OARR(オール)とは?会議を有意義なものにするフレームワークを紹介

  • 組織・人材開発

会議を開くと、誰からも意見が出ないまま時間だけが過ぎてしまったり、話が盛り上がりすぎて雑談会のようになってしまったりすることがあります。このような非効率な会議では、なかなか成果を生み出すことはできないでしょう。会議を有意義なものにするために、OARR(オール)というフレームワークを活用してみてはいかがでしょうか。

本記事では、OARRとはどのようなフレームワークなのか、4つの項目と、OARRを活用した会議の進め方、会議を効率的に進めるためのOARR以外のポイントについても、詳しく解説していきます

 

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OARRとは

OARRとは、会議を効率よく進めるためのフレームワークです。よく、「会議は準備が8割」といわれることがあります。それほど、会議でより良い話し合いを行うためには、事前準備が重要であるということです。OARRは、会議を行う際にあらかじめ明確にしておかなければならない4つの項目、「Outcome(アウトカム)」「Agenda(アジェンダ)」「Role(ロール)」「Rule(ルール)」の頭文字をとったものです

  • Outcome(アウトカム)……会議を開く目的、目指すゴール(会議で達成したいこと)
  • Agenda(アジェンダ)……目的・ゴールまでの手順や道筋
  • Role(ロール)……会議に参加している人の役割
  • Rule(ルール)……会議を円滑に進めるためのルールや規則

4つの項目については、のちほど詳しく解説します。

このフレームワークは、D・シベット氏により考案されたものだといわれています。「OARR」の読み方は、「オール」。会議の参加者全員でオールを持ち、ゴールに向かって船を漕ぎ出すようなイメージから、この名前がつけられたといわれています。

非効率的な会議の例

OARRについて詳しく解説する前に、まずは非効率な会議の例をいくつか見てみましょう。

  • だらだらと無駄に長い。
  • 会議の途中で話が脱線して、本来の目的がわからなくなってしまう。
  • 誰からも意見が出ず、時間だけが過ぎていく。
  • 参加者の中に発言が多すぎる人と、まったく発言しない人がいる。
  • 決定したことに参加者の意見が反映されていない。
  • とりあえず毎月会議を開催しているが、集まって話すほどの内容ではない(メールでも十分な報告や連絡をするのみ)。

このような会議は、非効率な会議の典型的な例といえるでしょう。会議に限らず、ミーティングやその他の話し合いにおいて、このような状況になったことがあるという方は多いのではないでしょうか。事前にOARRを活用して話し合いをデザインしておくことで、これらを解決できるかもしれません。

OARRを活用すれば、決められた時間の中で質の高い話し合いが行えるようになります。非効率な会議をなくすために、OARRを取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

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OARR4項目

ではここからは、OARR4つの項目、「Outcome(アウトカム)」「Agenda(アジェンダ)」「Role(ロール)」「Rule(ルール)」を、一つずつ詳しく解説していきます。

1.Outcome(アウトカム)

outcomeは、「成果」や「結果」などの意味を持つ英単語です会議を開く際は、まず「何のための会議なのか」というそもそもの目的や、どのような状態を会議のゴールとするのかを定義します

ゴールがわからないと、参加者はどこに向かって船を漕ぎ出せばいいのかわかりません。非効率な会議になってしまう原因はさまざまありますが、目的やゴールを参加者に十分に共有できていないケースも多いでしょう。そのためアウトカムは、会議を効率よく進めるために最も大切な項目であるといわれています。

アウトカムは、できるだけ具体的に定義することを意識しましょう。たとえば、「今日の17時までに、職場環境改善のために実施することを3つ決める」というような形です。参加者は、業務が忙しい中で時間を作って会議のために集まってくれています。中には、「業務が忙しくて会議どころじゃない」と、ネガティブな気持ちで参加している人もいるかもしれません。良質な話し合いを行うために、具体的な目的・ゴールを共有して、参加者に「なぜ集められたのか」を理解してもらうことが大切です。

