感受性訓練とは?目的や歴史をわかりやすく解説

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この記事の監修者
株式会社motch me 取締役
石野 太一
同志社大学在学中に大学生向けクリエイティブスクールの立ち上げに携わる。25歳の時に「地頭を鍛える」をコンセプトに、謎解きやパズルを用いた学習塾「たいち数楽教室」を開塾し、延べ300名以上を指導。その後ベンチャー企業の一号社員として研修事業の責任者を務め、営業・コンテンツ開発から講師登壇までを担い、年間88回登壇した実績を持つ。「講師は現場を離れて講師だけをやっていてはいけない」をモットーに、現在はイベント制作会社の取締役として経営企画・人事に携わりながら、講師活動を続けている。

かつて、日本でも感受性訓練というトレーニングが広まった時期がありました。現在でも、自己理解や他者理解を深める方法として用いられることがあります。

本記事では、感受性訓練とはどのようなものなのか、感受性訓練に由来する2つの訓練も含めて、詳しく解説します。

 

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感受性訓練とは

感受性訓練とは、自分と他者を深く理解できる人になり、人間関係をより良くするための訓練法です。「社会心理学の父」と呼ばれるクルト・レヴィンが考案したもので、英語ではセンシティビティ・トレーニング(Sensitivty Training)と呼ばれます。略して「ST」とされることもあります。

感受性訓練は、一般的には10~15人程度のグループに分かれ、合宿形式で行います。グループは面識がなく、年齢や職業などが異なるメンバーで構成することが多いです。各グループにはトレーナー(ファシリテーター)が付きますが、トレーナーからテーマや進行方法を提示されることはほとんどありません。訓練で何を学ぶのか、どのように進めていくのかなどは、参加者たちで考えます。

感受性訓練の目的

感受性訓練を考案したクルト・レヴィンは、グループ・ダイナミクス(集団力学)という概念を提唱しています。グループ・ダイナミクスとは、「集団の中では個人の行動・思考は集団から影響を受け、同時に集団も個人の行動・思考の影響を受ける」という集団特性、またはそれを研究する学問や理論を指します。

そしてクルト・レヴィンは、1947年に発表した「集団力学の開拓線」において、集団心理を変容させる方法を以下の3ステップに分けて論じています。

1.溶解(unfreezing)

現状を把握し、行動や思考の偏向性を溶かす(捨て去る)ステップです。コミュニケーションとりながら変革の重要性を認識し、変革に対する動機を高めます。

2.移動(moving)

行動や状態を変化させるステップです。望ましいパターンを学習・理解し、変革のための具体的な計画を立てて、実行します。

3.凍結(freezing)

新たなパターンを定着させて、習慣化させるステップです。このステップを飛ばすと、組織は元の状態に戻ってしまう可能性があります。

参考:組織開発の歴史的変遷と研究動向 – 國學院大學学術情報リポジトリ「K-RAIN」(PDF)

感受性訓練は、もともとはこの「溶解」の訓練法として提唱されたものでした。外見、人柄、発言、ふるまい、過去の経験などがフィードバックに晒されることで、他人から見た自分や自分の固定観念に気づきやすくなります。これを一定期間続けることで、自我を溶かすことができるとされています。

現在は、自己理解や他者理解を深めること、コミュニケーション活性化や人間関係の円滑化を目的に行われること多いようです。

感受性訓練の歴史

感受性訓練は、1960〜70年代に日本でも急速に広まりました。しかし自我を溶解させようとするあまり内容が過激化し、歪んだ形で流行した歴史があります。参加者に心理的外傷が残る、セミナー中毒に陥る人が続出するなど、当時は多くの深刻な社会的・倫理的問題を引き起こしました。

また、そもそもクルト・レヴィンが考える「溶解 → 移動 → 凍結」のプロセスで集団心理を意図通りに変容させることは可能なのか、このような手法を用いていわば「心理を操作する」ことは正しいのか、という問題も指摘されています。

このような歴史的な教訓や問題点を踏まえ、現在は感受性訓練を発展させ、アンコンシャスバイアス研修、DEI研修、フィードバック文化の醸成、チームビルディングなどに活かすケースが見られます。

 

