PREP法とは?例文・メリット・注意点・その他のフレームワークを解説

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仕事をしていると、上司への報告・連絡・相談や、取引先や顧客との交渉など、状況を説明したり、意見を主張したりしなければならない場面が多々あります。そのためビジネスパーソンには、「伝える」スキルが欠かせません。わかりやすく伝えるために重要な要素の1つが、文章の構成です。文章の構成がよくないと、どれだけハキハキとわかりやすい言葉で説明したとしても、正しく伝わらないことがあります。

本記事では、文章の構成を考える際に役に立つ「PREP法」というフレームワークについて解説します。PREP法とは何か、メリット・デメリット(注意点)さらに、PREP法以外の文章構成フレームワークも簡単に紹介します

 

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PREP法とは

PREP法(読み方は「プレップほう」)とは、相手にわかりやすく話を伝えるための、文章構成のフレームワーク(枠組み)です。業務の報告、プレゼンテーション、簡単なスピーチ、文書作成など、さまざまなシーンで活用できます。アルファベットの「PREP」は、以下の4つの英単語の頭文字をとったものです。PREP法では、この順番に相手に情報を伝えていきます。

1.Point(結論)

例:「結論から申しますと、〇〇〇〇〇です。」

2.Reason(理由)

例:「なぜなら、△△△△△だからです。」

3. Example(具体例)

例:「実際に、×××××という事例があります。」

4. Point(結論)

例:「したがって、〇〇〇〇〇という結論になります。」

このように、PREP法では話の結論を最初と最後の2回伝えます。そして、その間に根拠として、理由と具体例を述べるという構成になっています。

PREP法を活用した例文

PREP法は、ビジネスのさまざまなシーンで活用できます。ここで、シチュエーション別にPREP法の具体的な例文を見てみましょう。

1.上司に提案をするとき

まずは、「管理業務をもっと効率化したいと考えるプロジェクトのリーダーが、上司にプロジェクト管理ツールの導入を提案する」というシチュエーションにおけるPREP法の活用例です。

  • Point(結論)

「プロジェクト管理ツールの導入を検討していただけないでしょうか。」

  • Reason(理由)

「現在、進捗状況はリーダーである私がエクセルで管理しておりますが、更新や情報共有に手間がかかると感じています。プロジェクト管理ツールを導入すれば、管理業務を効率化できると考えます。」

  • Example(具体例)

「たとえば、A社のツールの公式サイトでは、導入することで管理業務にかかる時間を約〇%削減できるというデータが紹介されています。」

  • Point(結論)

「業務効率化のために、プロジェクト管理ツールの導入を検討していただけないでしょうか。」

2.顧客に自社商品を勧めるとき

次に、「オフィス向けの複合機を扱う企業の営業パーソンが、顧客に新商品を進める」というシチュエーションにおけるPREP法の活用例です。

  • Point(結論)

「御社には、弊社の新しい複合機、「〇〇〇(商品名)」をおすすめいたします。」

  • Reason(理由)

「この複合機は、現在御社にご利用いただいている複合機よりも高性能で、使いやすいものとなっています。」

  • Example(具体例)

「具体的には、発色できる色合いが増え、より鮮明に印刷できるようになりました。また、一度原稿を通すだけで表と裏を同時にスキャンする機能も追加されています。」

  • Point(結論)

「現在ご利用いただいている複合機よりも、便利にご使用いただける商品となっています。ぜひこの機会に、入れ替えをご検討ください。」

PREP法のメリット

PREP法を活用することで、相手と円滑なコミュニケーションがとれるようになります。具体的には、次のようなメリットがあります。

説得力が増す

PREP法は、話の結論を最初と最後の2回伝える構成となっているため、結論が相手の印象に残りやすいという特徴があります。さらに、その間に理由だけでなく具体例を挙げることで、根拠も明確になります。このように、PREP法は話の説得力を高める構成となっているため、相手の理解も得やすくなるでしょう。

伝えたいことが伝わりやすくなる

PREP法は、結論から始まる構成となっていますので、相手も「今から何の話が始まるのか」を、すぐに理解できるようになります。その後の話の内容も伝わりやすくなるでしょう。

逆に、話し始めてから結論までが長いと、相手が「それで、結局何が言いたいの?」と感じてしまうような状況になりやすくなります。実際に、このようなことを言われたことがあるという人もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここで、結論までが長いわかりにくい説明の例を見てみましょう。先ほどPREP法の例文を紹介しました、「上司に提案する」というシチュエーションにおける、わかりにくい説明の例です。

現在、プロジェクトの進捗状況は、リーダーである私が管理しています。エクセルを使っているのですが、更新や情報共有に非常に時間がかかってしまっています。
どうにかして管理業務を効率化したいと考え、いろいろと調べてみますと、最近はプロジェクト管理ツールを活用する企業も多いようです。たとえばA社のツールですと、導入することで管理業務にかかる時間を約〇%削減できると、公式サイトでデータが紹介されていました。
そこでご提案なのですが、うちの会社にもプロジェクト管理ツールを導入していただけないでしょうか。

