セルフマネジメントとは?ビジネスで求められる理由、高める方法を紹介

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現代のビジネスパーソンに求められるスキルの一つに、「セルフマネジメント」があります。特にリモートワークが普及して以降は、このセルフマネジメントの重要性が高まっています。

本記事では、セルフマネジメントとは何か、求められる理由や、セルフマネジメントができる人・できない人の特徴、セルフマネジメント能力を高めるメリットと、高める方法を紹介します

 

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セルフマネジメントとは

セルフマネジメントとは、目標達成や自己実現のために、自分自身を管理することをいいますセルフマネジメントを構成する大きな要素としては、セルフケア、レジリエンス、アンガーマネジメント、マインドフルネス、キャリアデザインの5要素があります。単に心身の健康状態を管理することだけでなく、思考や行動、モチベーション、感情などをコントロールできるようになることも、セルフマネジメントに含まれます

自分自身をきちんと管理できるようになると、持てる能力を最大限に発揮できるようになります。逆に、どんなに豊富な知識・スキルを持っている人でも、セルフマネジメント能力が低いと、業務を抱え込みすぎてキャパオーバーになってしまったり、ストレスに負けてしまったりすることがあります。

企業としては、社員のセルフマネジメント能力の向上を図ることで、業務効率化や生産性の向上といった効果も期待できるでしょう。

 

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セルフマネジメントが求められる背景

近年、ビジネスシーンにおいてセルフマネジメントが求められるようになっている背景には、大きく3つの理由があると考えられます。

働き方の多様化

新型コロナウイルスの感染の拡大以降、日本でもリモートワークが急速に普及しました。フレックスタイム制や短時間勤務制度など、多様な働き方を導入する企業も増えています。

しかし、働く時間と場所の自由度が高まったことで、上司が部下を直接マネジメントする機会が減りましたその分社員には、自分で自分をマネジメントしてもらい、生産性を向上させることが求められるようになってきています

働き方が変化していく中で、一人ひとりに効率よく高いパフォーマンスを発揮してもらうために、セルフマネジメントが注目されているのではないでしょうか。

少子高齢化の進行

少子高齢化の影響で、1995年をピークに生産年齢人口(15~64歳)は減少を続けており、多くの企業で人手不足が課題となっています。企業の生産力を維持していくためには、採用活動に力を入れるだけでなく、社員一人あたりの生産性を向上させていく必要があります

先ほどお伝えしたように、社員のセルフマネジメント能力の向上を図ることで、企業としては業務効率化や生産性の向上といった効果が期待できます。そのため、セルフマネジメントが求められるようになっているのではないでしょうか。

参考:総務省|令和4年版 情報通信白書|生産年齢人口の減少

ストレスの増加

厚生労働省が公表している資料『職場におけるメンタルヘルス対策の状況』によると、仕事や職業生活に関して、強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者の割合は、54.2%となっています(令和2年)。以下のグラフのとおり、近年は半数超えが続いており、働く人の多くが、慢性的なストレスにさらされていることがわかります

出典:職場におけるメンタルヘルス対策の状況|厚生労働省(PDF)

強いストレスを受け続けると、心や身体、行動にさまざまなストレス反応があらわれます。それらが原因で、仕事に影響が出たり、休職や退職につながってしまったりすることもあるかもしれません。

セルフマネジメントができるようになると、自分自身のストレスともうまく付き合えるようになりますセルフマネジメントは、社員にいきいきと働いてもらうための、メンタルヘルスケアの手段としても注目されているのではないでしょうか。

また、セルフマネジメントを高めると、イライラして誰かにきつくあたってしまったり、感情的になってしまったりすることが少なくなります。このような社員が増えれば、職場の雰囲気も良くなり、ハラスメントも起きにくくなるといった効果も期待できます。

