陽口ワークとは?やり方と効果・ポイントを紹介

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リモートワークを導入したことで、「一緒に働くメンバーと気軽なコミュニケーションをとる機会が減った」と感じている人も多いでしょう。コミュニケーション不足解消やチームビルディングとして、またはオンライン会議や研修前のアイスブレイクとして、「陽口ワーク」を実施してみてはいかがでしょうか。

本記事では、陽口ワークとはどのようなワークなのか、やり方と効果、実施する際に重要となる他人の「良いところ」の探し方を解説します

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陽口ワークとは

陽口(ひなたぐち)とは、陰口(かげぐち)の反対の意味を持つ言葉です。陰口とは、本人がいないところで悪口を言うことを意味します。その対義語である陽口は、本人がいないところで褒めたり、認めたりすることをいいます。

陽口ワークは、グループのメンバー同士で陽口を言い合うというワークです。やり方はのちほど詳しく解説しますが、グループの中で陽口を言われる人を一人決め、その他のメンバーはその人が「その場にいないという設定」で、全力で褒めます。

「褒める」という行為は、意外と恥ずかしいものです。しかし、職場の中でこの機会が少ないと、社員のモチベーションや自己肯定感が下がってしまう可能性があります。褒める(言い換えると、「承認する」)機会をあえて作ることで、社員のモチベーションや自己肯定感が高まり、人間関係も良好になることが期待できます。

リモートワークの割合が高い企業におすすめ

オフィス勤務であれば、小さなことでも気軽に声かけをしたり、褒めたりすることができます。たとえば、仕事で成果を上げたメンバーがいれば、「さすが〇〇さん!すごいですね!」称賛を送ることができます。しかしリモートワークの場合、「すごいな」「素敵だな」と思うことがあっても、それを伝えるためにわざわざ連絡するのも……と、ためらってしまうことが多いでしょう。

最近は、メンバー間で気軽に「いいね!」や感謝の気持ちを送りあえるツールもありますが、やはりスタンプやテキストで褒められるのと、「その人の言葉で」褒められるのとでは感じ方が変わります。陽口ワークは、オンラインコミュニケーションツールさえあれば実施可能です。リモートワークを導入しており、コミュニケーション不足や社員のモチベーションに課題を感じているなら、陽口ワークを実施してみてはいかがでしょうか。

陽口ワークのやり方

ではここからは、陽口の流れとポイントを紹介します。

陽口ワークの流れ

人数に特に決まりはありませんが、47人くらいまでで行うのがよいでしょう。所要時間は、だいたい20分~30分程度です。

参加メンバーに用意してもらうものは、オンラインコミュニケーションツールのみです。ZoomGoogle Meetなど、何でも構いません。マイクとカメラも使いますので、両方オンにした状態で参加してもらいましょう。流れは、以下の通りです。

【陽口ワークの流れ】

  1. 参加メンバー全員、オンラインコミュニケーションツールにログインします。
  2. 最初に誰の陽口を言うのか、対象者を決めます。
  3. 対象者は、その場からいなくなったふりをします。(カメラをオフに、マイクをミュートにして、他のメンバーの音声のみ聞くことができる状態にします。)
  4. メンバー全員で、対象者の陽口を全力で言い合います。(あらかじめ時間を決めておきましょう。時間は35分程度が目安です。)
  5. 時間が来たら、対象者はカメラ・マイクをオンにして、陽口を言われた感想や、印象に残ったことを話します。(この時間はだいたい1分程度とします。)
  6. メンバー全員が陽口の対象になるまで、ステップ25を繰り返します。
  7. 最後に、メンバー全員で今回のワークの感想を話し合います。

陽口ワークを実施するときのポイント

陽口ワークは、その名の通り陽口を言うというワークですので、ネガティブなことを言ってはいけないのはもちろんのこと、対象者を「全力で」褒めるというのもポイントです。恥ずかしがらずに、対象者の良いと思うところをストレートに言葉にしましょう。制限時間の中で沈黙ができると対象者が悲しい気持ちになってしまいますので、参加者にはあらかじめ陽口を考えてもらっておくのもおすすめです。また、オンラインでは発言が被ると聞き取りにくくなることがありますので、話す順番を決めておくとスムーズに進められるでしょう。

さらに、ちょっとした小芝居も入れてみてください。たとえば、「恥ずかしいから本人には言えないんですが、実は私、〇〇さんの……っていうところ本当に素敵だと思っているんですよね」というように、「本人がいない」という設定を徹底すると、ワークが盛り上がります。

陽口ワークの効果

次に、陽口ワークを実施することで、どのようなポジティブな効果が得られるのか、詳しく見ていきます。

自己肯定感が高まる

自己肯定感とは、「ありのままの自分を認め、肯定できる感覚」のことです。陽口ワークには、これを高める効果があります。

陽口を言われることで、自分の良いところを改めて確認することができます。自分では気づいていなかったことや、特別意識していなかったことを褒められることもあるでしょう。また、「メンバーはこんなに自分のことを見てくれていたのか」ということに気づけると、安心感も得られます。

