Z世代の教育方法とは?特徴・重要性・ポイントを紹介

  • 組織・人材開発

Z世代と呼ばれる若い世代が社会に進出するようになって、数年が経ちました。今後は、この世代が中心となり、企業を支えていくことになります。長く活躍してくれる優秀な人材に育てるために、どのような教育を行っていけばよいのでしょうか。

本記事では、まずZ世代への教育の重要性を説明し、一般的にいわれているZ世代の特徴と、Z世代の従業員を教育する際に担当者が意識するべきポイントを紹介します

 

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Z世代への教育がなぜ重要なのか

Z世代」に明確な定義はなく、どの年代に生まれた人たちを指すのかは、資料や記事によって異なります。たとえば、「1990年代後半~2000年代前半に生まれた世代」とされることもあれば、「2000年以降に生まれた世代」と紹介されることもあります。最近では、2010年以降に生まれた世代は「α世代」とも呼ばれるようになってきています。そう考えると、Z世代は2009年生まれまでということになるため、本記事では「1995年~2009年生まれ」をZ世代とすることにします

まずは、なぜこの世代への教育が特に重要なのか、その主な理由を紹介していきます。

ジェネレーションギャップを埋めるため

Z世代は、生まれた時からインターネットやパソコン・スマートフォンといったデジタルデバイスが身近にある環境の中で育ってきているため、それまでの世代とは異なる価値観や感覚を持っているといわれています。これまでのやり方では、Z世代に「合わない」と感じられてしまったり、受け入れてもらえなくなったりする可能性があるため、ジェネレーションギャップを埋めるために、企業の教育も変えていく必要があるとされています

ジェネレーションギャップ対策をとらないと、世代間の溝は深まるばかりです。コミュニケーションをスムーズにとることができず、組織全体のパフォーマンスに影響が出てしまうこともあるかもしれません。企業を成長させていくためにも、Z世代の特徴を理解し、彼らに合わせた教育を提供していきましょう。

Z世代とこれまでの世代の違い

では、Z世代とこれまでの世代との間には、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。ここで、Z世代と一つ前のミレニアル世代の特徴を比較してみましょう。

「ミレニアル世代」の範囲も資料や記事によって異なりますが、ここでは「1980年~1994年生まれ」をミレニアル世代とします。ミレニアル世代は、バブル崩壊後の経済不振の時代を知っているため、節約志向・コストパフォーマンス重視の傾向が強いといわれています。これに対してZ世代は、消費についてもタイムパフォーマンスを重視するという特徴があるとされています

また、ミレニアル世代というのはアメリカの世代区分で、これを日本の世代区分でより細かく分けると、1987年生まれまでは「草食系世代」、1994年生まれまでは「ゆとり世代」と呼ばれています。そして、経済産業省が公表している資料では、草食系世代は「失敗したくない」、ゆとり世代は「無駄なことはしたくない」、Z世代は「リスクヘッジ」(リスクを想定し、それに備えておく)という世代別の価値観の特徴も紹介されています。

出典:今後の生活製品の可能性~若者・世代マーケティングの立場から(令和4年6月20日 インフィニティ代表取締役 牛窪恵)|経済産業省(PDF)

ただ、近年は世の中全体でダイバーシティ重視する考え方が広がっており、「〇〇世代」という括りで考えるのは、あまりよくありません。後ほどZ世代の特徴を紹介していますが、当然すべての人に当てはまるわけではないので、その点は注意しましょう。

退職を防ぐため

Z世代への教育が重要であるもう一つの理由は、早期退職を防ぐためです。Z世代は、これから企業の中核を担う存在になっていきます。そんなZ世代に早期に退職されてしまうと、組織の競争力も低下してしまう恐れがあります。入社したZ世代の従業員に、自社で長く活躍してもらえるように、スキルアップやモチベーション向上につながる教育や研修を実施することも大切です