2. Agenda(アジェンダ)

agendaは、「議題」や「予定」などの意味を持つ英単語です目的・ゴールが決まったら、そのために何を話し合うのか、どのように話し合いを進めていくのか(時間配分)などを決めて、達成までの道筋を明確にしていきます

アジェンダも、できるだけ具体的に示すようにしましょう。たとえば、「職場環境改善について」という議題を設定するだけでは、何から話し合えばいいのかわかりません。職場環境の改善策を決めるには、まず現状の課題を洗い出し、次にその中から重要な課題を絞り込み、改善の目標を設定して、アイデア出しをする、というような流れが考えられます。何を、どれくらいの時間をかけて話し合うのかを決めておくことで、参加者もそれを意識して話し合ってくれるようになります。なお、時間配分を決めるときは、なるべく重要な部分に時間をかけるように設定しておきましょう。

アジェンダがしっかりしていないと、会議の途中で話が脱線する、時間が足りなくなるという事態に陥りやすくなります。あらかじめ、具体的に設定しておきましょう。

そして会議当日は、まず会議の冒頭で参加者全員にアジェンダを示し、この流れで進めて良いか承認を得てから会議を始めるようにしてください。

3. Role(ロール)

roleは、「役割」や「役柄」などの意味を持つ英単語です会議をスムーズに進めていくために、役割分担を決めておきましょう。役割とは、たとえば進行役や、タイムキーパー、記録係などです

全員に当事者意識を持って参加してもらうために、できるだけ平等に役割を振り、役割がない人には、「期待すること」を伝えておきましょう。そうすることで、参加者は「なぜ自分がこの会議に呼ばれたのか」を理解することができます。「期待すること」とは、たとえば「〇〇さんには、実際に現場でどのような困りごとがあるのかを教えてほしい」「〇〇さんには、若い世代のトレンドを踏まえたアイデアを出してほしい」などです。

参加者全員がこの会議に必要であることが伝わるようにすることがポイントです。

4. Rule(ルール)

ruleは、「ルール」や「規則」などの意味を持つ英単語です会議をスムーズに進め、質の高い話し合いを行うために、「時間を守る」「人の意見は最後まで聞く」「全員が意見を出す」など、今回の会議におけるルールを決めておきましょう。そして会議の当日には、冒頭で参加者に決めておいたルール・規則を共有します。

ルールや規則は、参加者に合わせて、全員が納得できるようなものとすることがポイントです。たとえば、参加者の中に、毎回発言が多すぎる・長すぎる人が含まれているとします。このような場合は、「発言は一人〇分以内とする」「全員が等しく発言する」といったルールを設けておくと良いかもしれません。

ルールや規則はなくても構いませんが、ちょっとした決まり事があるだけで、参加者の姿勢や振る舞いが変わりますので、決めておくことをおすすめします。

OARRを活用した会議の進め方

OARRの使い方としては、まず会議の進行役を任された人が、事前にOARR4つの要素を考えておきます。そして、当日は会議の冒頭でそれを示して、参加者から同意を得たうえで会議を始めるというのが基本の形です

事前にOARRの要素をきちんと決めて準備しておくことはもちろん大切ですが、当日は必ずその通りに進めなくてはならないというわけではありません。会議の冒頭でOARRを示したときに、参加者から「そのゴールは難しいのではないか」「ここは議題の順番を入れ替えたほうがスムーズだと思う」などの意見が出ることもあるでしょう。その場合は、その場で修正を加えていきます。良い話し合いを行うために、参加者全員が会議の進め方に納得できてから本題に入るようにしてください。

このように、まず会議の冒頭でOARRを示して同意を得るということを、習慣にしておけると良いでしょう。もし進行役がそれを忘れているようなら、参加者の方から尋ねるということができるようになれば、会議の質がグッと上がるはずです。

また、会議の冒頭だけでなく、話が本題から逸れそうになったときや、予定時間をオーバーしそうなときなどにも、再度OARRを確認するようにしましょう。そして、必ずしも最初に合意したOARR通りに会議を進めないといけないというわけではありません。場合によっては、ここからどのように進めていくかを話し合って、OARRを再設定したほうが良いこともあります。

