相互理解とは?組織における重要性・深めるための取り組みを紹介

  • 組織・人材開発

1つの企業には、年齢や性別、立場、価値観もさまざまな人が集まっています。ビジネスで成果を上げるためには、周囲の人と相互理解を深め、協力しながら仕事を進めていかなければなりません。

本記事では、まず相互理解とは何か、重要視されている理由、相互理解が不足することで発生する問題を解説し、従業員同士に相互理解を深めてもらうための取り組みの例を紹介します

 

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相互理解とは

相互理解とは、相手の価値観や人間性、気持ち、考え方などをお互いに理解し合うことを意味します

組織のなかにいると、一人で完結できる仕事というのはほとんどありません。その仕事にかかわるさまざまな役割の人と、コミュニケーションをとりながら進めていくことが求められます。そのために、上司と部下、チームのメンバー同士、部署の異なる人同士など、あらゆる関係性において相互理解を深めることが重要なのです。

相互理解を深めることで、相手と信頼関係が築けるようになります。チームで強固な信頼関係を築ければ、報告・連絡・相談といったコミュニケーションがスムーズに行えるようになるだけでなく、お互いの不得意な部分をフォローし合えるようになるので、業務効率や生産性の向上も期待できるでしょう。

組織における相互理解が重要視されている背景

組織における相互理解は、以前にも増して重要視されるようになってきています。その背景には、以下の3つの理由があると考えられます。

1.働き方の多様化

少し前までは、オフィスに出社して決められた時間のなかで働くというスタイルが一般的でした。しかし新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、日本でもテレワークが一気に普及し、近年は時間と場所にとらわれない多様な働き方を取り入れる企業が増えています。

自由度の高い働き方は、ワークライフバランスが実現しやすい、通勤時のストレスを減らせるなどのメリットがありますが、デメリットもあります。たとえば、チームのメンバーが同じ空間にいないため意思疎通がしにくい、気軽なコミュニケーションをとる機会が減るため職場の人間関係が希薄化しやすい、などが挙げられます。

働き方が多様化したことで、以前よりもコミュニケーションがとりにくくなっており、相互理解を深めて信頼関係を築くことの重要性が増しているのです。従業員の間に信頼関係が築けていれば、同じ空間にいなくても、スムーズに連携して仕事を進めていくことができるでしょう。

2.ハラスメント対策の義務

職場におけるさまざまなハラスメントが問題となっています。厚生労働省の「令和2年度 職場のハラスメントに関する実態調査 報告書」では、職場の特徴として「上司と部下のコミュニケーションが少ない / ない」と回答した割合が、パワーハラスメントの経験者は未経験者よりも高かったという調査結果が紹介されています。

参考:令和2年度 職場のハラスメントに関する実態調査 報告書(概要版) – 厚生労働省(PDF)

ハラスメントの原因はさまざまですが、コミュニケーション不足からハラスメントにつながることも少なくないようです。従業員同士がお互いのことをよく理解し、信頼関係を築けていれば、ハラスメントやミスコミュニケーションも発生しにくくなるでしょう

パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等ハラスメントについては、防止措置を講ずることが事業主の義務となっています。まだ何も対策を講じていないという企業は、ハラスメント対策として相互理解の促進に取り組んでみてはいかがでしょうか。

3.「エンゲージメント」の注目度の高まり

エンゲージメントとは、従業員の企業に対する「貢献意欲」のことです。「愛社精神」と表現されることもあります。エンゲージメントが向上すると、生産性や定着率の向上も期待できるため、企業の競争力強化につながるものとして、近年注目度が高まっています。

エンゲージメントは、企業または仕事と従業員との「つながり」の強さを表すものともいえます。企業と従業員、あるいは従業員同士の間に信頼関係が築けていないと、エンゲージメントを高めることはできません。そのためには、まずはお互いのことを深く理解する必要があるため、相互理解が重要視されるようになっているのではないでしょうか。

 

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相互理解が不足することで発生する問題

仕事をスムーズに進めていくために、そして企業の競争力を強化するためにも、従業員同士の相互理解を促進することは重要です。相互理解が不足していると、たとえば以下のような問題が発生してしまうこともあります。