セルフマネジメントができる人・できない人の特徴

ここからは、セルフマネジメントが得意な人と苦手な人、それぞれの特徴を3つずつ紹介していきます。自分がどちらにあてはまるか、チェックしてみてください。

セルフマネジメントが得意な人の特徴

まずは、セルフマネジメント能力が高い人に見られる3つの特徴です。

タスクに優先順位をつけられる

セルフマネジメントが得意な人は、タスクに優先順位をつけて、効率よくこなしていくことができます。そのため、タイムマネジメント(時間管理)も得意です。時間を有効に使うことができるので、同じ時間の中でもより多くの量の仕事をこなすことができます。

ストレスとうまく付き合うことができる

セルフマネジメントが得意な人は、自分が何にストレスを感じるのかをわかっており、自分なりの対処法や解消法を持っています。そのため、ストレスをため込むことが少なく、常に前向きな気持ちで仕事に取り組むことができるため、いつでも安定して高いパフォーマンスを発揮することができます。

物事をポジティブに考えられる

セルフマネジメントが得意な人は、ポジティブ思考であるという特徴もあります。何か問題や課題に直面しても、前向きに解決策を考えることができます。失敗をしても、「成長のために必要な経験だった」というように、ポジティブに変換できるため、ネガティブな感情に振り回されることがありません。

セルフマネジメントが苦手な人の特徴

次に、セルフマネジメント能力が低い人に見られる3つの特徴です。

完璧主義でこだわりが強い

セルフマネジメントが苦手な人は、一つの仕事にこだわりすぎてしまうので、決められた期限内にタスクを終わらせることができないことがあります。完璧主義であるがゆえに、失敗したときはひどく落ち込み、立ち直るのに時間がかかるのも特徴です。

人に頼るのが苦手

セルフマネジメントが苦手な人は、すべてを自分一人でこなさなければいけないと感じており、人に任せたり、頼ったりすることが苦手な人が多いです。そのため、業務過多の状態になり、心身ともに疲弊してしまい、本来の力も発揮できなってしまうことがあります。

ストレスをため込みやすい

セルフマネジメントが苦手な人は、ストレスをうまく発散することができず、ため込みがちです。ストレスとため込むと、心が不安定になるので、集中力やモチベーションを維持するのも難しくなります。

社員のセルフマネジメント能力を高めるメリット

社員のセルフマネジメント能力を高めることで、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。期待できる効果を、一つずつ見ていきましょう。

業務効率化や生産性向上につながる

社員のセルフマネジメント能力を高めることで、一人ひとりがタスクや時間を管理しながら効率的に業務を進められるようになります。また、常にモチベーション高く仕事に取り組んでくれるようになるので、新しいアイデアも生まれやすくなるでしょう。その結果として、業務が効率化や、生産性の向上が期待できます。

人間関係が良好になる

セルフマネジメントができるようになると、感情のままに行動したり、他者に感情をぶつけたりすることがなくなり、周りの人と良好な関係を築けるようになります。このような社員が増えれば、コミュニケーションが活性化し、職場の風通しも良くなります。その結果、ストレス予防や、ハラスメント予防、チームワーク向上にもつながるでしょう。

健康の維持・増進につながる

セルフマネジメント能力が高まると、社員が自分の心と身体の健康を管理できるようになります。心身の状態が安定すれば、物事をポジティブに考えられるようになり、高いモチベーションで仕事に取り組んでくれるようになるでしょう。

体調不良やメンタルヘルス不調による休職者や退職者を出さないためにも、社員一人ひとりのセルフマネジメント能力を高めることは重要です2015年からストレスチェック制度が義務化され、企業にはストレスの原因となる職場環境の改善も求められるようになっています。社員の健康のために、セルフマネジメントの向上に取り組んでいきましょう。

セルフマネジメント能力を高める7つの方法

最後に、個人のセルフマネジメント能力を高めるための方法を7つ紹介します。

1.心をポジティブにする

セルフマネジメント能力を高めるためには、まずは心をポジティブにすることが重要です心と身体、行動は、それぞれ影響し合っています。心が安定すれば、身体にも活力が湧いてきて、それが行動にもあらわれるようになるのです。

