リーダーシップを発揮するための具体的な行動8つを紹介

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「リーダーシップを発揮するにはどうすればいいのだろう?」こんなお悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。

本記事では、リーダーシップとは何か、リーダーシップを発揮するとはどういうことなのかを、わかりやすく解説します。そして、リーダーシップを発揮するための具体的な行動として、ジョン・アデア氏が自身の著書の中で紹介している「リーダーシップの実践行動」8つ、さらに日頃から意識したいコミュニケーションのポイントを紹介します。

 

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リーダーシップとは

英単語のリーダーシップ(leadership)には、「統率力」「指導」「指導者」などの意味があります。リーダーシップに関する研究や理論、定義にはさまざまなものがありますが、わかりやすく表すと「目標を達成するために、チームをまとめて導いていく力」がリーダーシップであるといえるでしょう

ある人の行動に周りのメンバーが影響を受け、チーム全体が活性化したり、成果が生まれたりすることがあります。「リーダーシップを発揮する」とは、このように周りを引き上げるような良い影響を与えることを意味します

かつては、リーダーシップは一部のカリスマ性のある人だけが持つものだと考えられていましたが、近年の研究では、リーダーシップは生まれ持った能力や性格にかかわらず、誰でも身につけることができるものであるという考え方が主流になってきています。

リーダーシップとはどのような能力なのか、リーダーシップを発揮するとはどういった状態を指すのかをよりイメージしやすくするために、リーダーの役割と求められるスキルを詳しく見てみましょう。

リーダーの役割

リーダーは、必ずしも「リーダーの役割に就いている人(管理者、チームの責任者など)」とは限りません。たとえば、リーダーの役割に就いていない人であっても、下記のような人はリーダーシップを発揮しているといえます。

  • メンバーの中心にいる人
  • メンバーから頼りにされている人
  • メンバーが多くの影響を受けている人
  • メンバーを指導したり、まとめたりする人
  • リーダーシップを発揮して、効果を出せる人

参考:01_リーダーシップを発揮しよう テキスト – 厚生労働省(PDF)

分かりやすくするために、ここからは「リーダーの役割に就いている人」をリーダーとして、その役割を紹介します。

リーダーの役割は、大きく分けて以下の3つです。

  1. 状況を判断する
  2. 目標を達成する
  3. チームをまとめる

一つずつ、詳しく見てみましょう。

1.状況を判断する

リーダーには、チームがどのような状況に置かれているのかを判断するという役割があります。そのため、リーダーは常に目を外に向けていなければなりません。リーダーが内部指向で自分の仕事だけをこなしているようでは、チームは環境の変化について行けず、取り残されてしまうでしょう。特に、グローバル化やIT化が進む変化の激しい現代においては、素早く的確な状況判断をすることが重要です。

2.目標を達成する

リーダーには、チームで目標を達成するために、メンバーを導いていくという役割がありますどうすれば生産性や効率が上がるか、どのように役割分担をすれば一人ひとりが最大限に能力を発揮できるかなどを考え、必要なアクションを起こします。

3.チームをまとめる

リーダーには、メンバー同士が信頼し合い、協力し合える状態と雰囲気をつくるという役割があります。メンバーそれぞれがどれだけ高い能力・スキルを持っていたとしても、チームにまとまりがなければ、それらを十分に活かすことはできません。メンバー同士のつながりを強化し、良好な関係を維持していくための働きかけが必要になります。

まとめると、常に外に目を向けて状況を判断しながら、「目標を達成する」という業績の面と、「チームをまとめる」という人間関係の面の両方のバランスをとりながらチームを導いていくことが、リーダーの役割であるといえるでしょう。

参考:管理者のあり方と リーダーシップ – 経済法令研究会(PDF)

リーダーに求められるスキル

リーダーシップを発揮するために必要なスキルを紹介します。リーダーの階層や、どのようなリーダー像を目指すかによっても求められるスキルは変わってきますが、たとえば以下のようなものが挙げられます。

