α世代とは?今から取り組みたい職場づくりを解説

  • 組織・人材開発

これまでの世代とは異なる価値観を持つ世代として、「Z世代」が注目を集めています。そのZ世代の次の世代は「α世代」と呼ばれています。最近では、社員としてともに働くことになる世代を理解するために、α世代に向けてマーケティング活動を始める企業も見られるようになってきました。マーケティング活動以外に、企業として何か今からやっておくべきことはあるのでしょうか。

本記事では、α世代とはどの世代を指すのか、注目度が高まっている理由、α世代の特徴を紹介し、企業がα世代を迎える前に取り組んでおきたい職場づくりについて解説します

 

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α世代とは

α(アルファ)世代とは、2010年以降に生まれた世代のことで、「ジェネレーションα」と呼ばれることもあります。近年大きな注目を集めているZ世代の次の世代にあたり、多くがミレニアル世代の子どもたちです(※ミレニアル世代とは1980年~1994年生まれの世代で、Y世代とも呼ばれます)。α世代は、オーストラリアの人口統計学者であり社会学者でもある、マーク・マクリンドル(Mark McCrindle)氏により提唱されました

α世代は、生まれたときからデジタルデバイスが身近にあり、多くの情報に触れながら育ってきています。そのため、これまでの世代とは異なる特徴があるといわれています。そんなα世代が、2030年代には成人し始めます。α世代は、これから社会の中核を担うことになる世代であるため、近年徐々に注目されるようになってきています。また、α世代はすでに家庭の消費行動に影響を与える存在になっているとして、α世代に対してマーケティング活動を始める企業も増えているようです。

α世代の由来

ここで、これまでの世代区分をおさらいしておきましょう。アメリカでは、古くから以下のようなアルファベットによる世代区分が用いられてきました。

  • X世代:1965年~1980年生まれ
  • Y世代:1980年~1994年生まれ
  • Z世代:1995年~2009年生まれ

いずれも明確な定義はなく、生まれた年の範囲は資料によって異なることがあります。

XYZと続いてきたため、このままアルファベット順でいくなら、次の世代は最初の「A」に戻るはずです。しかし、Z世代の次の世代は、完全に新世紀生まれであり、まったく新しい世代であるため、最初に戻るというのは考えられなかったと、マーク・マクリンドル氏は述べています。そのため、アルファベットからギリシャ文字に移行し、「α世代」と名付けたそうです。

そして、マーク・マクリンドル氏は、α世代の次の世代を「β(ベータ)世代」(2025年~2039年生まれ)と呼んでいます。つまり、α世代は2024年生まれまでということです。そして、α世代は将来的に「γ(ガンマ)世代」の親になる世代だと想定されています。

α世代はどのような大人になる?

α世代は、生まれたときからスマートフォンやタブレットといったデジタルデバイスや、インターネット、SNSなどが身近にあり、多くの情報がある環境のなかで育ってきています。そのため、デジタルネイティブであり、社会課題への関心が高いなどの特徴があるといわれています。これらは、Z世代にも見られる特徴です。そのため大人になると、Z世代のように、ダイバーシティ&インクルージョン(※)や、ワークライフバランスを重視する傾向が強くなるのではないかと考えられます。α世代の特徴については、後ほど詳しく紹介します。

※ダイバーシティ&インクルージョン:人々の多様性を認め、組織で受け入れ、活用することが重要であるという考え方

そして、マーク・マクリンドル氏は、『UNDERSTANDING GENERATION ALPHA』という資料のなかで、今小学校に通っている子どもの65%が、将来は現時点で存在していない仕事に就くと予想しています。また、すでに日本でも、終身雇用が当たり前ではなくなりつつあり、自分のキャリアのために転職をする人も増えていますが、α世代が大人になる頃には、生涯一つの仕事を続けることは「稀」になるかもしれません。そのため、常に新しいスキルを学び続けることが求められるだろうとされています。

参考:Understanding-Generation-Alpha-McCrindle(PDF)

 

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α世代が注目されている理由

次に、近年α世代の注目度が高まっている理由について、詳しく解説していきます。

世界のα世代人口が増加しているため

世界では、毎週280万人以上が生まれており、2025年頃にはα世代の人口は20億人を超えて、最大の世代になるだろうといわれています。社会や経済に大きな影響を与えることになる世代であるため、注目度が高まっているのです。

