SCAMPER法とは?アイデアを生み出す質問、活用する際のポイントを紹介

2024.03.09
  • フレームワーク

新たな事業を始めるときや、新商品を開発するとき、企業が直面している課題の解決策を考えるときなど、ビジネスシーンでは多くのアイデアが必要になる場面が多々あります。しかし、いきなり「アイデアを出してほしい」といわれても、すぐに思いつかないこともあるでしょう。そんなときに役立つのが、「SCAMPER法」というフレームワークです。SCAMPER法を活用すれば、短時間で効率よく、多くのアイデアを生み出すことができるようになります。

本記事では、SCAMPER法とはどのようなフレームワークなのか、7つのカテゴリーごとの質問と、発想の具体例、SCAMPER法のメリットと注意点、SCAMPER法でアイデアを考える際のポイントを紹介します

 

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SCAMPER法とは

SCAMPER法とは、多くのアイデアを出したいときに役立つフレームワークです。「SCAMPER」は、以下の7つの英単語の頭文字を取ったもので、「スキャンパー」と読みます。

  1. Substitute(代用する)
  2. Combine(組み合わせる)
  3. Adapt(適応させる)
  4. Modify(修正する)
  5. Put to other uses(他の用途を考える)
  6. Eliminate(削減する)
  7. ReverseRearrange(逆転させる、再編成する)

SCAMPER法は、この7つの視点から自由に発想してみようというものです。のちほど詳しく紹介していますが、7つのカテゴリーはさらに細分化されており、全部で48個の質問があります。その質問に答える形で、アイデアを生み出していきます。新商品のアイデア出しや、課題の解決策の立案など、さまざまなシーンで活用できるフレームワークです

オズボーンのチェックリストとは

SCAMPER法は、「オズボーンのチェックリスト」を基に、教育研究科のボブ・エバール氏が開発したものです「オズボーンのチェックリスト」とは、ブレインストーミング(※)を考案したアメリカの実業家、アレックス・F・オズボーン氏が生み出したフレームワークで、SCAMPER法と同じく、質問に答える形で発想を広げていきます。

SCAMPER法について詳しく紹介する前に、まずはその基礎となった「オズボーンのチェックリスト」の9つの項目と、それぞれの質問例を見てみましょう。

項目

質問の仕方

転用(Put to other uses

そのままで他に使い道はないか? / 改善、改良することで他に使い道はないか?

応用(Adapt

他にこれに似ているものはないか? / 他のアイデアが考えられないか? / 何か真似できるものはないか?

変更(Modify

意味合い、色、形、動き、音、匂いなど、何かを変えてみたらどうか?

拡大(Magnify

今より大きく、強く、高く、長く、厚くできないか? / 時間、頻度、価値、材料などを増やせないか?

縮小(Minify

今より小さく、低く、短く、軽くできないか? / 何かを取り除いたり、省略したりできないか?

代用(Substitute

何か他のもので代用できないか? / 他の素材を使えないか? / 他のアプローチはできないか?

再配置(Rearrange

取り換えられるものはないか? / レイアウトや順序を変えてみたらどうか?

逆転(Reverse

上下、左右、前後ろを逆にしてみてはどうか? / 役割を入れ替えてみたらどうか?

結合(Combine

組み合わせてみてはどうか? / 混ぜ合わせてみてはどうか?

これらの質問に答えることで、これまでと違った視点で物事を見ることができるようになるので、新たなアイデアが浮かびやすくなります。

※ブレインストーミングとは……複数人が集まり、自由に発想することで新たなアイデアを生み出そうとする会議の手法です。日本語では「集団発想法」とも呼ばれています。

SCAMPER法における質問の具体例

SCAMPER法は、大きく7つのカテゴリーから成り立っており、全部で48個の質問があります。ここからは、SCAMPER法の各カテゴリーの質問と、発想の具体例を紹介していきます。

1.Substitute(代用する)

1つめは、「何かで代用できないか?」という問いかけです。具体的には、以下の6つの質問に答える形でアイデアを生み出していきます。

  • 代用できる部分はどれか?
  • 代わりに何を使うことができるか?
  • 他に誰を含めることができるか?
  • 他にどのようなグループを含めることができるか?
  • 代わりにどのようなプロセスで進めることができるか?
  • 代わりにどのようなもの(素材、原料など)を使うことができるか?

アイデアの具体例としては、「肉料理であるハンバーグを、肉以外の材料を使って作れないか?」という発想から生まれた豆腐ハンバーグや、「パンの代わりに、お米を使ってバーガーを作れないか?」という発想からモスバーガーが生み出したライスバーガーなどが挙げられます。

2.Combine(組み合わせる)

2つめは、「組み合わせることはできないか?」という問いかけです。具体的には、以下の7つの質問に答える形でアイデアを生み出していきます。

  • 何かを組み合わせることはできるか?
  • 何かを混ぜ合わせることはできるか?
  • どのような種類のアンサンブルを使えるか、創れるか?
  • どのようにすれば部分同士を組み合わせられるか?
  • どのようにすれば目的同士を組み合わせられるか?
  • どのようにすれば応用方法を組み合わせられるか?
  • どのようにすればもの(素材、原料など)同士を組み合わせられるか?