陽口ワークを実施し、社員の自己肯定感が高まれば、仕事に積極的に取り組むようになる、能力を上手に発揮できるようになるなどの効果も期待できるでしょう。

チームの雰囲気・人間関係が良好になる

陽口を言われることで、「自分はこのチーム(メンバーそれぞれ)に受け入れてもらえている」と感じられるようになります。また、ポジティブな発言が飛び交うと、自然とチーム内に笑顔が増え、雰囲気が明るくなるという効果もあります。

「ワークが終わればもとの雰囲気に戻ってしまうのでは?」と思われるかもしれませんが、悪口や陰口が尾を引くように、陽口も余韻が残るものです。ワークが終わったあとも、チームの雰囲気が良いまま保たれ、ポジティブなコミュニケーションが増えて、人間関係が良好になることが期待できるでしょう。

さらに、その結果としてエンゲージメントも高まる可能性があります。

自分とは違う視点・価値観を知れる

ものの見方や考え方は、人それぞれ違うものです。陽口ワークを実施すると、自分がまったく意識していなかったことを褒められたり、「そういう部分が評価されるのか」という新たな視点に気づけたりすることもあります。陽口ワークには、自分とは異なる多様な視点・価値観があることを知ることができる、相互理解を深められるというメリットもあります。

また、陽口ワークを通して新たな「褒められポイント」が見つかると、「自分も同じようにやってみよう」という気持ちが生まれます。これが、仕事のモチベーションになることもあるでしょう。

他人の「良いところ」を探す癖がつく

部署やチームで定期的に陽口ワークを実施すれば、他人の「良いところ」を探すことを習慣にできるかもしれません。

普段から他人の「良いところ」を探すようにすると、人生が生きやすくなります。人はそれぞれ異なる価値観を持っており、性格も一人ひとり違います。そのため、誰にでも「合わない人」はいるものですが、どうしても関係を断ち切れないこともあります。一度「合わない」と感じると、どうしてもその人の「悪いところ」ばかりを探してしまいがちになりますが、誰でも良いところ・悪いところの両方を持ち合わせているものです。その人の良いところが見えてくると、ストレスが減り、人間関係も良好になるでしょう。

「良いところ」の探し方

いきなり「この人のことを褒めてください」といわれても、なかなか言語化するのが難しいこともあるでしょう。「良いところ」はどのようにして探し、言葉にすればよいのでしょうか。

まずは、褒める対象の人のことを、改めて振り返ってみてください。「いつも誰よりも早く出社している」「デスク回りがきれいに整理整頓されている」など、必ず何か「良いところ」が見つかるはずです。

または、「承認」の種類別に探してみるのも一つの方法です。分け方は複数ありますが、ここでは4種類の「承認」を紹介します。

成果承認

成果承認とは、その人が上げた成果や結果を認めることです。

【陽口の例】

「〇〇さん、予定よりも早く目標を達成していて、本当にすごいと思いました。」

「この前〇〇さんが作ってくれた企画書、とても素晴らしい出来だったんです。」 など

行動承認

行動承認とは、その人の行動(挨拶、気配り、仕事への取り組み方など)を認めることです。

【陽口の例】

「〇〇さんはいつも意見をよく出してくれるんです。積極的なところが本当に素晴らしいと思います。」

「〇〇さんは抱えている仕事も多いのに、他のメンバーの仕事もよく見てくれていて、いつも助かっています。」

成長承認

成長承認とは、その人の成長を認めることです。

【陽口の例】

「〇〇さん、一年前に比べると営業トークが格段に上達しましたよね。」

「最近、〇〇さんの仕事をこなすスピードがどんどん上がっているんです。私も見習わないといけませんね。」

存在承認

存在承認とは、その人の存在自体を認めることです。

【陽口の例】

「〇〇さんがいてくれるだけで、職場の雰囲気が明るくなりますよね。」

「周りが焦っているときでも、〇〇さんがいつも冷静でいてくれるので、安心できるんです。」

挨拶やちょっとした声かけも存在承認になります。普段から上司やリーダーのほうから積極的にコミュニケーションをとることを意識すると、メンバーは安心感を得られるでしょう。

まとめ

陽口ワークを実施することで、メンバーの自己肯定感が高まる、チームの雰囲気・人間関係が良くなることが期待できます。また個人としても、自分と違う視点・価値観を知れる、他人の「良いところ」を探す癖がつくなどのメリットがあります。かかる時間も2030分程度、オンラインコミュニケーションツールさえあれば実施できるという手軽さも魅力です。コミュニケーションやモチベーションの課題を感じているなら、陽口ワークを実施してみてはいかがでしょうか。

 

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以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。

1.合意形成・アサーティブコミュニケーション研修

合意形成・アサーティブコミュニケーション研修のアクティビティ「コンセンサスゲーム」では、危機的な状況下でどの物資を優先して確保すべきかをチーム内で議論し、最適な結論を導きます。

