内定ブルーとは?原因・対処法や陥りやすい人の特徴を解説

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この記事の監修者
株式会社IKUSA あそぶ社員研修事業部 責任者
友水 一喜
慶應義塾大学文学部人文社会学科美学美術史学専攻卒業。
大学卒業後、クラシック音楽業界にて制作・マネジメント・プロデュースに従事し、アートと教育の融合をテーマに、「体験を学びとして届ける」手法を追求してきた。
その後、体験型コンテンツ会社を経て、株式会社IKUSAにクリエイティブプロデューサーとして入社。
現在は研修事業部の責任者として、体験型・ゲーム型の社員研修事業を統括している。
ユーザー視点に立ったサービス開発を得意とし、「楽しさが行動変容を生む」という信念のもと新しい研修体験を創出している。

新卒の内定者が陥る可能性がある内定ブルー。「せっかく内定がでて、安心なはずなのにどうして?」と思う方もいるでしょう。しかし、売り手市場の新卒採用であり、大切な新卒カードだからこそ、悩みが生じやすくなるのです。

本記事では、内定ブルーがどのような状況で生じるのかを追求しながら、採用担当者として実践できる内定ブルーへの対処法を紹介します。

内定ブルーとは?

内定ブルーと聞くと、かつて新卒であっても内定獲得に苦労した世代にとっては、売り手市場だからこその贅沢な悩みに感じられるかもしれません。しかし、一時的にまだ見ぬ未来へのプレッシャーから憂鬱な気持ちになるだけではなく、内定辞退や早期離職につながることもあるため、人事担当者にとっては留意すべき問題です。

内定ブルーという言葉は、2010年代半ば頃から様々なメディアで使われるようになりました。その具体的な症状や陥りやすい時期、実際にどの程度の学生が陥るのかの割合を紹介します。

内定ブルーになった際の症状は?

内定ブルーになると、具体的に以下のような、鬱に似た症状を感じることがあるようです。

  • よく眠れない
  • わけもなく涙がでる
  • 将来のことを考えると憂鬱になる
  • 友人と比べて自分が劣っているように思える
  • ネガティブな気持ちになる

内定ブルーの症状が悪化すると、学生生活にも支障が出て、誤った判断をしやすくなります。症状がでた際は放置せずに、周囲の人に話を聞いてもらうことが大切です。

内定ブルーになりやすい時期は?

学生自身も自ら希望して就職試験を受けるため、内定が決まって嬉しい、ホッとした、前向きに頑張ろうという心境の時もあります。しかし、昨今の大学生の新卒採用においては、一般的には内定は10月頃、内々定は67月頃にでるため、以下のように何回か内定ブルーに陥るタイミングがあるようです。

  • 内定承諾後
  • 大型連休後
  • 内定式前後

タイミングごとに、学生がどのような心境から内定ブルーに陥るのかを解説します。

内定承諾後

内定が決まった後、あまり時間をおかずに就職活動を再開する学生もいます。多くの場合、「もっと良い企業があるかもしれない」と思い、迷いが生じたからです。

「内定を得たものの第一志望ではなかった」「友人がもっと良い条件の企業の内定を得ている」「内定が決まった企業のネガティブな評判を聞いたり、読んだりした」などが原因として考えられます。

大型連休後

大型連休中に学生は友人と旅行にいったり、久しぶりに地元の友人とあったりします。その際、友人の話から、彼らが内定を得た企業のほうが良いように感じることもあるでしょう。また、連休を楽しめば楽しむほど、楽しい学生生活を終えて、これからは社会人として働き続けなくてはならないことに不安を感じることもあります。

内定式前後

最も内定ブルーに陥りやすいのが内定式前後です。式典をへることで、いよいよ学生時代が終わり、社会人生活が始まる実感が湧きます。そのため、プレッシャーが強くなり、内定ブルーに陥りやすいです。

また、内定式の際に同期や社内の人と交流するため、人間関係において不安を感じるケースもあります。

内定ブルーに陥る人の割合は?

内定ブルーは、企業の採用に大きな影響があります。それは、株式会社Synergy Careerが運営する「就活総合研究所」が行ったアンケート「【24卒】内定ブルーを経験した割合」によると、内定ブルーを経験したことがある学生の割合は65%。11月の時点でも43.5%が内定ブルーの状態にあったという結果でした。

この数字から、企業の人事担当者にとっては、確実に対処が必要であるといえるでしょう。

参考:【調査報告】内定ブルーで2割以上の学生が就活を再開! 対処法は「学生に評価した点を伝える」が効果的|就活総合研究所

内定ブルーがもたらす悪影響

多くの学生が実際に内定ブルーを体験しているというアンケート結果でしたが、内定ブルーは由々しき事態をもたらします。まず「この企業に決めたのは失敗だった」と感じた学生は、就職活動を再開することがよくあります。また、その結果、別の企業への就職を決めて、内定を辞退することもあるでしょう。

