採用選考でグループワークを行う目的は?進め方や方法、注意点を解説

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グループワークは、採用選考や社内研修で多くの手法が取り入れている手法の1つです。

提出書類や面接ではわからない、応募者の人柄や価値観、コミュニケーション能力などを見極めることができます。グループワークをより有意義なものにするために、開催する側が実施する目的を正しく理解しておくことが大切です。

また、グループワークは手法によってそれぞれ特徴が異なるので、評価したい項目や目的に合わせて使い分ける必要があります。

本記事では、グループワークの目的や方法、進め方のポイント、注意点などを紹介します

 

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グループワークとは

グループワークとは、主に企業の採用活動やインターン、社内研修などにおいて用いられる選考方法、もしくはワーク形式です参加者を数人のグループに分けて、あらかじめ設けられたテーマに沿った議論を行い、最終的に結論を導き出したうえで、プレゼンや成果物を発表してもらうという形式で実施されます。

グループワークに明確な定義はなく、企業によって実施時間もまちまちですが、5〜6人程度で1グループとなり、議論の所要時間は30〜40分程度であることが一般的です。

グループワークとグループディスカッションの違い

グループワークと混合されやすいグループディスカッションとの違いを見てみましょう。数人の候補者がチームを組んで課題に取り組む点は共通していますが、グループワークは最終的な結論や成果物が求められるのに対し、グループディスカッションはあくまでも議論をするのみという点が異なります。

グループワークが多く活用されている理由

グループワークは、参加者の主体性や人柄など、一般的な書類選考や面接、研修でのセミナーだけでは把握しきれない、パーソナルな部分を知るのに適した方法です。面接の限られた時間でもある程度の見極めは可能ですが、グループワークのほうが具体的な行動特性を観察できるので、個人の特徴や能力をより評価しやすいといえるでしょう。

また、グループワークは、参加者個人の主体性や性格だけでなく、チームワーク力などを見極めることにも長けた手法です。他の参加者とどう関わり合うのか、集団のなかでどのような役割を果たすのかを確認できます。個人では達成できなくてもチームなら実現できるということは、実際の業務上でもよくあることです。

チームになったときの態度やコミュニケーションの取り方など、「共に働く仲間としてどんな人物か?」を見定める必要があります。

採用選考でグループワークを導入する目的

企業が選考でグループワークを実施する目的として次の3つが考えられます。

1.学生と自社のミスマッチを防ぐ 

グループワークでは、実際の業務内容を擬似体験してもらえるテーマが多くあります。ワークを通して、参加者は会社で働くイメージがわきやすくなり、入社後のミスマッチを防ぐことができます。特に新卒採用では、社会人経験のない学生が主な対象になるので、こうしたロールプレイが有効です。また、参加者がグループワークに取り組む姿勢を見ることで、入社後に活躍してくれる人材かどうか客観的に確認できます。

2.仕事におけるコミュニケーション能力を見る

採用面接の最終目的は、自社に適した人材を選ぶことです。企業によって求める人物像は異なり、評価基準も違います。しかし、会社という組織である以上、社内のメンバーや顧客との交流や情報交換は避けられません。職種や業務内容によって多少の差はあっても、コミュニケーション能力は仕事をするうえで不可欠です。グループワークでは、メンバー間の連携や助け合いが必要なので、筆記試験やエントリーシートでは把握できない、参加者の傾聴力や発信力などを把握できます

3.参加者の本来の姿を確認する

書類選考や面接などで自分を良く見せるために、優秀な人材を演じる人は少なくありません。それでは正当な評価をするのは難しいでしょう。グループワークでは、課題に取り組む姿勢や発言、周囲との関わり方など、本人の素に近い姿を確認できます。採用シーンで重視する評価項目や評価基準を定めておけば、参加者の言動や行動と照らし合わせて評価することが可能です。

グループワークの代表的な方法と注意点

グループワークの代表的な手法として、次の6つの方法があります。

  1. マイクロ・ディベート
  2. ジグソー法
  3. ラウンド・ロビン
  4. シンク・ペア・シェア
  5. ピア・レスポンス
  6. スリー・ステップ・インタビュー

