収束的思考とは?拡散的思考との違い・鍛え方・実践方法を解説

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この記事の監修者
株式会社IKUSA あそぶ社員研修事業部 責任者
友水 一喜
慶應義塾大学文学部人文社会学科美学美術史学専攻卒業。
大学卒業後、クラシック音楽業界にて制作・マネジメント・プロデュースに従事し、アートと教育の融合をテーマに、「体験を学びとして届ける」手法を追求してきた。
その後、体験型コンテンツ会社を経て、株式会社IKUSAにクリエイティブプロデューサーとして入社。
現在は研修事業部の責任者として、体験型・ゲーム型の社員研修事業を統括している。
ユーザー視点に立ったサービス開発を得意とし、「楽しさが行動変容を生む」という信念のもと新しい研修体験を創出している。

収束的思考は、人材採用や社員研修においても、把握すべき知識のひとつです。対となる思考方法である拡散的思考と共にビジネスシーンではしばしば使われます。

しかし、収束的思考も拡散的思考も、その意味がよくわからない、誰かにわかりやすく教えることは難しいという方もいるのではないでしょうか。

本記事では、収束的思考と拡散的思考、それぞれの概要と違いを説明します。また、2つの思考方法のトレーニング・実践方法も紹介します。

収束的思考とは

「収束的思考」は、プロジェクト立案や意思決定の場など、ビジネスシーンで聞くことがあります。しかし、そもそも収束的思考とはどのような概念なのか、はっきりと分からない、誰かに説明できない方もいるでしょう。まずは「収束的思考」と、対をなす「拡散的思考」がどのような思考方法なのか、2つの思考方法の違いを含めてわかりやすく説明します。

収束的思考の特徴

「収束的思考」は、1956年にアメリカの心理学者ジョイ・ギルフォード氏が提唱した概念であり、思考方法です。

“収束”という言葉の通り、既にある一定の情報やアイデアを整理し、統合します。そうすることで、一つの解決策や答えを導き出す思考方法のことを指します。

具体的な方法として、情報やアイデアをグループ分けしてみたり、因果関係を探ったりすることで、最適な唯一の解決策や答えを抽出するという思考のプロセスです。プロジェクト立案においては、実際にプロジェクトが実行可能な状態まで調整する時に用います。最終的な意思決定も、収束的思考を用いることでスムーズに行えます。

拡散的思考の特徴

「収束的思考」と対をなす思考方法である「拡散的思考」も、心理学者ジョイ・ギルフォード氏が提唱した概念です。拡散的思考は、収束的思考と逆の思考方法であり、収束的思考を用いる前に、拡散的思考を用います。

“拡散”という言葉通り、既にある一定の情報やアイデアに囚われることなく、新たにさまざまな発想からアイデアを無数に生み出す、創造性を重視した思考方法のことを指します。この段階で集まったアイデアはまだ評価せずに、自由に発想することが最優先です。プロジェクト立案においては、アイデア出し、企画出しの段階になります。

拡散的思考と収束的思考、双方を使い分けたり、段階に合わせて用いたりすることで、スムーズなプロジェクト立案や問題解決などが可能となります。

拡散的思考のトレーニング・実践方法

収束的思考を行う前に、拡散的思考によって、アイデアや企画を膨らませる必要があります。しかし、拡散的思考は創造性が関わる思考方法であることから、「創造性がない自分では無理なのではないか」と考える方もいるでしょう。

確かに、特別なことをしなくても、次々にアイデアを生み出す創造性豊かな人もいます。しかし、近年では創造性も以下のようなトレーニング・実践方法によって伸ばすことができるとされています。

  • アイデアノート
  • マインドマップ
  • ブレインストーミング
  • シックスハット法

一つずつ、解説します。

アイデアノート

確実に成果につながるアイデアをすぐに思いつくというのは、創造力豊かな人でも難しいでしょう。発明家や芸術家も思いついたアイデアを、まずノートやメモに残しておき、積み重ねているケースは少なくないそうです。それがいずれ大きな成果や成功につながるのでしょう。

アイデアノートの作り方は簡単で、例えば同僚と話している時に思いついたアイデア、SNSを見ていて興味を惹かれたニュースなどをただノートや付箋などに、書いておくだけです。文章だけでも良いですが、イラストにしたり、画像を貼ったりするのもよいでしょう。

アイデアノートを書くことで、アイデアを忘れることを防げるだけではなく、思いついたことを整理できます。そのため、思いついた時にはぼんやりとしたアイデアも、書き出すことで具体的になります。また、アイデアノートをつけることが習慣になれば、自然とアイデアノートに書くネタを探すようになり、アイデアを生み出しやすくもなるでしょう。

アイデアノートの活用のコツは、いつでも常に携帯して、サッと取り出せるようにしておくことです。また、以前の記述をすぐに見られるように1冊にまとめ、脳の活性化を促すために、手書きがおすすめです。

