研修アンケートの質問例と作成する際のポイントを紹介

  • 研修ノウハウ

効果的な研修を実施していくためには、研修後のアンケートが重要です。これを実施することで、受講者に研修を振り返ってもらうことができますし、主催者側としても、受講者が研修内容を理解できたか、研修に満足できたか、改善すべき点はあるかなどを把握することができます。

本記事では、研修アンケートの質問例と、研修アンケートが必要な理由、研修アンケートを作成する際のポイントと実施方法を紹介します。

 

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研修アンケートの質問例

まず、研修アンケートの質問例を8つ紹介します。

1.研修に参加する前の課題・悩みは何でしたか?

研修の効果を正しく測定するには、比較対象として研修前の受講者の状態を把握しておく必要があります。これは、そのため質問です。この質問をすることで、研修前の課題や悩みから、受講者の知識やスキルのレベルがどの程度だったかを、ある程度測ることがでるでしょう。さらに、受講者がどのようなことを期待して研修に参加したのかも知ることができます。この質問は、記述式で具体的に書いてもらいましょう。

また、研修後のアンケートではなく、事前アンケートで課題や悩みを聞いておくのもおすすめです。受講者の課題・悩みから、研修企画のヒントが得られることもありますし、研修当日に事前アンケートの回答に触れることで、満足度向上も期待できます。

2.研修を通して学んだことは何ですか?

これは、受講者に研修の内容を振り返って、頭の中で整理してもらうための質問です。自分の言葉で具現化することで、受講者は成果が得られたことを認識できるようになります。知識の定着を促すことにもつながりますので、盛り込んでおきたい質問といえるでしょう。また、受講者が研修の内容を理解できたのかどうかも確認できます。

この質問も、記述式で「何を学んだのか」を具体的に書いてもらうようにしましょう。

3.研修で学んだことを今日からどのように活かしますか?

これは、行動変容を促すための質問です。どんなに研修の内容が素晴らしかったとしても、その後受講者の行動が変わらなければ、それは良い研修とはいえません。大切なのは、受講者に学んだことを業務の中で活かせるようになってもらうことです。

「研修で学んだことをどのように活かしますか?」だけでも構いませんが、「今日から」という文言を入れることで、受講者に今すぐできることを考えてもらうことができます。

この質問も記述式とし、小さなことで構わないので、具体的にできることを思いつくだけ書いてもらうようにしましょう。

4.研修の内容はわかりやすかったですか?

これは、実施した研修の改善点を見つけるための質問です。ただ、この質問のみだとあまり良くありません。たとえば、「研修の内容はわかりやすかったですか? 5段階で評価してください」と質問し、3点をつけられたとします。これでは、講師の教え方が悪かったのか、資料や教材が悪かったのか、2点マイナスとなった原因がわかりません。

改善点をきちんと把握できるように、以下のような聞き方がおすすめです。

【質問】研修の内容はわかりやすかったですか?

それぞれ5段階で評価してください。

①講師の教え方はわかりやすかったですか?

1.非常にわかりやすかった 2.わかりやすかった 

3.どちらでもない 4.ややわかりにくかった 5.非常にわかりにくかった

②資料・教材はわかりやすかったですか?

1.非常にわかりやすかった 2.わかりやすかった 

3.どちらでもない 4.ややわかりにくかった 5.非常にわかりにくかった

③そのほかに気づいたことがあれば教えてください。

(                     )

5.研修の時間や期間は適切でしたか?

これは、研修のボリュームが受講者のニーズとマッチしていたかどうかを測るための質問です。この質問は、選択式の5段階評価が良いでしょう。そして、その下に自由記述欄を設け、選択した理由まで書いてもらうのがおすすめです。

【質問】研修の時間や期間は適切でしたか?

