若手社員の離職防止の対策方法・アイデア7選!離職理由も解説

  • 組織・人材開発

業界を問わず人手不足が叫ばれている昨今、入社したばかりの新入社員や2~3年目の若手社員の離職に、頭を悩ませている経営者や人事担当者の方も多いのではないでしょうか。早い段階で適切な対策を講じれば、優秀な社員の早期離職を防止することが可能です。

本記事では、若手社員の離職率やその理由、早期離職が企業にもたらすダメージ、離職防止に有効な対策のアイデア7選を解説します

 

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若手社員の離職状況

厚生労働省が発表した「新規学卒就職者の離職状況(令和23月卒業者)」によると、就職後3年以内の離職率は、高校卒就職者が37.0%、大学卒就職者が32.3%となっています。つまり、新規で入社した従業員の3割程度が、3年以内に離職しているということです。産業別に見てみると、最も離職率が高かったのは、大卒就職者、高卒就職者ともに「宿泊業・飲食サービス業」、次いで「生活関連サービス業・娯楽業」、「小売業」、「教育・学習支援業」という結果になっています。

参照:新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)を公表します|厚生労働省

産業分類別(大分類)就職後3年以内の離職率の推移(高卒就職者)

 

宿泊業・[kn3] 飲食サービス業

62.6% (+2.0%)

生活関連サービス業・娯楽業

57.0% (▲0.2%)

小売業

48.3% (+0.7%)

教育・学習支援業

48.1% (▲5.4%)

医療・福祉

46.4% (+1.2%)

出典:新規高卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)(PDF)|厚生労働省

産業分類別(大分類)就職後3年以内の離職率の推移(大卒就職者)

 

宿泊業・飲食サービス業

51.4% (+1.7%)

生活関連サービス業・娯楽業

48.0% (+0.6%)

教育・学習支援業

46.0% (+0.5%)

医療・福祉

38.8% (+0.2%)

小売業

38.5% (+2.4%)

出典:新規大卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)(PDF)|厚生労働省

 

離職率とは

離職率とは、企業において一定の期間内で退職した社員の割合を示すものです

厚生労働省の雇用動向調査で用いられている離職率は、以下の算出式で求めることができます。

  • 離職率=一定期間内の離職者数÷11日現在の在籍者数×100

離職率は、自社が労働者にとって働き続けやすい職場かどうかを判断する指標の1つです。離職に至る原因はさまざまですが、社内にネガティブな要素があることも多く、放置していると企業にとって多様なリスクに発展する可能性があります。同業他社と比較して自社の離職率が高い場合、まずその原因を把握する必要があるでしょう。

ただし「離職率が高い=悪い企業」とは必ずしもいえません。たとえば社員数が少ない企業の場合、離職者が1人のみだったとしても離職率は高く算出されます。

 

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若手社員が離職する理由

若手社員が離職する理由として、以下が考えられます。

参考:令和4年雇用動向調査結果の概要|厚生労働省

1.   仕事上のストレスが大きい

職場の人間関係、仕事量、責任の重さなどにストレスを感じて離職する人は多くいます。その中でも職場の人間関係は、早期離職の大きな原因の1つです。上司や同僚と折り合いが悪いなど、コミュニケーションに問題があると、心理面や仕事のパフォーマンスにネガティブな影響を与えます。ストレスの感じ方は人それぞれです。多少のすれ違い程度でも、人間関係に課題を感じてモチベーションが低下することがあります。

人手不足の場合は職場全体がキャパオーバーになっているため、上司や同僚も忙しく、若手社員をフォローするのが難しいでしょう。基礎的な業務上のコミュニケーションはとれていても、自分の意見や提案を自由に話せる環境ではないと心理的安全性が低下し、早期離職につながることがあります。

2. 給与への不満

給与は働くうえで重要な指標です。仕事内容は問題がなくても「給与が安い」「残業代が出ない」などの金銭的な不満は、離職の大きな要因となります。給与条件に納得したうえで入社していても、実際に働いているうちに不満が出てくることはよくあります。その背景には「自分は正当に評価されていない」という思いがあります。一生懸命働いても給与に反映されなければ、社員の不満は高まり、モチベーションの低下を招くでしょう。

