Z世代の特徴とは?仕事観・働き方や企業に求めるものを解説
- 組織・人材開発
「Z世代」と呼ばれる世代の人たちが社会に出始め、数年が経ちました。Z世代は、子どもの頃からスマートフォンやSNSが身近にある環境の中で育ってきたため、これまでの世代とは考え方や価値観が大きく異なるといわれています。円滑に仕事を進めていくためにも、一緒に働くZ世代に対する理解を深めておくことが重要です。
本記事では、まずZ世代の概要と、性格・価値観の傾向、仕事に対する考え方・働き方について紹介し、Z世代が「働きたい」と思うのはどんな企業なのかを解説します。
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Z世代とは
Z世代とは、1995年~2004年の間に生まれた世代のことです。ただ、明確な定義があるわけではなく、「1990年代後半~2000年代前半に生まれた世代」や、「2000年以降に生まれた世代」を指す場合もあります。
Z世代の一つ前の世代はY世代(1980~1995年頃生まれ)、さらにその一つ前の世代はX世代(1965年~1980年頃生まれ)と呼ばれています。これらは、主にアメリカで使われてきた世代区分です。
Z世代は、2023年時点で28歳~19歳。近年Z世代が注目されているのは、この世代が消費の主役になりつつあり、さらに10年後には、企業経営の中核を担う存在になっていくためです。
Z世代は、子どもの頃からインターネットが身近にある環境で育ったため、スマートフォンやSNSを当たり前のように使いこなし、考え方や価値観がこれまでの世代とは異なるといわれています。効果的なマーケティング施策や採用戦略を練るためには、Z世代に対する理解を深める必要があるため、注目されているのです。
Z世代の概要やÝ世代(ミレニアル世代)については、以下の記事で詳しく紹介しています。
Z世代の特徴とは?Y世代(ミレニアル世代)との違いも解説
Z世代の性格・価値観の特徴
まずは、Z世代の性格や価値観について解説します。もちろん個人差はありますが、Z世代には3つの特徴があるといわれています。
- 多様性を大切にする
- 社会課題への関心が高い
- 常にリスクヘッジを考えている
一つずつ、詳しく見てみましょう。
多様性を大切にする
ビッグローブ株式会社は、Z世代(2022年1月時点18歳~25歳)を対象に、『Z世代の意識調査』を実施しました。この結果を見ると、80.7%が「多様性は大切だと思う」と回答しています。子どもの頃からSNSなどで多様な人を見てきているZ世代は、他者の「違い」を受け入れやすい人が多いといえるでしょう。また、他人と争うことを嫌う傾向もあるようです。同調査では、71%が「人と競争するのが苦手」と回答しています。
参考:「多様性は大切だと思う」 8割、「人と競争するのが苦手」7割BIGLOBEが「Z世代の意識調査」第1弾(価値観・行動編)を発表 | プレスルーム | ビッグローブ株式会社
また、株式会社マンダムが実施した『Z世代会議×マンダム 座談会調査』(対象:2018年時点での現役大学生25名)のレポートでも、調査対象となった大学生のうち80%が、「他人に負けたくない」という気持ちよりも、「自分に負けたくない」という気持ちを強く持っていたというデータが示されており、Z世代は「ナンバーワン」よりも「オンリーワン」に憧れを持っていることがわかります。
参考:ナンバーワンよりオンリーワン、「他人よりも自分に負けたくない」が80% 低体温と思われがちな若者たちが持つ「ガチ勢」マインドとは|(株)マンダムのプレスリリース
社会課題への関心が高い
Z世代は、他の世代に比べて社会課題への関心が高いのも特徴です。現在の学習指導要領の前文と総則には、「持続可能な社会の創り手となる」という文言が盛り込まれています。学校の授業や試験にもSDGsが取り入れられるようになっているため、Z世代を含む若年層は、SDGsを身近な問題として捉えている人が多いのです。
損保ジャパン株式会社が2022年に公表した『SDGs・社会課題に関する意識調査』の結果を見ると、SDGsを「よく知っている」と回答した人の割合は、15歳~19歳が最も高く44.4%、次いで20~29歳が30.2%となっています。
また、社会課題に対して具体的に行動を起こしている人の割合は、20歳~29歳が最も高く51.1%、次いで15歳~19歳が42.9%でした。
これに対し、60歳以上でSDGsを「よく知っている」と回答した人の割合は7.4%、社会課題に対して具体的に行動を起こしている人の割合は26.6%となっています。
