適応力とは?意味や順応力との違い、高める方法を紹介

  • ビジネススキル

ビジネスパーソンに必須のスキルの1つに、「適応力」があります。就職活動の際には、この適応力を自分の強みとしてアピールしたという人も多いのではないでしょうか。昨今、この適応力の重要性がより高まっています。

本記事では、適応力とはどのようなスキルなのか、順応力との意味の違いにも触れながら、わかりやすく解説します。そして、適応力が高い人の特徴、適応力を高めるメリット、適応力を高める方法、社員に適応してもらうために企業ができるサポートについても紹介します。

 

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適応力とは

「適応」とは、ある状態や条件などに当てはまることを意味する言葉です。または、自分が置かれている環境に適するように、意識や行動を変えていくという意味もあります。

ビジネスにおける適応力とは、仕事そのものや仕事の進め方、職場などに速やかに適応できる能力を指します。ここで、適応力の具体例をいくつか挙げてみます。

  • 新しい職場の人たちとすぐに打ち解けられる。
  • 働き方(働く場所・時間など)が変わってもすぐに能力を発揮できる。
  • 困難な状況に置かれても柔軟に対応できる。
  • 急なトラブルにも臨機応変に対応できる。
  • 自分と異なる意見や価値観も受け入れることができる。

このように、新しいことや変化に対して素早く柔軟に対応する力を、適応力といいます。

ビジネスパーソンにとって適応力が重要な理由

昨今、ビジネスにおいて適応力を身につけることの重要性が高まっています。その理由としては、主に以下の2つが挙げられるでしょう。

人材の流動性が高まっているため

これまでは終身雇用や年功序列が一般的でしたが、最近は年齢や勤続年数にかかわらず、実力や仕事の成果によって給与や役職などが決まる「成果主義」に移行する企業も増えています。また、新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに日本でもテレワークが普及し、働き方も多様化しました。さらに、このような変化に対応するためにも、働く人にはキャリア自律(主体的に自分のキャリアを考え、開発していくこと)が求められるようになっています。このような理由から、「自分のキャリアのため」というポジティブな理由で転職をすることが当たり前になっています。

転職をすると、新しい仕事や職場、文化などに慣れる必要があります。同じ職種であっても、会社によってやり方がまったく違うということも珍しくありません。どれだけ技術的なスキルを持っていたとしても、転職先に馴染めないと、パフォーマンスを発揮できなかったり、大きなストレスがかかったりすることがあります。新しい環境で活躍するために、適応力は重要なスキルです。

企業に変革が求められているため

グローバル化やニーズの多様化により、企業間競争が激化しています。このようななかでも持続的に企業価値を高めていけるように、政府はDXを推進しています。

DXとは、データやデジタル技術を活用して自社の製品やサービス、ビジネスモデルを変革し、競争力を高めていくことをいいます。企業がDXを進めることで、入社後に企業の方針や事業、組織体制などが大きく変わる可能性もあります。そのような環境の変化に対応していくためにも、適応力が必要です。

また、現代はVUCA時代と呼ばれるほど変化が激しく、不安定で不確実性の高い時代となっています。適応力があれば、大きな変化があってもすぐに適応し、変わらず能力を発揮できるでしょう。

企業に求められることは時代とともに変化しており、それに伴って働く人に求められる知識・スキルも変わっていきます。適応力は、変化の激しい時代を生きる現代のビジネスパーソンにとって、非常に重要なスキルといえます。

適応力と順応力の違い

適応力と似ている意味を持つ言葉に、「順応力」があります。ここで、2つの言葉の意味の違いを整理しておきましょう。

「順応」とは、環境や境遇の変化に合わせて、性質や行動が変わることを意味する言葉です。新しいことや変化に早く順応できる人ほど、順応力が高いといえます。

適応力も順応力も、自分が置かれている状況に合わせて変化するという点は共通していますが、適応力は自ら意識や行動を変える能力であり、順応力は時間・労力をかけなくても自然に環境や境遇に馴染めることを意味します。

順応力は、能力やスキルというよりは、その人が持つ「性質」に近いといえます。そのため、「順応性」と表現されることも多いです。

適応力が高い人の特徴

次に、適応力が高い人に見られる特徴を紹介していきます。

全体を俯瞰的に捉えることができる

適応力が高い人は、物事を俯瞰することができる人が多いでしょう。俯瞰とは、「高いところから見下ろして眺めること」、または「広い視野で物事を見ること」を意味する言葉です。