心をポジティブにする具体的な方法としては、セルフケアの方法やレジリエンスの高め方、アンガーマネジメントを学ぶなどが挙げられます。

  • セルフケア……自分自身のために行うメンタルヘルス対策。
  • レジリエンス……困難やストレスに直面したときに、自分で乗り越えて回復する力。
  • アンガーマネジメント……「怒り」の感情をコントロールするスキル。

しかし、どれだけポジティブであろうと心がけていても、ネガティブな気持ちになってしまうこともあります。もしネガティブになってしまったら、無理やりポジティブになろうとせずに、その感情と向き合うことも大切です。自分のネガティブな感情としっかりと向き合うことで、適切な対処法が見つかることもあるでしょう。

2.規則正しい生活を送る

夜遅くに寝る、朝ご飯を食べないなどの不規則な生活を送っていると、集中力が低下したり、免疫力が低下して風邪にかかりやすくなったりします。先ほどお伝えしたように、心と身体は影響し合っていますので、体調が崩れると、心までネガティブになってしまうこともあります。身体の健康も、しっかり管理するようにしましょう。

特にリモートワークになってから、「起床時間・就寝時間が変わってしまった」、または「いつも仕事のことが気になってしまい、うまく休めなくなってしまった」という人も多いのではないでしょうか。まずは規則正しい生活を意識し、仕事中も適度に休憩をはさんで、目を休ませたり、ストレッチをしたりして、リフレッシュすることを心がけてみてください

3.タイムマネジメントに取り組む

セルフマネジメントに欠かせないのが、タイムマネジメントです。手当たり次第にタスクに取り組んでいくのではなく、きちんと優先順位をつけ、計画的に取り組んでいくことで、効率よく仕事を進められるようになります。

優先順位をつける際は、「アイゼンハワー・マトリクス」というフレームワークを活用してみましょう。このフレームワークは、タスクを緊急度と重要度で4つに分類するというものです。

  • 「問題・課題の領域」:重要度・緊急度ともに高い(最も優先すべきタスク)
  • 「質の高い領域」:重要度は高いが、緊急度は低い(2番目に優先すべタスク)
  • 「見せかけの領域」:重要度は低いが、緊急度は高い(3番目に優先すべきタスク)
  • 「ムダな領域」:重要度・緊急度ともに低い(優先順位が低いタスク)

また、定期的にやらなければならない仕事に関しては、「月曜日の午後一番にやる」のように、自分でルールを決めておくと良いでしょう。

仕事が予定通りに進むと、小さな達成感を感じられ、自信も生まれます。どうしてもやる気が出ないときは、「今日やるべきことを終えられたら漫画を読んでOK」というように、自分にご褒美を与えるのも一つの方法です。

4.目標を立てる

何事も、具体的な目標を立てると、それに対するモチベーションを維持しやすくなります。仕事に対しても、何かしら目標を立てる癖をつけてみましょう。

ただ、達成できないほど高い目標を立てると、逆にモチベーションが下がってしまうことがあります。いきなり最終目標を目指すのではなく、最終目標までにいくつか中間目標を設定するようにしましょう。そして、それぞれの中間目標は、今の自分が「努力すれば達成できる程度」のものにするのがポイントです。そうすることで、仕事に前向きに取り組みながら、自分を成長させていくことができます。

5.「まずは行動する」を意識する

脳科学的には、やる気というのは自然に湧いてくるものではなく、脳の「側坐核」という部分が刺激されることで生まれるといわれています。この「側坐核」は、行動することで刺激されます。やる気が出ないからとダラダラしていると、いつまでたってもやる気は沸いてきません。どうしてもやる気が出ないときも、とりあえず作業をはじめ、5~10分続けてみましょう自然とやる気が出て、仕事をスムーズにこなせるようになるでしょう

また、セルフマネジメント能力を高めるには、目標とそれを達成するための計画を立てることが重要ですが、計画にこだわりすぎて、なかなか行動に移せないという人も見られます。どんなに立派な目標と計画を立てても、実際に行動を起こさなければ意味がありません。最初から完璧な計画を立てようとせず、まずは行動し、定期的にアウトプットしながら計画を見直していくのがおすすめです。