しかし、入社前であれば、傷はまだ浅いといえるかもしれません。内定ブルーのまま、不安が解消されずに入社した場合、前向きに仕事ができずに早期退職につながることもあるでしょう。厚生労働省による「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」によると、就職後3年以内の離職率は新規大卒就職者で34.9%。大きな影響を感じます。

参考:新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表します|厚生労働省

学生が内定ブルーに陥りやすい背景

前記した通り、“内定ブルー”という言葉は、2010年代半ばから使われるようになりました。かつてはそのような状況はなく、学生がおかれている現在の新卒採用市場が内定ブルーの背景としてあります。

まず、現在は圧倒的に売り手市場であり、就職率が高いため、学生側に多くの選択肢があります。選択肢が少なければ、選べる範囲で迷うこともできませんが、選べるが故に迷いが生じやすくなるでしょう。また、現在では転職を繰り返す人も少なくありませんが、新卒カードは未だに大きな威力があります。そのため、より良い選択肢を選ばなければならないという焦りもあるでしょう。

さらに、企業としては新卒の学生を確保するために、内々定にいたっては6月~7月など、より早い時期にだします。そのため、内定が決まってから、実際に働くまでの猶予期間が長くなるため、考える時間が増えて内定ブルーに陥りやすくなります。内定直後は前向きな気持ちで入社への意欲が高い学生も、この間に企業へのネガティブな情報を入手することもあるでしょう。

このような理由から、学生が内定ブルーに陥ることは避けがたい事情があります。

内定ブルーになる学生個人の事情

売り手市場である新卒採用市場は、学生が内定ブルーに陥りやすい状況にあります。そのため、内定ブルーを理解し、対処するためには、学生個人の内定ブルーになってしまう事情に注目する必要があります。学生が内定ブルーに陥る原因としては以下があげられます。

  • 第一志望の企業ではないため
  • 社会人として働くことに不安を感じているため
  • 自分の決定に自信がもてないため
  • 入社後に活躍できるイメージがつかめないため
  • 生活が変化することに不安を感じるため
  • 企業の悪評に触れて不安になったため
  • 経済的に不安を感じるため

一つずつ解説します。

第一志望の企業ではないため

売り手市場とはいえ、多くの学生が第一志望の企業に入社できるわけではありません。そのため、他の企業からの内定を承諾したとはいえ、就職活動への後悔を抱き続けるケースがあります。社会人経験があれば、第一志望の企業でなくても、マッチした職場であれば活躍できるイメージをもてますが、知らないからこそ迷いが生じやすくなるでしょう。

社会人として働くことに不安を感じているため

学生も大学に通い、決められた期限までに課題を提出するといった責務がありますが、一般的には社会人よりも自由な時間が多く、仕事上の責任が生じることはありません。しかし、就職すれば、社会人として時間や目標管理を行い、規則正しい生活にも対応する必要もあります。社会人になった後での、学生とは異なるこうした責務が環境に不安を覚えることも少なくないようです。

自分の決定に自信がもてないため

第一志望の企業への内定であっても、不安を感じる学生は少なくありません。自分なりに業界分析をして熟考した上での決定であっても、経験がないからこそ、その決定に自信がもてないからです。これまで努力して受験を勝ち抜いてきた、慎重で真面目な学生だからこそ、このような不安を感じることもあるでしょう。

入社後に活躍できるイメージがつかめないため

特に「その職種でスペシャリストを目指したい」「その業界で活躍したい」といった目的意識が強い学生の場合、本当にその企業で思い描いたキャリアが築けるか、不安を感じるケースもあるでしょう。こうした学生の場合は、入社後の研修制度や具体的な仕事内容がイメージできると不安を解消しやすいです。

生活が変化することに不安を感じるため

就職後に実家から上京して一人暮らしをしたり、独身寮に入ったり、生活が変わるケースもあります。その場合、昼間の間、過ごす場所が大学から企業になるだけではなく、帰宅後の生活も大きく変化することになります。家族や親しい友人が身近にいなくなることを心細く感じる学生も多いでしょう。

企業の悪評に触れて不安になったため

インターネット上には様々な情報があり、企業に関する口コミを扱うサイトも多数存在します。そうした情報の全てが正しいわけではありませんが、悪評に触れれば不安になることもあるでしょう。また、身近な人から良くない噂を聞くこともあります。

経済的に不安を感じるため

特に一人暮らしをすることになった場合、家賃や生活費などが必要となり、学生時代よりも経済的に負担が重くなるケースもあります。「本当に自分の給料でやっていけるのか」「奨学金を滞りなく返済していけるのか」といった不安を感じる学生もいるでしょう。

内定ブルーに陥りやすい人とは?