3.労働時間が長い

長時間労働も離職の大きな要因の1つです。働き手の意識はここ数年で大きく変化しており、若い世代ほどワーク・ライフ・バランスを重視する傾向が強くなっています。慢性的な長時間労働は睡眠やプライベートの時間を奪い、心身ともに大きな負担となるため、転職を決意する十分な理由となりえるでしょう。また、他企業の労働条件との比較や、転職に成功した人からのアドバイスなどが、離職を考えるきっかけになることがあります。特に社会人になりたての時期は、周囲との違いが気になるものです。たとえば「自分は毎日遅くまで働いているのに、友人はいつも定時で帰っている」となると、不満もたまりやすいと考えられます。

4.企業の将来性・安定性に期待が持てない

将来性が不安な企業は、長年勤めても給与が上がりづらく、業績悪化によるリストラや倒産の不安があります。ただでさえ不況になるとリストラや倒産する企業が増加するので、「できるだけ安定した企業で不安なく働きたい」と考えるのは当然のことです。また、古い体質で新しいことを取り入れようとしなかったり、経営方針の変更にあたり意図がしっかり伝わらなかったりすると、社員は企業の将来性に不安を感じるようになります。

若手社員の価値観・状況

現在の管理職世代と若手社員世代では、育ってきた環境や時代背景が異なるため、価値観や考え方に違いがあるとされています。若手社員の早期離職を防ぐためには、彼らを取り巻く環境や意識の変化に対する理解が必要です。

インターネットで情報を収集できる

若手社員世代は「デジタルネイティブ」と呼ばれ、生まれた時からインターネットやSNSに囲まれて生活しているので、それらを活用した情報収集が得意です。スマホ1台あれば、企業の概要から口コミ・評判、労働環境まであっという間に情報が手に入ります。また、SNSを活用すれば「あの企業の残業時間は○○だった」「あっちの企業の給料は△△」と気軽に情報交換ができるのも特徴です。昔と比べると今の若手社員は、自分が勤める企業と他社を比較しやすくなったといえるでしょう。

キャリアに関する価値観・考え方が変化している

20世紀後半の日本では、終身雇用や年功序列型の賃金制度が一般的でした。しかし今や、いわゆる「日本型雇用」は崩壊しつつあります。「安定している」といわれる大企業でも、リストラや早期・希望退職者募集に踏み切る時代となりました。そのため、企業に依存せず自らのキャリアを形成しようという若手社員の意識が高まっています。こうしたキャリアに関する考え方の変化が、早期離職につながる要因の1つといえるでしょう。

超高齢社会になり人手が不足している

少子高齢化に伴い、労働可能な人口は年々減少傾向にあります。そのため採用市場は売り手市場となっており、希望する職種に転職しやすいのが現在の状況です。無理をして今の職場にとどまらなくても、もっと良い環境があるだろうと考えて、早くに見切りをつけて離職する人も少なくありません。

転職に対する心理的ハードルが低下している

今の若手社員世代にとって、転職は普通のことです。現代では、スマホ1つで転職活動を始められます。転職サイトに登録すれば、北は北海道から南は沖縄まで多数の求人票を閲覧することが可能です。このように転職サイトや転職エージェントを気軽に利用できる環境が整ってきたことも、転職のハードルが下がった一因といえるでしょう。近年ではスカウト型の転職サイトも増え、企業や転職エージェントからスカウトメールが届くことも珍しくなくなり、転職が身近になっています。

若手社員の離職が企業にもたらすダメージ

若手社員の離職は、企業にとって大きな損失となりえます。具体的には、以下のようなダメージが想定されるでしょう。

1.企業のイメージダウン

離職率が高い企業は、一般的に「働きにくい環境なのだろう」「辞めたくなる理由があるはずだ」といったネガティブなイメージを持たれがちです。そのため求職者に敬遠されやすい傾向にあります。口コミサイトに「辞める人が多い」「退職して良かった」といったコメントを書かれると、自社のマイナスなイメージが広がり、今後の採用活動にネガティブな影響を与えるかもしれません。そうなった場合、人員補充をしようとしても人が集まらず、職場環境がますます悪化する悪循環に陥る可能性が高くなります。企業イメージは消費者の消費行動を左右する重要な要素です。企業イメージが悪くなると、良い人材が集まりにくくなるだけでなく、顧客の安心・信頼を損ねる原因にもなりえるため、生じるデメリットは決して小さくありません。

