図形伝達ゲームとは?研修での活用法や注意点も解説

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この記事の監修者
友水 一喜
株式会社IKUSA
あそぶ社員研修事業部 責任者

図形伝達ゲームは、言葉を発することによるコミュニケーションのみで図形を他者に伝え、それに基づいて同じように描くことを目指すコミュニケーションゲームです。

図形について正しく伝えるには、形、位置、大きさなどの情報をわかりやすく正確な表現で言語化する必要があります。そのため、図形伝達ゲームを活用することで、基礎的なコミュニケーションスキルや論理的思考力(ロジカルシンキング)に関する研修における受講者の学びを深めることが期待できます。

本記事では、図形伝達ゲームの概要、ルール・用意する物、実施する際の流れや注意点、研修に取り入れるメリット・効果・ポイントについて紹介します

 

 

図形伝達ゲームとは

図形伝達ゲームは、言葉を発するコミュニケーションで図形について他者に伝え、それに基づいて同じように描くことを目指すコミュニケーションゲームです。基礎的なコミュニケーションスキルとされている伝える力・聞く力の両方が求められます。

図形を他者に対して正しく伝えるには、図形の形、位置、大きさなどをわかりやすく言語化することが重要です。また、聞き手は得られた情報を正しく解釈する必要があり、伝える側と聞く側の両方をおこなうことで、コミュニケーションの基礎を実践的に学ぶことができます。

図形伝達ゲームで求められるビジネススキル

ここからは、図形伝達ゲームを体験する際に求められるビジネススキルを紹介します。

コミュニケーションスキル

コミュニケーションスキルとは、情報共有や意志疎通のためのスキルです。伝える力と聞く力が基本となります。図形伝達ゲームは図形を言葉で伝えるゲームであり、聞き手の聞く力も求められるため、わかりやすく伝える・正しく聞き取るために試行錯誤をする過程でコミュニケーションスキルの向上が期待できます。

論理的思考力

論理的思考力とは、情報と抜け・漏れがないように整理し、正しい結論を導き出す思考力です。論理的思考力もコミュニケーションスキルと同様に伝える力・聞く力との関連性が高く、図形伝達ゲームを体験することで高めることが期待できます。

図形伝達ゲームのルール

図形伝達ゲームの基本的なルールは下記の通りです。

  • 45人程度のグループで実施する
  • 制限時間は1つのお題あたり13分程度に設定する
  • 表現者は図形を見て言葉(言語コミュニケーション)のみで特徴を伝える
  • 表現者以外の参加者が質問をすることはNG
  • お題と同じ図形を描くことができれば成功となる
  • お題と同じ図形を描けているかの判定は1人の審判がおこなう

図形伝達ゲームでは、表現者から図形の特徴を説明する一方的な言語コミュニケーション以外の言葉を参加者が発することはできません。たとえば、「この中央の円の上にある三角形はどれくらいの大きさですか?」のように、聞き手から質問をすることはNGです。また、公正・公平に実施するために、正しく図形を描けているかを判定する審判は1人に任せることもポイントとなります。

図形伝達ゲームの特徴は、「表現者からの一方的な言語コミュニケーション」により、伝える側と聞く側が明確に分かれることで、伝える力・聞く力が求められることです。コミュニケーションを制限し、表現者からの図形に関する説明に限定させることで、コミュニケーションスキルや論理的思考力の向上につなげることができます。

図形伝達ゲームを実施する際に用意する物

図形伝達ゲームを実施する際に用意する物は下記の通りです。

  • お題となる図形
  • 鉛筆またはシャープペン
  • 消しゴム
  • タイマーのスマートフォンアプリ

図形伝達ゲームを実施する際に必要な準備はお題の作成です。グループの全員が表現者を体験できるようにするために、その人数より多くのお題を準備しておく必要があります。また、図形の大きさや形の微調整をすることができるようにするために、ボールペンではなく、鉛筆またはシャープペンと消しゴムを用意しておくこともポイントとなります。

時間を計るタイマーは無料のスマートフォンアプリで問題ありませんが、残り時間をアナウンスすることが重要です。残り1分、30秒、10秒など、参加者に周知しながら進めましょう。

図形伝達ゲームを実施する際の流れ

図形伝達ゲームを実施する際の基本的な流れは下記の通りです。

  1. 45人程度のグループに分かれる
  2. ルール説明・お題の共有
  3. 1人の表現者が図形を見て言葉で伝える
  4. 表現者以外の全員が図形を書く
  5. 答え合わせをする

以下で詳しく紹介します。

ルール説明・お題の共有

まずは参加者に対してルール説明とお題の共有をおこないます。ルール説明をする際には、表現者以外は発言してはいけないこと、表現者は図形の説明に関することのみ発言できることなど、ポイントを絞ってわかりやすく伝えることが大切です。また、お題を共有する際には、表現者以外に見えないように注意することが重要となります。