ただ、勘違いしないようにしたいのが、「Z世代はすぐに退職する」というわけではないということです。よく、「最近の若者は根性がない」などといわれることもありますが、厚生労働省が公表しているデータを見ると、大学卒の就職後3年以内の離職率は、以下のグラフの通り、Z世代が社会に出る前からあまり変わっていません。ここ10年程は、30%台前半で推移しています。Z世代だけでなく、どの世代に対しても離職防止の取り組みは必要です。

出典:別紙1 新規学卒就職者の学歴別就職後3年以内離職率の推移 – 厚生労働省(PDF)

 

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Z世代の特徴

ではここからは、Z世代の特徴を詳しく見ていきます。一般的にZ世代には、以下のような特徴があるといわれることが多いです。

ワークライフバランスを重視する

ミレニアル世代の一つ前のX世代(1965年~1980年生まれ)は、高度経済成長期やバブル期を知っているため、「頑張った分だけ報われる」「残業=努力」のように考える傾向あるといわれています。しかし過労死やメンタルヘルス不調が社会問題となり、今は「残業=減らすべきもの」という認識が一般的となっています。Z世代も、このように考える人が多いのではないでしょうか。

また、Z世代が社会に出始めた頃に働き方改革がスタートしました。そして、新型コロナウイルス感染症の流行以降は、多様な働き方を導入する企業も増え、世の中全体で働き方改革が一気に進みました。働き方改革やワークライフバランスが浸透していく中で育ってきた世代なので、重視する傾向が強いとされています。ただし、社会の変化とともに価値観も変わるため、Z世代に限らず、X世代であってもワークライフバランスや多様な働き方を重視する考えを持つ人が少なくありません。

安定志向を持っている

Z世代は、小さい頃から経済不振の時代を過ごしてきています。また、世界のさまざまな国・地域で起こっている紛争や、大きな震災、気候変動による自然災害など、大きなショックを受けるニュースをいくつもリアルタイムで見てきています。そのため、安定を求める傾向があるといわれることも多いです。言い換えると、冒険をしたり、何かにチャレンジしたりするのが苦手であるともいえるでしょう

また、リスクを回避するために、常に「2つめのプラン」を用意しておく傾向があるともいわれています。

一つの会社で働き続けることにこだわらない

以前の日本は、終身雇用・年功序列を採用している企業が多く、一つの会社に勤め続けていれば、自動的に昇給・昇格ができていました。しかし、近年これが一般的ではなくなりつつあり、ジョブ型雇用や成果主義を導入する企業も増えています。働く人にも、自分のキャリアを主体的に考え、形成していくことが求められるようになっており、転職に対するネガティブなイメージはほとんどなくなってきています。このような時代の変化もあり、Z世代は特に、一つの会社で働き続けることにこだわらない人が多いといわれています

また、インターネットやSNSが発展し、常に自分に最適化された情報が自動で出てくる時代となったため、Z世代は自分に合うものを選ぶ(自らの価値観と衝突しないかどうかが選定基準となる)傾向があり、ともいわれています。就職した会社に「合わない」と感じることがあれば、争ったり無理に合わせようとしたりするのではなく、自分により「合う」ものを見つけるために、別の職場・仕事を探すことを選択する人もいるのではないでしょうか。

デジタルネイティブ

Z世代は、小さい頃からインターネットとデジタルデバイスが身近にありました。パソコン、スマートフォンやタブレットなどにも早くから触れてきているので、デジタルに強く、「デジタルネイティブ」だといわれています。

ただし、デジタルネイティブだからといって、教えなくても何でも使いこなせるというわけではありません。特に、Z世代の中でも生まれが後半の人ほど、スマートフォンやタブレットの普及により、パソコンが使えない人が増えているそうです。コミュニケーションも、LINESNSで短い文章でやり取りすることが主流となっており、入社するまで「メールはほとんど使ったことがない」という人も少なくありません。メールできちんとしたやり取りができないと、会社の印象が悪くなったり、トラブルに発展したりすることもあるかもしれませんので、特にビジネスメールの書き方は、基礎からしっかりと教育する必要があります

