戦略思考とは?鍛え方や求められる理由をわかりやすく解説

2023.09.27
  • ビジネススキル
    • 戦略思考

目まぐるしく変化する環境に対応するため、ビジネスパーソンに「考える力」が求められる時代となっています。「○○思考」、「○○シンキング」といった名前のついた思考法や発想法は非常に多くありますが、まず身につけたい思考の一つに「戦略思考」があります。

本記事では、戦略思考とは何か、ビジネスパーソンに求められる理由や、戦略思考の鍛え方、戦略思考の強化につながる研修サービスを紹介します

 

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戦略思考とは

戦略思考とは、ビジネス上の課題を経営者の視点で正しく捉え解決に導く思考法のことです「戦略的思考法」と呼ばれる場合もあります。これを身につけることで、会議やミーティングなどで、話の本質を突いて論理的に自分の考えを発言できるようになります。

戦略思考は、1970年代後半に出版された『企業参謀』という本で、初めて体系的にまとめられました。著者は大前研一氏。経営コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーの元日本支社長などを経て、現在はビジネス・ブレークスルー大学学長を務めている人物です。

現在までに戦略思考に関するビジネス書や論文は多数発表されており、定義や捉え方もさまざまなものがあります。たとえば、問題解決や論理的思考と同じものとして捉えているものもあれば、フレームワークや分析ツールを用いて戦略を考えることが戦略思考であるとしているものもあります。

また、「戦略」なのか「戦略的」なのか、「的」の有無によっても、多様な捉え方ができます。「戦略そのものを考える」ことを意味するのか、「ものごとを戦略的に考える」ことなのか、どちらの意味にもとれます。

このように、戦略思考や戦略的思考法には決まった定義はなく、非常に多義的に理解されており、現在もさまざまな研究がなされています

参考:国士館大学 学術情報リポジトリ – 戦略的思考に関する概念的検討(小林崇秀)

戦略思考はものの本質を見抜くこと

戦略思考は、「ものの本質を見抜く思考」と言い換えることができるでしょう。「常識」で包まれているものを一度すべて分解し、一つひとつのパーツを正しく理解したうえで、今度は自分に都合が良いように組み立てていきます。このとき、「なんとなく」や「勘」で組み立てるのではなく、「理屈」で組み立て直すことがポイントです。

先ほど紹介した、戦略思考を初めて体系的にまとめた本である『企業参謀』では、いくつか戦略思考の考え方の例が紹介されています。その中の一つに、次のようなパッケージ旅行の費用が妥当かどうかを考えるという例があります。

  • 東京~伊勢志摩 一泊二日
  • 景色がきれいなところでさまざまなスポーツを楽しめる。
  • 料金:17,000円(※1970年代に紹介された例ですので、現在の相場とは異なります。)

これを、戦略思考を使って活動ごとの所要時間で分析してみると、移動に約半分、睡眠や食事に30%をとられることになり、スポーツを楽しむ時間はわずか14%(5時間)となりました。17,000円から食事代2,000を差し引くと15,000円。これを5時間で割ると、1時間あたり3,000円となります。当時の東京近郊の高価なテニスコート使用料は1時間1,000円。スポーツを楽しむだけなら、東京近郊でテニスコートを借りたほうが安いという結果となります。

ただ、ここには景色の美しさや大自然の中だからこそ味わえる解放感などは加味されていません。スポーツをするだけなら東京でやったほうが安いけれど、それでも「大自然の中でスポーツがしたい」「一度伊勢志摩に行ってみたかった」などの理由で17,000円を正当化していると認識することが大切なのです

このように、一度すべてのパーツに分解して一つひとつを把握することで、ものごとの本質を見極めることができるようになり、ほかの選択肢との比較もしやすくなります

参考:3分でわかる戦略思考!本質を見抜き、答えに素早くたどり着く | ビジネススキル大全 | ダイヤモンド・オンライン

戦略思考が求められる理由

かつての日本は、終身雇用と年功序列が一般的でした。しかし近年は、キャリアップのために前向きな転職をする人や、副業や兼業をする人、年齢や勤続年数に関係なく成果や実力で社員を評価する「成果主義」を導入する企業も増えています。「大きな企業に入って忠義を尽くしていれば安心」という昔ながらの考え方が、通用しなくなりつつあるのです。

2003年に出版された『戦略思考コンプリートブック』(著者:河瀬誠)という本では、これからの企業が求めるのは、企業に忠義を尽くしてくれる「サラリーマン」ではなく、企業に付加価値を与えてくれる人材であり、自分で課題を見つけて解決できる「ビジネスパーソン」になる必要があると述べられています。サラリーマンからビジネスパーソンになるために欠かせないのが、戦略思考です。『戦略思考コンプリートブック』では、コンピュータでいうなら戦略思考は思考のOS(オペレーティング・システム)であり、業務に必要な専門知識はOSの上で動くアプリケーションであると紹介されています。OSには、戦略思考のほかにもロジカルシンキング、コミュニケーション、基礎的な会計とITの知識、英語力も含まれています。企業に求められるビジネスパーソンになるためには、まずはOSの部分を身につけることが重要なのです。