学びのポイント

  • 各々が個人ワークで考えた答えを聞くことで、チームメンバーの状況に対する認識や物資の重み付けの違いを受講者が理解する
  • 話し手は自分の答えにいたった理由を論理的・説得的に説明する
  • より良い根拠を導き出すための比較検討をして、チーム全員が納得する結論を出す

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2.PDCA研修

PDCA研修のアクティビティ「ロケットPDCAチャレンジ」では、パーツを組み合わせてロケットを制作し打ち上げ結果から原因を考えて、より良く飛ぶロケットに改善していき、目標の達成を目指します。

学びのポイント

  • 計画を立ててロケットを飛ばし、その結果から組み合わせの誤り・部品の不足・不良部品の有無を推察し、それを繰り返すことで組み合わせの精度を上げていく
  • 資金稼ぎ・パーツの選択・打ち上げの準備を繰り返し、作戦タイム振返りを経て行動を改善していくことで、最適化されていく

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3.戦略思考研修

戦略思考研修のアクティビティ「ワールドリーダーズ」では、労働力や資本を使って事業を設立し、利益を稼ぐことを目指します。

学びのポイント

  • 不確実な状況のなかで自チームにとって最適な行動方針を考え、実行していく
  • 戦略を決めるために与えられた手段のなかでどの情報を取得していくかの優先順位決めが求められる

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4.コミュニケーション研修

コミュニケーション研修のアクティビティ「謎解き脱出ゲーム」では、チームでコミュニケーションをとりながら問題に隠された法則を発見する謎解きゲームのクリアを目指します。

学びのポイント

  • 受講者が「自分しか見えていない情報・問題・解き方」をチームで共有することでコミュニケーション促進やスキルアップにつながる
  • 突飛な発想・ヒラメキをチームのなかで積極的に発言できる心理的安全性の高い環境づくりが求められる

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5.ロジカルシンキング研修

ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルティング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します。

学びのポイント

  • 小グループで得られた情報を論理的に整理し、確定情報・曖昧情報・不要な情報を選り分ける
  • 大グループで全体に必要な情報を論理的に判断・共有することや、自分たちに足りない情報を聞き出すことが求められる

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6.クリティカルシンキング研修

クリティカルシンキング研修のアクティビティ「混乱する捜査会議からの脱出」では、推理ゲームで論理的に情報を整理するなかで証拠の違和感に気づき、仮説立てや検証を行って目標を達成します。

学びのポイント

  • 証拠品や証言など多くの情報を手分けして読み、組み合わせて論理的に結論を導き出す
  • フェーズが進むごとに情報が増え、複雑になっていくなかで必要な情報を取捨選択する
  • 出た結論に満足せず、常に新しい情報と照らし合わせて再検証する

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7.リーダーシップ研修

リーダーシップ研修のアクティビティ「グレートチーム」では、チームの運営を疑似体験することでリーダーシップやマネジメントを学びます。

学びのポイント

  • メンバーのリソース管理や育成、リーダーとしての決断を繰り返すことで、いろいろなリーダーシップの型を知ることができる
  • 現代に合わせたリーダーシップの発揮の必要性を知り、自分らしいリーダーシップを学べる

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8.ビジネスマナー研修

ビジネスマナー研修のアクティビティ「ビジトレ」では、実践形式・クイズ形式のアクティビティを通して、ビジネスマナーを楽しく学びます。

学びのポイント

  • 堅い内容になりがちなビジネスマナー研修にゲーム形式を取り入れることで、受講者が没入して学べる
  • 名刺交換や報連相などを実行し、動作・マナーに慣れることで、翌日から実践できるようになる

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9.防災研修

防災研修のアクティビティ「先が見えない防災訓練からの脱出」では、チームで協力して、防災のアイテムや知識を使用しながら謎解きゲームのクリアを目指します。

学びのポイント

  • 謎解きの答えが災害時のNG行動にまつわる内容となっており、解説時になぜ行なってはいけないかもセットで学ぶ
  • 被災時は様々な情報が飛び交うため、情報を取得する際にどのようにすれば惑わされないかを学ぶ

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10.OODA LOOP研修

OODA LOOP研修では、瞬間的な判断力が求められる運動系のアクティビティである「サバイバルゲーム」または「チャンバラ合戦」を実施することで、意思決定のフレームワークである「OODA LOOP」を実践的に習得することを目指します。

学びのポイント

  • 敵チームをよく観察して作戦を練り、状況に応じた行動を素早く判断しながら、チームで共有して一体となって行動する
  • ミッションの勝利条件をもとに、観察、判断、行動を繰り返すことで、本当にすべき行動が何なのか、行動の最適化を行う

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この記事の著者

あそぶ社員研修編集部

あそぶ社員研修は、企業の研修担当者向けのお役立ち情報を発信するメディアです。研修に関するノウハウ、組織・人材開発の手法、ビジネススキルなどをわかりやすく紹介します。

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