積み上げ思考と逆算思考の違いとは?メリットや活用法を解説

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この記事の監修者
株式会社IKUSA あそぶ社員研修事業部 責任者
友水 一喜
慶應義塾大学文学部人文社会学科美学美術史学専攻卒業。
大学卒業後、クラシック音楽業界にて制作・マネジメント・プロデュースに従事し、アートと教育の融合をテーマに、「体験を学びとして届ける」手法を追求してきた。
その後、体験型コンテンツ会社を経て、株式会社IKUSAにクリエイティブプロデューサーとして入社。
現在は研修事業部の責任者として、体験型・ゲーム型の社員研修事業を統括している。
ユーザー視点に立ったサービス開発を得意とし、「楽しさが行動変容を生む」という信念のもと新しい研修体験を創出している。

「積み上げ思考」と「逆算思考」、ビジネスシーンで活用されるこの2つの思考法がそれぞれどのようなもので、どんな違いがあるか、ご存知でしょうか?積み上げ思考によって成果を得る人もいますが、実は変化が大きく行く末の予想がつきにくい現代では、逆算思考のほうが適しているといわれています。

本記事では、積み上げ思考と逆算思考の違いに注目しながら、それぞれの思考法の概要を説明し、逆算思考のトレーニング方法や実践法を紹介します

積み上げ思考とは?

「積み上げ思考」とは、文字通り、目の前にあるタスクを一つずつこなし、積み上げていく思考方法のことを指します。その先にある目標、ゴールを明確に設定することなく、現在やるべきことを着実にこなします。無理がなく、堅実な思考方法といえるでしょう。

たとえば、毎日黙々と部活の練習に励んでいたら、以前よりも大会で良い結果をおさめられた。決められたルーティンワークを丁寧にこなしていたら、上司から評価されて、ボーナスに反映された。このように、頑張っている人の中には、積み上げ思考によって結果を出しているケースもあります。また、与えられた仕事をしっかりと積み重ねられること自体、とても素晴らしい能力ともいえます。

しかし、現代のビジネスシーンでは、積み上げ思考とは逆の思考方法である、ゴールを明確に定めて、計画的に物事を進める逆算思考のほうが重要とされています。

積み上げ思考のメリット

現在は、逆算思考のほうがよりメリットが大きいと考えられていますが、積み上げ思考にも以下のようにさまざまなメリットがあります。

  • 自分軸でこなせる

  • 成長を実感しやすい

  • 行動を適切に修正しやすい

一つずつ解説します。

自分軸でこなせる

あまりに遠い将来の大きな目標ばかりを考えていると、達成するために、目標に合わせて無理をせざるを得ないこともあるでしょう。自分のペースで着実にコツコツとこなせないため、大きなストレスを感じる方もいます。自分が定めた今日一日のスモールステップを達成するほうがモチベーションを維持しやすいこともあるでしょう

成長を実感しやすい

将来的な大きな目標を定めている場合、万が一その目標を達成できなかった時に、これまで積み重ねた努力まで否定することになりかねません。確かに結果は大事ですが、必ずしも毎回思った通りの結果が得られるとはかぎりません。しかし、目標を達成できなかったとしても、積み重ねた知見や経験は無駄ではないので、その成長を実感して前向きになるほうがよいでしょう

行動を適切に修正しやすい

一つひとつ、小さなタスクをこなす積み上げ思考の場合、毎日のように自分の達成度がわかります。そして、結果がよくなかった時は、その日にどこに問題があったかを考え、適切に修正しやすいです。目標が先にある場合、スモールステップを評価しにくくなり、気づくと大きく目標と行動がずれてしまうこともあり得ます。

積み上げ思考のデメリット

積み上げ思考によって、結果的に大きな成果を達成した方も少なくありません。しかし、積み上げ思考には以下のようなデメリットが挙げられます。

  • 大きな目標を達成しにくい

  • 想定外の事態に対処しにくい

  • 容易に目標が変更されてしまう

一つずつ解説します。

大きな目標を達成しにくい

積み上げ思考では、大きな目標を想定しないため、黙々と毎日のタスクをこなすのみになってしまうこともあります。ルーティンワークは大切ではありますが、同じ業務を繰り返すだけでは成長が見込めず、大きな成果を上げにくいでしょう

また、大きな目標を立てると、現在の業務に無駄がないか、もっと効率のよいやり方はないかを考えるきっかけになります。目の前のことを積み重ねるのみの積み上げ思考では、そうした成長の機会を逃してしまうこともあるでしょう。

想定外の事態に対処しにくい

今目の前のことにだけ集中している場合、想定外のトラブルがあった時に、すぐに対処できないこともあります。また、優先的にトラブルに対処したとしても、ルーティンワークのほうが疎かになり、その日の積み上げが不十分になることも考えられます。

容易に目標が変更されてしまう

目標を達成するには、トラブルがあったとしても、それをリカバリーする方法を用意しておくか、目標をずらさないことが大切です。しかし、積み上げ思考の場合、自分軸で業務をこなしているため、容易に目標が変更されてしまうこともあります

積み上げ思考と逆算思考の違いは?