もちろんこれでも伝わりますが、結論までが長いと、やや回りくどい印象も受けます。また、この伝え方では、報告なのか、相談なのかが最後までわかりません。「いつまで聞いていればいいのだろう?」と、相手がストレスを感じてしまう可能性もあります。

PREP法を使うことで、短時間で伝えたいことが伝えられるようになり、聞き手のストレスも減らすことができるでしょう。

やり取りの手間を減らせる

相手に何かを伝えたいときに、頭に浮かんだことをそのまま口に出すよりも、きちんと順序立てて説明していったほうが、相手もこちらが何を伝えたいのかを理解しやすくなります。「もう一回説明してほしい」「つまり、どういうこと?」というような、不要なやり取りが発生しにくくなるというのも、PREP法を活用するメリットの1つです。

ビジネスでは、限られた時間を有効に使って成果をあげることが求められます。PREP法を活用して短時間でわかりやすい説明ができるようになれば、このような小さい時間のロスも減らしていくことができるでしょう。

また、最近はオンラインでプレゼンテーションを行うケースも増えていますが、オンラインのプレゼンテーションでは、聞き手がその場で質問をするのが難しいこともあります。聞き手が一回聞いただけで理解できるように、プレゼンターには、よりわかりやすく説明することが求められます。PREP法を活用すれば、オンラインのプレゼンテーションも成功につながりやすくなるでしょう。

自分の考えを整理できる

PREP法は、相手に何か情報を伝えるときだけでなく、自分の頭のなかで情報を整理したいときにも役立つフレームワークです。たとえば、何かアイデアを思いついたときに、「これをPREP法で説明するとどうなるだろう?」と考えてみると、そのアイデアについてより深く掘り下げることができるでしょう。

普段からこのようにPREP法で考える習慣をつけると、仕事への理解が深まったり、課題や問題を解決するスキルが向上したりすることも期待できます。

文書・資料をスムーズに作成できるようになる

ビジネスでは、報告書のように文書で情報を伝えなければならない場面も多々あります。プレゼンテーションの際は、わかりやすい資料も用意しなければなりません。PREP法は、何かを口頭で説明するときだけでなく、このような文書や資料を作成するときにも活用できます。

わかりやすい文書・資料を作成するためには、構成が非常に重要です。構成に悩んだときは、P(結論)→R(理由)→E(具体例)→P(結論)の順に内容をまとめてみましょう。最初は時間がかかるかもしれませんが、これに慣れてくると、スムーズにわかりやすい文書・資料を作成できるようになります。

また、相手は仕事が忙しいなかでその文書・資料を読んでくれるわけですから、さっと目を通しただけで内容を理解できるものであること、ストレスなく読めるものであることも重要です。PREP法を活用すれば、相手にとっても読みやすい文書・資料を作成できるようになるでしょう。

PREP法のデメリット・注意点

さまざまなメリットがあるPREP法ですが、どのような場面にも使える万能なフレームワークというわけではありません。PREP法には、デメリットもあります。PREP法を使うときは、以下の点に注意しましょう。

使いこなすには練習が必要

PREP法は、使い慣れるまでは、話をまとめるのに時間がかかってしまう場合があります。特に理由や具体例は、明確な根拠を示す必要があるため、情報をそろえるのに時間がかかってしまうこともあるでしょう。

いきなり会話でPREP法を使うのが難しいと感じる場合は、メールや資料など「書く」ことから取り入れてみてはいかがでしょうか。または、普段からPREP法で考える癖をつける、既存の文章をPREP法に直してみるといったトレーニングもおすすめです。練習を続けていくと、徐々に使いこなせるようになっていくでしょう。

多用しすぎると単調な印象を与えることがある

PREP法は、非常に便利なフレームワークですが、多用しすぎないように注意しましょう。たとえば、1つの資料のなかに複数の見出しがあり、それらすべてがPREP法の構成となっていたなら、読み手に単調な印象を与えてしまう可能性があります。ビジネスにおいては「結論から伝える」のが基本ではありますが、単調にならないように上手に活用しましょう。

適さない場面もある

PREP法が向いていない場面というのもあります。具体的には、以下のような場面です。

共感や納得を得たいとき

たとえば、相手と交渉をするときです。こちらの意見を主張するときには使えますが、PREP法だけでは、相手の共感や納得を得るのは難しい場合もあります。PREP法では具体例を挙げますが、これは結論を補足する程度のものであるためです。