社会問題に対する関心が高い

最近は、学校の授業にもSDGsが取り入れられているため、さまざまな社会問題を身近な問題として捉えている人が多いというのも、Z世代の特徴の一つです。

SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の略称で、日本語では「持続可能な開発目標」と呼ばれています。持続可能な世界をつくるために、2030年までに達成するべき国際目標で、さまざまな社会問題に関する17のゴールと169のターゲットで構成されています。

企業にも、このSDGs達成に向けた取り組みが求められるようになっています。消費や仕事を通じて社会に貢献できるように、商品・サービスを購入する時、就職先を選ぶ時などにも、その企業の社会貢献活動やSDGsに関する取り組みをチェックする人が、若い世代は特に多いといわれています

タイムパフォーマンスを重視する

先ほども少し触れましたが、Z世代はタイムパフォーマンスを重視する傾向があるといわれています。タイムパフォーマンスとは、「時間対効果」のこと。費やした時間に対して、どれくらいの効果・満足が得られたかを表す言葉です。

タイムパフォーマンスを重視する人の具体的な行動としては、できるだけ短い時間で済まそうとする(例:動画の再生速度を上げる)、空き時間を有効活用する(例:電車で移動中にSNSで情報収集をする)、複数のことを同時に行う(例:動画を見ながら別の作業をする)などが挙げられます。

つまり、「効率を重視する」ということです。企業の昔からのやり方や伝統を守ることも大切ですが、あまりに非効率だと、Z世代に受け入れてもらえないこともあるかもしれません

Z世代を教育する際に担当者が意識するべきポイント

では、Z世代の教育担当者になったら、どのような点を意識すればよいのでしょうか。最後に、6つのポイントを紹介します。

1.否定や批判をしない

自分の価値観や考え方を否定されると、その相手とは距離を置きたくなってしまうものです。企業にもダイバーシティ&インクルージョンが求められる時代になっているので、Z世代に限らず、従業員の価値観を否定しないようにしましょう。無理に「共感」まではする必要はありませんが、従業員の話に真摯に耳を傾け、理解しようとすることが大切です。

また、Z世代は、リスクを冒してまでチャレンジしようとしない傾向が強いといわれています。ミスを過剰に批判されたり、叱責されたりすると、意欲がさらに萎んでしまうかもしれません。何か指摘をしないといけない時は、まずはチャレンジしたこと自体をポジティブに評価し、そのうえで改善点を伝えるというように、あわせて「承認」をすることも意識してみてください。

2.自分の考えや成功体験を押し付けない

Z世代だけではなく、時代とともに社会全体の価値観やニーズが変わってきています。過去の成功体験や、これまで「当たり前」だと思っていたことが、今も通用するとは限りません。教育担当者は、自分の考え方や成功体験を押し付けないようにしましょう

逆に、Z世代の従業員から指摘されて非効率な部分に気付けたり、これまでにない斬新なアイデアを提案してくれたりすることもあるかもしれません。普段からZ世代の従業員が意見を出しやすいように、積極的にコミュニケーションをとって、良好な関係を築いておくことも大切です。

3.仕事の目的や意味を伝える

草食系世代は「コト消費」、ゆとり世代以降は「イミ消費」の価値観を持つといわれています。「コト消費」とは、旅行や習い事、ライブなどの「体験」を重視する消費行動のことをいい、「イミ消費」とは、できるだけ社会的・文化的に価値のある商品・サービスにお金を使おうとする消費行動のことをいいます。

このように「意味」を求めるのは、消費だけに限らないのではないでしょうか。仕事においても、ただ指示を与えるだけでなく、その仕事のそもそもの目的、どういった意味やメリットがあるのかといった点を伝えると、意欲的になってくれることが期待できるでしょう