俯瞰することで、組織や仕事の全体像を把握できるようになります。目の前のことだけでなく全体像を把握できていれば、何か変化があったときや、新しいことに取り組まなければならなくなったときも、スムーズに対応できるでしょう。また、全体を俯瞰的に捉えられるようになると、タスクの優先度も明確になるため、仕事を効率的に進めることができるのもメリットです。

ポジティブである

適応力が高い人は、何事も前向きに捉えられる人が多いといえます。仕事をしていると、予期せぬトラブルが発生することがあります。特に新しいことに挑戦するときや、慣れない環境のなかでは、このような事態に直面することも多いでしょう。そのようなときでも、適応力が高い人は、「どうすれば乗り切れるだろう?」「自分ならきっと上手くできる」と、ポジティブに考えることができます。

また、適応力が高い人は、チャレンジ精神が旺盛で、好奇心が強いというのも特徴です。そのため、新しいことや難しい課題にも、「まずはやってみよう」と、積極的にチャレンジしようとします。チャレンジするなかで壁にぶつかったとしても、その壁もポジティブに捉え、柔軟に対処することができます。

それまでの常識に固執しない

適応力が高い人は、それまでの自分の「常識」を捨てることができます。

たとえば、転職先の仕事の進め方が、前職と大きく違っていたとします。このとき、「前職ではこういうやり方をしていました。」「こちらのほうが効率的だと思います。」というように、前職のやり方(自分の常識)にとらわれるあまり、新しい職場を批判してしまう人がいます。これでは、いくら仕事の能力が高くても、職場に馴染むことができず、いずれ伸び悩んでしまう可能性が高いでしょう。

適応力が高い人は、それまでの常識にとらわれず、新しい職場の常識に合わせることができます。そのほうが効率が良いと考えるためです。

コミュニケーション能力が高い

適応力が高い人は、コミュニケーション能力も高い人が多いでしょう。そのため、周りの人と良好な関係を築くことに長けています。

「コミュニケーション能力が高い人」とは、「トークが上手い人」ではありません。もちろん、トーク力もコミュニケーション能力の1つの要素ではありますが、それだけでなく、さまざまな人と積極的にかかわる、分け隔てなく接する、相手の話をしっかり聴く、相手に配慮した伝え方なども求められます。

ここで、先ほどの「仕事の進め方が転職先と前職で違っていた場合」に当てはめて、相手に配慮した伝え方の例を見てみましょう。適応力が高い人は、自分の常識を捨てて新しい職場の常識に合わせることができるとお伝えしましたが、前職のやり方のほうが、実際に効率が良いという場合もあります。

そんなときに、「こちらの会社のやり方は、効率が悪いですね。前職ではこんな風にやっていましたよ。」と言われると、周りの人はどう感じるでしょうか。それよりも、「業務の進め方に提案があるのですが、試してみませんか?」と伝えたほうが、周りの人は気持ちよく仕事ができるでしょう。適応力が高い人は、このように「どうすれば相手に伝わるか」を考えて、上手に伝えることができます。

適応力を高めるメリット

「適応力は新卒の就職活動でアピールするスキル」というようなイメージがあるかもしれませんが、先ほどお伝えしたように、適応力の重要性は高まっています。社会に出た後も、磨き続けていきましょう。ここからは、適応力を高めていくことのメリットについて解説していきます。

急な変化にも素早く対応できるようになる

仕事をしていると、急な変更が必要になったり、何かトラブルが発生したりすることがあります。対応が遅れると、事態が悪化して、大きな問題に発展してしまう可能性もあります。適応力を高めると、急な変更やトラブルにも、素早く柔軟に対応できるようになるでしょう。

その対応が評価につながれば、大きなプロジェクトや責任あるポジションを任せてもらえることも期待できます。自身のキャリアアップのためにも、磨いておきたいスキルといえるでしょう。

環境が変わっても能力を発揮できるようになる

環境の変化はストレスをもたらすものですが、適応力を高めることで、変化を楽しめるようになったり、ポジティブなものとして捉えられるようになったりすることも期待できます。その結果、環境に左右されることなく、自分の能力をいきいきと発揮できるようになるでしょう。

「転職は考えてないので、環境が大きく変わることなんてない」と考えている人もいらっしゃるかもしれませんが、チームのメンバーが変わったり、自身が所属する部署やポジションが変更になったりすることもあります。また、先ほどお伝えしたように、企業には変革が求められるようになっているので、今後企業の方針や体制が大きく変わったり、新しい業務を担当しなければいけなくなったりする可能性も考えられます。どのような環境においても活躍できる人材になるために、適応力は必要なスキルです。