参考:目指す成果からまず逆算 会議短縮5つのポイント 第21回 話し合いをデザインする「OAAR」 – 日本経済新聞

会議を効率的に進めるためのポイント

ここからは、良質な話し合いをスムーズに進めていくためのポイントを紹介していきます。

事前にしっかり準備しておく

冒頭でもお伝えした通り、「会議は準備が8割」といわれるほど、事前準備で成否が決まるといっても過言ではありません。進行役は特に、しっかりと準備をしておきましょう。

具体的に何をするのかというと、まずは先ほど紹介したOARRを活用して、会議をデザインしておきます。そして、会議の目的やゴール、議題などは、事前に参加者にも共有しておくのがおすすめです。会議で意見やアイデアを多く出してほしい場合は、事前にその旨も伝えておきましょう。当日にこれらを伝えて、「それでは話し合ってください」とするよりも、あらかじめ共有しておくことで、意見が出やすくなります。あわせて資料も事前に配布しておくと、当日はよりスムーズに進められるでしょう。

また、機材や備品を確認しておくことも忘れないでください。機材の使い方や、不具合がないかどうか、備品は揃っているかなどを、しっかりチェックしておかないと、当日会議がストップしてしまうかもしれません。

参加者を絞り込む

参加者は、「とりあえずこの人も呼んでおきましょう」ではなく、本当に必要なメンバーのみに絞り込むようにしましょう。「できれば参加してほしい人」は、任意参加とするのがおすすめです。もしくは、オンラインで参加できるようにすると良いでしょう。

なぜなら、参加者が会議に参加するためには、移動時間や交通費といったコストがかかるからです。会議がなければ、その分の時間を仕事に充てることができます。「できれば参加してほしい人」は、言い換えれば「参加しなくても良い人」です。そういった人も毎回集めていては、ビジネス全体の効率が悪くなってしまいます。

会議の内容を把握してほしいなら、後日議事録や動画を共有するという方法もあります。「社内コミュニケーション活性化のために多くの従業員に集まってほしい」という考えもあるかもしれませんが、ビジネス全体としてのスピードや効率が落ちてしまわないように注意しましょう。

参考:「仕事で使える!Google クラウド会議術 会議スタイル・イノベーションガイド」(著者:橋口剛 / 出版社:インプレスRD / 発売:2015年)

空間を工夫する

話し合いを有意義なものにするために、空間も工夫してみましょう

たとえば、机と椅子をどのように配置するかによっても、話し合いの質は変わるといわれています。会議や研修などでは、口の字型、またはスクリーンやホワイトボードがあるならコの字型の配置が定番ではないでしょうか。しかし、これらのレイアウトは、向かい合うメンバーが対立しやすかったり、上座・下座がわかりやすいため座る位置によって参加者の意識が変わりやすかったりするなどの特徴があります。もう少し平等なイメージを持たせたいなら多角形になるような配置や、グループでの話し合いがあるならアイランド型に配置するなど、目的やゴールに合わせてレイアウトも工夫してみましょう。

また、BGMや照明の明るさが適切かどうかも、一度確認してみてください。長時間の会議なら、お菓子を用意しておくのもおすすめです。

ファシリテーターにはスキルを磨いてもらう

単なる「進行役」や「司会者」という役割ではなく、「ファシリテーター」をつけると、会議をスムーズに進めることができます

ファシリテーターとは

会議や話し合いを円滑に進める「ファシリテーション」という技法があります。これを行う人のことを、「ファシリテーター」といいます。

ファシリテーターには、単なる司会進行だけでなく、参加者からアイデアを引き出したり、参加者の学習を促したりなど、知識創造活動を支援することが求められます。また、ファシリテーターには、参加者のさまざまな意見をまとめ、より良い結論を出せるよう導く役割もあります。そのため、ファシリテーターは常に中立的な立場なくてはなりません。

話し合いをする中で、異なる意見が対立して、時間がオーバーしそうになることもあるでしょう。そんなときも、ファシリテーターがいれば、きちんと時間を管理しながら、全員が納得できる結論に導いてくれます。