指示が正しく伝わらない

たとえば、「上司が部下に仕事を頼んだら、想定していたものとは違う仕上がりになった」という場合、上司からいわれたことを、部下が正しく理解できなかったのかもしれません。

相互理解が不足しているために、「上司はこういう性格だからこういう意味だろう」と部下が間違ったとらえ方をしてしまった、もしくは、上司が「部下のレベルはだいたいこの程度だから、この指示で理解できるだろう」と思い込んでしまって、言葉が足りなかったというケースなどが考えられます。

このように相互理解が足りないと、指示が正しく伝わらず、成果にも影響が出る可能性があります

連携がうまくとれない

1つの仕事には、チームや部署の異なる多くの人がかかわっています。成果を生み出すためには、うまく連携して仕事を進めていかなければなりません。「必要最低限の報告・連絡・相談ができていれば問題ないのでは?」と思われるかもしれませんが、具体的に何を・どのように進めているのか・なぜそうしているのかを、お互いに理解できている職場のほうが、よりスムーズに連携をとることができるでしょう。

所属するチームや部署が違えば、仕事の内容が違います。同じ目的に向かう場合でも、優先順位が異なることもあるでしょう。連携して仕事を進めていくためには、お互いのことを理解することがまず重要なのです

不安や不満が生まれる

相互理解が不足している職場では、従業員が不安や不満といったネガティブな感情を抱きやすくなります。たとえば、先ほどの「上司が部下に仕事を頼んだら、想定していたものとは違う仕上がりになった」という場合であれば、下記のようにお互いに対して不満を感じてしまうかもしれません。

  • 上司:「どうしてこんな簡単な指示も理解できないのか」
  • 部下:「どうしてもっとわかりやすい言い方をしてくれないのか」

さらに、部下を評価することも上司の仕事の1つですが、部下のことをきちんと理解できていないと、正しい評価をつけることもできません。または、正しい評価をつけていたとしても、コミュニケーションが足りないために、その評価となった理由を部下本人にきちんと伝えられていない場合は、部下が「上司が自分のことを評価してくれない・認めてくれない」と、不満を抱いてしまうケースもあります

人間関係が悪化する

不安や不満といったネガティブな感情がたまると、人間関係にも影響が出る恐れがあります。職場の人間関係が悪化すると、従業員の仕事に対するモチベーションも下がってしまいやすくなります。また、ストレスが増え、メンタルヘルス不調に陥ったり、離職につながったりすることもあるかもしれません。

相手が今どのような仕事をしていて、どのような苦労があるのかをお互いに理解できていれば、相手をねぎらう気持ちが生まれ、職場でポジティブな声掛けが行われるようになります。従業員にとって働きやすい職場を作るためにも、相互理解を促進することは重要なのです。

相互理解を深めるための取り組み7

では、従業員同士に相互理解を深めてもらうために、企業は何ができるのでしょうか。ここからは、具体的な取り組みの例を7つ紹介します。

1.交流会を開催する

同じチームのメンバーや席が近い人などは、普段の仕事のなかでも交流する機会がありますが、ほかのチームの人や他部署の人など、同じ企業で働いているのに、そもそも顔を合わせる機会すらほとんどないという人もいるでしょう。オフィスや仕事以外で、さまざまなチーム、部署、役職の人たちと気軽に交流できる場を設けてみてはいかがでしょうか。

以前は交流の場といえば飲み会が定番でしたが、飲み会はどうしても就業時間外に従業員に集まってもらうことになるため、プライベートの時間が減ってしまいます。また、お酒が飲めない人もいるため、最近は飲み会ではなくランチ会を開催する企業が増えているようです。「シャッフルランチ」という、役職や部署をシャッフルして、普段あまり交流がない人同士でランチをするという制度を導入している企業もあります。