  • セルフリーダーシップ……自分自身をより良い方向に導くために、主体的に判断し行動する力。
  • 目標設定能力……明確な目標を設定してメンバーに示す力。
  • コミュニケーション・スキル……メンバーと信頼関係を築き、それを維持していく力。
  • 実行力……指示や命令を出すだけでなく、自分自身も積極的に行動して仕事をこなしていく力。
  • 決める力……過去の経験やデータなどをもとに現状を「判断」する力と、現状を打破するための大きな「決断」をする力。
  • 思考力……ロジカルシンキング(論理的思考)、クリティカル・シンキング(批判的思考)、クリエイティブ・シンキング(水平思考)など。
  • 応用力……持っている知識や事例を活用して、新たな事柄に対応する力。
  • 問題解決力……チームの問題を解決する力。
  • 寛容力……多様な価値観や、自分と異なる意見を受け入れる力。

 

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リーダーに求められる具体的な8つの行動

では、リーダーには具体的にどのような行動が求められるのでしょうか。英国サリー大学教授のジョン・アデア氏の著書「英国超一級リーダーシップの教科書」では、リーダーシップの実践行動として、以下の8つが紹介されています。

  1. タスクを明確にする
  2. 計画する
  3. 要約する
  4. 統制する
  5. 評価する
  6. 動機づけする
  7. 組織化する
  8. 模範となる

一つずつ、詳しく見てみましょう。

1.タスクを明確にする

リーダーは、チームの目的と目標、そしてそれを達成するために何をすれば良いのか(タスク)を、メンバーに示さなければなりません。まずはリーダー自身が業務の具体的な内容と、「なぜ、それをする必要があるのか」を明確に把握しましょう。

目的や目標、業務の内容を整理するときは、「SMART(スマート)の法則」の活用がおすすめです。

  • Specific(具体的な)
  • Measurable(測定可能な)
  • Achievable(実現可能な)
  • Relevant(関連性がある)
  • Time-bound(期限が明確)

この5つの要素を意識して目的や目標、業務の内容を整理することで、メンバーは自分が「何を求められているのか」を理解しやすくなります。5つの要素をすべて満たす必要はありませんが、メンバーのモチベーションを維持するためにも、Achievable(実現可能な)は押さえておきましょう。

2.計画する

目的、目標、タスクが明確になったら、それらを達成するための計画を立てますやるべきことに優先順位をつけて、実行可能な計画とすることが大切です。また、何を・いつ・どこで・誰が・どのように実行するのか、何をもって「完了」「達成」とするのかという基準も明確にしましょう。そして、計画どおりにいかなかった場合を想定して、代替案も複数用意しておきます。

計画は、リーダーが一人ですべてを決めてしまうのではなく、メンバーと一緒に話し合いながら決めていくことも重要です。そうすることで、一人ひとりがチームの目的や目標を「自分ごと」として捉えられるようになります。また、意見交換を通してメンバー同士のつながりも強化できるでしょう。

3.要約する

計画を立てたら、次はメンバー全員が目的や目標、計画を理解できるように、リーダーがわかりやすく要点を説明します。メンバーには、自分に与えられた役割やタスクだけでなく、計画の全体像を把握してもらいましょう。「全員で目標を達成する」という意識を、一人ひとりに持ってもらうことが大切です。リーダーが一方的に説明するだけでなく、メンバーから質問を受け付ける時間も設け、最後は全員が理解できたか確認することも忘れないようにしましょう。

また、はじめは目的や目標、計画をしっかり理解できたとしても、いざ業務が始まると自分のタスクに手一杯になり、方向性を見失ってしまうことがあります。プロジェクトのスタート時だけでなく、定期的に目的や目標、計画を再確認する機会を設けましょう

4.統制する

統制とは、個々のメンバーが持つ力を集めて「チーム力」にすることを意味します。特に人数が多いチームは、メンバーのエネルギーが分散しやすくなります。リーダーは、メンバー全員がエネルギーを同じ方向に向けていけるように働きかける必要があります

とはいえ、他人のエネルギーをコントロールするのは容易ではありません。個々のエネルギーを「チーム力」にするためには、一人ひとりがいかにセルフコントロールできるかが重要なポイントになります。リーダーには、メンバーに自己管理や自律を促すといった行動が求められます。