また、PREP法はまず結論から伝えますが、そもそもその結論を相手に否定されそうなときもあるでしょう。そのようなときは、肯定的な反応をしてくれそうな話から始めて、少しずつ同意を積み重ねていき、最後に結論を伝えたほうがよい場合もあります。

前提条件が共有されていないとき

PREP法は最初に結論を伝えますが、前提条件が共有されていないと、先に結論を述べても、その結論を相手が理解できない場合もあります。そのまま話を進めていっても、相手はどんどんわからなくなっていってしまうでしょう。聞き手は、話し手が思っているほど前提を把握できていないことも少なくありません。そのため、前置きとして「今からこれについて話します」ということを、結論の前にコンパクトに伝えたほうがよい場合もあります。

また、相手が結論を理解するだけの知識を持っていないようであれば、それについての解説も必要になります。このように、PREP4つだけでは不十分なケースもあります。

話にオチがあるとき

面白いエピソードや自分の体験談など、「オチ」があるストーリーを語るときも、PREP法は向いていません。「オチ=結論」なので、最初に伝えてしまうと、話が面白くなくなってしまうからです。

先ほどもお伝えしたように、ビジネスシーンでは「結論から伝える」のが基本ですが、休憩中の雑談や日常会話のなかでは、話題によってはPREP法で伝えるとつまらなくなってしまうものもあります。

PREP法以外の文章構成のフレームワーク

PREP法以外にも、話を組み立てるときに役立つフレームワークがあります。最後に、SDS法とDESC法を簡単に紹介します。

SDS

SDS法(読み方は「エスディーエスほう」)は、Summary(要点)、Details(詳細)、Summary(要点)の順に、相手に情報を伝えていくというフレームワークです

1. Summary(要点)

例:「今回お伝えしたいのは、〇〇〇〇〇ということです。」

2. Details(詳細)

例:「詳しく説明させていただくと、×××××です。」

3. Summary(要点)

例:「つまり、〇〇〇〇〇ということになります。」

私たちが普段テレビでよく見ているニュースの原稿も、このSDS法の構成になっていることが多いです。自己紹介や簡単なスピーチ、プレゼンテーション、文書を作成するときなど、ビジネスシーンでも幅広く使うことができます。

結論(要点)で始まり結論で終わるという点はPREP法と同じですが、SDS法の場合は、間にあるのは簡単な説明のみで、PREP法のように理由と具体例にわかれていない分、シンプルで活用しやすいのが特徴です。相手に話の全体を把握してほしいときにはSDS法が、自分の意見をしっかり主張したいときにはPREP法が向いているといえるでしょう。

DESC

DESC法(読み方は「デスクほう」)は、相手のことも尊重しながら、自分の意見もしっかりと伝えるためのフレームワークですDescribe(描写する)、Express(説明する)、Specify(提案する)、Choose(選択する)の順に、自分の考えや気持ちを相手に伝えていきます。

1. Describe(描写する)

客観的かつ具体的に、事実(状況、問題、相手の言動など)を言葉で表現します。この段階では、自分の考えや感情、推測などは入れてはいけません。

2. Express(説明する)

自分の考えや感情、意見を、相手に配慮しつつ表現します。

3. Specify(提案する)

相手にしてほしいことを、具体的に提案します。

4.Choose(選択する)

こちらの提案に対して、相手が「イエス」か「ノー」を選択します。その相手の選択に対して、こちらも次に伝えることを選択します。

4つ目のステップ、Choose(選択する)で、相手が「イエス」を返してくれれば、こちらは「ありがとうございます。」「よろしくお願いします。」などを返し、話し合いはそれで終わることが多いでしょう。「ノー」が返ってきた場合は、DESC法では説得を試みるのではなく、1つ前のSpecify(提案する)に戻り、また別の提案をします。そのため、話し合いをスムーズにまとめられるよう、複数の代案を用意しておくとよいでしょう。また、DESC法は、「提案」として伝えるというのが大きな特徴です。「命令」や「指示」にならないように注意しましょう。

PREP法やSDS法との使い分けとしては、自分が説明することを相手に理解してほしいときにはPREP法やSDS法が、相手に納得したうえでやってほしいことがあるときにはDESC法が向いています。

なお、DESC法の使い方や例文は、以下の記事でも紹介しています。

DESC法とは?具体例やメリット・デメリットを解説

まとめ

PREP法を活用して、順序立てて説明することで、短時間で伝えたいことが伝わりやすくなります。また、PREP法は結論を最初と最後の2回述べる構成になっていますので、話に説得力を持たせることもできます。

ただ、PREP法をいきなり会話のなかで使うのは難しいと感じる人も多いでしょう。さまざまなことを「PREP法で説明するとどうなるだろう?」と考えてみたり、既存の文章をPREP法で書き直してみたりして、練習を積み重ねていくと、徐々にスムーズに使えるようになっていくはずです。普段から、意識して取り入れてみてください。

 

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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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