多くの従業員に参加してもらうために、交流会の費用は企業負担としましょう。

2.1on1を実施する

1on1とは、上司と部下の組み合わせで定期的に実施する、11の面談やミーティングのことです。

一般的な面談は、上司から部下へ一方的に指示やフィードバックを与えることが多いですが、1on1は、部下の成長を促すことを主な目的としており、双方向のコミュニケーションをとるのが特徴です。上司は、部下から今仕事で悩んでいることや不安に感じていること、健康状態、キャリアプランなどを聞き出してサポートします。時間や頻度は企業によって異なりますが、1回あたり15分~30分、週1回~月1回という比較的短い時間・スパンで実施することが多いようです。

近年働き方が多様化したことで、上司と部下が直接コミュニケーションをとる機会が減っています。コミュニケーション不足を解消するには、あえてその機会を設けることが大切です。交流会のような大人数が集まる場所では自分のことを話せないという人もいますので、1on1のように11で向き合う機会もあるとよいでしょう。

3.フリーアドレスを導入する

フリーアドレスとは、従業員が固定席を持たず、その日働く席を自由に選べるワークスタイルのことです。社内コミュニケーションの活性化だけでなく、オフィス内のスペースを有効活用できるというメリットがあり、近年導入する企業が増えています。

フリーアドレスを導入することで、普段仕事をするなかであまり接する機会がない人とも交流が生まれやすくなります。コミュニケーションをとるなかで、課題解決のヒントが見つかったり、新たなアイデアが生まれたりすることもあるかもしれません。

フリーアドレスに対して、「落ち着いて仕事ができなさそう」というイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれません。仕事によっては、一人で集中して作業しなければならないこともありますので、パーティションで区切られた一人用スペース、コミュニケーションをとりやすい共同スペースなど、さまざまなタイプの座席を用意しておくとよいでしょう。

また、フリーアドレスには「誰がどこにいるのか把握しづらい」というデメリットもあります。コミュニケーションをとりたい相手を毎回探さなければならないことに、従業員がストレスを感じてしまう可能性もありますので、従業員数が多い企業なら、従業員の位置情報を可視化できるツールがあるとよいかもしれません。

4.社内報で従業員の情報を発信する

社内報とは、従業員やその家族に対して、企業のさまざまな情報を伝えるためのものです。経営理念やビジョンの共有、社内情報の共有、そして社内コミュニケーション活性化などが、主な目的です。紙媒体のものだけでなく、最近はWebで社内報を発行する企業も増えています。

社内報に、従業員個人、またはチームのインタビューを掲載すれば、直接話をしたことがなくても、その従業員のことを知ることができるので、直接会ったときにコミュニケーションをとりやすくなります。誰にインタビューをするかは企業によってさまざまですが、たとえば「チームの新しいメンバー」や「表彰された従業員」などを取り上げ、その人が持つスキルや価値観、これまでの経歴、現在どんな仕事をしているか、仕事に対する想いなどを掲載すると、自己啓発やモチベーションアップにもつながるでしょう。

5.サンクスカードを取り入れる

サンクスカードとは、感謝の気持ちをカードに書いて従業員同士で伝え合うという制度です。社内コミュニケーション活性化やモチベーションアップなどのために、導入する企業が増えています。紙のカードでも構いませんが、専用のWebツールを導入して実施しているケースが多いようです。

どのようなことに対して感謝の気持ちが芽生えるかは、人それぞれ違います。サンクスカードを導入すると、自分では思ってもいなかったことに感謝されることもあるでしょう。また、人柄というのはメッセージの書き方にも表れるものです。サンクスカードを通して相手の人となりを知ることができるため、相互理解を深めるのに役立ちます。カードを当事者間で送り合うだけでなく、組織全体で共有すれば、自分が感謝した・感謝された人以外の人のことも知ることができるでしょう。

6.ジョブローテーションを導入する

ジョブローテーションとは、従業員の能力開発やスキルアップのために、人材育成計画に基づいて戦略的に配置転換を行うことをいいます。この制度を導入することで、従業員にはさまざまな部署の仕事への理解を深めてもらうことができます。一緒に働くなかで、その部署の従業員と相互理解を深めることもできるでしょう。