マインドマップ

マインドマップは、イギリスの著述家であるトニー・ブザン氏が考案したアイデア出しの手法です。言葉やイメージを放射線状につないだ図にすることで、アイデアを広げたり、考えを整理したりします。ビジネスシーンでは、新しい事業や企画の立案、問題解決、社員へのトレーニングに活用されています。

やり方はとても簡単で、ホワイトボードや大きな紙を用意して、中心にアイデアを出したいテーマやキーワードを書きだします。その後、テーマやキーワードから複数の枝を伸ばして、放射線状に中心の言葉から連想される言葉や画像をつなげます。アイデアからアイデアへとつなげるように、できる限りたくさんの言葉や画像をつなげます。

マインドマップの利点は、アイデアに関するさまざまな情報が一目で見渡せるようになることです。そうすることで、さらに新しい発想が浮かんだり、課題に気づきやすくなったりします。また、チームで実施する場合、アイデアを共有しやすくなります。

マインドマップは、拡散的思考のトレーニングだけではなく、収束的思考のトレーニングにもおすすめです。図として書き出すことで、複雑で分かりにくかったことが、整理されて、適切な結論が導き出しやすくなります。

現在では、マインドマップは紙やホワイトボードだけではなく、アプリで作ることも可能です。この場合、オンラインでも共有しやすくなります。

ブレインストーミング

ブレインストーミングは、集団思考、ブレスト、課題抽出、BS法、集団発想法とも呼ばれています。アメリカの実業家であるアレックス・F・オズボーン氏によって、1950年頃に考案されたアイデア出しの手法です。

ブレインストーミングは、一人ではなく、一般的に10人以下のグループで実施します。複数人でさまざまなアイデアを出すことで、新たな視点を得られるので、発想を広げ、問題解決につながりやすくなります。

ブレインストーミングは、まずテーマや目的を決めて、司会進行となるファシリテーターや参加者を選定します。ファシリテーターはスムーズに進行できるように調整し、ルールが守られるようにサポートするのが役割です。参加者は、同じ意見やアイデアばかりが集まるのを避けるために、職種、部署、年齢、性別など、属性の異なるメンバーにすることがポイントです。

時間制限内で、メンバーがそれぞれできる限り多くのアイデアを出します。その後、アイデアを組み合わせてみたり、カテゴリー分けしたりすることで、内容をまとめます。

ブレインストーミングを成功させるには、自由にアイデアをだせるようにアイデアの批判や否定は避ける、変わったアイデアも歓迎する、とにかく質よりも量を重視して、多くのアイデアをだすといったことが大切です。

シックスハット法

シックスハット法とは、マルタ島出身の医師であり、心理学者でもあり、水平思考を提唱したエドワード・デボノ氏によって、1983年頃に考案されたアイデア出しの手法です。

シックスハット法は、多角的な視点を意図的に作り出すことで、今までにはないアイデアを生み出します。以下のように、6つの視点に応じた意見を、順番に出します。

  • 客観的・中立的な視点

仮説を立てたり、独自の意見を出したりすることなく、客観的な事実や数値といったデータを集めて、それに基づいた意見のみを出します。

  • 主観的・直観的な視点

直観的にどのように思ったのか、主観的な意見を出します。「嫌な感じがした」「面白かった」といった気持ちの表明を行い、論理的に説明する必要はありません。

  • 否定的・悲観的な視点

アイデアに対して、感情的ではなく、論理的に否定的な意見を出します。アイデアについての問題点やリスクを探り出すためのものなので、あくまでアイデア自体をつぶすためではないことに注意してください。

  • 肯定的・楽観的な視点

アイデアに対して、感情的ではなく、論理的に肯定的な意見を出します。アイデアの具体的なメリットや、実現した際にどのような利益があるかを考えて、発表します。

  • 創造的・革新的な視点

客観的な事実や数値といったデータにとらわれずに、創造的な意見を出します。この段階では、既にポジティブな意見も、ネガティブな意見も出そろっていますので、自然と創造的なアイデアが出しやすくなります。

  • プロセス管理・俯瞰・統括の視点

これまでのアイデアを整理して、まとめます。

「会議を重ねてもよいアイデアがでない、まとまらない」「一生懸命考えても、よいアイデアがでない」といった際に、シックスハット法を活用することは有効な可能性があります。

収束的思考のトレーニング・実践方法

拡散的思考を鍛えるトレーニングの多くは、同時に収束的思考のトレーニングにもつながるケースもあります。しかし、実現可能で効果的なアイデアを的確に選び出すためには、重点的に収束的思考をトレーニングする必要もあるでしょう。