ルール説明やお題の共有は、図形伝達ゲームの進行役となるファシリテーターがおこないます。研修で実施する場合は、求められるスキルや研修の目的なども合わせて共有し、効果的に実施できるようにしましょう。

実施タイム

実施タイムでは、グループ内の1人が表現者となり、お題となる図形を言語コミュニケーションで他の参加者に説明します。表現者以外の参加者は、表現者からの説明を受けて、紙に図形を描いていきます。その際に、「今のところをもう1回教えてください」など、表現者以外の参加者が表現者に質問をすることはできません。そのため、表現者以外の参加者は集中して聞く必要があり、主体的に没入して取り組むことができます。

なお、実施タイムではグループ内の全員が表現者の役割を担えるようにします。グループが45人程度であれば、制限時間23分として、答え合わせの時間を含めても1520分程度で実施することができます。研修で実施する場合は、図形伝達ゲームでの伝え方を改善するプロセスを含めるために、1人あたり表現者を複数回できるようにするのがおすすめです。

振り返り

図形伝達ゲームが終了したら、振り返りをおこないます。振り返りでは、コミュニケーションスキルや論理的思考力に関する知識・スキルを具体的に紹介し、スキルアップや業務上での実践につなげることが重要です。

図形伝達ゲームを実施する際の注意点

以下では、図形伝達ゲームを実施する際に押さえておきたい注意点を紹介します。

言葉以外のコミュニケーション手段はNG

図形伝達ゲームでは、言葉以外のコミュニケーション手段を用いて図形を伝えることができません。たとえば、丸や三角などをジェスチャーで示すこともできますが、そうした非言語コミュニケーションで伝えることはNGです。

図形の難易度を調整する

丸、三角、四角などのシンプルな形は伝えやすく、大人には簡単すぎてしまう可能性があります。歯車、ギザギザの円、ドクロマークなど、さまざまな形を創造することができるため一言で簡単に伝えることはできない形を取り入れ、図形の難易度を難しくしましょう。たとえば、「ギザギザの円」の場合には、ギザギザの部分はどれくらいの長さなのか、どれくらいの幅なのかなどを伝えることが必要になり、難しくなります。

図形伝達ゲームを研修で実施するメリット・効果

以下では、図形伝達ゲームを研修に取り入れる際に得られるメリットや効果を紹介します。

コミュニケーション効率が改善される

業務上のコミュニケーションでは、伝えたつもり・わかったつもりになってズレが生じ、誤認したまま業務を進めてしまう場合があります。図形伝達ゲームを活用することで、参加者が自身のコミュニケーションを見直し、業務上の齟齬を減らすことにつながるため、コミュニケーション効率の改善が期待できます。

研修の学びを深められる

図形伝達ゲームではコミュニケーションスキルや論理的思考力が求められるため、コミュニケーション研修やロジカルシンキング研修に取り入れることで、研修の学びを深めることにつながります。図形伝達ゲームにおける実践的な学びと講義を関連付けて、参加者がより学びを深められる研修を実施しましょう。

参加者の主体性が引き出される

図形伝達ゲームは体験型ゲームであり、体験を通じて集中して積極的に取り組むことが促されるため、主体性が引き出されます。そのため、研修に対して主体的に取り組むことが促進され、研修で得た知識やスキルの定着につながります。

図形伝達ゲームを研修で活用する際のポイント

以下では、図形伝達ゲームを研修に取り入れる際のポイントを紹介します。

アイスブレイクを取り入れる

図形伝達ゲームでは、表現者が安心して説明できるようにするために、心理的安全性が高い状態になっていることが重要です。グループ内で簡単な自己紹介ゲームなどをおこない、コミュニケーションにおける緊張をほぐしましょう。

「楽しかった」で終わらない研修設計にする

図形伝達ゲームは大人が楽しく主体的に取り組めるゲームとされていますが、研修に取り入れる際には学びの定着が重要となります。参加者がゲームを楽しんで終わらないように、図形伝達ゲームで得られる実践的な学びと、振り返りや講義で得られる知識を関連付け、参加者が深く理解できる研修設計にしましょう。

まとめ

図形伝達ゲームを実施することで、言語コミュニケーションを通じて図形を正しく伝える・聞き取ることの難しさや面白さを実感し、業務上でのコミュニケーションを見直すきっかけ作りになります。コミュニケーション研修やロジカルシンキング研修が活用し、学びを深めましょう。ゲームを活用した研修の実施に関しては、ぜひIKUSAにご相談ください。

 

 

以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。

1.合意形成研修

合意形成研修のアクティビティ「コンセンサスゲーム」では、危機的な状況下でどの物資を優先して確保すべきかをチーム内で議論し、最適な結論を導きます。

学びのポイント

  • 各々が個人ワークで考えた答えを聞くことで、チームメンバーの状況に対する認識や物資の重み付けの違いを受講者が理解する
  • 話し手は自分の答えにいたった理由を論理的・説得的に説明する
  • より良い根拠を導き出すための比較検討をして、チーム全員が納得する結論を出す

