kゲームとは?学べること、実施するときの注意点を紹介

  • 研修ノウハウ

研修は、座って講義を聞くだけよりも、参加者自身が何かを「体験して学べる」プログラムがあったほうが、知識やスキルが身につきやすくなるといわれています。そのため、最近はビジネスゲームを取り入れた研修も増えています。

本記事では、企業の研修におすすめの「kゲーム」というビジネスゲームを紹介します。kゲームとはどのようなゲームなのか、やり方、ゲームを通して学べること、実施するときの注意点を、詳しく見ていきましょう

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kゲームとは

kゲームとは、ビジネスの基本である報連相(報告・連絡・相談)や、コミュニケーションのとり方、メンバー同士で目的や目標を共有することの重要性などを学べるビジネスゲームです。このゲームでは、ゲーム中は会話をしてはいけません。メモのやり取りだけで、メンバー全員で目的の達成を目指すというゲームです。

研修会社の株式会社HEART QUAKE (ハートクエイク)からは、kゲームではなく「部課長ゲーム」という名称で提供されています。株式会社HEART QUAKEでは、Web会議ツールを使ったオンライン版も提供しています。

参考:kゲーム|ビジネスゲーム研修なら株式会社HEART QUAKE

また、ルールに少し違いはありますが、株式会社情熱Factoryからは「報連相パズル」という名称で提供されています。

参考:報連相を駆使してミッションクリアせよ!~報連相パズル~ │ ビジネスゲーム研究所

このゲームには5つの役割があるため、基本的には1グループ5人で実施します(4人でも実施可能です)。「部課長ゲーム」「報連相パズル」における役割は、以下の通りです。

  • 「部課長ゲーム」:部長、課長A、課長B、社員A、社員B
  • 「報連相パズル」:マネジャー、リーダーA、リーダーB、メンバーA、メンバーB

では、kゲームとはどのようなゲームなのか、次項よりやり方を詳しく見ていきます。

kゲームのやり方

kゲームを実施するには、専用のキットを用意する必要があります。手間なく実施したい場合は、キットをレンタルしてくれる研修会社に依頼するとよいでしょう。

キットを用意できたら、まずグループ分けを行います。先ほどお伝えしたように、このゲームには5つの役割があります。5人ずつのグループに分けることができれば、何人でも実施可能です。きれいに5人ずつに分けることができない場合は、4人のグループができても構いません。役割はゲームを提供する会社によって名称が異なりますが、たとえばマネジャー、リーダーA、リーダーB、メンバーA、メンバーB5種類の場合、1グループ4人で実施するときは、メンバーBをなしとします。

グループ分けができたら、ゲームの準備から始めていきます。

ゲームの準備

kゲームは、1グループで1つのテーブルを使います。まず運営者は、各席に裏返した「役割カード」と「指示書」、4枚の「カード」、「メモ30枚」を配置しておきましょう。「カード」は5種類、合計20枚ありますので、これをランダムに4枚ずつ配置します。

必要なものを各席に配置したら、参加者に着席してもらいます。座る席は参加者に選んでもらっても構いませんし、現実とは違う役割になるように運営者が席を指定してもよいでしょう。たとえば、実際に「マネジャー」のポジションに就いている人には「メンバー」の席に、グループのなかで一番若手の社員には「リーダー」の席に着いてもらうといった具合です。

指示書とカードは、自分以外の人に見せてはいけないルールになっていますので、そのことを参加者に伝えておきましょう。

ゲームのルール

準備ができたら、参加者にルールを説明します。お伝えしたように、このゲームは会話禁止のゲームとなっています。ルール説明を始めたときから、グループ内の会話を禁止としましょう。

参加者に説明する主なルールは、以下の通りです。

  • 今からゲーム終了まで口頭でコミュニケーションをとるのは禁止とし、メモのやり取りのみとすること。
  • コミュニケーションをとることができる相手は限られていること。
  • 指示書に従い、参加者全員で協力して目的の達成を目指すこと。

ゲーム中、コミュニケーションをとることができる相手を図にまとめると、以下のようになります。

コミュニケーションをとることができる相手やゲームのルールは、参加者に配布される指示書にも記載されています。

ゲームスタート

ルール説明が終わったら、いよいよゲームスタートです。ゲームの制限時間は25分。参加者はお互いにメモのやり取りをして、カードを交換します。カードを交換できるのも、前項で示した図で実線の矢印でつながっている相手のみというルールになっています。カードは、必ず同じ枚数を交換しなければなりません。

制限時間が来るか、マネジャーが「ゲームクリアの条件を満たした」と判断して手を挙げれば、ゲーム終了です。

ゲームクリアの条件

ここまでの説明を読んで、「何のためにカードを交換するのだろう?」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。このゲームのそもそもの目的(クリアの条件)ですが、これは「参加者にランダムに配布された4枚のカードの種類をそろえること」です。