6.セルフマネジメント能力が高い人から学ぶ

周りに「あの人、セルフマネジメント能力が高いな」と感じる人がいれば、その人を観察して、行動を真似してみるのも一つの方法です。もしくは、その人にセルフマネジメントのポイントやコツを聞いてみるのも良いでしょう。

性格や考え方、ストレス耐性、仕事のペースなども人それぞれなので、教えてもらったポイントやコツが自分には合わない場合もあります。複数の人を参考にして、自分に合ったものを取り入れていくと、自分だけのセルフマネジメントの方法がだんだんわかっていくでしょう。

7.セルフマネジメント研修を受ける

最近は、セルフマネジメントに必要なスキルを習得できる研修を提供する研修会社もあります。このような研修を受けて、セルフマネジメントを学ぶというのも一つの方法です

内容は研修会社によってさまざまですが、「セルフマネジメント研修」という名前の研修は、仕事の進め方やタイムマネジメント、成果を上げるコツなどに重点を置いたものが多いです。このほかにも、モチベーション維持に課題を感じているなら「モチベーション向上研修」、心をポジティブにしたいなら「メンタルヘルス研修」や「レジリエンス研修」「アンガーマネジメント研修」などもおすすめです。

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以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。

1.コミュニケーション研修

コミュニケーション研修のアクティビティ「謎解き脱出ゲーム」では、チームでコミュニケーションをとりながら問題に隠された法則を発見する謎解きゲームのクリアを目指します。

学びのポイント

  • 受講者が「自分しか見えていない情報・問題・解き方」をチームで共有することでコミュニケーション促進やスキルアップにつながる
  • 突飛な発想・ヒラメキをチームのなかで積極的に発言できる心理的安全性の高い環境づくりが求められる

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2.合意形成・アサーティブコミュニケーション研修

合意形成・アサーティブコミュニケーション研修のアクティビティ「コンセンサスゲーム」では、危機的な状況下でどの物資を優先して確保すべきかをチーム内で議論し、最適な結論を導きます。

学びのポイント

  • 各々が個人ワークで考えた答えを聞くことで、チームメンバーの状況に対する認識や物資の重み付けの違いを受講者が理解する
  • 話し手は自分の答えにいたった理由を論理的・説得的に説明する
  • より良い根拠を導き出すための比較検討をして、チーム全員が納得する結論を出す

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3.交渉術・ネゴシエーション研修

交渉術・ネゴシエーション研修のアクティビティ「ワールドリーダーズ」では、利益を増やすことを目指し、自チームでの戦略構築や他チームとの交渉を行います。

学びのポイント

  • 配られた事業・資金・労働力などの資源だけで目的が達成できない場合に、他チームと交渉してそれらを手に入れるための交渉力を習得する
  • 他チームの情報を得てから相手にとって価値のあるものを提供し、自チームにとってさらに価値のあるものを引き出すことが求められる

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4.ロジカルシンキング研修

ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルティング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します。

学びのポイント

  • 小グループで得られた情報を論理的に整理し、確定情報・曖昧情報・不要な情報を選り分ける
  • 大グループで全体に必要な情報を論理的に判断・共有することや、自分たちに足りない情報を聞き出すことが求められる。

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まとめ

セルフマネジメントが求められている背景には、働き方の多様化、少子高齢化の進行、ストレスの増加などの理由があると考えられます。社員のセルフマネジメント能力を向上させることで、企業としては業務効率化や生産性向上といったメリットが期待できます。企業の成長のために、社員のセルフマネジメント能力向上に取り組んでいきましょう。

セルフマネジメント能力は、日頃の意識と行動を少し変えるだけで、誰でも高めることができます。本記事で紹介した内容を、ぜひ社員の皆様にも伝えてみてください。

 

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アクティビティが受講者の主体性を高めてコミュニケーションを促進させ、スキルアップやチームビルディングをはかれます。
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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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