DiSC理論とは?コミュニケーションのとり方や性格診断を紹介

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職場のコミュニケーション改善や、人材の育成、採用などに、個人の行動特性や性格を分析する診断ツールを活用する企業もあります。

本記事では、DiSC理論をもとにした診断ツールを活用したいと考えている方に向けて、そもそもDiSC理論とはどのようなものなのか、行動特性の4つのタイプを詳しく解説します。さらに、DiSC理論を活用するときの注意点や、どのような診断ツールがあるのかも紹介します

※なお、「DiSC」はアメリカのJohn Wiley & Sons社の登録商標です。日本語版の開発及び総販売代理権は、HRD株式会社の所有となっています。

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DiSC理論とは

DiSC理論とは、1920年代にアメリカの心理学者であるウィリアム・マーストン博士により提唱された理論です。この理論では、人の行動特性を以下の4つのタイプに分類しています。行動特性とは、その人によく見られる行動や思考のパターンのことです。アルファベットの「DiSC」は、各タイプの頭文字をとったものです。

  • 主導型(Dominance
  • 感化型(influence
  • 安定型(Steadiness
  • 慎重型(Conscientiousness

1963年には、ジョン・ガイヤー博士がDiSC理論を自己分析ツールに応用しました。現在では、DiSC理論を活用した診断ツールが多数あり、職場のコミュニケーション改善や人材育成、採用などのために活用する企業もあります。

DiSC理論の4つのタイプ

上の図は、DiSC理論の4つのタイプの特徴を簡単にまとめたものです。

人は、強弱度に差はありますが、誰でもこの4つの行動特性を持っているとされています。DiSC理論は、自分やチームのメンバーが「どのタイプなのか」ではなく、「どのタイプが最も強いだろう?」という視点で活用していただくのがよいでしょう。

では、それぞれのタイプの行動特性と特徴、コミュニケーションのポイントを、詳しく見ていきます。

主導型(Dominance

主導型(Dominance)は、トラブルやリスクも恐れずに、目標達成に向けて速いペースでどんどん突き進んでいくタイプです。責任感と行動力、頼りがいもあります。ただ、自分が主導権を握りたいタイプで、支配的なリーダーシップをとる傾向が見られます。

また、人と協調するのはあまり得意ではありません。人から指示されたりコントロールされたりすることや、周りと相談しながら進めることを嫌います。マニュアル通りに進めるような仕事も、あまり好きではありません。

ものの言い方はストレートで、遠回しな表現や細かい説明を嫌います。そのため、ときには攻撃的な態度に感じられたり、説明や指示が足りずに人とぶつかったりすることもあります。

コミュニケーションのポイント

主導型の特性が強い人は、行動や結果のスピードを重視します。何か伝えたいことがあるときは、回りくどい言い方をせずに、できるだけ話を端的にまとめることを意識しましょう。主導型の特性が強い上司の場合、話が長い・わかりにくいと「仕事ができない人だ」と評価されてしまう可能性もあります。

また、主導型の特性が強い人は、細かい指示や命令を嫌う傾向があります。しかし育成の段階によっては、どうしても細かく指示を出さなければならないこともあるでしょう。部下が主導型の特性が強い人である場合は、できるだけ自発行動を促すようなコミュニケーションを意識してみてください。たとえば、「このような計画で進めていきたいと考えているのですが、〇〇さんの意見も聞かせてもらえませんか?」というように、相手に選択させるようなコミュニケーションのとり方がおすすめです。

そして、お伝えしたように主導型の特性が強い人は、態度が攻撃的に感じられることもあります。そのようなときに、どうしても主導型の特性が弱い人は委縮してしまいやすいですが、態度に惑わされないようにすることが大切です。

感化型(influence

感化型(influence)は、ムードメーカーに多いタイプです。周りの人と一緒に楽しく仕事をすることを重視しており、自分から積極的にいろいろな人とコミュニケーションをとろうとします。楽観的、好奇心旺盛、感受性が強いなどの特徴があり、新しい企画を立ち上げたり、アイデアを生み出したりするのが得意です。

また、思い立ったらすぐに行動する傾向があります。そのため、計画的に物事を進めるのがあまり得意ではありません。単純な作業や、一人でコツコツ進めるような仕事も苦手です。

コミュニケーションのポイント

感化型の特性が強い人は、自分のアイデアに自信を持っています。そして、人から否定されたり、拒絶されたりすることを恐れる傾向もあります。そのため、もし出されたアイデアや意見が明らかに違うものであったとしても、否定・拒絶するような言い方をしないようにしましょう。感化型の特性が強い人は、「承認されたい」という欲求が強いので、まずは発想自体を認め、褒めることが大切です。