積み上げ思考は、メリットもあるものの、大きな目標を達成しにくいと考えられています。そこで、昨今のビジネスシーンで注目されているのが逆算思考です。

逆算思考では、まず目標やゴールを定めて、どのような過程をへることで達成できるか、逆算して計画を立てます。計画立案という視点が大切で、仕事だけではなく、スポーツ、学習などでも活用されています。

先の目標を立てずに、現時点でこなすべきことを着実にこなすことで、結果的に成果を期待している積み上げ思考と違い、目標が明確であることが大きな違いです

逆算思考のメリットが大きいとされている理由

積み上げ思考のメリットも認めながらも、なぜ、現在は逆算思考のメリットのほうが大きいとされているのでしょうか。

積み上げ思考では、将来のビジネスシーンの変化を想定せず、今までと同様のやり方で同じタスクを繰り返します。しかし、早いスピードでの技術の進化により、ビジネスの環境は刻一刻と変化を余儀なくされています。また、大きな変化を巻き起こす想定外の問題に遭遇することもあるでしょう。

そのため、積み上げ思考による着実な積み上げでは、目標達成が難しく、対処できない課題もあるため、逆算思考のほうが適していると考えられています。

また、特に以下のような人には、逆算思考が必要といわれています。

  • 計画通りに進めるのが苦手な人

計画を立てたものの、達成できていないことがよくある、行き当たりばったりの行動をしがちという方は、逆算思考で物事に取り組むと、パフォーマンスがアップする可能性があるでしょう。目標やゴール設定がしっかりしていないこともあるので、まずは腰を据えて目標設定をしてみるのがおすすめです。

  • やるべきことを先延ばしにしがちな人

期限があることでも、猶予がある場合は、ついつい先延ばしにしてしまう方もいるでしょう。先延ばしにするのは、現時点でやるべきことが明確になっていないからであることも少なくありません。逆算思考を身につけて、目標に向けて現時点で何をすべきかがはっきりすれば、行動に移しやすくなります。

逆算思考の基本のトレーニング方法

逆算思考では、目標に向けて逆算して計画を立てます。しかし、具体的にはどのようにすればいいのでしょうか。基本となるトレーニング方法では以下のステップにそって行います。

  1. 具体的な目標期限を設定する

  2. 目標達成に必要なタスクを洗い出す

  3. スケジュールを作成する

  4. 進捗を管理する

ステップごとに解説します。

1. 具体的な目標と期限を設定する

逆算思考で最も大事なのが目標の設定です。スローガンのように抽象的な内容にすると、その後、どのようなタスクを作成すればいいか、どのような状態だと目標を達成したのかが分からないので、具体的な内容を目標とします。たとえば、「半年後に新規顧客10社獲得」といった感じです。

また、目標をいつまでに達成するのか期限も設定しましょう。

2. 目標達成に必要なタスクを洗い出す

目標と期限が決まったら、目標を達成するために、どのようなアクションをしたらいいのか、タスクを洗い出しましょう。タスクについては、漏れなく必要なタスクを洗い出すことが大切です。後から、これも必要だったということが多数出てきた場合は、計画がずれてしまい、期限までの目標達成が難しくなるからです。

従来のやり方だけではなく、新しい情報も取り入れて、しっかりとタスクを洗い出しましょう。

3. スケジュールを作成する

目標達成のために必要なタスクがすべて洗い出せたら、一つひとつのタスクごとにいつまで実行するか、スケジュールを立てます。この時大事なのは、正しい順番でタスクを設定することです。いつやっても問題のないタスクもありますが、タスク1が終わらないと、タスク2には移れないということもあるでしょう。また、タスクごとに、それがいつ完了するのかも計画に入れて、実行可能なようにスケジュール設定する必要があります。

細かい時間配分を意識して、スケジュールを作成しましょう。

4. 進捗を管理する

目標達成までのスケジュールを作成したからこそ、スケジュール通りに進んでいるか、進捗を管理する必要があります。特にタスクが多かったり、今まで経験したことがない作業が含まれていたりすると、スケジュール通りに進まないこともあるでしょう。その際は、スケジュールを変更することも必要になります。

また、スケジュール作成の際に、ある程度余裕をもたせて、無理のないようにすることも大切です。

逆算思考実践のコツ

正しい逆算思考のトレーニング方法を実施しても、思うように目標が達成できないケースもあります。状況によってスケジュール通りに進まないケースもありますが、以下のような点に気をつけると、目標を達成しやすくなります。