5段階で評価してください。

1.とても長かった 2.長かった 

3.適切だった 4.短かった 5.とても短かった

そう感じた理由を教えてください。(                     )

「とても長かった」や「長かった」という回答が多かった場合は、受講者が退屈していた可能性があります。研修のテーマにもよりますが、次回はグループワークやロールプレイングを組み込むなど、受講者が集中力を切らさないような工夫をしたほうが良いかもしれません。

逆に、「とても短かった」や「短かった」が多かった場合は、「もっと学びたかった」というポジティブな理由からの選択もあるかもしれませんが、「時間に対しての情報量が多く、頭に入らなかった」というネガティブな理由で選択した可能性も考えられます。時間配分が適切だったか、一度見直してみてください。

6.今回の研修の満足度を教えてください。

これは、研修全体の満足度を測るための質問です。選択式の5段階評価とするか、「100点満点中何点ですか?」という聞き方をする場合もあります。どちらの形であっても、前項の質問同様に自由記述欄を設け、その理由も書いてもらいましょう。そうすることで、研修の改善点や課題を見つけることができます。

また、先ほど紹介した「研修の内容はわかりやすかったですか?」という質問に対する評価は低いのに、「ほかの受講者と交流できて楽しかったから」という理由で、この「満足度」は高評価となることがあります。効果的な研修を実施していくために、満足度の向上を図ることは大切ですが、「満足度が高い研修=良い研修」ではありません。アンケート結果を分析する際は、その点は注意しましょう。

7.今回の研修に対して、ご意見やご要望があれば教えてください。

これは、次回以降の研修をより良いものにするための質問です。今回実施した研修に対する意見や要望を、自由に書いてもらいましょう。意見や要望が「あれば」という形で質問し、必須ではなく任意回答とするのがおすすめです。

8.今後、実施してほしい研修テーマがあれば教えてください。

これは、受講者の研修に対するニーズを把握するための質問です。ニーズとマッチした研修を実施することで、受講者の学びに対するモチベーションも高めることができます。こちらも前項の質問同様に、「あれば」という形で質問し、任意回答としましょう。

この質問と前項の質問のように、自由記述で回答してもらう質問は、アンケートの最後に配置するのがおすすめです。記述式は選択式よりも回答する負担が大きいため、上部に持ってくると、その後の重要な質問にきちんと答えてもらえなくなる可能性があります。

研修アンケートが必要な理由

研修アンケートを実施すべき理由は、大きく2つあります。

1つは、研修の効果を測定するためです。受講者の研修に対する満足度や、受講者が自分の仕事と研修を関連付けることができたかなどを、研修アンケートで確認します。ただ、研修アンケートは研修そのものを評価してもらうものなので、これだけで効果を測定できるわけではありません。その点は注意しましょう。

もう1つは、研修をより良いものに改善していくためです。研修アンケートで受講者の意見を聞くことで、研修の良かったところ・悪かったところを把握できます。これらを次回の計画に反映させれば、より効果の高い研修を実施できるようになるでしょう。

研修アンケートを作るときのポイント

研修アンケートをより意味のあるものにするために、作成するときは、以下のポイントを意識してみましょう。

1.研修アンケートの目的を明確にする

研修アンケートを作るときは、まずなぜ研修アンケートを実施するのか、どのような情報を得たいのかということを明確にしておきましょう。たとえば、「受講者の満足度を知りたい」「研修の改善点を見つけたい」などが、目的の例として挙げられます。

アンケートで何を知りたいのかによって、優先して設けるべき質問が変わるため、まずは目的を明確にすることが重要です。

2.回答する負担を考慮する

アンケートは、研修の後に実施します。受講者は多くのことを学んだ後で疲れているので、できるだけ負担なく答えられるようにしましょう。

まず、質問の数です。先ほど質問例を8つ紹介しましたが、回答する負担を考えると、質問の数は57個がベストです。質問が多すぎると、集中力が下がってきちんと回答してもらえない可能性があります。

そして、質問の形式ですが、記述式ばかりだと回答の負担が大きくなるので、5段階評価のような選択式の質問も入れるようにしましょう。しかし、逆に選択式ばかりだと、具体的な回答を得ることができなくなりますので、バランスを考えることが大切です。