ファシリテーターに求められるスキル

ファシリテーターに求められる基本的なスキルとしては、以下の4つがあります。

1.場のデザインスキル

目的や議題、進め方などを共有して、話し合うための場を作るスキル。

2.対人関係のスキル

傾聴や質問により、参加者が意見を出しやすい環境を作るスキル。

3.構造化のスキル

集まった意見を整理・共有し、論点を絞り込んでいくスキル。

4.合意形成スキル

異なる意見をまとめて、実行に移せるように決定するスキル。

ファシリテーションに必要なスキルは、会議以外にもビジネスのさまざまな場面で役に立つため、これを学べる研修を提供している研修会社も多くあります。ファシリテーターを任せる人には、研修などでスキルを磨いておいてもらいましょう。

社内コミュニケーションを見直し、改善する

会議の進め方や空間をどれだけ工夫しても、普段から従業員同士であまりコミュニケーションがとれていないようなら、活発な話し合いはできないでしょう。逆に、日々の報告・連絡・相談がきちんとできており、コミュニケーションもとれているようなら、そもそも会議を開く必要はないかもしれません。

会議ではなく、社内コミュニケーションを見直すことで、非効率な会議を減らせることもあります。普段からコミュニケーションはとれているか、そして「この会議は本当に必要なのか」も、一度見直してみてはいかがでしょうか。

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以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。

1.合意形成・アサーティブコミュニケーション研修

合意形成・アサーティブコミュニケーション研修のアクティビティ「コンセンサスゲーム」では、危機的な状況下でどの物資を優先して確保すべきかをチーム内で議論し、最適な結論を導きます

学びのポイント

  • 各々が個人ワークで考えた答えを聞くことで、チームメンバーの状況に対する認識や物資の重み付けの違いを受講者が理解する
  • 話し手は自分の答えにいたった理由を論理的・説得的に説明する
  • より良い根拠を導き出すための比較検討をして、チーム全員が納得する結論を出す

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2.コミュニケーション研修

コミュニケーション研修のアクティビティ「謎解き脱出ゲーム」では、チームでコミュニケーションをとりながら問題に隠された法則を発見する謎解きゲームのクリアを目指します

学びのポイント

  • 受講者が「自分しか見えていない情報・問題・解き方」をチームで共有することでコミュニケーション促進やスキルアップにつながる
  • 突飛な発想・ヒラメキをチームのなかで積極的に発言できる心理的安全性の高い環境づくりが求められる

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3.交渉術・ネゴシエーション研修

交渉術・ネゴシエーション研修のアクティビティ「ワールドリーダーズ」では、利益を増やすことを目指し、自チームでの戦略構築や他チームとの交渉を行います。

学びのポイント

  • 配られた事業・資金・労働力などの資源だけで目的が達成できない場合に、他チームと交渉してそれらを手に入れるための交渉力を習得する
  • 他チームの情報を得てから相手にとって価値のあるものを提供し、自チームにとってさらに価値のあるものを引き出すことが求められる

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4.リーダーシップ研修

リーダーシップ研修のアクティビティ「グレートチーム」では、チームの運営を疑似体験することでリーダーシップやマネジメントを学びます。

学びのポイント

  • メンバーのリソース管理や育成、リーダーとしての決断を繰り返すことで、いろいろなリーダーシップの型を知ることができる
  • 現代に合わせたリーダーシップの発揮の必要性を知り、⾃分らしいリーダーシップを学べる

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まとめ

OARRのフレームワークを使って会議をデザインすることで、会議を効率よく進められるようになり、話し合いの質の向上も期待できます。また、会議の際は、単なる進行役ではなく、ファシリテーターをつけられると良いでしょう。任せられる人材が社内にいない場合は、外部研修などを利用して育成に取り組んでみてはいかがでしょうか。

そして、会議の進め方ではなく、社内コミュニケーションに問題があり非効率な会議となっている可能性もあります。社内コミュニケーションも、一度見直してみてください。

 

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アクティビティが受講者の主体性を高めてコミュニケーションを促進させ、スキルアップやチームビルディングをはかれます。

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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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