また、感化型の特性が強い人は、話すことが好きなので、できるだけその機会を与えるようにしましょう。ただ、ときには収集がつかないほど話が広がってしまうこともあります。感化型の特性が強い人に意見を求める際は、「〇〇〇について意見を聞きたいのですが、30分だけいいですか?」というように、時間制限を設けておくとよいでしょう。

安定型(Steadiness

安定型(Steadiness)は、自分が先頭に立って物事を進めるより、人をサポートすることを得意とするタイプです。チームワークを大切にしており、周りにいつも気を配っています。

仕事は、きちんとマニュアルがある業務を得意とします。粘り強さがあるので、安定して成果を上げることができるでしょう。しかし、変化や新しいことに適応するのは苦手です。初めて取り組む仕事や、トラブルへの対応などは、時間がかかってしまうことが多いでしょう。

また、自分の感情を表現するのがあまり得意ではありません。そのため、仕事を断り切れずに抱え込んでしまうこともあります。

コミュニケーションのポイント

安定型の特性が強い人は、チームワークや周りの人の感情を重視するあまり、自分の感情や意見を抑え込んでしまいがちです。よく観察して、表情や態度、声のトーンなどから気持ちを汲み取り、不安そうにしているなら「何か心配なことでもあるのですか?」などと声掛けができるとよいでしょう。自分から主張するのが得意ではないので、こちらからその機会を与えてあげることがポイントです。

また、安定型の特性が強い人は、無意識ですが「褒められたい」「認められたい」という欲求も持っています。普段の業務のなかで気づいた小さなことも、できるだけ言葉に出して褒めることも意識しましょう。たとえば、「〇〇さんはいつもデスク周りが整理されていて、素晴らしいですね。」「この資料、すごく見やすいです。工夫してくれてありがとう。」などです。

慎重型(Conscientiousness

慎重型(Conscientiousness)は、何事も慎重に進めていくタイプです。ルールや秩序、正確さ、完璧さを重視しており、しっかりと情報やデータを集めて、分析したうえで行動するので、仕事を正確にこなすことができます。一人で黙々進めるような仕事も得意です。

ただ、自分から積極的に周りの人とコミュニケーションをとろうとはしない傾向があります。自分の感情もあまり表には出さないので、周りからは「どんな人なのだろう?」「何を考えているのだろう?」と思われることもあります。

コミュニケーションのポイント

慎重型の特性が強い人は、情報やデータの収集・分析をしたうえで行動するため、新しいことに取り組む際には時間がかかる傾向があります。仕事のペースが速い主導型や感化型の特性が強い人は特に、イライラしてしまうこともあるかもしれませんが、本人のペースをできるだけ尊重するようにしましょう。もし行動や結果を急ぐのなら、情報やデータをこちらから提供するとよいでしょう。

また、慎重型の特性が強い人は正確さを重視するため、漠然とした表現を使わないようにするのもポイントです。褒めるときも、「すごいですね!」と中途半端に褒めるのではなく、何がどのように良かったのかを具体的に伝えるようにしましょう。

DiSC理論を活用するときの注意点

紹介したDiSC理論の4つのタイプは、どれが「良い / 悪い」「優れている / 劣っている」というわけではありません。DiSC理論は、お互いをより深く理解するためのツールであることを理解したうえで活用することが重要です。

また、相手をよく観察していれば、その人の一番強い特性はわかることが多いでしょう。ただ、はっきりといずれかのタイプに分類されるという人はほとんどいません。先ほどお伝えしたように、誰でも4つのすべての行動特性を持っています。ある特性が見えたからといって、「この人は〇タイプだ」と決めつけないように注意しましょう。

そして、DiSC理論は人の行動特性を4つのタイプに分類した理論です。「行動特性=性格」ではありません。DiSC理論を活用した診断のなかには「性格診断」という名称のものもありますが、本来は行動特性を認識するための理論であることを忘れないようにしましょう。

DiSC理論を活用した診断を取り入れてみよう

最後に、DiSC理論を活用した診断ツールをいくつか紹介します。

まとめ

人の行動特性を4つのタイプに分けた理論、DiSC理論について解説しました。このDiSC理論を活用した診断ツールも多数あります。企業であれば、職場のコミュニケーション改善や人材育成、採用などに役立てることができるでしょう。

強弱度は違いますが、人は誰でもDiSC理論の4タイプすべての行動特性を持っています。DiSC理論を活用する際は、「この人はこのような特性があるから〇タイプだろう」と決めつけないように注意してください。

参考:『すぐ分かるコーチングハンドブック』(著者:石川和夫 / 出版社:株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン)

 

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以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。

1.合意形成・アサーティブコミュニケーション研修

合意形成・アサーティブコミュニケーション研修のアクティビティ「コンセンサスゲーム」では、危機的な状況下でどの物資を優先して確保すべきかをチーム内で議論し、最適な結論を導きます。