参考:「戦略思考コンプリートブック」(著者:河瀬誠 / 出版社:株式会社日本実業出版社)

戦略思考を鍛える5つの方法

では、戦略思考を鍛えるにはどうすれば良いのでしょうか。ここからは、その方法を5つ紹介します。

  1. 自分の現状を知る
  2. 知識を習得する
  3. 設問の訓練をする
  4. 「やるべきこと」ではなく「やること」を決める
  5. 戦略思考研修を受講する

一つずつ、詳しく見ていきましょう。

1.自分の現状を知る

まずは、自分自身を分析して現状を認識するところから始めましょう。自分のことを理解すれば、どこをどう変えればいいのか、何をすれば良いのかが見えてくるはずです。自分の強みや弱み(課題)、思考や行動の癖、現状どれくらい戦略思考が身についているかを把握しましょう

戦略思考が身についているかどうかを把握するには、「戦略思考力アセスメント」の活用がおすすめです。

戦略思考力アセスメント

「戦略思考力アセスメント」は、一般社団法人日本能率協会(JMA)が提供するサービスです

先ほどもお伝えしたように、戦略思考に決まった定義はなく、捉え方も呼び方もさまざまなものがあります。JMAが考える「戦略思考力」は、「戦略的なマインド」と「戦略的な思考スキル」で構成されています。「戦略的なマインド」とは、戦略的な価値観や意識を持って行動できているか、「戦略的な思考スキル」とは、戦略的に考える力があり、それを発揮できているかというものです。戦略思考力アセスメントは、この2つの側面から戦略思考力を診断します

戦略思考アセスメントを実施することで、マネージャーやリーダー個人だけでなく、組織の現在の水準や課題も把握することができます。回答は、選択形式が50問、記述式が20問です。オンラインのアセスメントですので、時間・場所を選ばず受験することができます。

参考:戦略思考力アセスメント – 講師派遣型研修の経営ソリューション – JMA

2.知識を習得する

知識が豊富であればあるほど、課題に直面したときに戦略を立てやすくなります。知らないことを学び、学んだことを普段から意識して活用することで、戦略思考を磨くことができます。

専門的な知識を学ぶことももちろん大切ですが、まずは考え方に関する知識を習得しましょう。たとえば、戦略思考に役立つフレームワークや思考法などです。その一例として、「3C分析」「SWOT分析」「ロジカルシンキング」を紹介します。

3C分析

3C分析は、マーケティング戦略の策定や、事業計画を立てる際によく用いられるフレームワークです。以下の3つの観点からマーケティング環境を分析し、検討を重ねて、成功要因(Key Success Factor)を見つけ出します。

  • Customer(市場・顧客):市場と顧客ニーズはどのように変化しているか。
  • Competitor(競合):どのような競合企業があり、それらの競合企業は変化にどう対応しているか。
  • Company(自社):自社の強み・弱み、成功要因はあるか。

自社の分析だけでなく、市場や顧客、競合企業といった外部要因を分析し、内部要因と照らし合わせることで、計画や戦略を最適化できます。

この3C分析のコンセプトを考案したのは、『企業参謀』の著者でもある大前研一氏です。1982年の著書『ストラテジックマインド ― 変革期の企業戦略論』の中で紹介されたことで、広く知られるようになりました。

SWOT分析

SWOT分析は、自社の置かれている状況を分析するためのフレームワークです。以下のように、縦軸に「内部環境」と「外部環境」、横軸に「プラス要因」と「マイナス要因」を設けて、現状を「強み(Strengths)」、「弱み(Weaknesses)」、「機会(Opportunities)」、「脅威(Threats)」の4つに分けて整理します。SWOTは、この4つの頭文字を取ったもので、「スウォット」と読みます。

 

プラス要因

マイナス要因

内部環境

<強み(Strength)>

自社の強み、長所、得意なことなど

<弱み(Weakness)>

自社の弱み、短所、苦手なことなど

外部環境

<機会(Opportunity)>

社会や市場の変化などで、自社にとってプラスになる要素

<脅威(Threat)>

社会や市場の変化などで、自社にとってマイナスになる要素

事業全体の分析だけでなく、項目やテーマごとにSWOT分析を行うことで、課題が明確になり、効果的な戦略を立てやすくなります。

また、戦略思考を鍛える方法として、一つめに「自分の現状を知る」ことを紹介しましたが、SWOT分析は自己分析にも使えるフレームワークです。

ロジカルシンキング

ロジカルシンキングとは、日本語では「論理的思考法」と呼ばれているものです。各種の要因・要素をモレ・重複なく整理して全体を把握し、的確な結論を導き出して、さらにそれを他者にわかりやすく伝えるスキルのことをいいます。