同じような事情を抱えていても、内定ブルーに陥る学生とそうならない学生がいます。学生の個々の性格も、採用担当者としては注目すべき点といえるでしょう。以下のような性格だと内定ブルーに陥りやすいと考えられます。

  • 環境の変化に弱い人
  • 思考がネガティブな人
  • 完璧主義の人
  • 自己分析がしっかり行えていない人

一つずつ解説します。

環境の変化に弱い人

学生から社会人になると、大きく環境が変化します。学生では体験できないことも多く、成長にもつながるため、心待ちにする学生もいる反面、繊細な性格の人は不安を感じやすいでしょう。採用担当者としては、特に就職をきっかけに実家を離れるなど、大きく環境が変化することになる学生に注視すべきです。

思考がネガティブな人

新しい挑戦に対して、悪いことが起こるのではないかと考えがちな人は内定ブルーに陥りやすいです。情報が不十分だとネガティブな想像をしやすくなるため、採用担当者側から正しい情報を随時提供することが大切です。

完璧主義の人

一見しっかりした真面目な学生が、内定ブルーに陥ることもあります。完璧主義の人は、企業についてのネガティブな情報に触れたり、面談や研修で違和感を覚えたりすると、気になることが多いようです。疑問点や不安点を解消できるようなコミュニケーションが大切です。

自己分析がしっかり行えていない人

学生の中には、自己分析をしっかり行わずに状況に流されるまま、就職活動をした人もいます。その場合、「本当にこの企業でいいのか」と迷いが生じやすくなり、悩むこともあるでしょう。そうした場合は、面談や研修を行い、動機付けをフォローすることも有効です。

採用担当者が実践すべき内定ブルーへの対処法

学生の内定ブルーによる内定辞退は、ある程度仕方がない面はあるでしょう。しかし、採用担当者のミッションとして、学生の不安をできる限り解消し、入社後に十分に活躍してもらえるように導く必要があります。

採用担当者が実践すべき内定ブルーへの対処法は以下の通りです。

  • 定期的に採用担当者から内定者をフォローする
  • 説明会や座談会を実施する
  • 内定者同士の懇親会を実施する
  • 内定者アルバイトなど、実際の仕事に触れる機会をつくる
  • 内定式を実施する
  • 内定者が楽しめる研修を実施する

一つずつ解説します。

定期的に採用担当者から内定者をフォローする

内定は一般的に10月頃にでるため、入社までに5ヶ月ほどの期間があります。長期間連絡がない場合、不安を感じやすいため、採用担当者から電話やメール、オンラインでのカジュアル面談などを実施するのがおすすめです。細かくフォローすることで、入社までの不安や疑問点を解消しましょう。

説明会や座談会を実施する

内定者に対して、情報開示することにより、内定ブルーを防ぐことができます。社内の人間にとっては当たり前のことでも、学生にとっては分からないことはたくさんあるものです。また、いちいち質問するのをためらうケースもあるでしょう。説明会や先輩社員との座談会を実施して、こちらから情報開示に努めましょう。

内定者同士の懇親会を実施する

同じ立場にあり、同期の仲間となる内定者同士での交流を活性化することで互いに不安が解消されます。内定者同士の懇親会など、イベントを実施することがおすすめです。

内定者アルバイトなど、実際の仕事に触れる機会をつくる

実際の仕事がこなせるのか不安に思うケースや、働くイメージが具体的に思い描けないことも内定ブルーにつながります。内定者アルバイトや現場での実践的な研修を実施することで、入社後の仕事がどんなものか明確になるでしょう。社内で働くことで、これからの目標を立て、前向きに備えることもできます。

内定式を実施する

内定式前後に内定ブルーに陥りやすいと前記しましたが、内定式は一つの区切りとなり、心が前向きになるきっかけにもなります。また、モチベーションアップや内定者同士の連帯感も生まれやすいです。

内定式で企業の魅力やビジョンなどを伝え、動機付けを行うことも大切です。また、社内で表彰されたプロジェクトを紹介したり、入社した後の感想を先輩社員に伝えてもらったりすることも効果的といえます。

内定者が楽しめる研修を実施する

実際の仕事につながる研修を行うことも効果的ですが、内定者がリラックスして楽しめる研修を行うことで、よりコミュニケーションが深まり、帰属意識も高まります。また、内定者だけではなく、先輩社員も一緒に研修を受けることによって、お互いに人となりを知ることができるため、よりスムーズにチームとして働きやすくなります。

まとめ

新卒の内定者が陥りやすい内定ブルーンについて解説しました。内定を承諾した学生が不安に陥る内定ブルーは、特別な人がなるわけではなく、実際に多くの学生が体験することです。内定ブルーという言葉自体、使われるようになったのは2010年代前半で、売り手市場だからこその悩みでもあります。

内定ブルーは、実際に内定辞退や早期退職につながることが少なくありません。採用担当者にとっては、せっかくリソースをかけて内定にこぎつけた内定者を失うことは避けたいことです。また、内定ブルーを防ぐための施策は、新入社員のモチベーションアップと定着につながります。今回紹介した対処法をぜひ参考にしてください。

この記事の著者

IKUSA編集部

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