3.重要な質問は上部に配置する

多くの人は、アンケートは上から順番に回答していきます。下にいくほど回答者の集中力が低下している可能性が高まりますので、重要な質問は上部に配置するようにしましょう。先ほど紹介した質問例の中では、「研修を通して学んだことは何ですか?」「研修で学んだことを今日からどのように活かしますか?」などは、研修の効果測定のためにも重要な質問ですので、上部に配置したいところです。

研修に対する意見や要望、今後実施してほしいテーマなど、必須回答ではない記述式の質問は、最後に配置すると良いでしょう。

4.研修の「効果」は分けて考える

研修は、受講者が学んだことを業務の中で活かせるようになって、はじめて「効果があった」といえます。先ほどお伝えしたように、研修アンケートは、あくまで研修そのものを評価してもらうためのものです。研修アンケートだけでは、研修の効果は測定することはできませんので、そこは注意しましょう。

研修の効果を正しく把握するためには、研修を実施した後、段階的に効果を測定していく必要があります。ここで、研修の効果測定にも活用されているカークパトリックモデルという考え方を、簡単に紹介します。

カークパトリックモデルとは

カークパトリックモデルとは、アメリカの経営学者であるドナルド・カークパトリックが1959年に提唱した教育の効果を評価するための枠組みで、以下の4つのレベルに分けて段階的に効果を測定していきます。

  1. 反応(Reaction)……受講者は研修に満足できたか?
  2. 学習(Learning)……受講者は学習内容を理解できたか?
  3. 行動(Behavior)……研修後、受講者の行動は変化しているか?
  4. 結果(Results)……研修を実施したことで組織にどのような影響があったか?

研修アンケートは、「反応(Reaction)」を測定するための方法の1つです。効果を測定するためには、さらに高いレベルでの測定を行う必要があります。具体的には、後日理解度テストを実施したり、一定期間が過ぎた後に上司にインタビューしたりするなどの方法があります。詳しくは以下の記事で解説していますので、よろしければ参考にしてみてください。

カークパトリックモデルとは?効果の測定方法やポイントをわかりやすく解説

5.匿名で実施する

受講者から率直な意見を聞くために、研修アンケートは匿名での実施がおすすめです。特に、社内講師で研修を実施した場合は、記名式で上司や先輩に対して「良くなかったところ」や「改善してほしいところ」を指摘するのは抵抗があるという人が多いでしょう。匿名で実施したほうが、有益な情報を得やすいといえます。

研修アンケートの実施方法

研修アンケートの実施方法としては、主に紙媒体のアンケートかWebアンケートの2つがあります。最後に、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

紙媒体のアンケート

まずは、アンケート用紙を受講者に配布し、記入してもらった後で回収するという方法です。その場で回答してから退出してもらうという形をとれば確実に回収できることや、書くだけなので回答しやすいというメリットがあります。ただ、アンケート用紙の印刷、配布、回収、分析にも手間がかかることや、データ化する際に入力ミスが起きやすいという点はデメリットといえます。

Webアンケート

次に、WebアンケートのURLQRコードを受講者に配布し、期日までにアクセス・回答してもらうという方法です。紙媒体のアンケートのように配布・回収に手間がかからないことや、集計と分析も簡単に行えるというメリットがあります。デメリットとしては、紙媒体のように自由にカスタマイズできないことや、セキュリティ対策が必要なこと、紙媒体よりも回答率は低くなりやすいことなどが挙げられます。

研修テーマの具体例8選

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以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。

1.コミュニケーション研修

コミュニケーション研修のアクティビティ「謎解き脱出ゲーム」では、チームでコミュニケーションをとりながら問題に隠された法則を発見する謎解きゲームのクリアを目指します

学びのポイント

  • 受講者が「自分しか見えていない情報・問題・解き方」をチームで共有することでコミュニケーション促進やスキルアップにつながる
  • 突飛な発想・ヒラメキをチームのなかで積極的に発言できる心理的安全性の高い環境づくりが求められる

