コミュニケーション能力を鍛えるには?トレーニング方法10選

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コミュニケーション能力は、良好な人間関係を築くうえで欠かせないスキルです。仕事やプライベートなどあらゆる場面で必要とされます。多くの仕事は他者との協力なしには成立しません。従業員のコミュニケーション能力を高めることは、ビジネスの成功につながる重要な要素の1つといえるでしょう。「生まれつきの才能」と思われがちなコミュニケーション能力ですが、ポイントを抑えることで鍛えることができます。

本記事では、コミュニケーション能力の定義やコミュニケーションの方法、技術・手法、コミュニケーション能力が高い人の特徴、能力を鍛える具体的な方法について解説します

 

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コミュニケーション能力とは

コミュニケーション能力とは、他者と関わるなかで変化する状況(目的や相手)と相互に作用することで決まる側面を持つものであり、状況によって適切かつ効果的なコミュニケーションができるよう柔軟に対応する能力のことです

参考: 小山慎治・川島浩美(2001)「コミュニケーション能力の評価−評価者と尺度の文化的要因に関する実態調査−」

コミュニケーションは、ラテン語で「共有、共通」を意味する「コミュニス(Communis)」に由来する言葉です。そこから転じて、社会生活を営む人間がお互いに意思や感情、思考を伝達し合う行為を指すようになりました。言語・文字・身振りなどさまざまな手段を活用して、相手との意思疎通を図ります。コミュニケーションについて考えるうえで最も重要なことは、「双方向的なもの」であるということです。自らの一方的な情報発信は、コミュニケーションとはいえません。相手に正確に伝わって初めて成立します。つまり、コミュニケーション能力とは、相手との信頼関係を築き、理解を得るために必要不可欠な要素といえるでしょう。

 

コミュニケーション能力の3つの定義

厚生労働省が平成16年に公表した「若年者就職基礎能力の習得の目安」では、コミュニケーション能力は以下の3つに定義されています。若年層に限らず、社会人として普遍的に求められるコミュニケーション能力の基本概念といえるでしょう。

意思疎通

自己主張と傾聴のバランスをとりながら、効果的に意思疎通ができる

協調性

双方の主張の調整を図り、調和を保つことができる

自己表現能力

状況に合った訴求力のあるプレゼンテーションを行うことができる

参考: 若年者就職基礎能力の習得の目安|厚生労働省

 

企業が採用する際に求める能力

ビジネスシーンでは、コミュニケーション能力が不可欠です。コミュニケーション能力の有無が、人事評価や業績に直結することも珍しくありません。特に営業職や接客業などの直接顧客と接する職種では、相手の気持ちや要求を汲みとる能力が求められます。たとえ顧客と接する機会のない職種であっても、スムーズな業務遂行のためには、上司や同僚とのコミュニケーションは欠かせないものです。すなわちコミュニケーション能力とは、ビジネスパーソンとして磨くべき必須の能力といっても過言ではないでしょう。

 

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コミュニケーションの方法

コミュニケーションの種類は「言語」「非言語」の2つに大別されます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

バーバルコミュニケーション(言語コミュニケーション)

バーバルコミュニケーションとは、言葉や文字を使うコミュニケーションのことです。対面や電話など口頭による会話、電子メールやチャット、手紙といった文字ベースのやりとりなどが含まれます。ビジネスシーンでは、オンライン・オフラインを問わず、言語によるコミュニケーションが重要です。バーバルコミュニケーションにおいては、明確かつ具体的に情報を伝えることが求められます。言語コミュニケーションには大きな力があるので、言葉選びや言葉遣いを1つ間違えると、誤解や争いを招くことがあるので注意が必要です。

ノンバーバルコミュニケーション(非言語コミュニケーション)

ノンバーバルコミュニケーションとは、言語に頼らないコミュニケーション手法です。具体的には、体の動きや視線、表情、相手との距離・接触、声色などが該当します。コミュニケーション能力を鍛えようとすると「何を話せばいいのか」「会話を続けるコツを知りたい」など、言語領域のスキル向上に意識が向きがちですが、非言語領域でのコミュニケーション能力を高めることも同じくらい重要です。ビジネスの現場でもノンバーバルコミュニケーションを活用することで、相手との関係を良好に保つ効果が期待できるでしょう。効果的にコミュニケーションをとりたい場合、言語コミュニケーションとの併用が有効です。共通言語がない相手とも、ノンバーバルコミュニケーションによって意思の疎通を図ることができます。