2.採用・育成コストの増加

新たな人材を採用するとなると、求人広告を出したり、採用活動に人的リソースを割かなければならなかったりと、一定のコストが必要です。また、採用後も新人研修やOJTなどの教育コストが発生します。離職率が高い企業の場合、採用から育成までの過程を何度も繰り返すことになるので、必然的に人材の採用・育成コストが増大します。企業体力によっては、致命的なダメージとなる可能性があるでしょう。

3.労働環境の悪化

離職率が高い企業では、残された従業員の負担が大きくなります。離職者の穴を埋めるために、自分の業務に加えて仕事量が増えるため、自ずと不満は大きくなることでしょう。特に離職者が多い部署では、個人で1人分以上の業務を担うことが常態化し、労働環境が悪化の一途を辿ります。労働環境の悪化がさらに多くの離職者を招き、ますます労働環境が悪化するという負のスパイラルに陥ってしまいがちです。

4.次世代リーダーの不足

若手の離職率が高いと、次世代のリーダーが育たないことによる後継者不足が懸念されます。企業の核を担うリーダーの存在は、強い組織づくりに不可欠です。しかし、優秀な人材が早期離職した場合、将来のリーダー候補が減り、経営に悪影響を及ぼす可能性があります。企業が持続的に発展していくためには、組織文化をいかに次世代へと継承をしていくかがカギとなるでしょう。長年勤務している社員が少なくなると、これまで企業で培われてきた価値観や考え方の担い手がいなくなることも懸念されます。

若手社員の離職防止に有効な対策方法・アイデア7

ここからは、若手社員の離職防止に向けた7つの対策方法・アイデアをご紹介します。

1.社内コミュニケーションの活性化

離職防止には社内コミュニケーションの活性化が有効です。若手社員は悩みを抱えていても先輩や上司に相談できず、組織に溶け込めないまま退職してしまうケースがよくあります。離職を防ぐためには、コミュニケーションをとりやすい、心理的安全性の高い環境を整えることが大切です。

心理的安全性とは、誰に何を言っても人間関係が壊れる心配がなく、安心して発言できる状態を指します。職場の心理的安全性が高まれば、若手社員が必要以上のストレスにさらされず、のびのびと働けるようになるでしょう。普段から「話しやすい(何を言っても大丈夫)」「助け合いができる(困った時はお互い様)」「挑戦や新しい取り組みを歓迎する(とりあえずやってみよう)」ことなどが心理的安全性を高めるポイントになります。

社内コミュニケーションを活性化させる取り組みとして、具体的には以下のような例が挙げられます。

  • 社内SNSの整備
  • 360度評価
  • 社内報

ただし、これらの取り組みを社員に強制すると逆効果になりかねません。企業の課題や社員のニーズに合わせて実施しましょう。

2.定期的な面談の実施

社内面談は社員のキャリアプランや組織への不満を把握し、適切なアプローチをするうえで重要な役割を果たします。社員の悩みが大きくなる前に、悩みごとを相談できる環境を整えましょう。面談の方法としては、上司と部下が11で話し合う1on1のほか、社歴の近い先輩が若手社員をサポートするメンター制度を設け、気軽に相談できる環境を整えるのも効果的です。

3.社内アンケートの実施

若手社員の不満をなくすためには、日ごろから「声なき声」を見逃さないことが重要です。社内アンケートを定期的に実施することで、仕事に対する考え方やモチベーション、職場環境や人間関係に関する不満・ニーズなどを詳しく知ることができます。社内アンケートを通じて社員の本音を把握できれば、自社の状況に応じて離職防止のために有効な施策を実行できるでしょう。

4.キャリアプランの提示

社内で今後のキャリアを描けない場合、何をモチベーションに頑張れば良いのかわからなくなり、長く働くイメージが湧きにくいでしょう。また、社内の人事評価制度が不透明、スキルアップの支援体制が整っていないなど、キャリアパスが見えないことを離職の理由に挙げる人もいます。人材をつなぎ止めるためには、自社でどのようなキャリアアップを図れるのか、評価制度と併せて具体的に示すことが大切です。最近では、将来のキャリアを考える機会として、キャリアデザイン研修を実施する企業も増えてきました。自分が目指すべき将来像とそれを実現するためのキャリアプランが明確になれば、仕事を続けるモチベーションも高まるでしょう。