「SDGs」という言葉の認知度は世代による差はなくなってきていますが、内容まで理解できている人や、具体的な行動を起こしている人の割合は、若年層のほうが高いことがわかります。
参考:「SDGs・社会課題に関する意識調査」~学ぶ機会があったのは約6割、学習機会の創出に向け企業に求められるものとは~_損保ジャパン(PDF)
参考:持続可能な開発のための教育(ESD:Education for Sustainable Development):文部科学省
常にリスクヘッジを考えている
Z世代は、子どもの頃から経済不振の時代を生きてきており、大きな震災や、気候変動による自然災害といったニュースをリアルタイムで見てきています。そのため、失敗に備えて「二つめのプラン」を用意しておく傾向があります。
たとえば、就職した企業が自分に合わなかったり、何かしらの理由で失業してしまったりしたときのことを考えて、内定通知をもらった直後から転職サイトをチェックするという人も少なくありません。また、明確なキャリアプランを持っており、「〇歳までに資格を取って、△歳で転職する」というように、入社前から具体的な目標立てている人もいます。
参考:広報誌 Planet VAN VAN :特集 |知る・役立つ・参加する | 株式会社プラネット
Z世代の仕事観・働き方
次に、Z世代の仕事に対する考え方や、仕事をするうえで重視することについて解説します。
仕事とプライベートの両方を充実させたい
「Z世代は仕事よりもプライベートを重視する」というイメージを持っている人もいるかもしれませんが、実際は、仕事とプライベートの両方を充実させたいと考えている人が多いようです。
マイナビ転職とZ総研による共同プロジェクト、「はたらきかたラボ」は、2022年に、Z世代(2022年5月時点の18歳~25歳)を対象に、時間と働き方に関する調査を実施しました。この結果を見ると、理想的な「仕事:プライベート」のバランスとして最も多かったのは、「4:6」と「5:5」となっています(いずれも20.2%)。
また、はたらきかたラボのZ世代のメンバーからは、仕事で充実感を持てるのは「いい評価をもらえた時」や「仕事に価値が生まれた瞬間」というような意見が出ており、報酬よりも、人から認められることで充実感を持つ人が多いようです。逆に、充実感を持てない時としては、仕事が多い時や、簡単な仕事しか与えられない時などの意見がありました。
転職にポジティブなイメージを持っている
以前の日本は終身雇用制度が一般的でしたが、現在は自身のキャリアアップのために、前向きな転職をする人も増えています。
はたらきかたラボは、Z世代(2022年5月時点で18歳~25歳の社会人経験者)を対象に、『Z世代の仕事観の調査』を実施しました。この結果を見ると、調査対象となったZ世代のうち30.7%が、現在「転職も視野に入れている」と回答しています。
また、仕事やキャリアについては「変わり続けることが成長だと思う」との意見が92.0%と、大多数を占めています。しかし、仕事やキャリアについて考えるときの行動としては、「考えてから動く」との意見が71.8%となっており、実際に行動に移すとなると慎重になる人が多いようです。現在の不安定な社会情勢も影響しているのではないかと考えられます。
安定を求めている
近年、新型コロナウイルスの影響で社会が大きく変化しました。また、世界情勢も不安定な状況が続いています。このように環境が目まぐるしく変わっていく中で、安定を求める若者も増えています。
株式会社学情は、2023年3月卒業(修了)予定の大学生・大学院生を対象に、「就職活動で安定性を重視するか」というテーマで調査を実施しました。この結果を見ると、就職活動において企業の安定性を「重視する」と回答した人の割合は66.2%、「どちらかと言えば重視する」と回答した人の割合は26.8%となっています。
安定性が高そうだと感じる企業の特徴については、「社員の定着率が高い」が最も多く61.7%、次いで「福利厚生が充実している」が61.0%、「収益の柱が複数ある」が56.1%でした。
また、変化が激しい時代なので大企業でも安定しているとはいえない、終身雇用を前提に考えるのはリスク、という意見も見られました。「大企業に就職すれば安心」「終身雇用=安定」というイメージも、変わりつつあるようです。
一緒に働く人を重視する
auじぶん銀行株式会社は、Z世代(2022年9月時点で18歳~22歳の現役大学生男女)とミレニアル世代(2022年9月時点で28歳~32歳の大卒者未婚男女)を対象に、『Z世代とミレニアル世代の大学時代の価値観に関する調査』を実施しました。