コミュニケーションの技術・手法

コミュニケーションのテクニックにはどういったものがあるのか、代表的なものを3つ紹介します。

アサーティブコミュニケーション

アサーティブとは、自分の気持ちや考え、信念などを正直に、率直に、その場にふさわしい方法で表現することをいいます。アサーティブコミュニケーションは、自分が意見や要望を伝えるだけでなく、相手も同じように発言することを推奨する、お互いを尊重した自己主張です。上司と部下のように、役職や立場が異なる人同士が良好な関係を構築するのに役立ちます。

参考: 堂代裕子・玉瀬耕治(2011)「アサーティブな自己表現の受け止め方に関する研究」

アクティブリスニング

アクティブリスニングとは、ただ話を聞くだけでなく、目を見てあいづちを打ったり、ときには質問を投げかけたりしながら、相手の話に丁寧に耳を傾け、相手の意図や感情を深く理解するコミュニケーション手法です。積極的傾聴とも呼ばれます。誰しも自分の話を真剣に聞いてくれる人には、もっと話をしたいと思うものです。アクティブリスニングを身につけることで、話し手との信頼関係を構築し、コミュニケーションの質を向上させることができます。

参考:リーダーが「よい聞き手」になるための実践法アクティブリスニングで信頼を得る|ビジネススキル|DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー

非暴力コミュニケーション(NVC

非暴力コミュニケーションとは、暴力や対立を排し、人を思いやる実りある対話へと導くためのコミュニケーション手法です1970年代に、アメリカの臨床心理学者マーシャル・B・ローゼンバーグ博士によって体系化され、提唱されました。観察、感情、ニーズ、リクエストの4要素に注目しながら、自身の内なる対話や、相手との対話、相手が発する言葉の奥にある意図の推測を行います。

参考:NVCとは|NVC Japan

コミュニケーション能力を構成する4つの要素

コミュニケーション能力には「伝える」「聴く」という2種類があり、さらにそれぞれ言語領域と非言語領域に大別されるため、4つの要素に分類できます。

1.言いたいことを的確な言葉で「伝える力」

伝える力は、自分の言いたいことを「伝える力」は、言語領域におけるコミュニケーション能力です。相手の理解や納得を得るためには、自分の意見や考えを論理的に説明し、わかりやすく伝える技術が必要になります。相手の理解度や場面に合わせて、使う言葉や伝える順序などを工夫することが大切です。聞き手の感情に深く訴えかけ、メッセージを魅力的に伝えるプレゼンテーションスキルも必要とされるでしょう。

2.相手の話をしっかり「聴く力」

聴く力は、相手の言葉を真摯に受け止めて、話の要点や結論を正しく把握する能力です。話し手の言葉に丁寧に耳を傾け、相手に共感しながら理解を示すことで、意思疎通をスムーズに図ることができます。コミュニケーションの基本となるのは、相手を尊重する姿勢です。相手の話を途中で遮る、自分の話ばかりするといった態度では、相手が話す意欲を失ってしまいます。話を最後まで聴くことは、相手に敬意を示すために必要なコミュニケーション技術です。聴く力を鍛えれば、相手の本音や知りたい情報を引き出しやすくなるでしょう。

3.言葉以外の方法で「伝える力」

伝える力は、言語に頼らず、自分の感情や思考を伝達する能力です。他者とコミュニケーションを図るときに、仕草や表情、ジェスチャーなどを駆使することで、言葉だけでは伝えきれない気持ちや感情を補うことができます。非言語による表現は、相手の興味を惹き、説得力を高めるのにも役立つテクニックです。表情や声のトーンを工夫し、身振り手振りを交えて話せば、相手に強い印象を与えることができるでしょう。さらに非言語コミュニケーションは、相手の安心感や信頼感を高めるのに有効です。会話の途中でうなずいたり、笑顔を見せたりすれば、話し手は「自分の話を熱心に聞いてくれている」と実感して、安心感を得られるでしょう。