一方、日本は少子高齢化が進んでおり、人口は減少傾向にあります。総務省統計局のデータを見ると、2023年10月1日時点での15歳未満人口は1,417万3,000人で、総人口に占める割合は11.4%と、過去最低を記録しています

参考:統計局ホームページ/人口推計/人口推計(2023年(令和5年)10月1日現在)‐全国:年齢(各歳)、男女別人口 ・ 都道府県:年齢(5歳階級)、男女別人口‐ (stat.go.jp)

企業においては、今後はより採用が難しくなり、人手不足が深刻化することが予想されます。人材確保のために、α世代の特徴に合わせたアプローチが必要になってくるでしょう。

タッチポイントをつくりやすいため

現在α世代は、特にマーケティング業界からの注目度が高まっています。α世代は、デジタルデバイスを使いこなして、オンラインでさまざまな情報を集めることに長けています。タッチポイントをつくりやすく、ブランドを認知してもらいやすいため、すでにα世代に対してマーケティング活動を始めている企業も少なくないようです

タッチポイントとは、「顧客接点」のこと。その名のとおり、企業と顧客、または商品やサービスと顧客をつなぐ接点のことをいいます。具体的には、オフラインであればチラシやカタログ、展示会など、オンラインであれば企業のホームページやSNSWeb広告などが挙げられます。α世代へアプローチするなら、オンラインのタッチポイントを充実させる必要があるでしょう。

「マーケティング部ではないから関係ない」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、α世代が就職する時代が来たら、採用におけるタッチポイントを工夫しなければ、なかなか求める人材を採用できないかもしれません。マーケティングの考え方は、採用活動でも参考になるのではないでしょうか。

α世代の特徴

価値観の形成には、育ってきた環境やその時代に起こった出来事などが大きく影響します。そのため、どの世代にもその世代の特徴があります。もちろん、物事の感じ方や受け止め方は人それぞれですので、すべての人が当てはまるというわけではありませんが、α世代がどのような大人になるのか、一般的にいわれている特徴を紹介します。

デジタルネイティブ

一つめの特徴は、デジタルネイティブであるということ。Z世代も、生まれたときからパソコンやインターネットが身近にある環境のなかで育ってきたため、それ以前の世代よりデジタル機器を上手に扱える人が多い傾向があります。α世代は、さらにスマートフォンやタブレット、SNSも当たり前にあるなかで育ってきているため、Z世代以上にデジタルネイティブだといわれています。具体的には、オンラインで世界中の人とつながることに対する抵抗が少ないことや、メタバースやVRAIといった最新技術への親和性も高いという特徴があります。

そして、文章よりも動画や画像で情報収集する傾向が強いともいわれています。動画や画像は、文章よりもわかりやすく、短時間で多くの情報を得られるためです。しかし、動画や画像は見る人の素養、教養、成長背景によって、受け止め方や理解の仕方に大きな差を生じるものでもあります。短時間で多くの情報を得られる反面、相手によってその受け止め方や意味合いに大きな差が生じるのも動画や画像の特徴だといえます。そのあたりを不勉強なまま利用すると、平気で中傷をしたり、潜在的な差別意識が表にでたりするため、企業イメージの悪化にもつながる可能性が高いメディアとされています。

さらに、学校では11台タブレッドを持つことが当たり前になっています。2020年度からは新しい学習指導要領も始まり、小・中・高でプログラミング教育が必須化されました。このように、学校教育のデジタル化も進んでいるため、α世代はZ世代以上にデジタルに強い大人になると考えられます。

タイムパフォーマンスを重視する

α世代は、常に多くの情報がある環境のなかで育ってきています。溢れる情報のなかから必要な情報を選び取るために、タイムパフォーマンスを重視するというのも、α世代の特徴の一つとして挙げられます。タイムパフォーマンスとは、費やした時間に対してどのくらい得るものがあったか(効果、満足度など)を示す言葉で、日本語では「時間対効果」とも呼ばれます。

タイムパフォーマンスを重視する人の行動としては、動画を倍速で見る、動画を見ながら別の作業をするなどが挙げられます。また、情報を集める際は、新聞やテレビよりもインターネットを使う傾向があります。そして、検索バーから検索して求める情報を探すよりも、TikTokInstagramのような、素早く欲しい情報が手に入る媒体が好まれているようです。

