図解思考とは?身につけるメリットと実践方法や鍛え方を紹介

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この記事の監修者
株式会社IKUSA あそぶ社員研修事業部 責任者
友水 一喜
慶應義塾大学文学部人文社会学科美学美術史学専攻卒業。
大学卒業後、クラシック音楽業界にて制作・マネジメント・プロデュースに従事し、アートと教育の融合をテーマに、「体験を学びとして届ける」手法を追求してきた。
その後、体験型コンテンツ会社を経て、株式会社IKUSAにクリエイティブプロデューサーとして入社。
現在は研修事業部の責任者として、体験型・ゲーム型の社員研修事業を統括している。
ユーザー視点に立ったサービス開発を得意とし、「楽しさが行動変容を生む」という信念のもと新しい研修体験を創出している。

昨今のビジネスシーンでは、複雑な内容を迅速に理解する能力が求められています。しかし、このことは、読解力を養ったり、勉強したりするだけでは、難しいものがあるでしょう。物事を図にすることで、スムーズな理解を可能とし、説明にも役立つ図解思考の技術は、そんな時に役立ちます。

本記事では、図解思考の概要、身につけるメリット、実践方法や鍛え方について紹介します。

図解思考とは

「図解思考」とは、知的生産研究家である永田豊志氏が提唱した、ビジネスパーソンの知的生産力を大幅に高める方法です。具体的には、「自分の考えを図で整理して、わかりやすく人に伝える技術」とされています。身につけることで、自分の頭にある情報やアイデアが言葉だけではなく、ビジュアル化されるため、シンプルになり、理解しやすくなります。また、図で示すことで、誰かにスムーズに伝えやすくなります。

現代ビジネスにおける図解思考の意義

図解思考を磨くことは、現代ビジネスにおいて、意義深いことです。現代は技術革新のスピードが速く、情報過多であり、状況は複雑です。そんな中、多くのビジネスパーソンは、短い時間で情報を把握、分析して、効率よく共有するスキルが求められています。

図解思考の技術を身につけることで、現代のビジネスシーンに必要な情報や考えをまとめる力や、スムーズなコミュニケーションを可能にする伝える力が身につきます。また、言葉のみで表現するのが難しい複雑な内容も、抽象化して本質だけを抜き出すことで、自分を含め、みんなが理解しやすくなり、議論も活性化しやすくなります。

図解思考のメリット

情報や考えをまとめるというなら、図ではなく、箇条書きでもいいのではないのか。そう考える方もいるでしょう。しかし、図にすることには、箇条書きとは異なる以下のようなメリットがあります。

  • 複雑な状況でも、全体を把握しやすくなる
  • 言語化する手間が省けて、時短につながる
  • 時間がたっても記憶に残りやすい
  • 誰かに相談や報告がしやすくなる
  • アイデアが展開しやすくなる
  • プレゼンテーションに活用できる

一つずつ解説します。

複雑な状況でも、全体を把握しやすくなる

特に新入社員のオンボーディングや新しいプロジェクトの立ち上げなどでは、社内に関するさまざまな情報や、複雑な業務の流れなどを短期間で把握する必要もあるでしょう。文章を読むだけでは、全体像が把握できないこともあります。図で整理することで、そうしたケースでも、全体的に把握しやすくなります。

言語化する手間が省けて、時短につながる

すべてを言語化して把握しようとした場合、感覚的にわかっていることでも、理屈の通った言語に変換しなくてはならない分、時間がかかってしまうでしょう。言葉だけではなく、図を用いて表現すると、すべてを言語化するほど時間はかからず、時短につながることもあるでしょう。

時間がたっても記憶に残りやすい

図にするという作業をへることで、記憶に残りやすいというメリットがあります。また、時間がたってから、再度図を見直せば、一目で内容を思い出しやすいでしょう。

誰かに相談や報告がしやすくなる

自分が理解しやすいだけではなく、上司や同僚などに情報を共有したり、説明したりする際に、図を見せることで理解が得られやすくなります。

アイデアが展開しやすくなる

プロジェクトや商品企画などを図にした場合、内容が把握しやすいというだけではなく、そこからさらに新しいアイデアを思いついたり、ヌケていることを付け加えたりしやすくなります。新しいアイデアが浮かばない、ヌケやモレなどを見つけたい場合も、図にすることは有効といえます。

プレゼンテーションに活用できる

プレゼンテーションの資料として、図解を取り入れると、相手が視覚的に内容を理解しやすくなります。また、視覚的に効果的な図があることで、相手を引き込みやすくなり、プレゼンテーションの成功にもつながるでしょう。

図解思考を身につけるためのマインドセット

「絵を描くのは苦手なのに、図が書けるのだろうか」と、悩む方もいるのではないでしょうか。確かに多くの方は書き慣れていない図を書くことは難しいと感じるでしょう。しかし、実際は以下のようなマインドセットを持つことで、図解思考を身につけることができます。