4.距離感に気を付ける

Z世代の従業員と良好な関係を築くためには、相互理解を深める必要がありますが、距離感には注意しましょう。誰しも、「ここからは他人に入ってきてほしくない」というラインが、物理的にも、心理的にもあるはずです。人によって適度な距離感というのは違いますので、これを見極め、相手に合わせた対応をすることが求められます

また、海外には上司と部下の関係が良すぎても、部下のストレスが増えるという調査結果もあるようです。

参考:上司の距離感が近い職場「部下のストレスレベル」に驚きの結果 | 武器としての組織心理学 | ダイヤモンド・オンライン

丁寧にコミュニケーションを重ねて、一人ひとりとの適度な距離感を見つけていきましょう。

5.フィードバックを与える

Z世代は、「高い報酬を得たい」という欲求ももちろん持っていますが、それよりも「自分の能力・スキルを活かしたい」「興味があることをもっと追求したい」「成長したい」という欲求が強いということが、厚生労働省の資料で紹介されています。

参考:新しい時代の働き方に関する研究会 報告書 参考資料 – 厚生労働省(PDF)

こうした欲求を満たすために、普段からポジティブなフィードバックを与えることを意識してみましょう。すると、従業員は「自分は認めてもらえている」「成長できている」と感じ、自分に自信が持てるようになります。「難しい課題にもチャレンジしてみよう」という意欲も引き出せるかもかもしれません。

6.人を区別するような発言をしない

先ほどお伝えしたように、「〇〇世代」という括りで考えるのは、よくありません。価値観や考え方、特性というのは人によって違いますので、「Z世代の人って〇〇〇というふうに考えますよね」というような、世代で区別するような発言をしないように気を付けましょう

世代だけでなく、性別や出身地などで「こうだろう」と決めつけるような発言もNGです。

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学びのポイント

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2.コミュニケーション研修

コミュニケーション研修のアクティビティ「謎解き脱出ゲーム」では、チームでコミュニケーションをとりながら問題に隠された法則を発見する謎解きゲームのクリアを目指します。

学びのポイント

  • 受講者が「自分しか見えていない情報・問題・解き方」をチームで共有することでコミュニケーション促進やスキルアップにつながる
  • 突飛な発想・ヒラメキをチームのなかで積極的に発言できる心理的安全性の高い環境づくりが求められる

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3.ロジカルシンキング研修

ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルティング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します。

学びのポイント

  • 小グループで得られた情報を論理的に整理し、確定情報・曖昧情報・不要な情報を選り分ける
  • 大グループで全体に必要な情報を論理的に判断・共有することや、自分たちに足りない情報を聞き出すことが求められる。

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4.PDCA研修

PDCA研修のアクティビティ「ロケットPDCAチャレンジ」では、パーツを組み合わせてロケットを制作し打ち上げ結果から原因を考えて、より良く飛ぶロケットに改善していき、目標の達成を目指します。

学びのポイント

  • 計画を立ててロケットを飛ばし、その結果から組み合わせの誤り・部品の不足・不良部品の有無を推察し、それを繰り返すことで組み合わせの精度を上げていく
  • 資金稼ぎ・パーツの選択・打ち上げの準備を繰り返し、作戦タイム振返りを経て行動を改善していくことで、最適化されていく

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まとめ

Z世代は、これまでの世代と異なる価値観を持っているといわれています。ジェネレーションギャップを埋めるため、そして早期退職を防ぐためにも、自社の教育が時代に合ったものになっているか、一度見直してみてはいかがでしょうか。

今回、Z世代の特徴を紹介しましたが、これらはあくまでも一般的にいわれていることであり、すべての人に当てはまるわけではありません。Z世代に限らず、まとまりで考えるのではなく、一人ひとりとしっかり向き合い、個人に合わせて教育していくことが大切です。

 

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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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