先ほどお伝えしたように、カードは全部で5種類あります。「カード①」「カード②」「カード③」「カード④」「カード⑤」という種類の異なるカードが参加者にランダムに配布されているので、リーダーAは「カード①」を集める、メンバーBは「カード②」を集める…というイメージです。

ただ、このゲームの目的は、マネジャーの指示書にしか書かれていません。しかし、マネジャーはそのことを知らず、全員目的を知ったうえでゲームに取り組んでいると思っています。実際は、リーダー、メンバーの役割を与えられた参加者4人は、「上からカード交換の指示が来るが、何のためにやっているのだろう?」と思いながらゲームを進めています。リーダーやメンバーから、「これは何のための指示なのですか?」「目的を教えていただけませんか?」などという質問が出なければ、マネジャーは「自分しかゲームの目的を知らない」ことに、最後まで気づけないというわけです。

結果発表・振り返り

マネジャーが手を挙げたら、グループ全員のカードをチェックし、ゲームクリアの条件が満たされていれば(4枚のカードの種類がそろっていれば)、ゲームクリアとなります。ファシリテーターは、その時点での時間を記録しましょう。研修や社内イベントで実施する場合は、早くクリアできたグループを表彰するのもよいのではないでしょうか。

そして、kゲームを実施したあとは、グループ全員で振り返る時間を設けましょう。そうすることで、学びを深めることができます。研修で実施する場合は、次に紹介する「kゲームで学べること」に関する講義をプラスするのもおすすめです。

kゲームで学べること

次に、kゲームを通してどのようなことを学べるのかについて解説します。

目的を共有することの重要性

ご紹介したように、kゲームはマネジャーしか目的を知らない、かつマネジャー自身がそのことに気づいていない状態でゲームが進んでいきます。そのため、マネジャーとしては「なぜリーダー・メンバーは、目的に向かってもっと積極的に行動してくれないのだろう?」と感じます。そして目的を知らないリーダー・メンバーとしては、「なんのための指示なのかわからない」という状態です。

これは、組織のなかでもよくあることです。このような状態のままでは、当然目的を達成するのは難しくなります。kゲームを通して、上に立つ者としては目的を共有することの重要性を、フォロワーとしては目的を知ろう・理解しようとすることの重要性を学ぶことができます。

文字による報告・連絡・相談

ビジネスシーンでは、メールや書類など、文字で報告・連絡・相談をしなければならないことも多いです。特に最近は、リモートワークが普及したことで、文字でコミュニケーションをとる機会が増えています。誰が何をしているのか、全体像を把握するのが難しくなったと感じている方も多いのではないでしょうか。

kゲームは、「会話は禁止」「決められた人としかコミュニケーションをとってはいけない」「メモは30枚しかない」というルールのなかで、目的の達成を目指します。いろいろな制限があるなかで、文字で相手にわかりやすく伝える、必要な情報を引き出すといったスキルが磨かれるでしょう。

組織の風通しを良くすることの重要性

kゲームのように、特定の相手としかコミュニケーションをとれない組織は、風通しが良いとはいえません。しかし組織の規模が大きくなると、そういった状態になりやすいものです。

kゲームは、部門や役職の垣根を越えた交流がしやすい組織をどのように作っていくか、ということを考えるきっかけにもなる可能性があります。

kゲームを実施するときの注意点

ビジネスゲームは、「参加者同士のコミュニケーション活性化」を目的に、研修に取り入れられることもあります。しかし、kゲームは会話禁止のゲームです。コミュニケーション活性化や交流促進の効果は、ほとんど期待できないでしょう。

ただ、お伝えしたように風通しの良い組織を作っていくことの重要性が学べるため、組織のコミュニケーションを考えるきっかけにはなる可能性があります。そのため、結果としてコミュニケーション活性化につながることは期待できるでしょう。社内コミュニケーションや部門間の連携などに課題を感じているなら、kゲームを実施したあとに、そういった講義をプラスすることをおすすめします。

まとめ

kゲームのように、階級が上の人と直接コミュニケーションをとれる機会がない組織は意外と多いものです。kゲームは、ゲームを通して組織の風通しを良くすることや、目的を共有することの重要性などを学ぶことができます。また、文字による報連相のスキルも鍛えることができます。

非常に多くのことが学べるため、階層別研修やコミュニケーション研修、リーダー研修など、あらゆる研修に活用できると考えられます。

 

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以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。

1.合意形成・アサーティブコミュニケーション研修

合意形成・アサーティブコミュニケーション研修のアクティビティ「コンセンサスゲーム」では、危機的な状況下でどの物資を優先して確保すべきかをチーム内で議論し、最適な結論を導きます。