ロジカルシンキングを学ぶことで、分析力や問題解決力が向上するだけなく、筋道を立てて説明する力(プレゼンテーション能力)も向上します。ロジカルシンキングも、現代のビジネスパーソンに求められるスキルの一つです。

ロジカル・シンキングについては、以下の記事で詳しく紹介しています。

ロジカル・シンキングとは?思考法やツールをわかりやすく解説 

3.設問の訓練をする

普段から「ただ改善策を集めるだけの設問」ではなく、「解決につながる設問」ができるように意識してみましょう

大前研一氏は、自身の著書の中で、残業を減らすにはどうすれば良いかを話し合うときの設問の例を紹介しています。そのまま「残業を減らすにはどうすれば良いだろう?」という設問をすると、「昼休みを短くする」「17時までに終わらせることを目標にする」など、メンバーからはさまざまなアイデアが出るでしょう。しかし、これらは単なる思いつきであり、有効性を確かめる方法はありません。

では、「仕事量に対して人手は足りているのか?」という設問ならどうでしょう。これだと、答えは「Yes」か「No」に二択になり、「Yes」とするなら、それを証明するための分析をしなくてはならなくなります。このように、Yes」か「No」で答えられる設問をして、必要なデータを集めながら考えていくことで、本質を突いた答えにたどり着けるようになるのです

参考:「〔新装版〕企業参謀」(著者:大前研一 / 出版社:プレジデント社)

4.「やるべきこと」ではなく「やること」を決める

課題を解決するために、「やるべきこと」を洗い出してリストを作るということがあると思います。これ自体は間違いではありませんが、洗い出した「やるべきこと」に優先順位をつけて、実際に「やること」を決めるところまでしっかり実行しましょう

お金や人材、時間といった経営資源には限りがあります。どんなに良い解決策をたくさん並べても、すべて実行できるとは限りません。最優先で取り組むことを絞り込み、実際に「やること」と「やらないこと」を決めましょう。

普段から何かを決めるときに、このように優先順位をつけて絞り込む癖をつけると、戦略思考が鍛えられます

5.戦略思考研修を受講する

戦略思考の注目度の高まりとともに、戦略思考を学べる研修やサービスを提供する企業も増えています。内容は研修会社によってさまざまですが、課題の発見から分析、解決策の立案といった流れを体験できるワークが盛り込まれているものが多いです。

戦略思考の強化につながる研修サービス

社員の戦略思考を鍛えるために、戦略思考を鍛えられる研修を実施するというのも一つの方法です。体験型の研修サービスを活用することで、ロジカルシンキングや問題解決のプロセスを実践的に学ぶことができます。また、グループに分かれて行うことで自然とコミュニケーションが促進され、チームビルディングにもつながります。

ワールドリーダーズ

ワールドリーダーズは、株式会社IKUSAが提供する、SDGsも学べる研修サービスです。参加者は世界トップレベルのビジネスリーダーとなり、与えられた労働力や資本を使って利益を生み出していきます。最終的に最も多くの利益を出したグループが勝利です。

しかし、利益をあげることだけを追求していては、ワールドリーダーズで勝つことはできません。各グループにランダムで配られる事業カードには環境・経済・社会の3つの値が書かれており、事業が設立するとそれぞれの値が変動します。環境や社会にも配慮しながら事業を進めなければ敗退となってしまうため、これらも考慮して戦略を立てなければなりません。

また、「情報・調査カード」というほかのグループの事業の情報を得ることができるカードもあります。これで得た情報をもとに、ほかのグループとうまく交渉が進められるかどうかも、勝つために重要なポイントです。

実際に戦略を立ててそれを実行するという流れを繰り返す中で、戦略思考や交渉力、経営者の視点などを学ぶことができます。また、グループで戦略を練るためには、深いコミュニケーションが必要になりますので、チームビルディングにもつながります。

※SDGsとは……Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称。2030年までに環境・経済・社会のバランスのとれた持続可能な世界を実現するための国際目標で、17の目標と169のターゲットで構成される。

まとめ

戦略思考にはさまざまな定義や捉え方がありますが、一言で表すなら「ビジネス上の課題を経営者の視点で正しく捉え解決に導く思考法」であるといえるでしょう。これからの時代のすべてのビジネスパーソンに求められるスキルの一つです。

社員の戦略思考を鍛えるには、本記事で紹介した5つの方法を、社員に普段から意識して実践してもらうことも大切ですが、やはり一番効果的なのは問題解決のプロセスを体験することではないでしょうか。戦略思考を強化するための施策として、外部の研修サービスの利用も検討してみてください。

 

アイスブレイクとアクティビティでコミュニケーションを促進させる「あそぶ社員研修」は、受講者全員の主体性を高め、置いていかれる社員を作らない研修プログラムです。講義による学びの定着を促し、翌日からの業務に役立てることができます。

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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。
不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。
猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

あらたこまち

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