  • 実行する前の準備をしっかり行う

  • 中間目標を設定する

  • 研修教育制度を活用する

  • はじめからスケジュールに完璧を求めない

一つずつ解説します。

実行する前の準備をしっかり行う

逆算思考の目標は、時には数ヶ月後や1年後など、かなり先に達成する想定になっていることもあるため、実行する前にしっかりと準備をする必要があります。特に目標の立案は大切で、具体的でありながら、実際に達成可能でなくてはなりません。目標が漠然としている場合は、達成するためのタスクの洗い出しもうまくいかないでしょう。

また、自分だけではなくチームで逆算思考を行う場合は、目標の共有はもちろん、目標を達成したら、どのようなメリットがあるか、そのイメージも共有することが大切です。認識に齟齬がないように、メンバーと密にコミュニケーションをとるようにしましょう。

中間目標を設定する

目標が大きく、期限が1年や半年先といった場合、最終的な目標達成まで長い道のりとなってしまうため、途中で息切れをしてしまい、モチベーションを維持できないこともあるでしょう。そうした場合は、あらかじめ中間目標を定めておいて、その際に達成度を確認するのがおすすめです

いくつか小さな目標をつくっておくと、その都度達成感を味わえるため、モチベーションを維持しやすくなるでしょう。

研修や教育制度を活用する

特に新入社員の方が逆算思考を実践する場合、業務内容を把握しきれていないこともあり、目標に必要なタスクが漏れることもあります。そうしたケースでは、上司やメンターにタスクの洗い出しのアドバイスをもらうのも手です

また、企業によっては逆算思考の研修教育制度を設けていることもありますので、積極的に活用するとよいでしょう。

はじめからスケジュールに完璧を求めない

逆算思考では、目標に向けたタスクの洗い出しとスケジュール立案が大切ですが、はじめからそのスケジュールに完璧を求めないことも大切です。慣れていない業務の場合、想定外のタスクプロセスの不備が発生することもあるからです。スケジュールは状況により、変更を加えながら、最終的に目標を達成できるようにしましょう。

また、スケジュールがタイトすぎると、不測の事態に対処できなくなります。そのため、スケジュールはある程度余裕をもたせるようにしておきましょう。

ビジネス以外の逆算思考活用法

ビジネスシーンでは、商品開発、新規市場への参入、業務の効率化や改善など、さまざまな場面で逆算思考を活用できます。実は、ビジネスだけではなく、日常生活でも以下のように逆算思考を活用できます。

  • 資格取得学習目標の達成

  • キャリア形成

  • マイホーム建築

一つずつ解説します。

資格取得や学習目標の達成

資格取得の場合、期限が決まっているため、逆算思考を活用しやすいです。試験の日までどれくらいの猶予があり、その日までにどのような勉強が必要かを洗い出し、いつまでに何を勉強しておくのかを決めましょう。明確な学習計画を立案することで、モチベーションを維持しやすくなります。

キャリア形成

業務内の目標ではなく、自分自身のキャリア形成の際も、逆算思考が有効です。たとえば、4年後にマネージャーになるという目標を立てます。そうなると、社内の昇級試験を3年後に受けるために必要な勉強をしておく。マネジメントスキルを学ぶために研修を2年後には受けておくといった、具体的なタスクがでてきます。また、3年後に海外の部署で仕事をしたいといった場合、それまでにビジネス用の英会話を学ぶ必要もでてくるでしょう。

流れのままにキャリアを積み重ねるのではなく、自分自身で明確な目標を立て日々努力することで、仕事へのモチベーションも高まりやすくなります。

マイホーム建築

マイホーム建築も、先を見通した計画性が必要です。そのため、逆算思考を活用するのがおすすめです。

まずマイホーム建築のために、3年後には300万円を頭金として貯めたいと考えた場合、毎月どれくらいの貯金が必要なのか計画する必要があるでしょう。また、いつまでに土地を探し、施工会社を決める必要があるかなど、計画しておかなくてはならないことが多数あります。さらに、いつまでに間取りを決めて、いつまでに設備や細かい仕様を決めるかなど、しっかり把握して、確実にこなす必要があります。特に仕事や子どもの学校の都合で、期限が決まっている場合は、計画性が大切です。家族と相談しながら、情報を共有して計画を立てましょう。

逆算思考を身につければ、さまざまな場面で、効率良く目標を達成できます。実際に試すことで、より的確に使えるようになります。

まとめ

積み上げ思考と逆算思考の違いについて解説しました。毎日のタスクを着実にこなすためには優れた積み上げ思考ですが、目標を明確に定めないことで、長期的な大きな目標を達成することは難しくなることもあるようです。

逆算思考は、実行の前にまず計画を立てて、タスクを洗い出し、スケジュールを立てるという過程があります。そのため、これが大きなハードルのように思われますが、この準備段階こそ、目標達成の秘訣でもあります。はじめは、難しいと感じられることもありますが、途中で修正を加えながら、最終的に目標が達成できるように進めることが大切です。

この記事の著者

IKUSA編集部

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