ただ、ジョブローテーションは短期間の現場体験ではなく、半年~年単位で業務経験を積むものです。導入にはコストもかかるので、相互理解の促進を目的にするのではなく、何のために導入するのかを明確にしたうえで導入するようにしましょう。目的の例としては、経営幹部候補の育成、従業員の能力開発、キャリア形成機会の提供などが挙げられます。

7.チームビルディング研修を実施する

チームビルディングとは、メンバー全員が能力を最大限発揮できるようなチームにするための取り組みのことです。チームとして成果を上げられるようになるための「チームビルディング研修」を提供している研修企業もあります。これを従業員に受講してもらうのも、相互理解を促進するための1つの方法です。

研修の内容はさまざまですが、多くがチームでビジネスゲームやアクティビティに取り組んでもらうものとなっています。チームで同じ「何か」に取り組んでもらうことで、自然にコミュニケーションが生まれます。取り組むなかで、「この人は場を仕切るのがうまい」「この人は時間をきちんと管理してくれるので助かる」など、お互いの得意なことも見えてくるでしょう。チームビルディング研修は、相互理解を深めるのに有効な手段といえます。

相互理解を深めることにつながる研修5選

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以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。

1.コミュニケーション研修

コミュニケーション研修のアクティビティ「謎解き脱出ゲーム」では、チームでコミュニケーションをとりながら問題に隠された法則を発見する謎解きゲームのクリアを目指します

学びのポイント

  • 受講者が「自分しか見えていない情報・問題・解き方」をチームで共有することでコミュニケーション促進やスキルアップにつながる
  • 突飛な発想・ヒラメキをチームのなかで積極的に発言できる心理的安全性の高い環境づくりが求められる

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2.PDCA研修

PDCA研修のアクティビティ「ロケットPDCAチャレンジ」では、パーツを組み合わせてロケットを制作し打ち上げ結果から原因を考えて、より良く飛ぶロケットに改善していき、目標の達成を目指します

学びのポイント

  • 計画を立ててロケットを飛ばし、その結果から組み合わせの誤り・部品の不足・不良部品の有無を推察し、それを繰り返すことで組み合わせの精度を上げていく
  • 資金稼ぎ・パーツの選択・打ち上げの準備を繰り返し、作戦タイム振返りを経て行動を改善していくことで、最適化されていく

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3.ロジカルシンキング研修

ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルティング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します

学びのポイント

  • 小グループで得られた情報を論理的に整理し、確定情報・曖昧情報・不要な情報を選り分ける
  • 大グループで全体に必要な情報を論理的に判断・共有することや、自分たちに足りない情報を聞き出すことが求められる。

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4.クリティカルシンキング研修

クリティカルシンキング研修のアクティビティ「混乱する捜査会議からの脱出」では、推理ゲームで論理的に情報を整理するなかで証拠の違和感に気づき、仮説立てや検証を行って目標を達成します

学びのポイント

  • 証拠品や証言など多くの情報を手分けして読み、組み合わせて論理的に結論を導き出す
  • フェーズが進むごとに情報が増え、複雑になっていくなかで必要な情報を取捨選択する
  • 出た結論に満足せず、常に新しい情報と照らし合わせて再検証する

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5.合意形成・アサーティブコミュニケーション研修

合意形成・アサーティブコミュニケーション研修のアクティビティ「コンセンサスゲーム」では、危機的な状況下でどの物資を優先して確保すべきかをチーム内で議論し、最適な結論を導きます

学びのポイント

  • 各々が個人ワークで考えた答えを聞くことで、チームメンバーの状況に対する認識や物資の重み付けの違いを受講者が理解する
  • 話し手は自分の答えにいたった理由を論理的・説得的に説明する
  • より良い根拠を導き出すための比較検討をして、チーム全員が納得する結論を出す

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まとめ

従業員同士の相互理解が深まることで、仕事がよりスムーズに進むようになります。また、近年企業の競争力強化のためにエンゲージメントが注目されていますが、これを向上させるためにも、相互理解を促進させることは重要です。従業員が社内のさまざまな人と交流し、理解を深め合うことができるよう、企業としてもその機会を提供していきましょう。

 

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アクティビティが受講者の主体性を高めてコミュニケーションを促進させ、スキルアップやチームビルディングをはかれます。

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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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