学びのポイント

  • 各々が個人ワークで考えた答えを聞くことで、チームメンバーの状況に対する認識や物資の重み付けの違いを受講者が理解する
  • 話し手は自分の答えにいたった理由を論理的・説得的に説明する
  • より良い根拠を導き出すための比較検討をして、チーム全員が納得する結論を出す

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2.PDCA研修

PDCA研修のアクティビティ「ロケットPDCAチャレンジ」では、パーツを組み合わせてロケットを制作し打ち上げ結果から原因を考えて、より良く飛ぶロケットに改善していき、目標の達成を目指します。

学びのポイント

  • 計画を立ててロケットを飛ばし、その結果から組み合わせの誤り・部品の不足・不良部品の有無を推察し、それを繰り返すことで組み合わせの精度を上げていく
  • 資金稼ぎ・パーツの選択・打ち上げの準備を繰り返し、作戦タイム振返りを経て行動を改善していくことで、最適化されていく

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3.戦略思考研修

戦略思考研修のアクティビティ「ワールドリーダーズ」では、労働力や資本を使って事業を設立し、利益を稼ぐことを目指します。

学びのポイント

  • 不確実な状況のなかで自チームにとって最適な行動方針を考え、実行していく
  • 戦略を決めるために与えられた手段のなかでどの情報を取得していくかの優先順位決めが求められる

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4.コミュニケーション研修

コミュニケーション研修のアクティビティ「謎解き脱出ゲーム」では、チームでコミュニケーションをとりながら問題に隠された法則を発見する謎解きゲームのクリアを目指します。

学びのポイント

  • 受講者が「自分しか見えていない情報・問題・解き方」をチームで共有することでコミュニケーション促進やスキルアップにつながる
  • 突飛な発想・ヒラメキをチームのなかで積極的に発言できる心理的安全性の高い環境づくりが求められる

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5.ロジカルシンキング研修

ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルティング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します。

学びのポイント

  • 小グループで得られた情報を論理的に整理し、確定情報・曖昧情報・不要な情報を選り分ける
  • 大グループで全体に必要な情報を論理的に判断・共有することや、自分たちに足りない情報を聞き出すことが求められる

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6.クリティカルシンキング研修

クリティカルシンキング研修のアクティビティ「混乱する捜査会議からの脱出」では、推理ゲームで論理的に情報を整理するなかで証拠の違和感に気づき、仮説立てや検証を行って目標を達成します。

学びのポイント

  • 証拠品や証言など多くの情報を手分けして読み、組み合わせて論理的に結論を導き出す
  • フェーズが進むごとに情報が増え、複雑になっていくなかで必要な情報を取捨選択する
  • 出た結論に満足せず、常に新しい情報と照らし合わせて再検証する

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7.リーダーシップ研修

リーダーシップ研修のアクティビティ「グレートチーム」では、チームの運営を疑似体験することでリーダーシップやマネジメントを学びます。

学びのポイント

  • メンバーのリソース管理や育成、リーダーとしての決断を繰り返すことで、いろいろなリーダーシップの型を知ることができる
  • 現代に合わせたリーダーシップの発揮の必要性を知り、自分らしいリーダーシップを学べる

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8.ビジネスマナー研修

ビジネスマナー研修のアクティビティ「ビジトレ」では、実践形式・クイズ形式のアクティビティを通して、ビジネスマナーを楽しく学びます。

学びのポイント

  • 堅い内容になりがちなビジネスマナー研修にゲーム形式を取り入れることで、受講者が没入して学べる
  • 名刺交換や報連相などを実行し、動作・マナーに慣れることで、翌日から実践できるようになる

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9.防災研修

防災研修のアクティビティ「先が見えない防災訓練からの脱出」では、チームで協力して、防災のアイテムや知識を使用しながら謎解きゲームのクリアを目指します。

学びのポイント

  • 謎解きの答えが災害時のNG行動にまつわる内容となっており、解説時になぜ行なってはいけないかもセットで学ぶ
  • 被災時は様々な情報が飛び交うため、情報を取得する際にどのようにすれば惑わされないかを学ぶ

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10.OODA LOOP研修

OODA LOOP研修では、瞬間的な判断力が求められる運動系のアクティビティである「サバイバルゲーム」または「チャンバラ合戦」を実施することで、意思決定のフレームワークである「OODA LOOP」を実践的に習得することを目指します。

学びのポイント

  • 敵チームをよく観察して作戦を練り、状況に応じた行動を素早く判断しながら、チームで共有して一体となって行動する
  • ミッションの勝利条件をもとに、観察、判断、行動を繰り返すことで、本当にすべき行動が何なのか、行動の最適化を行う

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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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