Z世代もタイムパフォーマンスを重視する人が多いといわれますが、α世代はその傾向がより顕著にあらわれているといえます。

社会課題に関心を持っている

α世代は、小さい頃から経済不振の時代を過ごしてきており、震災や気候変動のニュースも多く目にしてきています。また、学校ではSDGs教育も受けています。そのためα世代は、Z世代同様に、それ以前の世代よりも社会課題に高い関心を持っているという特徴があります。具体的には、サステナブル意識が高い、多様性を大切にするなどです。

Z世代も、商品を購入するときや就職先を選ぶときに、その企業の社会課題への向き合い方もチェックする人が多いといわれています。α世代が大人になると、この傾向がより強くあらわれるようになるのではないでしょうか。

企業がα世代を迎える前に取り組んでおきたいこと

あと10年もすれば、新卒採用の対象がα世代になります。α世代に自社を就職先として選んでもらい、長く活躍してもらうために、今から魅力ある職場づくりに取り組んでいきましょう。具体的には、以下のことには取り組んでおきたいところです。

  • 柔軟な働き方ができるようにする
  • デジタル化を進める
  • 成長できる環境を整える
  • ダイバーシティ&インクルージョンを推進する
  • 従業員の健康維持・増進に取り組む

これらは、α世代だけでなく、今働いてくれている従業員にいきいきと働き続けてもらうためにも重要なことです。一つずつ、詳しく見ていきましょう。

柔軟な働き方ができるようにする

α世代の親であるミレニアル世代は、共働き世帯が多いとされています。α世代は、仕事と家庭を両立させようとする両親の姿を見て育っているため、ワークライフバランスを重視する傾向が強くなると考えられます

また、α世代は新型コロナウイルスによるパンデミックも経験しています。さまざまな時間・場所で働く人の姿を見ているため、「出社」以外の勤務制度がある企業のほうが、就職先として選ばれやすくなる可能性があります。

デジタル化を進める

アナログな部分のデジタル化を進めていきましょう。「自社のやり方」を守ることも大切かもしれませんが、α世代はデジタルデバイスを使い慣れており、先ほどお伝えしたようにタイムパフォーマンスを重視する傾向もあります。あまりに非効率だと、受け入れてもらえない可能性が高いでしょう。

また、日本は少子高齢化が進んでおり、多くの業界・職種で人手不足が課題となっています。デジタルに置き換えられる部分はデジタル化することで、少ない人数でも生産力を維持できるようになります。デジタル化は、企業が生き残っていくためにも不可欠といえるでしょう。

政府も、DX(※)を推進しています。今後は単なるデジタル化だけでなく、デジタルによる改革がより求められるようになっていくでしょう。今のうちから、無理なくデジタル化を進めていってみてはいかがでしょうか。

DXとは……デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、データやデジタル技術を活用することで新たな価値を生み出し、企業の競争力を高めていくことをいいます。

参考:DXに関する 経済産業省の施策紹介|経済産業省(PDF)

成長できる環境を整える

α世代は、Z世代よりも「成果を出したい」という思いが強いともいわれています。自分の仕事が利益につながっていることや、自分自身の成長を感じられるような環境・制度を整えておきましょう。これはα世代に限らず、すべての世代に「やりがい」を持って働いてもらうために重要なことです。

そのためにも、先ほど紹介したデジタル化を進める必要があります。たとえば、バックオフィス系の業務をデジタル化するだけでも、リソースに余裕が生まれ、従業員は直接利益につながる仕事に集中できるようになります。そうすることで、利益も生まれやすくなるでしょう。「利益が生まれる→やりがいを感じられる→成果が給与に反映される」という流れを生み出すためにも、デジタル化は必要です。

ダイバーシティ&インクルージョンを推進する

ダイバーシティ&インクルージョンとは、多様な人材を受け入れ、一人ひとりが能力を最大限に発揮できるようにすることをいいます。「多様な」とは、年齢や性別、人種、国籍、宗教、障害の有無、性的指向、さらにキャリア、経験、働き方などの多様性を意味します。