5.評価する

計画を実行したら、チームのさらなる成長・発展に向けて振り返りを行います。「目標を達成できた」「こんな課題が残った」というような結果だけでなく、プロセスを見てその要因をしっかり分析し、正しく評価することが大切です。

振り返りは、リーダーが結果を評価したらそれで終わりではなく、メンバー全員でそれを共有して意見を出し合う場を設けましょう。そうすることで、メンバー全員にチームを俯瞰する視点が身につきます。

また、振り返りは計画をすべて実行した後だけでなく、進捗途中にも定期的に行うことが大切です。方向性にズレが生じていれば速やかに軌道修正ができますし、目的や目標、計画を再確認する機会にもなります。

6.動機づけする

動機づけとは、情報や刺激を与えて目標に向かって行動を起こさせ、その状態を維持させる過程や機能のことです。「モチベーション」ともいわれています。メンバーに動機づけすることも、リーダーの重要な役割です。

動機づけには、「外発的動機付け」と「内発的動機付け」の2種類があります。

  • 外発的動機づけ……「報酬をアップさせたい」「罰を受けたくない」など、外部からの刺激によってモチベーションを高めること。
  • 内発的動機づけ……「仕事が楽しい」「もっと成長したい」など、興味・関心や意欲によって内側から湧いてくるモチベーションを引き出すこと。

特にリーダーに求められるのは、内発的動機づけです。メンバーの内側にあるモチベーションを引き出すためには、コミュニケーションが欠かせません。こまめにフィードバックをしたり、日々のコミュニケーションの中でメンバーの能力や行動を「認めている」ことや感謝を伝えたりすると、メンバーはやりがいや充実感を感じられるようになり、「もっと仕事をがんばろう」と思えるようになります。

モチベーション8つの法則

ジョン・アデア氏は、リーダーが部下に動機づけるための指針として、「モチベーション8つの法則」を示しています。

自分自身がやる気になる

モチベーションの高い人物を選び出す

各人を個人として扱う

現実的で挑戦的な目標を設定する

前進はモチベーションとなることを肝に銘じる

意欲をかき立てるような環境をつくる

公平に報酬を与える

認めてやる

引用:「英国超一級リーダーシップの教科書」(著者:ジョン・アデア / 出版社:こう書房)

7.組織化する

組織化とは、メンバー構成や指示系統などを調整してチームを編成することを意味します。チームの結成当初にこれを行うことはもちろんですが、一度組織化したらそれで終わりではなく、業務や方針が変わればその都度見直しをしなければなりません。

強いチームをつくるためには、リーダーがメンバー一人ひとりの個性や実力、得意分野などを深く理解しておく必要があります。

8.模範となる

リーダーは、メンバーに影響を与える存在です。良い影響を与えればチーム全体が引き上げられますが、悪い影響を与えてしまえば、チームの生産性やモチベーションも下がってしまうでしょう。リーダーは、自分がそのような存在であることを認識し、ただ指示や命令を出すだけでなく自身も積極的に行動して、メンバーの良い模範とならなければならないのです

しかし、行動だけでは良い模範にはなれません。以前は「見て覚えなさい」という上司も多かったかもしれませんが、今の時代にこのスタンスだと、メンバーから「指導力不足だ」「効率が悪い」などと思われてしまう可能性があります。まずは言葉で示し、その後で行動で示すという有言実行・言行一致であることが大切です。

良い模範が浸透するまでにはある程度時間がかかるかもしれませんが、根気よく示し続けていきましょう。

リーダーに欠かせないコミュニケーション・スキル

先ほど、リーダーに求められるスキルを紹介しましたが、中でも特に重要なのがコミュニケーション・スキルです。どれだけリーダーが優秀な人材で、前項で紹介した8つの行動を実行する力があったとしても、メンバーがバラバラでまとまりがなければ、チームとしては機能しません。チームをまとめるためには、まずはリーダーがメンバーからの信頼を得る必要があります。そのためには、日頃からメンバーと密にコミュニケーションをとることが大切です。

個々のメンバーが持つ力を「チーム力」にできるかどうかは、リーダーのコミュニケーション・スキルにかかっているといえます。メンバーと信頼関係を築くために、日頃から以下のようなポイントを意識してみましょう。