4.非言語情報を「読み解く力」

読み解く力は、言葉以外の手段によるコミュニケーションでは、相手に伝える能力ももちろん大切ですが、相手からの非言語情報を読み解く力も同じくらい重要です。たとえば相手が「わかった」と言っているにも関わらず、声のトーンや表情が暗ければ、本心では納得していない可能性があると推察できるでしょう。「目は口ほどに物を言う」ということわざがあるように、非言語情報には無意識のうちに感じている本音が反映されます。相手の非言語情報をうまく読みとれるようになれば、相手に伝わりやすい話し方や興味のある話題をあげるなど、好ましく思ってもらえる接し方ができるので、信頼関係の構築に役立ちます。

コミュニケーション能力が高い人の特徴

コミュニケーション能力が高い人は、「意思疎通」「協調性」「自己表現能力」の3つをバランスよく実施しているのが特徴です。またバーバル(言語)だけではなく、ノンバーバル(非言語)も駆使して円滑なコミュニケーションを進めています。

「コミュニケーション能力が高い=外向的」ではない

コミュニケーション能力が高い人は外向的というイメージがあるかもしれません。しかし、外向的であることとコミュニケーション能力が高いことは異なります。「外向的」とは、「興味や関心など、気持ちが自分以外のものごとに向かう様子」という意味がある言葉で、他人に対して積極的に話しかけるなど気さくな性格の人を指して「外向的な人だ」と表現することが多いでしょう。

コミュニケーションは双方向のものなので、外向的であっても、相手の話を聞かずに一方的に話し続けたり、話を途中で遮って自分の話をしたりするようであれば、コミュニケーション能力は高いとはいえません。内向的な性格や人見知りの人でも、相手の気持ちを察することが得意で、会話のキャッチボールに長けている人はたくさんいます。

コミュニケーション能力を鍛える方法10

今日から始められるコミュニケーション能力を鍛えるための方法を紹介します。

参考:若年者就職基礎能力の修得の目安|厚生労働省

1.対話のバランスを意識する

11の対話では、お互いに話す割合が46割だと会話が弾む傾向にあります。こちらばかりが話しすぎると、相手は一方的に感じて、話を聞いてもらえていないと感じるかもしれません。反対に、相手にばかり話させてしまうと、関心がないと思われてしまう可能性があります。自分の意見や気持ちをはっきりと伝えながら相手の気持ちも尊重する、バランスのとれたコミュニケーションが重要です。

2.傾聴を心がける

傾聴とは、相手の話にしっかり耳や目、心を傾けて、共感を示しながら真摯な姿勢で「聴く」会話の技法です。相手の言動をよく観察し、何を主張したいのか正確に聞きとるように努めましょう。傾聴の目的は、相手の立場に立って言葉の裏にある真意を理解することにあります。相手の話を遮らずに最後まで聴き、一通り話し終えたところで質問をして会話を広げましょう。傾聴力を高めることは、信頼関係の構築に役立ちます。

3.相手の意見や価値観を否定せず興味・関心を持つ

人の考えは千差万別です。たとえ相手の意見や価値観が自分のものと異なっていても、頭ごなしに否定せず「なるほど」「そういう考えもありますね」と、まずは受け入れることから始めてみましょう。また、相手に関心や興味を持って話を聴くことも重要です。相手の考え方を理解したうえで、意見交換を行いましょう。他者の価値観を受け入れることで、自分の視野を広げることができます。

4.相手の意見の要点をまとめる

要約力は、他者と円滑なコミュニケーションをとるのに重要なスキルです。相手の意見や複数の異なる意見を、分類し整理したうえで、要旨を整理し要約しましょう。わからないことや気になることがあったら「こういうことですか?」と投げかけると、思い違いを減らすことができます。

5.相手が必要とする情報を正確に伝える

タイミングを外さずに、相手にとって必要な情報を正確に伝えるように心がけます。場面に応じて、口頭・電話・メールなど、適切な伝達手段を使い分けるようにするといいでしょう。