アイデアの具体例としては、携帯電話とパソコンを組み合わせたスマートフォンや、ドラッグストアとスーパーマーケットが融合したメガドラッグストアなどが挙げられるでしょう。

3.Adapt(適応させる)

3つめは、「適応させることはできないか?」という問いかけです。具体的には、以下の3つの質問に答える形でアイデアを生み出していきます。

  • 他に、どのような考えが思いつくか?
  • 他に、これに似ているものはないだろうか?
  • 過去にこれに似たような状況はなかったか?

アイデアの具体例としては、ドローンが挙げられます。ドローンはもともと、第二次世界大戦の時代に軍事利用を目的に開発されたものです。それが今では、農業や建設現場など、幅広い分野で活用されています。

4.Modify(修正する)

4つめは、「修正や変更をすることはできないか?」という問いかけです。具体的には、以下の16個の質問に答える形でアイデアを生み出していきます。

  • さらに何か一工夫できないか?
  • 意味合いを、いくらか変えることはできないか?
  • 色や形を変えることはできないか?
  • 音や音声などを変えることはできないか?
  • 何か加えられるものはないか?
  • 高さや高度を増やせないか?
  • 重さを増やせないか?
  • 強度を増やせないか?
  • 頻度を増やせないか?
  • 価値を増やせないか?
  • 何か減らせるものはないか?
  • 何か小さくできるものはないか?
  • 何か簡素化できるものはないか?
  • 控えめに言うことができる部分はどこか?
  • サイズを小さくできないか?
  • もう少し軽くできないか?

アイデアの具体例としては、ダイソンのサイクロン掃除機が挙げられます。以前は、掃除機といえば紙パック式が主流でした。ダイソンは、サイクロン装置を掃除機に応用して、掃除機の「吸引力を強く」し、さらにその「持続力を長く」したことで、ゴミがいっぱいになってくると吸引力が落ちるという紙パック式の課題を解決したのです。

5.Put to other uses(他の用途を考える)

5つめは、「他の使い方はできないか?」という問いかけです。具体的には、以下の3つの質問に答える形でアイデアを生み出していきます。

  • このままの状態で、何か他のことに使えないか?
  • 一部を変えたとしたら、何か他のことに使えるようにならないか?
  • 他にこれを受け入れてくれる市場はないか?

アイデアの具体例としては、大人用の紙おむつが挙げられます。初めて大人用の紙おむつが登場した頃(昭和30年代後半)は、病院での使用がメインでした。しかし、今では在宅介護にも欠かせないアイテムとなり、市場規模も子ども用の紙おむつを上回るほどにまで拡大しています。

6.Eliminate(削減する)

6つめは、「何かを削減できないか?」という問いかけです。具体的には、以下の4つの質問に答える形でアイデアを生み出していきます。

  • 何か取り除いたり、省略したりできるものはないか?
  • ある部分がなかったとしたら、どのように実行できるか?
  • 何か犠牲にできるものはないか?
  • 何かあげてしまえるものはないか?

アイデアの具体例としては、格安航空便のチケットが挙げられます。これまでチケット代に含まれていた機内食やドリンクの提供、手荷物を預けるなどのサービスを有料化したり、早朝・深夜便を活用したりすることで、チケット代そのものの価格を安くすることに成功しています。

7.ReverseRearrange(逆転させる、再編成する)

7つめは、「逆に並べてみたり、構成を変えたりできないか?」という問いかけです。具体的には、以下の9つの質問に答える形でアイデアを生み出していきます。

  • 他に使えるパターンとしてどのようなものがあるか?
  • 他にどのようは配置なら使えるか?
  • 他にどのようなレイアウトなら使えるか?
  • 何かを交換できないか?
  • 何か置換したり、言い換えたりできるところはないか?
  • 何か再結合できるものはないか?
  • 逆にしてみたらどうか?
  • 上下を入れ替えてみたらどうか?
  • 裏返してみたらどうか?

アイデアの具体例としては、「逆さ傘」が挙げられます。これまでの傘は、畳むと濡れた面が外側にくるため、電車の中や人混みで周りが濡れてしまうことがありました。裏と表を逆にして、畳むと濡れた面が内側にくるようにすることで、この課題を解決したのです。

参考:「1ランク上のアイデア」出す人の”超意外”メモ術 企画が苦手な人のための「脳にまかせる」発想法 | リーダーシップ・教養・資格・スキル | 東洋経済オンライン

SCAMPER法のメリット

SCAMPER法の最大のメリットは、短時間で多くのアイデアを生み出すことができるということでしょう

たとえば、会議やミーティングで「良いアイデアはありませんか?」と意見を求められたり、「来週までに一人10個アイデアを考えてきてください」と課題を与えられたりなど、ビジネスシーンではアイデアを生み出さなければいけない機会が多々あります。「アイデアが降りてくる」といわれることもありますが、偶然パッと良いアイデアが浮かぶことは、そう多くないでしょう。そんなときに、SCAMPER法を活用すれば、質問に当てはめて考えるだけで、これまでに思いつかなかったようなアイデアが生まれることが期待できます