それぞれ詳しく見ていきましょう。

参照:いくつかのグループ技法の紹介(PDF)|長崎大学

1.マイクロ・ディベート

ディベートとは、あるテーマについて異なる立場に分かれて議論することをいいます。マイクロ・ディベートは短時間で行う簡易的なディベートです

参加者は基本的に3人で1組になり、議題に対して「肯定」もしくは「否定」のどちらかの立場を選択し、限られた時間のなかで議論を交わします。最終的に「審判」役を説得できたほうが勝利となります。

マイクロ・ディベートは、単なる言い争いではなく知的なやり取りをするワークです。自分の主張を守るために、反対意見に対して説得力のある反論をしなくてはなりません。相手の主張を客観的に分析する力や、自分のメッセージを明確に発信する力を見ることができます。

評価項目

主体性 ★★

説得力 ★★★

実行力 ★★★

発想力 ★☆☆

計画力 ★★

創造力 ★★★

発信力 ★★★

傾聴力 ★★★

情況把握力 ★★★

柔軟性 ★★

コミュニケーション力 ★★★

テーマ例

「フレックス制を導入するべきかどうか」

注意点・ポイント

マイクロ・ディベートは、限られた時間のなかで結論を出さなくてはならないので、肯定も否定もできるテーマを設定し、議論を展開しやすくする必要があります。

参照:Introduction to Micro Debate(PDF)|名古屋市

2.ジグソー法

ジグソー法は、各メンバーに与えられた断片的な情報をもとに、全員で課題を解決していくワーク手法です。4人1組程度のグループに分かれ、各メンバーが専門家になる「エキスパート活動」と、それぞれの知識を組み合わせる「ジグソー活動」を行い、答えを導き出します。それぞれがエキスパート活動で得た、異なる情報(ピース)を持ち寄り、1つの絵を完成させる、まさにジグソーパズルのようなイメージです。

ジグソー法を用いたワークでは、自分しか知らない情報を他のメンバーにわかりやすく伝え、チームとして意見を取りまとめるスキルが必要です。参加者のコミュニケーション能力や情報を整理する力を測れます。

評価項目

主体性 ★★★

説得力 ★★☆

実行力 ★★★

発想力 ★☆☆

計画力 ★★★

創造力 ★☆☆

発信力 ★★★

傾聴力 ★★★

情況把握力 ★★★

柔軟性 ★★

コミュニケーション力 ★★★

テーマ例

「配られたカードに書かれた情報をもとに、一枚の地図を完成させてください」

注意点・ポイント

ジグソー法のグループワークは自分の持つ知識を相手に伝えることがメインになります。どのようにすればわかりやすく相手に伝えられるかなど、担当者がアドバイスしておくと進行がスムーズです。

参照:ジグソーメソッドの目的は?ゲームの進め方や事例を解説!|IKUSA.JP

3.ラウンド・ロビン

ラウンド・ロビンは、新しいアイデアを生み出すための手法の1つである「ブレインストーミング」の簡易版です。参加者は4~6人のグループに分かれ、意見やアイデアを順番に述べていきます。聞き手は、語り手の話をさえぎったり、質問したり、アイデアを評価したりしてはいけません。1つのテーマに対して、次々とアイデアや意見を出し合っていくプロセスが重要です。

このワークでは参加者全員に発言機会が均等に与えられるため、普段は消極的な人でも議論に参加しやすいのがメリットです。柔軟な発想力やアイデアの独創性を測ることができます。

評価項目

主体性 ★☆☆

説得力 ★★

実行力 ★☆☆

発想力 ★★★

計画力 ★☆☆

創造力 ★★★

発信力 ★★★

傾聴力 ★★★

情況把握力 ★☆☆

柔軟性 ★★★

コミュニケーション力 ★★

テーマ例

「新商品○○をPRする方法を考えてください」

注意点・ポイント

できるだけ多くのアイデアを出してもらう必要があるため、ファシリテーターが働きかけて、気軽に話しやすい雰囲気を作り、発言を促すことが重要です。

参照:始めよう!アクティブラーニング型授業 -話し合いの技法編-(PDF)|愛媛大学

4.シンク・ペア・シェア

シンク・ペア・シェア(Think Pair Share)は、アクティブラーニングの技法の1つです。その名前のとおり、与えられたテーマに対して、1人で考えをまとめ(Think)、それをペア(Pair)になって共有・議論し、さらにその内容を全体で共有(Share)します。