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2.PDCA研修

PDCA研修のアクティビティ「ロケットPDCAチャレンジ」では、パーツを組み合わせてロケットを制作し打ち上げ結果から原因を考えて、より良く飛ぶロケットに改善していき、目標の達成を目指します

学びのポイント

  • 計画を立ててロケットを飛ばし、その結果から組み合わせの誤り・部品の不足・不良部品の有無を推察し、それを繰り返すことで組み合わせの精度を上げていく
  • 資金稼ぎ・パーツの選択・打ち上げの準備を繰り返し、作戦タイム振返りを経て行動を改善していくことで、最適化されていく

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3.ロジカルシンキング研修

ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルティング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します

学びのポイント

  • 小グループで得られた情報を論理的に整理し、確定情報・曖昧情報・不要な情報を選り分ける
  • 大グループで全体に必要な情報を論理的に判断・共有することや、自分たちに足りない情報を聞き出すことが求められる。

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4.クリティカルシンキング研修

クリティカルシンキング研修のアクティビティ「混乱する捜査会議からの脱出」では、推理ゲームで論理的に情報を整理するなかで証拠の違和感に気づき、仮説立てや検証を行って目標を達成します

学びのポイント

  • 証拠品や証言など多くの情報を手分けして読み、組み合わせて論理的に結論を導き出す
  • フェーズが進むごとに情報が増え、複雑になっていくなかで必要な情報を取捨選択する
  • 出た結論に満足せず、常に新しい情報と照らし合わせて再検証する

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5.合意形成・アサーティブコミュニケーション研修

合意形成・アサーティブコミュニケーション研修のアクティビティ「コンセンサスゲーム」では、危機的な状況下でどの物資を優先して確保すべきかをチーム内で議論し、最適な結論を導きます

学びのポイント

  • 各々が個人ワークで考えた答えを聞くことで、チームメンバーの状況に対する認識や物資の重み付けの違いを受講者が理解する
  • 話し手は自分の答えにいたった理由を論理的・説得的に説明する
  • より良い根拠を導き出すための比較検討をして、チーム全員が納得する結論を出す

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6.戦略思考研修

戦略思考研修のアクティビティ「ワールドリーダーズ」では、労働力や資本を使って事業を設立し、利益を稼ぐことを目指します

学びのポイント

  • 不確実な状況のなかで自チームにとって最適な行動方針を考え、実行していく
  • 戦略を決めるために与えられた手段のなかでどの情報を取得していくかの優先順位決めが求められる

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7.防災研修

防災研修のアクティビティ「先が見えない防災訓練からの脱出」では、チームで協力して、防災のアイテムや知識を使用しながら謎解きゲームのクリアを目指します

学びのポイント

  • 謎解きの答えが災害時のNG行動にまつわる内容となっており、解説時になぜ行なってはいけないかもセットで学ぶ
  • 被災時は様々な情報が飛び交うため、情報を取得する際にどのようにすれば惑わされないかを学ぶ

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8.SDGs研修

SDGs研修のアクティビティ「ワールドリーダーズ」では、労働力や資本を使って事業を設立し、利益を稼ぐことを目指します

学びのポイント

  • 環境に配慮する事業としない事業それぞれのメリットおよびデメリットを学ぶ
  • 企業経営のシミュレーションを通して、社会における企業活動と環境を両立することの重要性を学ぶ

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まとめ

研修アンケートは、研修の効果を測定するため、そしてより良い研修を実施していくために重要なものです。まだ実施していないなら、次回の研修から取り入れてみてはいかがでしょうか。

研修アンケートを作成する際は、まず研修アンケートの目的を明確にして、回答する負担も考慮しながら適切な質問を配置していきましょう。本記事で紹介した質問例も参考にしてみてください。

 

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研修のノウハウに関しては、以下の記事にまとめて記載しています。

研修とは?目的・目標設定・フロー・実施方法・ポイントを解説

この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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