【日頃から意識したいコミュニケーションのポイント】

  • 大きな声でハキハキと明瞭に話す。
  • メンバーの話をしっかり聴く。
  • 非言語のコミュニケーション(表情、手や足の動きなど)も意識する。
  • リーダーからメンバーに積極的にコミュニケーションを図る。
  • メンバーに期待や感謝を伝える(内側のモチベーションへのアプローチです)。
  • 「困ったことがあればいつでも言ってくれ」などの声掛けをする(失敗や都合の悪いこと、悩みなども隠さず報告してくれるようになります)。
  • 指示や命令を出すときは、5W1H(When:いつ、Where:どこで、Who:誰が、What:何を、Why:なぜ、How:どのように)を明確にする。
  • 文書で伝える際は結論から書き、「なぜそうなのか」をできるだけ簡潔にまとめる。
  • メンバーからの報告書や連絡文書は、その背景にある状況まで的確に読み取った上で意思決定していく。

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以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。

1.リーダーシップ研修

リーダーシップ研修のアクティビティ「グレートチーム」では、チームの運営を疑似体験することでリーダーシップやマネジメントを学びます。

学びのポイント

  • メンバーのリソース管理や育成、リーダーとしての決断を繰り返すことで、いろいろなリーダーシップの型を知ることができる
  • 現代に合わせたリーダーシップの発揮の必要性を知り、⾃分らしいリーダーシップを学べる

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2.クリティカルシンキング研修

クリティカルシンキング研修のアクティビティ「混乱する捜査会議からの脱出」では、推理ゲームで論理的に情報を整理するなかで証拠の違和感に気づき、仮説立てや検証を行って目標を達成します。

学びのポイント

  • 証拠品や証言など多くの情報を手分けして読み、組み合わせて論理的に結論を導き出す
  • フェーズが進むごとに情報が増え、複雑になっていくなかで必要な情報を取捨選択する
  • 出た結論に満足せず、常に新しい情報と照らし合わせて再検証する

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3.合意形成・アサーティブコミュニケーション研修

合意形成・アサーティブコミュニケーション研修のアクティビティ「コンセンサスゲーム」では、危機的な状況下でどの物資を優先して確保すべきかをチーム内で議論し、最適な結論を導きます。

学びのポイント

  • 各々が個人ワークで考えた答えを聞くことで、チームメンバーの状況に対する認識や物資の重み付けの違いを受講者が理解する
  • 話し手は自分の答えにいたった理由を論理的・説得的に説明する
  • より良い根拠を導き出すための比較検討をして、チーム全員が納得する結論を出す

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4.OODA LOOP研修

OODA LOOP研修では、瞬間的な判断力が求められる運動系のアクティビティである「サバイバルゲーム」または「チャンバラ合戦」を実施することで、意思決定のフレームワークである「OODA LOOP」を実践的に習得することを目指します。

学びのポイント

  • 敵チームをよく観察して作戦を練り、状況に応じた行動を素早く判断しながら、チームで共有して一体となって行動する
  • ミッションの勝利条件をもとに、観察、判断、行動を繰り返すことで、本当にすべき行動が何なのか、行動の最適化を行う

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まとめ

リーダーシップにはさまざまな研究や理論、定義があり、階層や目指すリーダー像によっても求められるスキルや行動は変わってきますが、今回紹介した8つの行動は、どんなリーダーにも求められるものといえるでしょう。それに加えて欠かせないのが、メンバーとの日々のコミュニケーションです。個々のメンバーがどれだけ優秀な人材であったとしても、チームにまとまりがなければ、一人ひとりの能力を最大限に引き出すことはできません。チームをまとめるためには、まずはリーダーがメンバーから信頼されることが重要です。8つの行動と、日々のコミュニケーションを意識して、優れたリーダーを目指しましょう。

参考:「英国超一級リーダーシップの教科書」(著者:ジョン・アデア / 出版社:こう書房)

 

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アクティビティが受講者の主体性を高めてコミュニケーションを促進させ、スキルアップやチームビルディングをはかれます。

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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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