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2.PDCA研修

PDCA研修のアクティビティ「ロケットPDCAチャレンジ」では、パーツを組み合わせてロケットを制作し打ち上げ結果から原因を考えて、より良く飛ぶロケットに改善していき、目標の達成を目指します。

学びのポイント

  • 計画を立ててロケットを飛ばし、その結果から組み合わせの誤り・部品の不足・不良部品の有無を推察し、それを繰り返すことで組み合わせの精度を上げていく
  • 資金稼ぎ・パーツの選択・打ち上げの準備を繰り返し、作戦タイム振返りを経て行動を改善していくことで、最適化されていく

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3.戦略思考研修

戦略思考研修のアクティビティ「ワールドリーダーズ」では、労働力や資本を使って事業を設立し、利益を稼ぐことを目指します。

学びのポイント

  • 不確実な状況のなかで自チームにとって最適な行動方針を考え、実行していく
  • 戦略を決めるために与えられた手段のなかでどの情報を取得していくかの優先順位決めが求められる

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4.コミュニケーション研修

コミュニケーション研修のアクティビティ「謎解き脱出ゲーム」では、チームでコミュニケーションをとりながら問題に隠された法則を発見する謎解きゲームのクリアを目指します。

学びのポイント

  • 受講者が「自分しか見えていない情報・問題・解き方」をチームで共有することでコミュニケーション促進やスキルアップにつながる
  • 突飛な発想・ヒラメキをチームのなかで積極的に発言できる心理的安全性の高い環境づくりが求められる

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5.ロジカルシンキング研修

ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルティング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します。

学びのポイント

  • 小グループで得られた情報を論理的に整理し、確定情報・曖昧情報・不要な情報を選り分ける
  • 大グループで全体に必要な情報を論理的に判断・共有することや、自分たちに足りない情報を聞き出すことが求められる

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6.クリティカルシンキング研修

クリティカルシンキング研修のアクティビティ「混乱する捜査会議からの脱出」では、推理ゲームで論理的に情報を整理するなかで証拠の違和感に気づき、仮説立てや検証を行って目標を達成します。

学びのポイント

  • 証拠品や証言など多くの情報を手分けして読み、組み合わせて論理的に結論を導き出す
  • フェーズが進むごとに情報が増え、複雑になっていくなかで必要な情報を取捨選択する
  • 出た結論に満足せず、常に新しい情報と照らし合わせて再検証する

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7.リーダーシップ研修

リーダーシップ研修のアクティビティ「グレートチーム」では、チームの運営を疑似体験することでリーダーシップやマネジメントを学びます。

学びのポイント

  • メンバーのリソース管理や育成、リーダーとしての決断を繰り返すことで、いろいろなリーダーシップの型を知ることができる
  • 現代に合わせたリーダーシップの発揮の必要性を知り、自分らしいリーダーシップを学べる

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8.ビジネスマナー研修

ビジネスマナー研修のアクティビティ「ビジトレ」では、実践形式・クイズ形式のアクティビティを通して、ビジネスマナーを楽しく学びます。

学びのポイント

  • 堅い内容になりがちなビジネスマナー研修にゲーム形式を取り入れることで、受講者が没入して学べる
  • 名刺交換や報連相などを実行し、動作・マナーに慣れることで、翌日から実践できるようになる

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9.防災研修

防災研修のアクティビティ「先が見えない防災訓練からの脱出」では、チームで協力して、防災のアイテムや知識を使用しながら謎解きゲームのクリアを目指します。

学びのポイント

  • 謎解きの答えが災害時のNG行動にまつわる内容となっており、解説時になぜ行なってはいけないかもセットで学ぶ
  • 被災時は様々な情報が飛び交うため、情報を取得する際にどのようにすれば惑わされないかを学ぶ

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10.OODA LOOP研修

OODA LOOP研修では、瞬間的な判断力が求められる運動系のアクティビティである「サバイバルゲーム」または「チャンバラ合戦」を実施することで、意思決定のフレームワークである「OODA LOOP」を実践的に習得することを目指します。

学びのポイント

  • 敵チームをよく観察して作戦を練り、状況に応じた行動を素早く判断しながら、チームで共有して一体となって行動する
  • ミッションの勝利条件をもとに、観察、判断、行動を繰り返すことで、本当にすべき行動が何なのか、行動の最適化を行う

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この記事の著者

あそぶ社員研修編集部

あそぶ社員研修は、企業の研修担当者向けのお役立ち情報を発信するメディアです。研修に関するノウハウ、組織・人材開発の手法、ビジネススキルなどをわかりやすく紹介します。

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