5.研修制度の整備

スキルアップに対する不満を解消し、人材を定着させるために、研修やワークショップといった学びの機会を設けることも効果的です。各社員に適した研修を実施することで、組織全体のスキルアップやリーダー育成が可能になります。モチベーションや帰属意識の向上も期待でき、人材定着にもつながるでしょう。自社のリソースが不十分な場合、外部サービスを利用するのも1つの手です。経験豊富なプロの力を借りることで、より質の高い研修を行うことができるでしょう。

6.適切な評価制度の確立

客観的で透明性の高い評価制度の確立は、離職防止に有効です。「自分の成果が正当に評価されている」と感じられると、仕事に対するモチベーションや企業への愛着心・エンゲージメントが向上します。反対に「上司の好き嫌いが評価に影響しているのでは」と感じられると、部下の不公平感や不満は大きくなるでしょう。社員の能力や成果、評価の根拠を可視化できる人事評価システムや、給与に評価を反映させる仕組みを整備することが求められます。

7.労働条件の見直し

給与や勤務時間などが原因で離職率が高まっている場合は、労働条件の見直しが必要です。最近の若手社員は、ワーク・ライフ・バランスを重視する傾向にあります。ひと昔前のように残業は当たり前、困難があっても努力で乗り越えられるといった精神論では、若手社員の多くは動きません。育児休暇や介護休暇、時短勤務といった制度を利用しやすい環境を整えるなど、柔軟な働き方を選べるような労働条件を提示し、企業全体で取り組むことが大切です。

 

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以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。

1.PDCA研修

PDCA研修のアクティビティ「ロケットPDCAチャレンジ」では、パーツを組み合わせてロケットを制作し打ち上げ結果から原因を考えて、より良く飛ぶロケットに改善していき、目標の達成を目指します。

学びのポイント

  • 計画を立ててロケットを飛ばし、その結果から組み合わせの誤り・部品の不足・不良部品の有無を推察し、それを繰り返すことで組み合わせの精度を上げていく
  • 資金稼ぎ・パーツの選択・打ち上げの準備を繰り返し、作戦タイム振返りを経て行動を改善していくことで、最適化されていく

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2.ロジカルシンキング研修

ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルティング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します。

学びのポイント

  • 小グループで得られた情報を論理的に整理し、確定情報・曖昧情報・不要な情報を選り分ける
  • 大グループで全体に必要な情報を論理的に判断・共有することや、自分たちに足りない情報を聞き出すことが求められる。

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3.クリティカルシンキング研修

クリティカルシンキング研修のアクティビティ「混乱する捜査会議からの脱出」では、推理ゲームで論理的に情報を整理するなかで証拠の違和感に気づき、仮説立てや検証を行って目標を達成します。

学びのポイント

  • 証拠品や証言など多くの情報を手分けして読み、組み合わせて論理的に結論を導き出す
  • フェーズが進むごとに情報が増え、複雑になっていくなかで必要な情報を取捨選択する
  • 出た結論に満足せず、常に新しい情報と照らし合わせて再検証する

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4.合意形成・アサーティブコミュニケーション研修

合意形成・アサーティブコミュニケーション研修のアクティビティ「コンセンサスゲーム」では、危機的な状況下でどの物資を優先して確保すべきかをチーム内で議論し、最適な結論を導きます。

学びのポイント

  • 各々が個人ワークで考えた答えを聞くことで、チームメンバーの状況に対する認識や物資の重み付けの違いを受講者が理解する
  • 話し手は自分の答えにいたった理由を論理的・説得的に説明する
  • より良い根拠を導き出すための比較検討をして、チーム全員が納得する結論を出す

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まとめ

若手社員の早期離職は、採用・教育コストの損失や人材不足による利益損失、企業のイメージダウン、次世代リーダーが育たないことによる後継者不足といったネガティブな影響をもたらします。企業にとって大きなダメージとなるので、離職に至る原因を知り、定着化を図るための対策を講じることが必要です。若手社員の価値観を理解し、働きやすい環境を整えて、早期離職の防止につなげましょう。

 

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この記事の著者

masaki

福岡在住。大学を卒業後、大手食品メーカー勤務を経て、異業種のライターへ転身。求められている情報をわかりやすく伝えることがモットー

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