人間関係が良好になる

先ほど、適応力が高い人の特徴として、「それまでの常識に固執しない」ということを紹介しました。自分の常識にとらわれたままでいると、周りの人から「あの人は頑固な人だ」「いつも自分が一番正しいと思っている」などという印象を持たれて、コミュニケーションも難しくなってしまうことがあります。適応力を高め、自分の常識を捨てられるようになると、自分と違う考え方や価値観も受け入れられるようになります。周りから信頼を得やすくなり、良好な人間関係の構築につながるでしょう。

適応力を高める方法

では、適応力を高めていくにはどうすればよいのでしょうか。具体的な方法を紹介します。

新しいことにチャレンジしてみる

適応力は、自分の周りで何か変化があったときに発揮される能力です。日ごろから変化に対処する機会が少ないと、なかなか高めていくことは難しいので、とにかく新しいこと・慣れないことにチャレンジをして、変化を作ることが重要です。仕事でもプライベートでも、何かにチャレンジする機会あれば、積極的に挑戦してみましょう。

今の自分にできることだけをこなしていても、成長することはできません。常に新しい知識やスキルを身につけようという姿勢でいることが大切です。積極的にチャレンジを続けていれば、その姿勢自体を評価してもらえる可能性もあります。すると、さらに新しいチャンスを与えてもらうことができ、どんどん成長していけるという好循環を生み出すことができるでしょう。

目標を設定する

環境の変化に強い人は、ブレることがない自分の軸を持っています。自分の軸とは、自分の行動指針のようなものです。適応力を高めたいなら、何か自分の軸になるような目標を設定してみましょう。そうすることで、周りの環境に左右されることなく、いつも冷静でいられるようになります。急な変化があったときや、新しいことに挑戦するときも、しっかりとした軸があれば、ブレずに行動できるようになるでしょう。

目標を設定する際は、まずは、自分のなかにある環境の変化に影響されにくい部分を知ることが大切です。具体的には、自分がどのような目的で仕事をしているのか、どのようなことに充実感を感じるかなどを振り返って、そこから目標を考えていくとよいでしょう。

自分以外の考え方・価値観に触れる機会を作る

ビジネスでは、自分と異なる考え方・価値観の人と協力しなければならない場面が多々あります。特に近年は、企業にもダイバーシティが求められるようになっています。年齢や性別、国籍などが異なる多様な人々と上手く付き合っていけるというのも、新しい環境や変化にスムーズに適応するために重要なポイントです。

そのために、多様な人とかかわる機会を作ってみましょう。たとえば、異業種交流会やボランティア活動に参加してみる、プライベートで新たな習い事を始めてみるなどの方法が考えられます。ただ、参加するだけではあまり意味がありません。積極的に声掛けや挨拶をして、さまざまな人と交流することが大切です。

フィードバックをもらう

適応力を高めたいなら、身近な人からフィードバックをもらうのもおすすめです。上司や同僚などにフィードバックをもらうと、自分では気づけなかったことに気づける場合があります。

このときは、「自分がどうしたいのか」を相手に伝えるようにしましょう。そうすることで、「そのために何が足りないのか」というアドバイスをもらうことができます。

適応のためには企業のサポートも必要

社員に早く新しい仕事や職場に適応してもらうためには、個人の適応力を高めてもらうことも大切ですが、企業が必要なサポートを行うことも重要です。

たとえば、新入社員研修です。新入社員に対してきちんと研修を行うことで、企業の文化や価値観、仕事の内容、職場の特徴などに対する社員の理解が深まります。研修行った場合と行わなかった場合とでは、社員が企業に馴染むスピードも変わるでしょう。

そして研修後も、仕事やルールを教えたり、落ち込んでいる様子が見られればフォローしたりするなどして、職場全体で新入社員をサポートしていくことが重要です。「自分を受け入れてくれている」「サポートしてもらっている」と感じられれば、満足度や帰属意識も高まりやすくなるでしょう。

個人がスムーズに適応できるような受け入れ体制になっているか、もっとサポートできることはないかなどを、見直してみてはいかがでしょうか。

まとめ

現代は将来を予測するのが難しい時代になっており、ビジネスにおける適応力の重要性が増しています。どのような環境においても活躍できる人材になるために、社会人になってからも、適応力を磨き続けていきましょう。

また、社員に変化に適応し、持てる能力を十分に発揮してもらうためには、企業のサポートも欠かせません。研修やサポート体制も、一度見直してみてください。

 

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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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