Z世代とα世代は、ほかの世代よりも多様性を大切に考えているといわれています。企業としてダイバーシティ&インクルージョンに取り組むことで、就職先として選ばれやすくなることが期待できるでしょう

また、多様な人材を活用することで、イノベーションも生まれやすくなります。経済産業省も、「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」を「ダイバーシティ経営」と定義し、これを推進しています。

参考:ダイバーシティ経営の推進 (METI/経済産業省)

ダイバーシティ&インクルージョンは、企業の競争力を高め、変化が激しく予測不能な時代を生き抜いていくためにも必要な取り組みといえるでしょう。

従業員の健康維持・増進に取り組む

「ストレス社会」と呼ばれるほどストレス要因に溢れている現代では、精神疾患やメンタルヘルス不調が社会問題となっています。以下のグラフを見ると、精神障害に関する労災の請求件数、決定件数、支給決定件数とも、増加傾向にあることがわかります。

出典:別添資料2 精神障害に関する事案の労災補償状況|厚生労働省(PDF)

日本は少子高齢化が進んでおり、今後はより人手不足が深刻化すると予想されます。せっかく新たに人材を採用しても、メンタルヘルス不調から休職や退職となってしまうと、企業の生産力にも影響が出るかもしれません。

企業が成長し続けていくためには、すべての世代が健康で、いきいきと働ける環境や制度を整える必要があります。企業の未来のために、心の健康も含めた従業員の健康の維持・増進に取り組んでいきましょう。

従業員の主体性を引き出す研修

あそぶ社員研修」は、受講者全員が没入して取り組むアクティビティ・振り返り・講義をブリッジすることで学びを最大化させ、翌日から業務で活かせる知識・スキルが身につく講義・アクティビティ一体型の研修プログラムです

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以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。

1.コミュニケーション研修

コミュニケーション研修のアクティビティ「謎解き脱出ゲーム」では、チームでコミュニケーションをとりながら問題に隠された法則を発見する謎解きゲームのクリアを目指します

学びのポイント

  • 受講者が「自分しか見えていない情報・問題・解き方」をチームで共有することでコミュニケーション促進やスキルアップにつながる
  • 突飛な発想・ヒラメキをチームのなかで積極的に発言できる心理的安全性の高い環境づくりが求められる

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2.ロジカルシンキング研修

ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルティング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します

学びのポイント

  • 小グループで得られた情報を論理的に整理し、確定情報・曖昧情報・不要な情報を選り分ける
  • 大グループで全体に必要な情報を論理的に判断・共有することや、自分たちに足りない情報を聞き出すことが求められる。

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3.PDCA研修

PDCA研修のアクティビティ「ロケットPDCAチャレンジ」では、パーツを組み合わせてロケットを制作し打ち上げ結果から原因を考えて、より良く飛ぶロケットに改善していき、目標の達成を目指します

学びのポイント

  • 計画を立ててロケットを飛ばし、その結果から組み合わせの誤り・部品の不足・不良部品の有無を推察し、それを繰り返すことで組み合わせの精度を上げていく
  • 資金稼ぎ・パーツの選択・打ち上げの準備を繰り返し、作戦タイム振返りを経て行動を改善していくことで、最適化されていく

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4.OODA LOOP研修

OODA LOOP研修では、瞬間的な判断力が求められる運動系のアクティビティである「サバイバルゲーム」または「チャンバラ合戦」を実施することで、意思決定のフレームワークである「OODA LOOP」を実践的に習得することを目指します

学びのポイント

  • 敵チームをよく観察して作戦を練り、状況に応じた行動を素早く判断しながら、チームで共有して一体となって行動する
  • ミッションの勝利条件をもとに、観察、判断、行動を繰り返すことで、本当にすべき行動が何なのか、行動の最適化を行う

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まとめ

今後の社会の中核を担うことになるα世代は、これまでの世代と異なる価値観を持っているといわれています。将来自社を就職先として選んでもらい、長く活躍してもらえるように、今から職場づくりに取り組んでいきましょう。

また、本記事で紹介した取り組みは、α世代だけでなく、すべての世代にいきいきと働いてもらうために必要な取り組みです。企業の未来のために、時代に合わせてやり方と考え方をアップデートしていきましょう。

 

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アクティビティが受講者の主体性を高めてコミュニケーションを促進させ、スキルアップやチームビルディングをはかれます。

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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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