自分の考えを他者と比較をしながら、より良いアイデアに仕上げていくのに有効です。まず、1人で考えるためペアでの共有がしやすくなり、またペアになって話し合っているため、大人数の前でも緊張することなく発表できます。自分の考えをまとめ、人と共有し、再構築する力が求められます。

評価項目

主体性 ★★

説得力 ★★

実行力 ★★

発想力 ★★★

計画力 ★★

創造力 ★★

発信力 ★★★

傾聴力 ★★★

情況把握力 ★★★

柔軟性 ★★

コミュニケーション力 ★★★

テーマ例

「個人と集団とではどちらの利益が優先されるべきか」

注意点・ポイント

一見、手軽に実施できるように思えますが、シンク(5分程度)からペア(10分程度)、シェア(10〜20分)というプロセスを踏むため、意外と時間がかかります。時間管理をしながら進行しましょう。

参照:始めよう!アクティブラーニング型授業 -話し合いの技法編-(PDF)|愛媛大学

5.ピア・レスポンス

ピア(peer)とは仲間を意味する言葉です。ピア・レスポンスは、仲間と協力しながらレポートやプレゼンなどを推敲していくワークを指します。参加者はペアもしくは少人数のグループを作り、それぞれが書いた内容について感想や改善点を伝え合います。

書き手と読み手の両方の立場を体験し、お互いにフィードバックすることで、読解力や聞く力が養われ、表現能力の向上につながります。ワークを通して、読み手にわかりやすく伝えられているか、批判を受け止めて改善できたかなどを判断できます。

評価項目

主体性 ★★★

説得力 ★★★

実行力 ★☆☆

発想力 ★★

計画力 ★☆☆

創造力 ★☆☆

発信力 ★★

傾聴力 ★★★

情況把握力 ★★★

柔軟性 ★★

コミュニケーション力 ★★★

テーマ例

「A町の人口減少を防ぐための方法を考え、A4用紙1枚のレポートにまとめてください」

注意点・ポイント

ピア・レスポンスは、参加者の主体性が問われるワークです。協調性やコミュニケーション能力が乏しい場合、話し合いが進まない可能性があります。担当者が一定のルールや流れを定めておくといいでしょう。

6.スリー・ステップ・インタビュー

スリー・ステップ・インタビューは、3段階に分けたインタビューを通して、参加者の交流の機会を作り、コミュニケーションスキルを高めるワークです。4人1組でグループを作り、AとB、CとDの2組のペアに分かれます。お互いにインタビューし合い、パートナーから得た内容をまとめて、他のペアに報告します。

自分自身ついて話す「自己紹介」と、他人について紹介する「他己紹介」の両方を行うことで、より深い相互理解につながるでしょう。必要な話を聞き出す力やまとめる力、相手の話を聞く姿勢などを見極めることができます。

評価項目

主体性 ★★★

説得力 ★☆☆

実行力 ★★

発想力 ★☆☆

計画力 ★☆☆

創造力 ★☆☆

発信力 ★★★

傾聴力 ★★★

情況把握力 ★★☆

柔軟性 ★★

コミュニケーション力 ★★

テーマ例

1.「AさんはBさんにインタビューしてください」

2.「BさんはAさんにインタビューしてください」

3.「インタビューの内容を要約して、C・Dのペアに紹介してください」

注意点・ポイント

あくまでもインタビューなので、話し合いになったり、相手の話を評価したりしないよう注意が必要です。

 

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まとめ

グループワークは、書類選考や面接だけでは見極められない、学生の真の人柄やコミュニケーション能力を見定めるのに有効な手段です。採用ミスマッチを防ぐことにもつながります。

一口にグループワークといっても、さまざまな手法があります。情況に応じて、これらの手法を使い分けることで、自社に見合った人物なのか判断できるでしょう。ひいては優秀な人材の獲得につながります。今回の記事を参考に、ぜひ効果的なグループワークを実施してください。

 

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この記事の著者

masaki

福岡在住。大学を卒業後、大手食品メーカー勤務を経て、異業種のライターへ転身。求められている情報をわかりやすく伝えることがモットー

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