収束的思考のトレーニング・実践方法として、以下が挙げられます。

  • デシジョンマトリクス
  • スクリーニング
  • SWOT分析

一つずつ、解説します。

デシジョンマトリクス

デシジョンマトリクスとは、意思決定行列とも呼ばれています。複数のアイデアや選択肢がある時、どれを選ぶべきか迷うことは少なくないでしょう。デシジョンマトリクスは、複数の評価基準に基づいて体系的に分析・評価を実施し、適切な選択肢を選ぶためのツールです。評価は数字化されるので、判断材料としてビジネスシーンでも提示しやすいです。

まず比較対象を選びます。次に評価基準となる項目を設定します。商品企画の場合、「収益性」「市場性」「独創性」「実現可能性」といった項目が考えられます。すべての評価基準の重要度は同じではありません。評価基準それぞれの重要度を設定します。

「企画A」の収益性は7、市場性は10といった感じで、それぞれスコアを入力します。すべてのスコアを入力した後で、スコアに重要度を掛け合わせて合計を算出しましょう。

デシジョンマトリクスは、新規事業や新規商品など、企画検討だけではなく、ツールやサービスの選択、人材採用など、意思決定が必要な場面で、活用できます。ただし、デシジョンマトリクスの数値だけで最終判断は下さず、一つの判断材料として、他の要素も加えて総合的に検討する必要があるでしょう。

スクリーニング

スクリーニングとは、ふるい分けや選別を意味する言葉です。スクリーニングは、膨大な情報の中から目的に合った必要な対象を見つけ出す手法のことを指します。昨今は、情報過多の傾向があるため、すべてのデータを隅々までみて検討することは難しいでしょう。そのため、スクリーニングが重要なプロセスとなることは少なくありません。

ビジネスシーンにおいては、採用やマーケティングにスクリーニングが用いられます。

大手企業の採用では、多くの応募があるため、条件に合った人材を選ぶ際に多くのリソースが費やされてしまうことがあります。そこで、職歴や学歴、適性検査の結果などによって、ふるい分けを実施します。

マーケティングでは、収集したアンケート結果や過去の顧客データなどから、顧客の購買意欲を探ったり、見込み顧客を抽出したりするのに用います。

スクリーニングは、効果的な収束的思考法の一つですが、採用で取り入れる際には、以下の点に注意しましょう。スクリーニングは採用基準ではないため、たとえスクリーニングで高得点でも、採用すべき人材ではないこともあります。あくまでスクリーニングは、面接可能な人数まで絞り込むための基準にすぎません。また、スクリーニング自体、ふるい分けの手法であるため、スクリーニングに頼りすぎてしまうと、応募者の良い点を評価することを忘れてしまうこともあるでしょう。スクリーニングを活用しても、それがすべてとしないことも大切です。

SWOT分析

SWOT(スワォット)分析は、主に経営戦略やマーケティング戦略に用いられるフレームワークです。SWOT分析によって、自社の現状分析を効率的に、客観的に把握することが可能となります。「売上が何故伸びないのかわからない」「新規事業や企画をどうすれば成功させられるかわからない」といったケースで、問題を解決するために有効です。

SWOT分析で分析するのは、以下の4つの要素です。

  • Strength(強み):自社の長所、得意なこと
  • Weakness (弱み):自社の短所、苦手なこと
  • Opportunity (機会):自社にとってプラスに働く外的な要因
  • Threat (脅威):自社にとってマイナスに働く外的な要因

SWOT分析の手順は、4つのステップから成り立っています。まずSWOT分析を行う目的を明確に設定します。その後、まず外的要因である「Opportunity (機会)」「Threat (脅威)」について分析を行い、次に自社の要因である「Strength(強み)」「Weakness (弱み)」について分析します。その後、4つの要素を掛け合わせたうえで、実際に実施すべき戦略を立てます。

4つの要素と4段階のステップで完結するSWOT分析は、シンプルなため、これまでフレームワークを活用したことがない人にとっても挑戦しやすいのがメリットといえます。また、会社全体に関わる大きな意思決定だけではなく、小規模なプロジェクトにも活用しやすいです。収束的思考のトレーニングとしても、時間をかけずに行えますし、多くの方にとって理解しやすいといえるでしょう。

まとめ

収束的思考と、対をなす拡散的思考について解説し、この2つの思考方法を身につけるためのトレーニング・実践方法を紹介しました。

2つの思考方法は、共に心理学者ジョイ・ギルフォード氏が提唱したものです。拡散的思考は、より創造的に発想を広げていくために必要なもので、新規商品開発や企画など、社会に新たな価値を提供し、成果を生み出していくのには欠かせない思考方法といえます。一方で、仕事の中では、多くの選択肢からより良いものを効率的に選択することが必要であり、考えを分析してまとめる思考方法である収束的思考も同時に必要です。

今回紹介したトレーニング・実践方法は、個人でも実行できるものも少なくありませんが、グループで行うことで知見を広め、チームとして交流を深めることにも役立ちます。どのように収束的思考や拡散的思考を身につけさせるべきか、お悩みの場合は、ぜひお試しください。

 

この記事の著者

IKUSA編集部

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