  • 図にすることを楽しむ
  • 図の基本パターンは四角形と矢印だけで簡単
  • 数多く実践してみる

一つずつ解説します。

図にすることを楽しむ

難しいこと、やらねばならないことと思うと、どうしても気が重くなってしまうでしょう。しかし、図解思考は、仕事を効率化し、発展させるための技術です。そして、実際に身につければ、今まで大変だと感じていたことも楽にこなしやすくなります。

図にすることをまず楽しむことが大切です。持ち歩きがしやすく、扱いやすいお気に入りのノートやペンなどを使うことも、楽しめるきっかけになるでしょう。

図の基本パターンは四角形や丸と矢印だけで簡単

図解思考というと、勘違いしている方もいるかもしれませんが、絵心は必要ありません。基本のパターンは、まずキーワードを四角形や丸で囲うだけです。そして、キーワードを線や矢印でつなぎます。これさえできれば、図は書けますので、大掛かりなプロジェクトではなく、小さな業務から試してみるとよいでしょう。

数多く実践してみる

はじめは図にするのに時間がかかったり、何を図にすべきかわからなかったり、スムーズにいかないこともあるでしょう。しかし、図を書くことに慣れることによって、ハードルは低くなり、活用の幅も広がるでしょう。アイデア出しや、会議の内容の整理など、意識して実践するのがおすすめです。

図解思考の基本

図解思考の技術を身につけるには、シンプルな基本パターンから実践することが大切です。まずは、以下の図解思考の基本を確認してください。

  • キーワードを抽出して囲む
  • キーワードの関係性を矢印で示す
  • 7つのバリエーションを把握する

一つずつ解説します。

キーワードを抽出して囲む

図解思考のスタートは、まずキーワードがあります。言語のみでまとめる場合は、一つの単語ではなく、「~が、~である」といった形にする必要がありますが、図解思考では、キーワードとなる言葉だけを抜き出し、それを丸か四角で囲みます。

キーワードといってもピンとこない方もいるかもしれませんが、「人事課題」なら、「採用」「育成」「組織」「人事制度」といった言葉が挙げられます。単語を四角や丸で囲むことで、文字だけとは異なり、その言葉自体に存在感がでてきます。

また、四角で囲む言葉と、丸で囲む言葉を分けるだけで、言葉同士の立ち位置の違いも明確になるでしょう。たとえば、「人事課題」を四角で囲い、具体的な内容にあたる言葉である「採用」「育成」「組織」「人事制度」を丸で囲むといった形です。

文字同士の関係性に沿って、並べたり、線でつないだりすることで、より分かりやすくなります。

キーワードの関係性を矢印で示す

キーワードごとの関係性や、力の流れをより明確にするために、矢印を活用します。矢印には以下の3つのパターンがあります。

一方向への流れを表す矢印

矢印が示す方向に向けて、物事が移り変わったり、影響を与えたりすることを示します。たとえば、「疑問→結論」といった形です。

双方向への影響を表す矢印

矢印を2本使うことで、一方向だけではなく、相互に影響し合ったり、交換ややりとりの関係を示したりできます。たとえば、「上司部下」といった形です。

対立を表す矢印

2つのキーワードの関係が、相反、対立する関係であることを示す矢印です。たとえば、「帰属意識多様性」といった形です。

見るだけで、2つ以上のキーワードがお互いにどのような関係にあるかはっきりと分かるので、誰かに説明する際も、理解されやすくなります。

7つのバリエーションを把握する

キーワードを四角や丸で囲み、矢印でその関係を示すことができるようになったら、さらに、以下の7つの図のバリエーションを把握しましょう。

交換の図

2つ以上のキーワードの交換関係を示す図です。交換の関係にある2つのキーワードを平行して書き、四角か丸でそれぞれ囲います。その後、2つのキーワードの間に、双方向への影響を表す矢印を書き、交換の内容を矢印の上に書きます。

ツリーの図

アイデアや課題を断層ごとに展開する図です。3つ以上のキーワードを四角か丸でそれぞれ囲い、意味ごとにグループ化し、ツリー状にまとめます。

深堀りの図

課題や疑問点を深堀りする際に活用する図です。課題や疑問点の中心となるキーワードを1つ提示し、四角か丸で囲い、キーワードの下に向けた矢印を書きます。課題や疑問点について考えた結果のキーワードをその矢印の下に書いた後、さらに下に向けて矢印を書き、QAを繰り返し、そのたびに、下に考えた結果のキーワードを書いていきます。キーワードは、ピラミッド上に一つになります。

比較の図

2つ以上の物事を比較する際に活用する図です。比較したい2つのキーワードを決めて、それぞれ縦軸と、横軸に定めます。比較対象となるキーワードを縦軸と横軸の間の適した位置に配置し、そのバラつきを確認します。

段取りの図

段取りを決める際に活用する図です。まず段取りを決めたいテーマに適したステップの数を考えます。その後、ステップの数だけ箱を書き、ステップごとの説明を書きます。箱の下に、詳細な説明を加えます。