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具体的なワーク・考え方の例

ここでは、感受性訓練に関連するワーク・考え方の例を紹介します。

ジョハリの窓

感受性訓練は、自己開示やフィードバックを通じて自己理解・他者理解を深めるものであるため、「ジョハリの窓」は親和性の高いフレームワークであると考えられます。これは、以下の4つの窓(領域)に自分の情報を整理して、理解を深める心理学モデルです。

  • 開放の窓:自分も、他者も知っている自分
  • 秘密の窓:自分が知っていて、他者が知らない自分
  • 盲点の窓:他者が知っていて、自分が知らない自分
  • 未知の窓:自分も、他者も知らない自分

自己理解や相互理解を深めるために、企業の研修でも用いられることがあります。

フィードバックを通じた気づき

感受性訓練では、フィードバックを与え合うような仕組みを用意することも重要です。他者から率直な意見を受け取ることで、客観的に自分を知ることができます。

たとえば、「絶対〇〇ですよ」と自信を持って述べたことに対して、「なぜ絶対だと思うのですか?」と返されることで、初めて「無意識の思い込み」だと気づける場合もあります。こうした気づきは、決めつける言い方をしない、ファクトチェックするなど、具体的な行動変容につながります。

グループワークによる相互理解 など

グループワークも、自己理解や相互理解を深めるのに有効です。「何を話すか」ではなく「どのように関わるか」を意識して取り組むことで、自分のコミュニケーションや関係性の築き方の特徴に気づけることがあります。グループワークで得られた気づきは、他者とのより良い関係構築に活かすことができるでしょう。

感受性訓練に由来する2つの訓練

次に、感受性訓練に由来する2つの訓練を簡単に解説します。

Tグループ

Tグループは、「トレーニンググループ」の略称です。1946年にクルト・レヴィンが行った、人種や宗教の偏見を解消するためのワークショップがもとになっているとされています。

Tグループでは、参加者は10人程度のグループに分かれて、日常から離れた研修施設などで、1週間ほどかけてグループセッションを行います。テーマは用意されておらず、基本的にはファシリテーターから指示もありません。参加者は自分たちでテーマを決め、「今、ここ」に注目して話し合いを進めていきます。

Tグループは、人とかかわる仕事(教師、講師、カウンセラーなど)をしている人や、組織開発にも利用されることがあります。

エンカウンター・グループ

エンカウンター・グループは、心理学者のカール・ロジャーズが感受性訓練を継承・発展させて提唱したものです。「エンカウンター」には「出会い」の意味があります。エンカウンター・グループは、「本当の出会い」を実現するための活動です。

実施方法としては、以下の2種類があります。

  • 構成的エンカウンター・グループ…リーダーが設定した議題について、リーダーを中心に話し合うことで関係を深めるものです。大人数で実施することもできます。
  • 非構成的エンカウンター・グループ……リーダーも議題もなく、少人数のグループで自由にセッションします。

Tグループとエンカウンター・グループの違い

Tグループとエンカウンター・グループでは、まず進め方が違います。お伝えしたようにTグループは、テーマや議題は用意されておらず、参加者はこれらを自分たちで決めて話し合いを進めていきます。一方のエンカウンター・グループは、あらかじめ議題を用意しておく(リーダーが設定する)やり方もあります。

また、この2つは目的も異なります。Tグループは人間関係や自分自身について気づきや学びを得るため、一方のエンカウンター・グループは自己の成長や人間関係の改善のために行うものといえるでしょう。

まとめ

感受性訓練は、テーマや進行方法に決まりがないため、効果的に実施するにはトレーナー(ファシリテーター)に高い専門スキルが求められます。

社員に自己理解や他者理解を深めてほしいなら、ある程度プログラムを決めて「社内研修」という形でトレーニングの機会を設けてみてはいかがでしょうか。社員同士でディスカッションやグループワークに取り組んでもらうことで、コミュニケーション活性化やチームビルディングといった効果も期待できます。

あそぶ社員研修でも、自己理解や他者理解を深めるのに役立つさまざまなプログラムを提供していますので、お気軽にご相談ください。

参考:社会心理学の「精神操作」幻想 - 身心変容技法研究会(PDF)

 

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この記事の著者

あそぶ社員研修編集部

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