どちらの世代も、1位~4位(1位:仕事内容、2位:給与や賞与の高さ、3位:仕事のやりがい、4位:会社の安定性)までは同じです。しかし5位以下を見てみると、Z世代はミレニアル世代よりも、「社員の雰囲気・人間関係」や「会社の雰囲気」が上位に来ており、一緒に働く人とのコミュニケーションの取りやすさや、働きやすさを重視している人が多いことがわかります。
参考:価値観が変化!? Z世代 現役大学生の悩み1位は「お金」!約10年前と比べて、投資に関心を持つ大学生は、3割アップ!結婚願望“あり”は、約2倍の約6割 | auじぶん銀行
社会に貢献したいと考えている
先ほど「Z世代の性格・価値観の特徴」の項でも紹介したように、Z世代は社会課題への関心が高い傾向があります。そのため、「仕事を通して社会に貢献したい」「社会課題に積極的に取り組んでいる企業で働きたい」という考えを持っている人が多いのが特徴です。
株式会社学情は、2022年3月卒業(修了)予定の大学生・大学院生を対象に、就職意識調査を実施しました。この結果を見ると、約半数の学生が、就職活動において、企業のSDGsに関する取り組みや社会貢献活動を意識すると回答しています(「意識する」16.4%、「どちらかと言えば意識する」35.0%)。
Z世代が「働きたい」と思うのはこんな企業
ダイバーシティ&インクルージョンを推進している
ダイバーシティ(diversity)は「多様性」、インクルージョン(inclusion)は「包含」や「包摂」などの意味を持つ英単語です。ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)とは、多様な人材を集めて、お互いが認め合い、一人ひとりが能力を十分に発揮できるような環境をつくることをいいます。
先ほど紹介したように、Z世代は、仕事もプライベートも充実させたいと考えています。D&Iの一環として、テレワークやフレックスタイム制などの多様な働き方を整備することで、プライベートの時間を確保しやすくなり、ワークライフバランスが取りやすくなります。
株市会社学情は、2024年3月卒業(修了)予定の大学生・大学院生を対象に、D&Iに関する調査を実施しました。この結果を見ると、D&Iを推進する企業に「好感が持てる」と回答した人の割合は47.2%、「どちらかと言えば好感が持てる」と回答した人の割合が35.5%となっています。
また、4割を超える学生が就職活動でD&Iを意識しており、企業の働き方の制度・柔軟性だけでなく、男女比率や女性管理職の比率、従業員満足度などをチェックしていることも、この調査でわかっています。
SDGsに取り組んでいる
先ほど紹介したように、就職活動において、企業のSDGsの取り組みや社会貢献活動を意識している人は多いです。では、Z世代を含む若い世代は、どういった点で企業の社会貢献度を判断しているのでしょうか。
「社会課題への関心が高い」の項で紹介しました損保ジャパン株式会社の『SDGs・社会課題に関する意識調査』では、各年代に対して、SDGsや社会課題に取り組んでいる企業だと判断する点についても尋ねています。若い世代で特に多かった意見が、以下の2つです
- 企業ホームページや広告などで取組みが開示・公開されている(15歳~19歳:35.0%、20歳~29歳:26.4%)
- SDGsに関する賞を受賞している(15歳~19歳:30.1%、20~29歳:30.3%)
将来を担うZ世代に「この企業で働きたい」と思ってもらえるよう、SDGsへの取り組みは積極的に発信しましょう。
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まとめ
若い世代に対して「根気がない」「プライベートばかり重視する」などのイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、さまざまなデータから、Z世代に対するそのようなイメージは誤りであることがわかります。
Z世代は、10年後の企業経営の中核を担う存在です。業務を円滑に進めていくために、そして、企業の持続的な成長のためにも、彼らの価値観や仕事観を正しく理解しておく必要があります。
もちろん、個人差がありますので、本記事で紹介したような特徴がすべてのZ世代に当てはまるわけではありません。就活生や社員一人ひとりとしっかり向き合い、働きやすい職場をつくっていくことが、将来の企業の成長につながるのではないでしょうか。
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アクティビティが受講者の主体性を高めてコミュニケーションを促進させ、スキルアップやチームビルディングをはかれます。
この記事の著者
雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。