重なりの図

複数の要素の関係性を可視化するための図です。複数の要素の組み合わせを考えて、円にそれぞれその内容を書き、円を組み合わせます。

ピラミッドの図

情報の断層構造を可視化するための図です。何段階にするかを決めた後、ピラミッドを書きます。その後、ピラミッドの断層ごとにその概要を書きます。

はじめのうちは、どの図を使うべきか迷うこともあるでしょう。図にしてみたもののしっくりこない時は、別の図にしてみるのもおすすめです。

6つのフレームワーク

図解思考の基本パターンが理解できたら、より課題に合わせて実践的に活用するために、以下の6つのフレームワークを使ってみましょう。

ツリー型

ここでいうツリー型は、前記した7つのバリエーションにもあるツリーの図とピラミッドの図のことを指します。どちらも一つの課題に対して、問題点を漏れなく把握したり、原因を追究したりすることに役立ちます。ツリーの図は、物事の分析や方向付けなどに適しており、ピラミッドの図は、頂点にある結論への道筋を示すのに適しています。

マトリックス型

マトリックス型は、「2軸思考法」とも呼ばれています。前記した7つのバリエーションにもある比較の図がこれにあたり、縦軸と横軸にそれぞれ意味を持たせて、それに基づいて比較し、その結果を可視化する方法です。

ある研修を行った際のメリットとデメリットを比較、把握する、2つ以上の新規商品を比べて、どちらが優れているかを考える際などに活用します。十字になった縦軸と横軸でもよいですが、L型の四角のますに文字が書き込める図も使いやすいでしょう。

フロー型

フロー型は、時系列で複数のプロセスや工程などを可視化するために活用されます。前記した7つのバリエーションの段取りの図やツリーの図を使用します。たとえば、「計画」「準備」「実施」といったように、物事が進む順に示すものであり、何かをはじめる際の説明に適しています。

サテライト型

複数の要素の力関係が、互いに影響し合いながらバランスを維持している状態を可視化するために活用されるのがサテライト型です。多くの場合、3つ以上の重要な要素をピックアップして、線でつなぎます。たとえば、「国会(立法)」「内閣(行政)」「裁判所(司法)」といった三権分立を示す三角になった図が有名です。

グラフ型

数学の問題でもよく見られるグラフ型は、複数の物事の数量を可視化し、比較できます。正確な数量を表現したい場合は、パソコンで作成したり、ノートに書く場合でも、定規を使ったりするなど、少し手間がかかります。しかし、単に数量の違いを視覚的に示したい場合は、フリーハンドで書くことも可能です。

図解思考の鍛え方のヒント

図解思考で用いる図について解説しましたが、実際にどのように鍛えるべきなのか、悩む方もいるでしょう。実践しやすいトレーニング方法は以下の通りです。

  • 資料をできる限り図で作成する
  • 簡単なおとぎ話を図にしてみる

一つずつ解説します。

資料をできる限り図で作成する

図のない、長文の文章のみの資料を渡された時、まず見ているだけで疲れを感じる方もいるのではないでしょうか。また、こうした資料の場合、読解力や集中力によって内容の理解度が変わってしまい、後から別途説明が必要になることもあるでしょう。その点、資料の中で重要なポイントが視覚的に理解しやすい図になっていれば、多くの方にとって伝わりやすくなります。

そこで、資料など、誰かに説明するための文章を作成する際は、図を用いるようにしましょう。日頃から業務の中で図を作成することで徐々に慣れていくため、図を使うポイントもつかめていきます。

簡単なおとぎ話を図にしてみる

業務の中では、それほど図を作る機会がない場合は、トレーニングとして簡単なおとぎ話を図にしてみるのもおすすめです。おとぎ話は、起承転結や登場する人物の関係性が明確であるため、図にしやすいです。ストーリーの流れを時系列で図にする、登場人物の関係図を作成する、場所やキーワードになるアイテムなど、要素ごとに分けてみるといったトレーニング方法があります。

その他に、プライベートでも考えをまとめたい時、読んだ本の感想をメモしたい時など、図を使うのがおすすめです。どこでもサッと書けるように、専用のノートを携帯しておくとよいでしょう。

まとめ

図解思考について解説しました。「図解思考」とは、知的生産研究家である永田豊志氏が提唱した、ビジネスパーソンの知的生産力を大幅に高める方法です。図にするというと、ハードルが高いように感じますが、複雑な物事を整理して、分かりやすくする技術であるため、身につければ、よりスムーズにさまざまな業務をこなし、新たなアイデアを生む助けとなります。

図には複数のスタイルがあり、いきなりすべてを的確に使いこなすことは難しいです。しかし、単純な基本の形から使いはじめて、仕事やプライベートで活用していく中で、徐々に活用の幅を広げられます。まずは楽しみながら、実践していくのがおすすめです。

この記事の著者

IKUSA編集部

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