学びのポイント

  • 各々が個人ワークで考えた答えを聞くことで、チームメンバーの状況に対する認識や物資の重み付けの違いを受講者が理解する
  • 話し手は自分の答えにいたった理由を論理的・説得的に説明する
  • より良い根拠を導き出すための比較検討をして、チーム全員が納得する結論を出す

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2.PDCA研修

PDCA研修のアクティビティ「ロケットPDCAチャレンジ」では、パーツを組み合わせてロケットを制作し打ち上げ結果から原因を考えて、より良く飛ぶロケットに改善していき、目標の達成を目指します。

学びのポイント

  • 計画を立ててロケットを飛ばし、その結果から組み合わせの誤り・部品の不足・不良部品の有無を推察し、それを繰り返すことで組み合わせの精度を上げていく
  • 資金稼ぎ・パーツの選択・打ち上げの準備を繰り返し、作戦タイム振返りを経て行動を改善していくことで、最適化されていく

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3.戦略思考研修

戦略思考研修のアクティビティ「ワールドリーダーズ」では、労働力や資本を使って事業を設立し、利益を稼ぐことを目指します。

学びのポイント

  • 不確実な状況のなかで自チームにとって最適な行動方針を考え、実行していく
  • 戦略を決めるために与えられた手段のなかでどの情報を取得していくかの優先順位決めが求められる

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4.コミュニケーション研修

コミュニケーション研修のアクティビティ「謎解き脱出ゲーム」では、チームでコミュニケーションをとりながら問題に隠された法則を発見する謎解きゲームのクリアを目指します。

学びのポイント

  • 受講者が「自分しか見えていない情報・問題・解き方」をチームで共有することでコミュニケーション促進やスキルアップにつながる
  • 突飛な発想・ヒラメキをチームのなかで積極的に発言できる心理的安全性の高い環境づくりが求められる

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5.ロジカルシンキング研修

ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルティング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します。

学びのポイント

  • 小グループで得られた情報を論理的に整理し、確定情報・曖昧情報・不要な情報を選り分ける
  • 大グループで全体に必要な情報を論理的に判断・共有することや、自分たちに足りない情報を聞き出すことが求められる

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6.クリティカルシンキング研修

クリティカルシンキング研修のアクティビティ「混乱する捜査会議からの脱出」では、推理ゲームで論理的に情報を整理するなかで証拠の違和感に気づき、仮説立てや検証を行って目標を達成します。

学びのポイント

  • 証拠品や証言など多くの情報を手分けして読み、組み合わせて論理的に結論を導き出す
  • フェーズが進むごとに情報が増え、複雑になっていくなかで必要な情報を取捨選択する
  • 出た結論に満足せず、常に新しい情報と照らし合わせて再検証する

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7.リーダーシップ研修

リーダーシップ研修のアクティビティ「グレートチーム」では、チームの運営を疑似体験することでリーダーシップやマネジメントを学びます。

学びのポイント

  • メンバーのリソース管理や育成、リーダーとしての決断を繰り返すことで、いろいろなリーダーシップの型を知ることができる
  • 現代に合わせたリーダーシップの発揮の必要性を知り、自分らしいリーダーシップを学べる

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8.ビジネスマナー研修

ビジネスマナー研修のアクティビティ「ビジトレ」では、実践形式・クイズ形式のアクティビティを通して、ビジネスマナーを楽しく学びます。

学びのポイント

  • 堅い内容になりがちなビジネスマナー研修にゲーム形式を取り入れることで、受講者が没入して学べる
  • 名刺交換や報連相などを実行し、動作・マナーに慣れることで、翌日から実践できるようになる

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9.防災研修

防災研修のアクティビティ「先が見えない防災訓練からの脱出」では、チームで協力して、防災のアイテムや知識を使用しながら謎解きゲームのクリアを目指します。

学びのポイント

  • 謎解きの答えが災害時のNG行動にまつわる内容となっており、解説時になぜ行なってはいけないかもセットで学ぶ
  • 被災時は様々な情報が飛び交うため、情報を取得する際にどのようにすれば惑わされないかを学ぶ

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10.OODA LOOP研修

OODA LOOP研修では、瞬間的な判断力が求められる運動系のアクティビティである「サバイバルゲーム」または「チャンバラ合戦」を実施することで、意思決定のフレームワークである「OODA LOOP」を実践的に習得することを目指します。

学びのポイント

  • 敵チームをよく観察して作戦を練り、状況に応じた行動を素早く判断しながら、チームで共有して一体となって行動する
  • ミッションの勝利条件をもとに、観察、判断、行動を繰り返すことで、本当にすべき行動が何なのか、行動の最適化を行う

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この記事の著者

あそぶ社員研修編集部

あそぶ社員研修は、企業の研修担当者向けのお役立ち情報を発信するメディアです。研修に関するノウハウ、組織・人材開発の手法、ビジネススキルなどをわかりやすく紹介します。

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