6.自分の意見を論理的に主張する

自分の意見を主張するときは、発言の道筋を明確にし、論理的に伝えることがポイントになります。「結論理由理由の具体的な内容」の順序で話すことを意識しましょう。初めに結論から話すことで、相手が最も知りたい重要な事柄から伝えることができます。聞き手の理解の度合いや立場を考慮しながら、話すスピードや言葉遣いを工夫しましょう。

7.相手の立場を想像し尊重する

良好な信頼関係を構築するためには、相手の立場や感情を尊重することが大切です。相手は自分と異なる立場であるという前提のもとでコミュニケーションをとりましょう。相手の社会的立場や自分との関係、その場の状況を踏まえたうえで、適切な対応が求められます。

8.組織のルールを尊重する

組織のなかでコミュニケーションをとるときは、組織の状況を理解し、円滑な人間関係を築くことに努めながら組織に溶け込むことも必要です。組織のルールに沿った行動をとることで、円滑なコミュニケーションが可能となります。

9.レジュメや図表など資料を用いる

重要な提案やプレゼンテーションをする際は、わかりやすさが重要です。資料づくりには十分な時間をかけましょう。文章だけでは伝わりにくい内容は、図表などを活用して、訴求力のある発表を心がけてください。

10.コミュニケーション研修を活用する

コミュニケーション能力を効率的に伸ばしたいなら、外部の研修を取り入れるのも1つの手です。研修のプロが手がけたプログラムを活用することで、コミュニケーション能力を効果的に鍛えられます。自社の方針に合ったプログラムを選択し、従業員のスキル向上に取り組みましょう。

 

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以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。

1.コミュニケーション研修

コミュニケーション研修のアクティビティ「謎解き脱出ゲーム」では、チームでコミュニケーションをとりながら問題に隠された法則を発見する謎解きゲームのクリアを目指します

学びのポイント

  • 受講者が「自分しか見えていない情報・問題・解き方」をチームで共有することでコミュニケーション促進やスキルアップにつながる
  • 突飛な発想・ヒラメキをチームのなかで積極的に発言できる心理的安全性の高い環境づくりが求められる

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2.合意形成・アサーティブコミュニケーション研修

合意形成・アサーティブコミュニケーション研修のアクティビティ「コンセンサスゲーム」では、危機的な状況下でどの物資を優先して確保すべきかをチーム内で議論し、最適な結論を導きます

学びのポイント

  • 各々が個人ワークで考えた答えを聞くことで、チームメンバーの状況に対する認識や物資の重み付けの違いを受講者が理解する
  • 話し手は自分の答えにいたった理由を論理的・説得的に説明する
  • より良い根拠を導き出すための比較検討をして、チーム全員が納得する結論を出す

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3.交渉術・ネゴシエーション研修

交渉術・ネゴシエーション研修のアクティビティ「ワールドリーダーズ」では、利益を増やすことを目指し、自チームでの戦略構築や他チームとの交渉を行います。

学びのポイント

  • 配られた事業・資金・労働力などの資源だけで目的が達成できない場合に、他チームと交渉してそれらを手に入れるための交渉力を習得する
  • 他チームの情報を得てから相手にとって価値のあるものを提供し、自チームにとってさらに価値のあるものを引き出すことが求められる

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4.ロジカルシンキング研修

ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルティング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します

学びのポイント

  • 小グループで得られた情報を論理的に整理し、確定情報・曖昧情報・不要な情報を選り分ける
  • 大グループで全体に必要な情報を論理的に判断・共有することや、自分たちに足りない情報を聞き出すことが求められる。

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まとめ

コミュニケーション能力は、他人との人間関係を良好に築くために必要不可欠です。ビジネスシーンはもちろん、プライベートでも重要な能力といえるでしょう。コミュニケーション能力は、トレーニングすれば誰でも後天的に伸ばすことができる力です。従業員のコミュニケーション能力に課題を感じる場合は、今回の記事を参考に、コミュニケーション能力を高めていきましょう。

 

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アクティビティが受講者の主体性を高めてコミュニケーションを促進させ、スキルアップやチームビルディングをはかれます。
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この記事の著者

masaki

福岡在住。大学を卒業後、大手食品メーカー勤務を経て、異業種のライターへ転身。求められている情報をわかりやすく伝えることがモットー

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