定のメンバーに情報が偏ることを防ぎ、対等な条件下でコミュニケーションを図れるようになります。タスク管理ツールやプロジェクト管理ツールを活用するのも一つの方法です。これらのツールを使えば、誰がどのタスクを担当しているのか、期限はいつなのか、進捗状況はどうなっているのかを一目で確認できます。

また、情報の可視化は、新しいメンバーがチームに加わったときのオンボーディングにも役立ちます。業務のフローやルール、過去の経緯などがドキュメント化されていれば、新メンバーも早く業務をキャッチアップできるでしょう。

コミュニケーションツールを導入する

ビジネスチャットやWeb会議ツールなどのコミュニケーションツールを導入することも、チームコミュニケーションの活性化に効果的です。特にリモートワーク環境においては、こうしたツールが円滑なコミュニケーションを支える基盤となります。

ビジネスチャットを活用すれば、メールよりも気軽にやり取りができ、リアルタイムでの情報共有が可能になります。プロジェクトやテーマごとにチャンネルを分けて管理することで、必要な情報を必要な人に届けやすくなります。また、スタンプやリアクション機能を使って、簡単に既読の意思表示をすることもできます。

Web会議ツールを使えば、離れた場所にいるメンバーとも顔を見ながらコミュニケーションを取ることができます。対面に近い形でコミュニケーションが取れるため、テキストだけでは伝わりにくいニュアンスも共有しやすくなります。画面共有機能を活用すれば、資料を見ながらの説明やディスカッションも可能です。

ただし、ツールを導入するだけでは十分ではありません。ツールの使い方やルールを明確にし、チーム全員が活用できるようにすることが大切です。また、ツールが増えすぎると、かえって情報が分散してしまうこともあるため、自社の状況に合ったツールを選定することが重要です。

チームビルディングを実施する

チームビルディングとは、メンバー同士の関係性を深め、チームとしての一体感を高めるための取り組みです。ゲームやアクティビティを通じて、普段の業務とは異なる環境でメンバー同士が交流することで、相互理解が深まり、コミュニケーションが活性化します。

チームビルディングには、社内で実施できる簡単なゲームから、外部の専門サービスを利用した本格的なプログラムまでさまざまな種類があります。たとえば、謎解きゲームや脱出ゲーム、ビジネスゲームなどは、チームで協力して課題を解決する体験ができるため、コミュニケーションの活性化に効果的です。

チームビルディングを実施する際には、全員が参加しやすい内容を選ぶことが大切です。また、ゲームやアクティビティを楽しむだけでなく、そこで得た気づきを振り返る時間を設けることで、学びを業務に活かしやすくなります。チームの課題や目的に合わせて、適切なプログラムを選びましょう。社内リソースだけで実施するのが難しい場合は、外部の専門サービスを使うのも手です。

研修を受講する

チームコミュニケーションを活性化させたいなら、コミュニケーション研修の受講もおすすめです。研修を通じて、コミュニケーションの基本的なスキルや、チームで成果を出すための考え方を学ぶことができます。

研修会社によっては、座学だけでなく、ゲームやアクティビティを取り入れた体験型の研修を提供しているところもあります。体験を通じて学ぶことで、実践につながりやすくなるでしょう。

株式会社IKUSAが提供する「あそぶ社員研修」は、ゲーム形式のアクティビティと講義を組み合わせた没入型の研修です。チームビルディングを通じて、受講者同士の心理的安全性を高める設計となっています。コミュニケーション研修をはじめ、さまざまなテーマの研修プログラムを提供しています。詳しくは下記のページをご覧ください。

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まとめ

チームコミュニケーションは、単なる情報伝達ではなく、チームワークの土台となる信頼関係を築くための重要な活動です。活性化によって得られるメリットは多岐にわたりますが、その効果を最大化するには、自社のチームが抱える課題を正確に把握することが出発点となります。

「なぜコミュニケーションが不足しているのか」を見極めたうえで、機会の創出、情報の可視化、ツールの活用、チームビルディング、研修といった施策の中から、課題に合ったものを選択しましょう。一度きりの取り組みではなく、継続的に改善を重ねていくことが、強いチームづくりにつながります。

この記事の著者

あそぶ社員研修編集部

あそぶ社員研修は、企業の研修担当者向けのお役立ち情報を発信するメディアです。研修に関するノウハウ、組織・人材開発の手法、ビジネススキルなどをわかりやすく紹介します。

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