また、アイデア出しが得意な人でも、SCAMPER法を活用することで、自分がこれまで見えていなかった視点に気づけることがあります。SCAMPER法は、発想力をより鍛えたいという場合にも有効なフレームワークです。

SCAMPER法の注意点

アイデア出しが苦手な人でも、SCAMPER法や「オズボーンのチェックリスト」を活用すれば、質問に答えるだけで、新しいアイデアが浮かびやすくなります。ただ、質問が決まっているため、発想が形式化してしまう可能性があります。そのため、発想力を鍛えたいなら、これらのフレームワークに頼りすぎないことも大切かもしれません。SCAMPER法や「オズボーンのチェックリスト」は、アイデアを生み出すことに慣れていないチームにおすすめのフレームワークといえるでしょう。

または、最初からフレームワークを使って考えるのではなく、まずはブレインストーミングなどで自由に発想して、「もう、これ以上は何も浮かばない」となったところからSCAMPER法を使うというのもよいかもしれません。

SCAMPER法でアイデアを生み出すポイント

会議やミーティングなどでSCAMPER法を活用する際は、以下の3つのポイントを押さえておくと、より効果的に多くのアイデアを生み出すことができるでしょう。

チェックリストを用意しておく

先ほど紹介したとおり、SCAMPER法には全部で48個の質問があります。この数の質問を覚えるのは難しいので、会議やミーティングなどで活用する際は、質問を記載したチェックリストを用意しておきましょう。それを参加者に配り、参加者は、質問に対する答えが浮かべば別の紙にメモします。そして、その質問のチェック欄に印を入れてから、次の質問へ進むという流れで進めると、効率的にアイデアを生み出すことができるでしょう。

質問のなかには、テーマによっては答えるのが難しいものや、パッと読んだだけでは「意味がわからない」と感じるものもあるでしょう。SCAMPER法は、すべての質問にしっかり回答する必要はありません。浮かばないもの、意味がわからないものはどんどんパスして進めていきましょう。

とにかくアイデアを出す

SCAMPER法を活用するときは、とりあえず「良いアイデアかどうか」は置いておいて、まずは自由な発想でより多くのアイデアを出すことを意識しましょう自分では「これは、さすがに使えないかな」と感じるものでも、全員でアイデアを共有したときに、何かのヒントになることもあるからです。

また、質問のなかには解釈が難しいものもありますが、質問はあくまでもアイデアを出すためのヒントなので、回答がずれていても構いません。慣れるまでは、質問を読んで浮かんだアイデアを素直に書き出してみましょう。

制限時間を決めておく

会議やミーティングなどでSCAMPER法を活用する際は、制限時間を決めておくことも重要です。アイデアは、時間をかけて考えれば生まれるというものではありません。「アイデアを考える」という作業は、脳をとても疲れさせます。長い時間脳を使い続けていると、アイデアの質も下がってきてしまいます。制限時間は、長くても20分くらいまでにするのがおすすめです。

ディスカッションをする

SCAMPER法は、多くのアイデアを生み出すためのフレームワークです。ゴールは「アイデアを出す」ところまでですが、それだけでは成果につながりません。個人でのアイデア出しが終わったら、参加者全員でディスカッションして、テーマに対する答えをまとめていく時間をつくるのがおすすめです。

48個の質問のなかには、意味を理解するのが難しいものもあり、質問の解釈がメンバーによって違っている可能性もあります思い浮かんだアイデアだけでなく、質問の解釈も含めて共有することで、新たな気づきが得られることもあるかもしれません。誰かと誰かのアイデアを組み合わせることで、より良いアイデアが生まれることもあるでしょう。

また、先ほどお伝えしたように、SCAMPER法を活用する際は「とにかくアイデアを出すこと」、つまり「質より量」をまずは重視すべきですが、「量より質」を求めるなら、アイデア出しの時間を短くして、ディスカッションの時間を長めにとり、1つひとつのアイデアを深堀していくのがよいでしょう。

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まとめ

新しいアイデアを生み出したいときに役立つフレームワーク、SCAMPER法を紹介しました。SCAMPER法には、7つのカテゴリーと、全部で48個の質問があります。質問に答える形で発想すると、これまでに思いつかなかったようなアイデアが生まれやすくなります。

SCAMPER法の質問は、あくまでアイデアを出すためのヒントであり、すべての質問に正しく回答する必要はありません。まずは思いつくままに、どんどんアイデアを出していくことが大切です。

また、SCAMPER法の目的は「多くのアイデアを出すこと」ですが、ビジネスでは、さらにそのアイデアを活用して、成果を出すことが求められます。そのため、アイデアを出したあとのディスカッション(アイデアの共有、整理)が非常に重要です。参加者同士で、意見を交換する時間を設けましょう。

 

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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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